大辞典あの自動車会社の大事件が報道されない本当の理由(後編)
   
       〜堕落マスコミの実態を知れ!〜



前編のつづきだワン!)


「じゃあ言ってやろう、よく聞けよ、ポチ、、、」
ご主人は酔っぱらってフラフラしながら、青ざめた顔で話し出した。

ポチは俺の痛〜いところをついたよ。さすぐぁポチだ、だてに俺に長年飼われていたわけじゃなかったな。見直したよ、、、。確かに、いくら莫大な広告料をもらっていたって、それぐらいで報道を自粛しちゃうなんておかしいよな? じつはなぁ、日本のマスコミは今、恐ろしいものに支配されているんだ。。。

「えっ、恐ろしいものって何さ? あっ、もしかしてまたワン通が圧力をかけてるの?」
おいらは突然ひらめいた。

うむ、確かにそういう面もある。ネコタ自動車は、あの最大手広告代理店「ワン通」が、すべてを仕切っているからな。ワン通と言えば、泣く子も黙る日本の最大手広告代理店、日本の広告業界のドンだ。ものすごい莫大な資金や数々の芸能プロダクションへの力、メディア媒体への支配力、政治家へのコネクションなんかを自由自在に使って、日本のマスコミを牛耳ってるのは確かさ。一方で三つ星自動車は、欠陥隠し事件が問題になる前は、広告の扱いをニャンコ通信のような、ワン通に比べて政治力の弱〜いところに任せていたんだからな。業界では、あの事件があそこまでバッシングされたのは三つ星自動車がワン通に逆らっていたからだとも伝えられてるよ。「ワン通にさえ任せておけばあんなことにならなかったのに…」なんて広告マンたちが陰でささやいてるのさ。

「ウオ〜ン、ひどい話だワン」
「まぁ、落ち着け。ポチよ」
ご主人は悲しそうな顔をして言った。

…でもな、そんなことは本質とは違う、単なる一要因でしかない。もちろん今回のネコタ自動車の事件についても、一部の重要な案件ではワン通の圧力もあっただろうよ。 「この件については深追いするなよ!」なんてこともあったかもしれない。でもな、、、じつのところウワサで言われてるほど、現場では目に見える圧力なんてあるわけじゃないんだ。「ネコタ自動車のことは報道しないように!」なんていう紙っきれが回ってきたり、お触れの立て看板が社内に出たりなんてことはないんだよ。 本当の黒幕はまだ他にいるんだ。

「本当の黒幕? あっ、わかった。大物政治家の圧力とか?」
おいらはまたもひらめいた。

うむ、それもあるかもしれないな。三つ星自動車の事件のバッシングが続いたのは、三つ星自動車が国土交通省からの天下りを断ったからだと言う人もいるよ。ネコタ自動車は天下りもたくさん受け入れてるし、社長が経団連の会長をやってたりして、政府とのパイプも強いからな。、、、でも、それなら今回のネコタ自動車は問題にならなかったはずだし、そもそも大物政治家がいちいちすべてのマスコミ制作現場にまで口を出すことなんてムリなんだよ。本当の黒幕は、他にいるんだ。

「じゃあいったい、何が黒幕だってのさ。 『恐ろしいものに支配されている』ってどういうことだワン?」
おいらはじれったくなって吠えた。

ふっ、ポチにはわかんないだろうな。そうさ、今まで話した、ワン通とか天下りとか政治力なんて、今回の「ネコタ自動車を誰も報道しない事件」の単なるひとつの一要素さ。本当はもっともっと、マスコミがネコタ自動車のリコール隠しを詳しく報道しない最大の理由がある。それこそがマスコミ内にガン細胞のように巣をつくる重大な問題なんだ、、、。

そういうご主人の顔は苦しみでゆがんているみたいだった。おいらは聞いた。
「じゃあ、『本当の理由』ってなにさ。もったいぶらないで教えてよ」
「じつはな、コレこそがマスコミ最大のタブーといってもいい。それは、、、」
「それは?」おいらは息をのんでご主人の言葉を待った。


「それは、、、マスコミ内にはびこる『金の亡者』と『ヘナチョコたち』だっっっ!」


「へっ、、、ヘナチョコ?」
おいらは拍子抜けした。だって、どんなすごい黒幕が出てくるのかとおもったら、『ヘナチョコ』なんてさ、、、。どうやらご主人はおいらをバカにしてるらしいワン。

ああ、「へなちょこ」さ。ポチにはわかるはずないよな。じつはな、マスコミ内部は相当ひどい状況なんだよ。それは「ワン通の圧力」でもない、もちろん「ホウカ学会の圧力」でもないし「裏のマフィアのしわざ」でもない。マスコミ自身が腐ってしまっているということなんだよ。今のマスコミは金の亡者とヘナチョコの集団と化してしまっているんだ! 前編から散々待たせてこんな結末とは、よい子のみんなに申し訳ないけどな、これが今のマスコミの真実なんだよ。ポチを含めてみんなは俺たちマスコミ業界人を誤解してるみたいだけどな、俺たちはその辺にいる普通の人たちと全く一緒なんだよ。特別な理想を持って何かに立ち向かっていたり、自分を犠牲にしてまで働いたりなんてしやしないんだ。そこらへんにいるおバカで祭り好きの人間のひとりでしかない。そしていちばん大切なのは金と自分、それだけなんだよ。今までも、色々マスコミがやらかす悪さを教えてきただろう? その根本がじつはこれなんだ。

「え〜っ、たったそれだけ?」
おいらはまだ意味がよくわからなかった。

そうさ。そんな簡単なことさ。よくマスコミが何らかの意図をもって報道している、なんて言うヤツがいるけどさ。笑っちゃうけど、全然そんなことないんだよ。マスコミの頭の中にあるのは「日本国民をどうにかしてやろう」「政治を変えてやろう」なんて大それたことじゃない。いや、むしろそんな大きな考えをもっているなら、俺ももまだ許せるさ。情けないのは「自分だけが儲かればいい」「トクをしたい」「楽しければいい」「ややこしいことは面倒くさい」「なにか問題を起こすのがいや」…すべてはそんな考えで動いてるってことさ。自分たちさえお金が儲かればいい、自分さえ綺麗なおネエちゃんと遊べればいい、自分さえいいかっこできればいい、、、自分さえ、、、マスコミってのはそういうヤツらの集まりなんだ。

「ええ〜、ちょっとお。マスコミ君たちって正義に燃えてるんじゃないの?」
「それはドラマや小説が作った勝手な虚像なんだよ」
ご主人は悲しそうな顔をしていった。

 マスコミ人だって普通の人なんだ。警察官が家に帰れば普通の人だということと全く一緒なんだよ。自分が損をするのはイヤだし、生活が犠牲になるのなんてイヤだ。出世したいし、儲かりたいし、楽な暮らしをしたい。普通の人と同じ欲望とズルさを持っている。ただそれだけのことさ。でもマスコミがマスコミ自身の問題点について報道することは絶対にあり得ない。だから、みんなは実像を知らないわけだ。今回のネコタ自動車のリコール問題にしてもな、もちろん、若い現場のスタッフの中には、「ネコタ自動車のことも報道しましょうよ!三ツ星自動車よりももっと凄いニュースなんっすよ!」って言うやつもいるさ。でもな、いくら若いヤツらがそんなこと言っても、現場の上司が「そんなことやめとけ!」って押さえつけちゃうのさ。上司っていうのはいわゆる現場の管理職、課長とか部長みたいな人たちだ。プロデューサーとかデスクとか編集長ってとこな。こいつらはじつは相当タチが悪いんだよ。自分の得た地位を失うのが怖くてな〜んにもできやしない。それにこいつらは、普段からワン通みたいな広告代理店やネコタ自動車みたいな広告主さんから接待やなんかを受けまくっててな、「おいしい思い」をしまくってるからな。

「おいしい思いってなにさ?」おいらにはよくわからない話だ。

マスコミ業界である地位になったヤツらはな、色々な会社と癒着して、会社の目の届かないところで、こっそり色々ないい思いをしているってことさ。あるプロデューサーは愛人を囲ったり、ある制作部長はもらった外車に乗ったり、ある報道部長はマンションを買ってもらったり、あるプロデューサーは別会社つくってたくさんのお金を受け取っていたり、、、そんなことが日常茶飯事なんだ。よくニュースで○○会社の人が汚職事件で逮捕! なんて言ってるだろ? じつはそんなことマスコミ内部では、あくびが出るぐらい当たり前の話なんだ。社内でもよくウワサになってるよ。「○○さんは外で悪いことしてるらしい」って。でも、そんなこと絶対にニュースにするはずないから、一般の人には絶対に伝わらないんだ。マスコミ内には「マスコミ業界のことはお互いニュースにしない」という不文律(書かれていなくてもみんなが守っていること)があるからな。

でも、まあ、誰がそんな「いい思い」しようが、俺の知った事じゃないさ。俺が許せないのは、そういうヤツらのせいで、人々に伝えなくちゃならんことが伝えられないことがあるってことさ。そいつらは普段から色々なクライアントさんと癒着しちゃってるもんだから、自分がオイシイ思いをできなくなるのが怖くて、いざクライアントさんに都合が悪い事態が来ると、すぐに自主規制しちゃうんだからなぁ。自分が儲かること以外は一切無関心、そんなやつらだらけなんだよ。

「ク〜、ひどい話だねえ」
「ポチもそう思うかい?」
ご主人も怒り心頭といったご様子でさらに続けた。

それだけじゃないぞ。さらにそれを助長しているのが、マスコミたちにはびこる「ヘナチョコ」の「ことなかれ主義」なんだ。

「えっ、ココナツカレー主義?」
ポチのバカっ! 「ココナツカレー主義」じゃなくて「ことなかれ主義」だっ!

事なかれ主義ってのは、「面倒な事には巻き込まれたくない」「上にさからって出世に響いたら困る」「残業なんかしないで早く家に帰りたい…」「どうせダメなんだから放っておこう…」なんていう情けない姿勢のことさ。今のマスコミ内にはさ、情けないことにこんなヘナチョコなやつばっかりなんだよ。マスコミ業界人だってサラリーマンなんだ。サラリーマンと言うことは会社の言うことに逆らえないということさ。そんなところに正義なんてあったもんじゃない。その辺にいる普通のサラリーマンと全く一緒だろ? この「事なかれ主義」こそが、現在のマスコミを腐らせている隠れた犯人なんだ。

「ウワ〜ん、おいらにゃよくわからんワン…。犬には『ことなかれ主義』なんてないんでござるよ、、、」
おいらがそう言うと、ご主人は遠い目をしながら話し出したんだ。

ああ、ポチが理解できないのもムリはないさ。もちろん今働いているマスコミ君たちも、学校を卒業して就職したばかりの頃は希望に燃えていたはずさ。何を隠そう俺だって昔は「この世の悪いことを報道してみんなを幸せにしよう!」な〜んて本気で思ってたんだよ。でもなぁ、月日が経ち、年令を重ねるごとに、現実ってもんがわかってくる。マスコミの仕事がただの「商売」だってことに気づかされ(→マスコミの正体を見るべし)、世の中がすべて大企業やお金持ちに都合の良い仕組みが出来上がっていることを知り(→地デジに踊らされるなを見るべし)、自分の力だけではどうにもならないことを悟っていく。マジメに正義なんて語ってたら「何青臭いガキみたいなこと言ってんだ、オマエ。世の中ってものはヤッタもん勝ちなんだよっ!」って笑われちまう。

それに、働いて年月を経ていくと、家族もできるし、家のローンだってあるからな。もし会社をやめさせられたら生活できなくなって困っちゃうんだよ。給料だって大人にとっては大切な問題だからな。でも、いざ転職しようと思ってもそうは簡単にいかない。マスコミ人なんて、えらそうな事を言っても特殊な資格や能力があるわけじゃないからな、最もツブシがきかない職業のひとつなんだよ。みんなそれをよーくわかってるのさ。結局、会社に寄生して、社会の歯車のひとつでしか生きていけないことを強烈に思い知らされるわけさ。だから次第に思わされていく。「ああ、どうせネコタ自動車のこと掘り下げたって、ダメなんだよ」ってな。

「ええ〜っ、マスコミ君たちってそんなにヘナチョコなの?」
おいらは腹が立つより悲しくなったよ。でも、、、ご主人の目には涙が浮かんでいたんだ。

ああ、現実はそんなもんなんだ。でも、、、よく考えたら、それはマスコミだけじゃなくて日本社会みんながそうだってことさ。「金の亡者とヘナチョコたち」これが今のマスコミの、、、いや日本社会の現実だろ? 自分さえよければいい、自分さえ儲かればいい、ただそれだけだ。アメリカなんかだとな、マスコミというのは「権力を監視する犬」という自覚があって、「自分たちはどんな圧力にも屈しないで真実を報道しよう!」とがんばってるマスコミ人も多いらしいよ。しかしなぁ、日本のマスコミの実態は「権力に飼い慣らされた犬」でしかないのが現実なんだ、、、。

「飼い慣らされた犬って、、、それっておいらのこと?」
「いや、ポチなんかよりもっとひどいのさ」
おいらは驚いたよ。見るとご主人がポロポロと涙をこぼしているんだから、、、。

俺はなぁ、なにもネコタ自動車だけを責めているわけじゃない。企業なんだから製品を売るために広告宣伝をするのは当たり前だ。自分たちに都合が悪いことを隠そうとするのも、これまた当たり前のことだ。確かにネコタ自動車はマスコミにとって日本一の大お得意様だけど、ネコタ自動車が日本一でなければ、他の会社が日本一になるだけのことだからな。俺が言いたいのは、いちばんのひどいのは、その広告宣伝費が欲しいからってネコタ自動車やワン通の顔色をうかがって、報道するのを自粛しちゃうマスコミの『ヘナチョコたち』だってことだよ。

賢いワン通のヤツらはわかってるのさ。「ヘナチョコ」たちには、わざわざ言わなくてもみんなが理解してることをな。「よい子のみなさん、わかっていますよね? ネコタ自動車さんは日本最大の広告主なんですよ。みさなんのお給料はネコタ自動車さんから出てるんですからね♪」っていう態度をさりげなくとるだけ。「権力に飼い慣らされた犬」たちには、それだけで十分なのさ。もちろんそんなこと、言われなくてもマスコミ君たちは誰でもわかってる。「俺たちの給料はネコタ自動車様からもらってるんだからな!」って。

「だから自主規制しちゃうわけ?」
おいらは怒り心頭で吠えた。ご主人はうなだれながら続けた。

ああ、ほんと情けない限りだよ。そう、この「事なかれ主義」が、現在のマスコミの最大の問題点なんだ。ヘナチョコ、偽善者、まさにこの言葉がぴったりさ。自分たちは真実の探求者のようなフリをしながら、じつは単なる飼い慣らされた犬。今回のネコタ自動車のリコール隠し事件は、まさにその典型っていうわけさ。 ずるいマスコミはネコタ自動車様のことは「誰にも言われていないのに勝手に自粛」する。お金を儲けたいから自粛する。自分たちがいい思いをしたいから自粛する。面倒くさいことに巻き込まれたくないから自粛する。それがほんとうの現実ってヤツさ。

おいらは言った。
「でもさ、そんなので本当にいいの? もっと大切なことってあるんじゃないかな?」

そうさ、本当に大切なことなんてなんにも伝えられちゃいない。日本のマスコミたちがお馬鹿な人に向けてあたりさわりのないお気楽ニュースを流している最中に、日本のどこかで重大な事件が起こっていたり、世界の片隅で罪もない人が殺されたり生活が犠牲になっているのさ。でも、そんなこと日本のマスコミにとっては知ったこっちゃないんだ。自分たちだけが儲かればいいんだからな。

悲しいことに、、、これがこの国のマスコミの現実ってやつなんだよ。日本にはジャーナリズムなんてもんはない。「金儲け主義」があるだけだ。ポチも今回のことをよく胸に刻んでおけよ。そして、、、

「そして?」
「、、、そして、俺もそのヘナチョコの一人だってこともな!」

そう叫ぶと、ご主人は床に伏せてオイオイと泣き出したんだ。なんだかおいらも悲しくなって涙が出てきたよ。…でも、駄犬のおいらにはどうすることもできないんだワン。ただ、、、ご主人の顔を優しくペロペロとなめてあげることしかできなかったんだ…。






マスコミの嘘と裏