「燃える車」のウソとからくり


ある夕方のことだワン。
おいらが散歩から帰ってきたら、テレビでこんなニュースがやってたんだ。

「またまた三つ星自動車が燃えました!!」

三つ星自動車といえば、欠陥があるのを隠してたのがバレて、大問題になった自動車会社でござるよ。そんな会社が作った自動車が燃えちゃうなんて、「やっぱし」って感じだワン! おいらも気をつけないと…。あんなひどい会社の車は絶対やめた方がいいよね。

そこで、おいらはご主人に言ったんだ。
「いやー恐ろしいねー、おいらも三つ星自動車なんて絶対に買わないワン!」って。

そしたらご主人は怒ったのだ。
「ポチのバカッ!」

「ええっ、だって三つ星自動車ったらヒドイんだよ、、、」
「ポチのバカバカっ。ポチはマスコミの情報操作を鵜呑みにしてるんだぞ!」とご主人。

「なにも二回もバカッって言うことないワン、、、」おいらはちょっと腹が立ったよ。
でもご主人はおかまいなしに語り始めたんだワン。

「よく聞け、ポチよ。三つ星の自動車だけが燃えたって言ってるけどな、じつは自動車っていうのは、三つ星以外にもなんと年間7000台ぐらい燃えてるんだぜ!」

「ええっ、そんなにっ? ってことは一日20台も燃えてるってことじゃワン!」

おっ、ポチも算数が上手になったなー。そう、消防庁の公式発表を見たって、全国で毎年6000〜8000台、平均すると一日20台以上は燃えているのさ。そして三つ星自動車製以外にも燃えてる車はたくさんあるんだよ。ニャン田自動車の車も、ワン田技研工業の車も、もちろん燃えてるさ。放火や事故なんてのが多いらしいけど、ニュースで言ってたように、事故も起こしてないのにいきなり燃えちゃった車だって、年間かなりの量になるわけ。決して三つ星だけの話じゃないんだ。

「でもさ、その中で三つ星自動車の燃える率がとくに高いとか?」とおいらは聞いた。
「いいや、公平な目で見てみると、全然そんなことはないんだよ。むしろ三つ星自動車の車は売れてないから、数で言えば少ないぐらいさ」とご主人は語る。

そもそも車ってのはガソリンが爆発して動くんだから、「燃えやすい道具」なんだよ。もちろん、普通に使っていてしょっちゅう燃えちゃうわけじゃないけど、ちょっとしたことが原因で燃えることはあるんだ。とくに整備不良だったり改造している車なんかが、燃える可能性が高いらしいんだよな。ところが、今回出てきた「燃える三つ星自動車」のニュースは、そういう原因については全く触れないで、ただ「三つ星自動車が燃えた」って言ってるのさ。

「じゃあ、なんでマスコミは三つ星ばっかり燃えてるって言うの?」とおいら。
「マスコミは、そういう手法が大好きなんだよ」とご主人。

三つ星自動車の欠陥隠し問題が出てきてからな、お馬鹿なマスコミはさらに「あおる」ネタを探していたんだよ。「もっとたたいちゃえ!」「もっとニュースにしちゃえ!」ってな。そこにたまたま出てきたのが、警察と消防が発表した「燃えた車」のニュースだ。そんな話題なんて年じゅうありふれてて普段なら見向きもしないくせに、燃えたのがたまたま今話題になってる三つ星自動車だったから、マスコミが飛びついたんだ。「これだ!」ってね。

そして他の会社の車も燃えてるにもかかわらず、三つ星車だけ取り上げて「またもや三つ星車が燃えた」って言う。そうしたら、本当のところを知らないみんなは思っちゃうさ。「へぇー、三つ星自動車って燃えやすいんだなぁ」って。そして「やっぱり三つ星自動車って悪者なんだなぁ」ってみーんな思うわけよ。それがマスコミの思うつぼ。マスコミの描いた「センセーショナルなストーリー」に乗せられてるってわけさ。俺は悪いことをした三つ星自動車の肩を持つつもりなんてサラサラないけどさ、この情報操作はさすがにひどいと思うね。

これはなにも今回の三つ星自動車に限ったことじゃないさ。マスコミっていうのは、他人のあら探しとイジメとお祭り騒ぎが大好きなお馬鹿たちばかりなんだ。いつもそう。マスコミで働く俺が言うんだから間違いないさ。同業者として恥ずかしいよ。

ちょっと前に、イラクで人質になった人たちの話題があっただろう? あれもそっくり同じだよな。テレビや新聞まで「自作自演では?」「売名行為では?」なんて言ったりしてさ。ちょっと気に入らない人がいたら、その人を徹底的にこきおろす行為の典型だよね。あんなの、日本政府の言うことを聞いてすごすごと退避したマスコミのやっかみなんだよ。自分たちはマジメにイラクから退避したというのに、あの人たちはそんな場所で活動しちゃってるんだからさ、腹が立ったわけ。そこに政府が「自作自演もありうる」なんてポロッと言ったもんだから、その話に乗って「それー」って総攻撃。まるで「燃える三つ星自動車」と同じだね。もしあそこで毎朝新聞の記者が人質になっていたら、「彼は報道精神をつらぬいた!」とかなんとか言って、褒めたたえられてたよ。

年金の不払い問題は笑っちゃったな。年金不払いが話題になり出したら「○○さんも年金未納だった!」「××くんも未納だった!」とか言って、大事な人だけじゃなくて、どうでもいい人までどんどんニュースにする。その果ては、ニュースキャスターが未納だったって言うんだからさー、アハハハハー。

「なんだか、お笑いのコントを見てるようだワン!」とおいらもつられて大笑い。

ほかにも、警察官の不祥事が話題になったら、そのときだけ警察官の不祥事がたくさんニュースで流れて「またまた警察官が不祥事!」なんて言って大騒ぎしちゃうしね。警察官の不祥事なんて年がら年中あるんだけどさ。でも、話題になったときだけ大きく扱うわけ。そして、どうでもいいような話題までビッグニュースに仕立て上げる。とにかくそういったイジメとバカ騒ぎが好きなんだ。そして、時間が経ったら、そんなことありましたっけ?って涼しい顔をして忘れちゃってるのさ。

前回話したサラ金問題が話題になったこともあったなぁ。テレビをつければ毎日毎日「サラ金の恐怖!」とか言っちゃってさ。「おんどりゃー、金返せないんなら肝臓売ってこんかい!」って取り立て人の声が毎日流れたよな。ポチも覚えてるだろう? 実際はあれはサラ金じゃなくて「商工ローン」の取り立てだったのに、マスコミは商工ローンもサラ金も一緒にして恐怖をあおりまくった(もちろんサラ金も悪いが…)。ところが、、、今はテレビのキャスターのだーれひとりたりともそんな話題を口にしやしない(その理由は→前号さわやかサラ金CMにだまされるな!参照)。

「あーそういえばそういうのあったねー」と、おいらは昔が懐かしい。
「結局、昔も今も、そういうとこは変わらないんだよな」とご主人は悲しそうに笑う。

ご主人いわく、これはマスコミ体質の大問題らしいんだワン。マスコミではなにかの問題を取り上げるときに「タイムリーであること」が、必要以上に求められるんでござるよ。というかそれしか頭にないらしい。ご主人の友達にも週刊誌の記者がいるんだけど、「タイムリーでない話題」はいくら取材して持っていってもボツにされるらしいんだワン。いくら大切な大問題だったとしてもね。編集長に「そんな話題タイムリーじゃないからダメだよ」って言われちゃう。そのかわり「タイムリー」でさえあれば、どんなくだらないネタでも、多少のウソでも許されちゃうらしいんだワン。結局、「タイムリーである」→「話題を呼ぶ」→「視聴率があがる」または「売れる」、、、ということだからね。彼らは「真実であるかどうか?」ということより「視聴率が上がるか?」「売れるか?」ということだけが判断基準なんだよ。

「でもまぁ、それはマスコミだけじゃないさ。普通の人間社会だってそうだろ?」とご主人。

普段から身近に「ちょっと気に入らない人」がいたとして、その人がたまたまちょっとでも悪いことをすると「ホレ見たことかぁ!」って、大声で鬼の首でも取ったように叫び出す。そして関係ないことまで、あることないこと言い出して、集団でバッシングする。それが人間社会ってものさ。

「人間みんながそうなんて、ウ〜ッ、人間って恐ろしいんだね」
おいらはちょっと悲しくなってきたよ。
ご主人もなんだか寂しそうだ。

あっ、そういえばさ。最近、北朝鮮の問題がよく報道されてるけど、そのなかにもたくさんのウソ情報や、間違った情報が含まれてると思った方がいいらしいんだワン。ご主人の知り合いにそっち系に強い人がいるんだけど、金儲けのためにウソ情報を流す人がたーくさんいるらしいんでござるよ。テレビのワイドショーで「スクープ! 北朝鮮の衝撃映像」なーんてやってるけど、かなりの話が出所不明の怪しい話らしいんだワン。

もちろん、おいらが北朝鮮の実情を知ってるわけじゃないけどさ、マスコミがいくらウソの報道をしたって誰も「あの報道はウソだ!」って抗議できる人もいないからね、少しぐらいねつ造したってばれる心配はないってワケ。だから、ヤツらにとっちゃ格好のネタだというわけなんだワン!



<ポチの追伸>
電車の大事故が起こっちゃたらしいね。たくさんの人が亡くなっておいらも悲しいよ。でも、マスコミは相変わらずだワン。「またまたJRの電車がオーバーランしました!」「またまたJRの社員はボウリングしてました」とか言っちゃってさ。おいらもうだまされないよ。ご主人も毎日あきれ顔でござるよ、トホホ。。。


マスコミの嘘と裏