裁判所に提出されたのは、左から順です。
私の「訴状」に対し、三井不動産が「答弁書」を提出しました。
その「答弁書」に対しての、私の反論が「準備書面」です。
その後、三井不動産は『反論はありません』といってなにも提出してきません。
<訴   状> <答 弁 書> <準備書面> <陳 述 書> <鑑定申立書>





一市民が大企業を相手に裁判をたたかうことは、
本当にたいへんなことだとつくづく感じています。
でも、こんな横暴を許すわけにはいかない!!
と必死でがんばっています。
みなさん、応援してくださいね。
          



どういう裁判なのか、みなさんに知っていただくには、
私が裁判所に提出した「陳述書」
読んでいただくのが一番いいのではと思います。


まず、「陳述書」を読んでみてください。


      



 私は、「○○○パークホームズ」の○○号室(以下、本件建物といいます。)が建築された当初から現在に至るまで本件建物に居住しておりますので、本件建物の構造、本件建物において感知される騒音の種類及びその状況、私たちの生活状況等について以下に述べます。

本件建物を購入するに至った経緯
 私は、平成6年9月ころ、原告○○○○(以下、○○といいます。)との結婚を機に、○○の住んでいた○○市内の賃貸アパートにおいて同居を始めました。しかし、そこは、2人分の所帯道具を置くには手狭で、もっと広い所に引っ越そうと考え、マンションを購入することにしました。
 そのころは、マンション販売ブームで、○○市内にも次々に新築マンションが建築されていました。一戸建住宅は高価なため手が出せませんでしたが、マンションであれば私たちにも賃貸アパート並のローン返済で購入することが可能なことが判明し、マンション購入を考えたのです。近所には、販売している物件がいくつかありましたが、その中に本件建物があったのです。
 私たちは、モデルルームを何件か見学しましたが、本件建物は海も近くとても気に入りました。本件建物は、竣工月に販売を開始した物件であり、完成間近の建物内のモデルルームを見学する事ができました。特に、本件建物は、マンションにはめずらしく三方が外部に面しており、窓が多く、明るく風通しもよい条件でした。また、本件建物は、エントランスホールの真上で階下の居住者の生活に気を遣わなくても良いし、特に○○は仕事柄朝が早く帰宅も遅いので、この点はよく考慮しました。そして、何よりも売主が、マンション販売で世間的にも実績、評判の高い三井不動産株式会社(以下、被告といいます。)であったという安心感がありました。モデルルームで接した営業マンの方も、他のどの会社の社員よりも紳士的で親切に応対してくださったのも印象的でした。
 モデルルームを見に行ってからの数日間は、被告からもらったパンフレットや資料など眺めては、この部屋に何を置いてこんなカーテンをかけてなどと、今考えれば夢を見ているような感覚でした。そして、私たちは、迷う事なく現地モデルルームへ申し込みをしに行きました。どの部屋もかなり競争率が高く、期待はできませんでしたが、後日販売会社から、抽選で当たった人と次点の人がいずれもキャンセルしたとの連絡を受け、早速本件建物の購入を決めました。
 その後、私たちは、平成6年10月4日、被告との間で売買契約を締結し、同年12月初めころ、引っ越しをすませました。


本件建物の入居直後の状況
 入居直後の数日は、嬉しさと荷物の整理に夢中だったので、さして気にならなかったように思いますが、荷物の整理も一段楽したころ、寝室で夜寝ようとして蒲団に横になると、どこからかグーンウーンという低いモーター音が聞こえてくることに気がつきました。寝室の真下にポンプ室があるので、その音はそこからのポンプの稼動音だとすぐにわかりました。
 また、夜中には、寝ている枕元と天井からきまって、ゴトッゴトッという、まるで木箱に牛乳ビンをいれるような連続した音がするのでおかしいと思い始めました。私たちは、上階の人が深夜に何かやっているのだろうと思っていたので、いずれ止むだろうと思っていたのですが、それは毎日続き、不審に思って時計を見ると、決まって深夜の3時過ぎに発生していることが判明しましました。
 さらに、その他にも昼夜問わず不規則にガツッガチャゴツッ、ゴソッ、ゴトン、カチャーン、ガラガラゴトーンといった騒音が聞こえて来るのに気付きました。初めは、入居者の引っ越し日がまちまちで、その音が聞こえてくるのであろうと軽く考えていました。しかし、入居者の引っ越しが終わっても、これらの何種類もの止むことのない音が、決まった時間帯あるいは不規則に発生しているのがわかり始め、いやだなあと思うようになりました。これらの音は、前触れもなく突然発生するものもあり、私は、騒音が発生する度に、驚いたり心臓がドキドキしたりするようになり、だんだんこれらの騒音が気になるようになりました。泥棒でも入ったのかと思って、廊下や玄関先を見にいったりすることが何度もありました。


平成7年初旬ころの状況
 私たちは、平成7年になって、これらの騒音を防ぐためには、騒音源を明らかにしなければならないと思い、騒音源は一体どこであるのかを考えるようになりました。
 まず、ガツッガチャゴツッという音は、音の聞こえ方、場所、発生の時間帯・規則性などから考えて、真下のエントランスホールのオートロックドアーの開閉音であることがわかりました。私たちは、最初は、ドアーを開閉する人が気をつけてゆっくり手を添えて閉めてくれればと考え、我慢しようとしていましたが、早い時は朝5時台から人の出入りが始まり、出勤、通学、ゴミ出しなど数分おきに激しい音が枕元で響くので寝ているどころではありません。夜は、深夜帰宅するサラリーマンの方も何人かおられ、私たちが寝ようと横になる頃に、オートロックドアの開閉、エントランスホールを歩くカツンカツンという靴音が、まるでトンネル内を歩いているかのように枕元に響いてくるのです。

平成7年9月ころの状況
 このころは、既にポンプ室から聞こえてくるモーター音が気になり、寝つけない日が続いて睡眠不足になってしまいました。音がする度にイライラし、いつ音がするかと不安でたまらず、常に緊張していなければならず、疲れきってしまいました。私は、家にいることが恐ろしく苦痛で、これ以上我慢できないと感じ、購入して10ヵ月程度経過した、平成7年9月下旬ころ、とりあえず一番激しかったオートロックドアの騒音について管理会社に電話で話をしました。後日、担当者が来て、ドライバーで玄関扉のフロアーヒンジという部分のネジを調整しましたが、締めすぎたせいか、自動ロックがかからなくなり、手で押したり引っぱったりして閉めなければならず、ますます激しい音がするようになってしまいました。そして、3日後くらいには、締めたネジも元に戻ってしまい、私は、再び電話をしましたが、同じ作業の繰り返しでした。
 管理会社の人には、居住者の使い方のマナーが問題なのだと説明されました。しかし、オートロックドアに使い方のマナーなど関係なく、素人目に考えても音が伝わってくるような建築構造に問題があるのではないかと思いました。

平成7年10月ころの状況
 ポンプ室からのグ−ンウ−ンという音はきになるし、ポンプの動いたり止まったりする時のカポーンという音まではっきり聞こえるようになっていました。私は、もしかしたら本件建物の防音対策がきちんとされていないのではないかと思い始め、オートロックドアの件を含めて、同年10月初旬ころ、管理会社のアフターサービス担当に電話で対策をお願いしました。その数日後、アフターサービスの担当者が来て、これらの騒音を本件建物において聞いてくれました。
 さらにその数日後、右担当者は、オートロックドアの扉の枠部分に厚さ2ミリ位のゴムを貼ってくれました。しかし、私宅内で聞こえる音には、全く効果は無く、扉のガラスも割れるのではないかと思うほどの酷い音のままでした。
 そこで、私は、1週間位経ってから、効果がない旨再度電話連絡したところ、相手は、検討して連絡すると言うだけでした。
 マンション居住者、来訪者は、このドアを使わないと建物内に入れないのでこの騒音の発生は人の出入りの度止むことなく、毎日が酷い状態でした。その後も管理会社からは何の連絡もなかったので、再び電話を入れました。返事は後日現場に確認にくるというものでした。

平成7年11月初旬ころの状況
 そして1週間後の平成7年11月15日、業者らしき人も含めて管理会社の担当者が数人で来て、エントランスホールやポンプ室を見たりしましたが本件建物でどのような音が伝わっているかは、具体的に確定するに至りませんでした。
 彼らは、ポンプ室内の防振やオートロックドアの錠前を音の少ない物に交換するように検討すると言っていましたが、それでも、設計施工上の問題はないこともはっきりと言っていました。私は、とにかく毎日毎日が大変な思いであるので出来るだけ早く対処して欲しいとお願いしました。
 私たちは、このころ寝場所を和室に移しました。そして、当時の管理組合理事長にお願いして、エントランスホールからの音で困っている人がいるので皆で気をつけるようにという内容の文書をマンション入口の掲示板に貼ってもらいました。しかし、音が発生することに変わりはなく、せいぜいエントランスホールをゆっくり歩くとか帰宅の遅いサラリーマンがオートロックドアを使わずわざわざ駐車場側の別のドアから入ってくるらしい程度でした。結局、翌年1月下旬の管理組合総会までこの状態が続きました。本当に苦痛の毎日でした。
 また、このころには、下からのガツッという音は、集合郵便受けを開けるガツッ、新聞等の中身をとりだすガサゴソッ、閉める金属のカチャーンとコンクリートのゴツッの合体音であることが分かりました。また、深夜3時台のゴトッゴトッという連続音が新聞配達の音であること、強烈なガランガランゴトーンという音は自転車置場の2段式機械の上げ下げのスチールの軋む音であることも分かりました。他にも無気味な音がよくしていました。
 加えて、上階の生活騒音についてもかなり聞こえていましたが、特にトイレの用を足すそのままの音、静かな時は流す音の渦をまいて流れていくのがわかるほど、そしてタンクに水が溜まるチャポチャポまで聞こえる始末でした。早朝6時過ぎにだいたいその音が始まり、まるで天井から降ってくるようで、耳を塞いでも筒抜けで本当に嫌でした。他にも掃除機、話し声、まな板の音、シャワー、カーテン、サッシ、洗濯機等いろんな音が聞こえてきました。1つや2つならまだしも、上から下からの様々な騒音が聞こえ、私たちにとっては拷問でした。

平成7年11月下旬ころの状況
 平成7年11月下旬ころ、購入1年目のアフターサービス定期点検の申込票が送られてきました。右に述べたように、騒音の発生源もはっきりと分かり、それらが原因で生活に支障が生じていたので、これ以上放置できないと思い、既に申し入れているオートロックドアとポンプ以外の、エントランスの歩行音、自転車置場の音、集合郵便ボックスの音、上階のトイレ、掃除機をかけるときの音についてまとめて記載して提出しました。私は、このころは、専業主婦として家にいる時間が長く、それだけ騒音に曝されていたため疲労困憊し、就寝時の耳栓の着用をはじめ、とうとう寝場所をリビングのソファーに移動せざるを得ませんでした。
 それでも、家中どこにいても騒音は入ってきて、寝る場所どころか居場所がありませんでした。管理会社に当座の間、エントランスホールに靴音の緩衝のためにダスキンのマットのようなものを敷いて貰えないかとお願いしましたが、これも管理組合に決めてもらわないとできないと言われてしまいました。

平成7年12月中旬ころから平成8年2月ころまでの状況
 平成7年12月中旬ころ、アフターサービス申込票の提出に対し、管理会社から連絡があり、オートロックの錠前の交換、集合郵便ボックスの扉部分にゴム製のクッション材を貼る、ポンプ室の防振工事をする、エントランスホールの一部にダスキンマットを敷くという内容でした。次回の管理組合総会で議案として出し決定すれば、1週間のうちには1日の工事で完了するということを口答で説明されました。私たちは、一応管理会社も手だてを講じてくれるという事で、少し安心しました。私たちの辛い我慢もあと少しで終わると本気で思っていました。
 そして、平成8年1月28日、管理組合総会で右議案も無事承認されましたので、あと1週間我慢しようと思いました。総会の翌日には早速、エントランスホールにマットが敷かれ、マットの部分の音は緩衝されるようになりましたが、エントランスホールはマット以外の部分がはるかに広いので根本的に解消されたわけではなく、あいかわらず音は聞こえました。
 しかし、約束の1週間が過ぎましたが、工事どころか連絡さえもありませんでした。ドアの音はヒンジの調整のため、ますます機能しなくなったのか、激突音が酷くなっていました。私は、仕方なく電話で尋ねたところ、管理会社は施工会社の担当者が変わったために遅れているのだと言っていましたが、後日工事は2月20日中に行うとの連絡がありました。
 いよいよ工事日になりました。まず、ドアの錠前を交換し、次に、ポンプ室の防振工事もしていましたが、これについては翌日までかかるということでした。しかし、郵便ボックスについては、何も工事はなされませんでした。これらの工事の結果は、殆ど効果はありませんでした。グーンウーンカポーンというポンプ室から発生する騒音は相変わらず聞こえてきました。オートロックドアについは、ガチャッという錠の音はなくなりましたが、代わりに解錠を知らせるピーッという大きな電子音が新たに発生するようになり、本件建物内にもよく伝わりました。結局、音の種類が変わっただけでした。
 玄関扉の開閉音については、一時的な速度調整で工事後はしばらく静かになりましたが、三ヵ月後くらいには、また元のひどい音に戻りました。しかも閉まる際、扉が1回はねて二回目に閉まるようになり、2度も音が発生するようになってしまいました。また、郵便ボックスについては、工事日の連絡を待ちましたが、結局、ゴムを取り付けたのは3月7日になってからでした。しかし、この措置によっても金属音は全く変わらず、これも効果がないとすぐに分かりました。私は、担当者に対し、その場で随分文句を言いましたが、取り合ってもらえないどころか、そういう部分の上階なので音はしかたないと開き直っていました。私は、その言葉を聞いて愕然とし、本件建物は防音工事一般について基本工事さえもやっていない、いわゆる手抜工事であったのだと思いました。
10

 私たちは、本件建物を買う際、階下にエントランスや共用設備があることは当然わかっていましたが、だからといって、筒抜けに音が居室内にはいってくるのが当たり前など考えてもみませんでした。販売会社からは、これらの騒音の発生の可能性について一切説明はうけていません。パンフレット(甲第三号証)には、上下階からの生活音を防ぐため配慮した構造と記述されていましたし、私たち自身、被告が売っているパークホームズだからと安心しきっており、細かいことは余り気にしていませんでした。
 私たちは、もしこれらの騒音が、マンションで通常おこりうるものだとすれば、私たちが過敏だっただけなのかと思い、当時販売していた他社のモデルルームに何ケ所か行って、確かめたこともありました。すると、どの会社も私たちの話を聞いて驚き、「それはおかしい。通常、聞こえないように配虜して工事しますよ。」「そういうのを欠陥と言うんですよ。」と言っていました。やはりこれは、建物の構造や遮音性に問題があるのであって、騒音が聞こえること自体が問題であるのだと確信しました。本件建物と同様の構造にあるマンションに住んでいる友人に相談しても、本件の騒音の類は聞こえないと言っていました。

11

平成8年3月ころから5月ころまでの状況
 私たちは、建物の遮音性に問題があると分かって、何とかしなければと気持ちだけ焦り、不動産売買に関わる機関等に何ケ所も相談しました。しかし、どこもたらい回しにされるだけでした。販売会社の顧客相談室へも3回電話しましたが、連絡させますと言われるだけで、結局なしのつぶてでした。
 そして、平成8年3月から、電話相談をしていた住宅部品PLセンターの方から、業者とのやりとりはすべて書面でおこなうようにアドバイスをうけ、まず、前回行った工事内容について文書で回答願いたい旨、私達で作成した書式を同封して、管理会社の担当者宛に出しましたが、文書による回答は前例がないことを理由に断られました。とても誠意のない会社だと思いました。そして事情を聞きつけたPLセンターが、「相談者からの話しだけで判断すると、交渉やクレーム処理が、いかにもおざなり風に思える。特に音の大きさを調べられないなどというのは、本当か。また、文書のやりとりをしないなどとは考えられないのですが。」という内容の手紙を、平成8月3月25日付けで管理会社宛に出して下さいました。しかし、管理会社からは、すでに尽くすべき所は尽くしたとの回答があったようです。
 その後間もなく、管理会社から、突然、私たちに会って話したいとの電話が入りました。翌日には別の担当者も同行してきてくれましたが、依然文書による回答はできない、設計施工上になんら問題はないので各種の発生音は通常の音である、したがって販売時にも説明はしていないなどと納得のいかない説明をしていました。
 しかし、PLセンターからの手紙が功を奏したのか、話の中で、平成8年4月中に騒音測定をするという合意をすることができました。ただし、測定をしても大した数値は出ないと言われました。
 随分待たされ、ようやく同年5月24日になって、測定日が同月30から31日にかけて行うことが決まりました。この間、PLセンターから、測ってほしい音をリストアップして書面で相手に渡す、測定に立ち会う、データを開示してもらうなど、アドバイスをいただきましたので、私たちからの要望で、どのような測定を行うのか、事前に説明願えないかなど管理会社に電話をし、実施前の同月28日に来てもらいました。そして、そのとき初めて「等価騒音レべル」という言葉をききました。測定機械の写真など 見せられ難しい用語を使った説明を受けましたが、さっぱりわかりませんでした。予定表や計画書などの書面も特にはありませんでした。私たちは、相手に測ってほしい音のリストを渡し、データをもらう約束をしました。
12

平成8年5月の本件建物の騒音測定
 担当者が帰られた後、市立図書館に行って騒音について調べました。どうも「等価騒音レベル」というのは、その場における平均的な音場、つまり道路騒音などの環境騒音を把握するために採用される測定法であり、私たちが困っているマンション設備等からの特定の衝撃性の騒音を評価する方法ではないことが何となく分かりました。その方法なら、どんなに大きい音がしても、深夜の静かな状態も含めて全てを平均するため、常時ひっきりなしにうるさい幹線道路でもない限り、平均値は限りなくゼロに近くなり、なるほどたいした数値などでないことも分かりました。
 その翌日、早速担当者に電話で測定法についての疑問をぶつけてみましたが、担当者は、「そのようなものである。連続測定内の交通騒音など含めた平均値をもって結果をだします。」とあっさり言われ、知識のない私たちは、言い返す言葉がありませんでした。
 5月30日の測定当日は、機材が搬入され、夜にもかかわらず継続して測定が行われました。施工会社による測定ということもあって、あまり期待はできず、これ以上文句を言わせないためのただのイベントで終わってしまうのだろうという気がしていました。測定は、翌31日に11時間半の測定は終わりました。
13

平成8年6月ころから同年10月ころまでの状況
 管理会社の担当者が、平成8年6月19日、測定結果のデータ(甲第4号証)を説明するために私たちに会いに来ました。彼らが説明して言うには、苦痛を感じる音が発生しているのは事実であるが、居住者の生活マナーの改善が解決策であるとのことで、これ以上の対応はできないとのことでした。私たちは、説明を聞いて案の定と思う一方で、非常に落胆しました。
 その後も、私たちは、昼夜を問わず毎日本件建物に侵入してくる騒音に悩まされ続け、何とかしないとまともに生活できないという気持ちが強く、住宅部品PLセンターに対し、右測定結果のデータを送付し、検討してもらいました。
 「等価騒音レベルは静かな室内環境といえるが、本件では特定の音を問題にしているのであるから、このデータは適切ではないのかもしれない。」といった内容の返事がありましたが、十分納得することができませんでした。
 それからというものは、私は、図書館に通い、建築や音について沢山の本を読みました。また、騒音防止協会、日本建築学会に足を運び、国民生活センターにも右測定結果が正しいものか相談したりしました。やはり、そこでは等価騒音レベルの評価は間違いであるといわれました。他にも、市役所や県庁にも行きましたし、電話での問い合わせに至っては、防音専門業者など数えきれないほどしました。郵便ボックスメーカーに来てもらって調べてもらったこともあります。市役所から騒音計を借りて自分なりに音の大きさも記録してみました。しかし、結局は、抜本的な解決には繋がりませんでした。
 また、弁護士に相談し、集合住宅管理組合センター及び集合住宅維持管理機構を紹介していただき、平成8年9月に騒音原因について建物調査をしてもらうことになりました。さらに、右調査まで時間があったので、その間も並行して役所関係をあたり、建設省建設経済局不動産業課に行き着きました。電話相談で、何とか被告と話し合いができるように努力してくださいましたが、結局実現しませんでした。私は、何とかこの窮状を救ってほしいと、被告の代表取締役社長宛に手紙を出しましたが返事はありませんでした。
14

平成8年11月ころの状況
 建設省の斡旋で、財団法人不動産適正取引推進機構が、平成8年11月、紛争調整の場を設けてくださいました。私は、今度こそ何とかなると藁をもつかむ思いでした。
 被告の担当者に会ったのは、この時が初めてで、品質管理課長のほか管理会社の担当者を含めて、5名も相手方の席に座りました。審理は、双方当事者立会では行われませんでしたので、どのようなやりとりがなされたかよくわかりませんが、相手方は、建築上の瑕疵はなく音は我慢すべきものであるとの主張に終始していました。紛争調整委員の方々がわざわざ本件建物を訪れ、音を聞いていったこともありました。
 被告の見解は、根本的な補修を要求する私たちと相容れず、第5回目の審理ではついに調整委員からいくらこの場で話しても合意には至らないと言われ、結局不調で終わりました。私は、調整中も、知人のコネを利用して被告の他の支店長を通じ、何とか前向きに解決をしてくれないかお願いしましたが、適正取引で調整が進行中であることを理由にこれも無駄に終わりました。
15

平成8年ころの原告の病状
 私は、拷問のような騒音と被告の不誠実な対応により心身ともに疲弊し、平成8年8月中旬ころから週2回の頻度で、病院の精神科に通院し始め、入眠薬と精神安定剤を飲み続けてきました。また、ストレスのため胃痙攣をおこし、救急病院に駆け込んだこともありました。睡眠不足とストレスが原因で、突発性難聴にも罹患し、それ以来現在まで、耳鳴りが続いています。
 私は、家にいるのが恐くなり、殆ど日中から夜遅くまで外出しっぱなしでした。毎日のように、○○(注:夫)の仕事場に電話をし、悩みを話しました。私は、それまで、明るく元気で、音など気にしていなかったのにもかかわらず、どうしてこのように変わり果ててしまったのかと自分でも不思議なくらいでした。○○は、平日の日中は仕事に出かけ、その間は音を聞かずに済みますが、それでも休日家にいるときは各種の音に苛々しています。○○も私の苦痛を理解してくれましたが、お互いやり場のない怒りで口論になり、けんかが耐えませんでした。こんなマンションを買ったがために夫婦の間が崩壊してしまうかもしれないと、深刻に悩んだこともありました。○○も、ストレスが原因の突発性湿疹にかかり、会社を2ヵ月以上も休まなければならなくなりました。

16

平成9年以降の状況
 私たちは、この状態から抜け出すには、思いきって本件建物を売ってしまうしかないと考えました。しかし、これ程までに騒音のことで苦情をいい、適正取引推進機構での紛争調整まで試みた以上、売る際に黙って売り、後日買主に同じ苦情が生じた場合、その責任をとるのは自分たちであることを調整の際に建設省の人に言われていたので、売り逃げもできない状態でした。私たちには本当に救済方法がないのだと知りました。
 どうしようもなく、再び、集合住宅管理組合センターに相談し、解決の方法を探してもらうことにしました。当時、同センターの代表理事が、三井本店の常勤監査役と知人関係にあり、本社に行って事情を話してもらいました。代表理事の人は、本件建物を訪問したことがあり、騒音がかなり酷い状況であることを知っていました。そして、平成9年8月27日、被告の横浜支店担当者と右センターの代表理事、事務局長及び集合住宅維持管理機構の建築士の3者同席のもと、被告横浜支店において話し合いが行われました。しかし、従前の担当者が瑕疵はないと主張したため、集合住宅維持管理機構が現地調査を行い、その補修方法などについて被告に提案することを、双方で確認了解したと聞きました。
 そして、平成9年末ころ、集合住宅維持管理機構の建築士により、伝播音の原因調査が行われました。私たちの要望で、管理会社にも立ち会ってもらいました。
 一方、そのころから、益々私の健康は悪化していきました。上階からの生活騒音も相変わらずで、子供達の室内を走り回る音も酷くて、苦情を言いにいくこともありました。悪いことは重なるもので、それまで、あまり気にしていなかった全面道路からの騒音も、繰り返す道路工事のため、路面がガタガタになり、どうにか生活スペースにしていた道路側のリビングルームも騒音を直接に受けるようになりました。大きな窓ガラスのたわむ振動音まで重なり、家中が酷い状態となってしまいました。そして、和室の畳の下に防振マットを敷き、車の騒音は完全ではありませんが大分よくなりました。
 私は、一日中気休めの耳栓をつめ安定剤を飲み、布団を頭からかぶりもぐっている毎日でした。○○も、私の状態を見て、尋常ではないと感じ、静かな鹿児島の実家に帰って静養するようすすめました。私は、 ○○の言うとうりにし、2ヵ月近く帰省しましたが、家族の協力もあり、一時的ではありますが随分立ち直れました。
17

平成10年以降の状況
 集合住宅維持管理機構の建築士から、平成10年2月10日、調査結果と騒音測定結果に対する見解並びに騒音の原因推察及び防音工事の必要性、方法等についての調査報告書(甲第9号証)が提出されました。
 そこで、私は、改めて、
・騒音の原因に関係すると思われる竣工図面と現状の相違点に対する見解を文書で回答いただきたい、
・集合住宅維持管理機構も同席の上、直接お会いして見解についてお話ししたい、
との内容の文書を被告横浜支店長宛送付しました。
 しかし、この件はすでに適正取引推進機構での調整で解決済みであり、要請は受けられないとの返事がありました。これに対して、すぐに集合住宅管理組合センターの代表理事が、同年3月31日付け文書で同様の申し入れをしました。私たちも、同趣旨の通知書を内容証明郵便で被告宛に送付しましたが(甲第7号証の2)、返事はありませんでした。被告は、同センターに対しても返答せず、同年4月16日、同センターの建築士が電話で確認を取ったところ、被告は回答文書を作成中であり翌週には発送するとのことでした。そして被告は、4月22日付け同センター代表理事宛書面において、原告らに対し誠意をもって対応してきたこと、同センターとの面談では、適正取引推進機構での調整と同様の議論をするつもりはなく、音に関しては個人差が大きいので、センターが原告らを説得する約束で話し合いをするつもりであったこと、集合住宅維持管理機構の姿勢は理解しがたく、互いの信頼関係がない以上、話し合いは無意味であることなどと返答してきました。
 同センターは、再度被告に対し、回答内容についての再検討及び誠意ある対応を期待する旨の手紙を出しました。しかし、それっきりなしのつぶてでした。
18

本件訴訟に至る経緯
 これまで述べてきたように、私たちが任意の話し合いの場を持ってほしいと努力し、集合住宅管理組合センター、集合住宅維持管理機構も積極的に問題解決に努力してくれたにもかかわらず、被告の一連の対応は誠意のかけらも感じられないものでした。私たちは、できるのであれば話し合いによる円満解決を望んできたのですが、もう法的手段以外に方法はないとわかりました。そして弁護士に相談の上、平成10年7月29日、東京地裁に本状を提起したのです。自分の人生において裁判沙汰がおきるなど考えてもいませんでしたので、大変な決断でした。
 被告は、私たちが苦しんでいるこれらの音について、社会通念上問題のない音だとか、受忍限度内だとか、生活マナーの問題であり我慢すべき音であるなどと主張していますが、私たちは、住むためにこのマンションを購入したのです。人の住まいは、そこで食事をし、疲れた体を癒しくつろぎ、病気のときは静養し、夜は眠るという人間の生活の基本的な場所です。しかし、本件建物はそれができないのです。
 私たちは、この騒音環境について標準がどこにあるか考えました。20戸のうち19戸は少なくともエントランスホールから発生する騒音がないのであり、それがこの○○パークホームズの標準的住宅であるのです。被告も標準的な住宅として本件建物を販売し、私たちも標準的な住宅と思って購入したのですから、1戸だけ最悪なものを売った以上、責任をとってもらいたいと思っています。
 遮音性は住んでみないと分かりません。被告は、販売実績もありますし、クオリティーのよさをセールスポイントにしているのですから、マンショントラブルの1位は騒音問題であることを十分知っているはずです。したがって、設計計画の段階で十分に配慮し、施工管理や品質管理がきちんとなされていれば、本件は防ぎ得た問題であると思います。
 マンションのオートロックドア、宅配ボックス、鍵付きの郵便受、収容量の多い2段式自転車置き場など、マンション購入者にとってはとても便利で、売主にとってもセールスポイントになります。しかし、このマンションでは、その便利な生活は、私たちの劣悪な生活環境と強いられる苦しみの上に成り立っているのです。
 本件騒音は、本件建物に居住する限り永遠に続きます。むしろ今後、時の経過とともに、機械や部品などの経年劣化によってさらに酷くなる音なのです。私は、毎日薬を飲む度に、どうしてこのような欠陥住宅を買ってしまったのか後悔しています。



平成11年6月30日

東京地方裁判所民事第40部いA 係 御中


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