大辞典マスコミが絶対批判できない最大のタブーとは?



いやぁ、ごめんごめん、すっかりご無沙汰してしまったでござるよ。じつはおいらのパソコンが壊れちゃったんだ。ご主人に直してくれって言ったんだけど、忙しいとかなんとかいいわけばっかりしてさ、、、おいらもう困っちゃって。メル友のメリーちゃんには「ポチ君死んじゃったの?」なんて言われるし、、、いやぁ、ほんとマイッタんだワン。


いやー、それにしても最近はひどいらしいね。何がって、テレビのニュース番組だワン。ご主人が最近以前にもましてブツブツ言ってるんだ。最近テレビのニュース番組の言ってることがますます悪意に満ちた方向に行ってるって。マスコミ報道全体が「悪者」を作ることばっかりに熱心で、悪者を仕立て上げてそれを徹底的にやっつけるだけの雰囲気になってしまってるって。事件の本当の問題点とかは放っておいて、まるで水戸黄門さまが出てくる時代劇みたいにあってるらしいんだ。マスコミは誰かを悪代官にして懲らしめないと気が済まないみたいなんだワン。

自衛隊のお船と漁船が衝突した話だってそうだ。ご主人様が聞いてきた話なんだけどさ、実際のところは自衛隊さんばかりが悪いわけじゃないらしいんでござるよ。もちろん「法律」っていう意味では自衛隊の船に落ち度があったらしいんだけど、実際の海の上ではそんなもんイチイチ守ってないのが実情なんだって。だってそうだよね? 大きな船が小さな船を避けるのはすごく大変だし、そんなことしてたら海の上がグダグダになっちゃうよ。ま、誰も守ってない高速道路のスピード制限みたいなもんで、実際は小さな船が避けるのが一般的だったらしいんだワン。

でもさ、マスコミはそんなことチラリとでも言いはしない。まるで鬼の首でもとったように自衛隊さんに対して「法律に違反してたのは事実ですよね!」「悪いのはあなたたちなんですよね!」なんて大声で叫んでばかりいるんだワン。(いや、これはご主人が聞いてきた話だから、本当のところはおいらもよく知らないからね!)

公務員の問題なんかもそうだ。最近はまるで公務員に恨みでもあるかのように、なにかにつけてやったことにケチをつけられているけど、実際のところを聞いてみるとかなり誇張されてニュースにされているらしいんだワン。

ご主人がある日、おいらに教えてくれたんだワン。

ポチよ、たまに出てくる話に「裏金」ってのがあるだろ? 「警察が裏金を作っていた!」とか、役所の裏金がどうのこうの…なんて、まるで「裏金」ってのがものすごく悪に満ちたいけないことのような報道がされてるけど、じっさいのところ「裏金」ってものがないと困るらしいんだよな。社会人になって働いた人ならわかると思うけどさ、仕事でなにかを買ったりすると会社のお金「経費」ってものを使って買うわけなんだ。でもその「経費」ってものは、それを買ったという証明する「領収書」がないと出してもらえない。口で「仕事で使う電池買ったんですけど…」なんて言ったって、会社の人は「ダメですよ、ちゃんと領収書をもらってこないと、お金はあげません!」って怒られちゃうもんなんだ。

ところがさ、普通の店で買ったものなら領収書は出るけど、たとえば自動販売機で電池を買ったらどうなる? 領収書なんて出てきやしないよな? さらに、コインロッカー、バスの料金、領収書がもらえないものや、もらえてもその手続きが大変なものは山ほどある。さらに、誰かに現金でお礼をする場合なんてどうなると思う? たとえば警察の人が、情報をくれた人にほんのちょっと現金でお礼をする、、、そんな場合に領収書なんてもらえるはずないだろ? さらに香典やお祝いで現金を渡す場合は? また、役所なんかでは予算ってものが決まってる場合もある。「一年間でいくらまで使っていいですよ」ってな。ところが、どうしてもその予算を超えてお金が必要になる場合もある。ポチだってそうだろ?俺があげた小遣いで足りないことあるだろ?

「大丈夫だワン! そういうときのために、おいらご主人からもらった小遣いを貯めてるんだワン!」
「それそれ、それが裏金の真実ってわけさ」ご主人が苦々しく言った。

まさにそういう場合のために、領収書が必要ない現金=自由に使えるお金(=「裏金」)ってのが必要なことがあるわけさ。マスコミはそれらをぜんぶひっくるめて「裏金がっ!」とかやってる。「私たちの税金を返せ!」なんてな。でも多くの人はなにも自分がトクをしようと思って裏金を作っているわけじゃないんだよ。社会人やってると、そういうことが必要になる場合が山ほどあるのさ。それをさも「悪の親玉」みたいな言い方で報道するんだよな。もちろんそれを自分のフトコロに入れちゃ悪いとは思うけどさ。中にはやむにやまれず裏金を作らなきゃならん場合だってあるのさ。……ま、それはあくまでも一つの例だけどな、最近の報道ってのはそういうことだらけだってことだ。

「ポチ、よーく覚えておけよ」
ご主人はおいらの目をじっと見て言った。

「なにか物事が起こった場合、誰かが一方的に悪いなんてことは滅多にないんだ。たいていはなにか裏の事情や理由があるもんなんだよ」
ご主人はしみじみと言った。
「でもな、やつらマスコミは自分たちが儲けるためにはそんなことおかまいなしさ」


ご主人によると、とにかく最近のマスコミはおかしいらしい。何かあるとすぐに「先生が悪い」「医者が悪い」「警察官が悪い」「病院が悪い」「政治家が悪い」と言うばかり。とにかく気に入らない人たちのせいにして足を引っ張ろうとする。どうしたらいい世の中になるかなんて少しも考えちゃいないだワン。おいらも、ニュースなんか聞いてて腹が立ってくるよね。こういう、とにかくなんでもかんでも「悪者」を作り出すことばかりに熱心な風潮は、ご主人の現場の人もみんな感じているんだって。

「そうなんだよな」ご主人はつぶやいた。

最近はマスコミ現場でもなんだか全体におかしな空気が流れているんだ。自分たちには色々な問題があって、みんなも怒ってるってことを肌で感じている。でも、問題をわかっていても、そこで働く人たちはなんだか見えない鎖にしばられたように右向け右で進んでしまう。本当のことなんてどうでもいい、問題なのは「売れる」か「売れない」か、そのためには事実だって曲げてしまう、それも仕方ない。。。こういうのをおかしいとは思っていても、誰もあきらめたように何も言わないでいる。たまに聞こえてくるのは「わかってるんだよ、だけど仕方ないじゃん」みたいなセリフばかり。俺が思うに、これはマスコミの末期症状だろうな、きっとそのうちなにかが起こって、マスコミ全体が大きなしっぺ返しをくらうだろうよ。納豆事件みたいなマスコミの信頼を損なうような大事件がな。

そういうと、ご主人はゴロリとソファに横になった。おいらもそんなご主人を見ているとなんとなく暗い気持ちになっちゃったよ。ところが突然ご主人はヘンなことを言い出したんだワン。
「さ〜て、ここでクイズだ!」

そしてご主人は新聞をパラリと頭に載せて続けたんだ。
「今までマスコミは色々な人の悪口ばかりを言ってたと思うけど、ひとつだけマスコミが絶対に悪口を言っていない相手がいるんだよ。それは誰だと思う? あっ、スポンサーをのぞく、な」

おいらはベロを出して考えてみた。
「うーん、そうだなぁ。ナガシメ監督かな?」

「ブブーっ、確かにナガシメ監督を悪く言うマスコミはあんまりないけど、それはナガシメ監督が人気があるからで、それに便乗してるだけさ。昔はナガシメ監督だって色々と言われたもんだ。それよりももっと身近にいる人だよ」

「えーっ、誰だろう? おいらにはわからないワン」

おいらは一生懸命考えたけどよくわからなかった。するとご主人は大きな声で叫んだんだワン。

「答えはな、俺たち『一般庶民』だっっ!」

「へっ? なにそれ?」おいらは耳を疑ったよ。またまたご主人はヘンなことを言い出したみたいだ。

よーく考えてみろ、ポチよ。今までどこのテレビが「テレビをご覧になっているお茶の間の皆さんも悪いんですよ。あなたたち、もっとちゃんと考えて下さいね!」って言ったのを聞いたことがあるか?

おいらは今まで見たニュース番組を思い出してみた。
「そういや、ないねぇ」

だろ? じつはマスコミのもっとも恐れているものがスポンサーと並んで「一般庶民」の意見なんだよ。

「でもさ、一般庶民だって悪いことも間違ってることもあるワン? たまには『一般庶民が悪い』って言ったっていいと思うけど」

「いやーそれが言えないんだよ」とご主人。

マスコミ最大のタブーってのは、スポンサーでもないし、ワン通でも天皇でも暴力団でも同和問題でもユダヤ問題でもない。じつは「一般庶民を批判すること」なんだ。

だってそうだろ? 新聞は一般庶民が購読してくれないと困るし、テレビは一般庶民がたくさん見てくれてこそお金が儲かるシステムだ。おまけに、そこでやっている宣伝広告も一般庶民に買って欲しいものばかり。結局彼らはスポンサーの悪口を言うのと同様に「一般庶民」の悪口も言うことは絶対にできない仕組みになっているんだ。悪口をいって万が一、一般庶民を敵にまわしたら最後、その新聞やテレビはビジネスが成り立たなくなってしまうんだよ。とくに最近は家庭で財布を握っていると言われる女性のことは最も批判できないけどな。

「なっ、なるほどー」
おいらは思わず吠えた。するとご主人はまたも語り出したんだ。

「だから、マスコミが一番気にするのは一般庶民の意見なんだ。最近話題になっているあの殺人事件だってそうだ。お母さんと子供を殺してしまった若者が、死刑になるのならないのと言っているアレだよ」

「ああ、あの事件はひどい話だったねぇ」とおいら。
「ああそうさ、本当に腹の立つ事件だったよ。俺もあんな犯人は死刑になっちまえばいいと思っているよ」
ご主人も顔をしかめて言った。

でもなぁ、ポチよ。俺たちの心情と警察の捜査や裁判っていうのは別の話なんだ。警察はどんな理由があっても事実に基づいて公平な捜査をしなくればならないし、裁判所はみんなの言い分を聞いて公平に判断して正しい結論を出さなくてはならない。勝手な思いこみで色々なことを進めるようなことがあっては絶対にいけないんだよ。そうしないと、「あいつは悪いやつに違いない!」という雰囲気だけで勝手に犯人が作られたり、罪の重さが決まってしまうことになるんだ。おまえだって、「あの犬は怖そうだから」という理由で勝手に「犬が人を噛みました事件」の犯人にされたら困るだろう?

「ワぅ〜ん、そうだねぇ」

ところがなぁ、じつのところ警察の捜査ってのは必ずしもいつも正しく行われてるとは限らないんだよ。今までの例を見てみると、実にいい加減な捜査や起訴が行われていることが多いんだ。ありもしない理由がでっちあげられていたり、ありもしない事実を認定していたり、証拠をねつ造するのなんて当たり前、供述調書なんかを見ても笑ってしまうようなおかしな内容が書かれていることが多いんだよな。その結果、今までたくさんの罪もない人が刑務所に入れられたり、世間から冷たい視線を浴びたりした。ポチもいくつか思い出すだろう? 

しかしそんな状況を食い止めるには、弁護士や裁判所が、警察や検察の言ってることが本当かどうかをきちっと検証しなけりゃなんない。今回の殺人事件の弁護団だってそうだ。あそこにいる弁護士のみんなは、なにも「犯人を救いたいから」という理由だけで弁護しているわけじゃない、「警察や検察が正しい事実を言ってるか疑わしい」から争っているのもあるんだ。

「え〜、だってさぁ、あの犯人相当悪いって聞いたワン!」おいらにはご主人の言ってることがよくわからなかった。

「悪い人なんだから死刑にされて当然じゃないのかなぁ? それを弁護するなんてあの人たちおかしいよ!」
おいらが言うとご主人の顔色がサッと変わった。

「じゃあ聞くがな、ポチよ。オマエは実際に事件を見たのか? 犯人に会ったことがあるのか? 弁護士に会って話をきいたのか?」
「そっ、そりゃないけどさあ。だってテレビや新聞にはそう書いてあるワン!」

「ポチのバカっ!」ご主人は言った。

「いつも言ってるだろ? マスコミの言うことなんて全部信じちゃダメだって。なんで今回だけ全部信じちゃってるんだよ!」
「あ、そういえばそうだったワン」

ご主人の言うとおりだ。おいらは犯人に会ったことなんてない。おいらが犯人や弁護士を「悪い奴」って思ったのは、テレビや新聞がそう感じさせるように言ってたからだ。でも、それが本当なのかはこれっポチもわからないんだ。あの犯人は本当に悪いやつかもしれない、でももしかしたら本当はそんなに悪くない人なのかもしれない……。弁護士さんたちは有名になりたくて弁護してるのか?、それとも本当になにか理由があって弁護しているのか? 結局おいらには本当のところはわからないんだ。これはいつもご主人に注意されることだったよ。マスコミの言ってることを聞いて勝手に決めつけるな!って。

おいらの様子を見てご主人は悲しそうに言った。

みんなそうなのさ。勝手なことばかり言ってるけど、みんな真実を知っているわけじゃない、マスコミが言ったことをそのまま受け取って、あれこれ勝手なことを口々に言ってるだけなんだ。新聞なんかを読んでみると、確かに弁護側の主張は市民感情として納得できない部分があるけど、その話が本当に正しいのかもわからない。みんなの意見をすべて公平に伝えている新聞やニュースなんてありはしないからな。それにもし、マスコミの言ってることが仮に本当だったとしても、それが正しいかどうかなんて俺たちが決めることじゃないんだよ。検察やら弁護士やら裁判官が集まって、事実を検証してしっかり判断してくれればいいことさ。その過程をしっかり報道するのがマスコミの役割のはずだろ? しかし、そんな現場の実情を伝えているマスコミなんてほとんどありゃしない。都合のいい発言だけを切り貼りして、さも「悪者を助けようとして売名しようとしている悪徳弁護士達」という雰囲気で報道ばかりしている。「あんな悪いやつは死刑になって当たり前なのになんで助けるんだ!」こんな報道で世間は一色に染まっているだろ? こんな状況で公平な民主国家と言えるのかい?

「クぅん、おいらにゃよくわからないワン、、、」

多くのマスコミは怖いんだよ。世の中の市民感情の多くは「あんなやつ死刑になればいい!」だ。それに反するような報道をしても反感をもたれるだけ。そんなところにヘタなこと言って不買運動なんかされたらたまらんからな。スポンサーにも迷惑かかっちまう。結局、公平な報道なんて見せかけばかりで、多くが一般市民の思ってることをさらにあおったり誇張して伝えることしかできやしない。それがマスコミが儲かる王道テクニックってやつさ。一般庶民が思ってるようなことの、ちょっと大げさにしたものを報道すればみんなが飛びついて納得する。「ああ、やっぱりな!」って。それでますますマスコミは儲かるわけさ! そんな状況で「報道機関の使命が!」とか言ってるんだから笑っちゃうだろ?

一般庶民の顔色をうかがうような報道ばかりしているから、マスコミが言ってることはどうしても一般庶民以外の人たちを批判したり、攻撃する内容になるわけ。一般庶民以外の人ってのは、公務員、お医者さん、先生、弁護士…そういう人たちのことだ。一般庶民はそういう人たちを心の底でねたんだりうらやんだりしてるからな。普段から「あの人達はいい思いをしてるんじゃないか?」なんて思ってる。だから、ちょっと大げさに報道すれば「そらみろ、やっぱり!」となっちゃうんだ。

でもな、俺たちを含めて一般庶民っていうのは、じつにいい加減なものなんだよ。自分たちが嫌いなものは悪い、自分たちが損をすることはイヤ、、、いつもその場の雰囲気と自分の損得でなんとなく判断している、そんなもんさ。でもそれは仕方ないことで、そういうものなんだ。でも、たとえ一般庶民の考えが間違っていても、マスコミはそんなことを指摘したり逆らったりすることはない。それがどういう結果を生んでいるかはポチもわかるだろう?

「クう〜ん、なんだか恐ろしい世の中だね」
おいらは寒気がした。世の中のみんながみんな「悪者」に向かって口々に文句を言っている。でも、その悪者は本当は悪者じゃないかもしれないんだ。みんな勘違いしているだけかもしれないんだ。…そんな情景が心に浮かんだワン。でも……そこでおいらはふと思ったんだ。
「でもさ、一般庶民って色々いるんじゃワン?」

「おお! ポチも鋭い突っ込みをするようになったなぁ」
ご主人はヨシヨシとおいらの頭をなでてくれた。

そうなんだ、ひとことで一般庶民っていっても色々いる。職業だっていろいろだし、世の中の事情をよく知っていて公平に物事を見ることができる人から、世の中のことにうとくてマスコミの言ってることをすぐ信じてしまう人まで、まさに色々だ。だから、マスコミは商売をする上で一番「数が多くて、やりやすい人」をターゲットにして番組や新聞を作るわけさ。マスコミにとって「数が多い人、やりやすい人、物を売りつけやすい人」 それはどういう人々かというと・・・

「あっ、マスコミに洗脳されやすい、おマヌケな人たち、ってこと?」
おいらはつい口をすべらせた。

「ポチのバカーっ!!」
ご主人はさっきなでてくれたその手で、こんどは思いっきりおいらの頭をはたいたんだ。

「そんなこと口が裂けても言うもんじゃないっ!!」


マスコミの嘘と裏