大辞典 放射能ヒステリーにまどわされるな!



 地震でめちゃくちゃになった家の中もなんとかご主人が片付けてくれて、おいらの家もやっと落ち着いてきた。でも、こんどは放射能騒ぎがやってきたんだワン。なんでも飲み水とかおいらが好きなブロッコリーとかまで放射能で汚染されちゃってるとかで、おいらも、近所の人たちもパニックだ。裏の家のおじいさんなんて、放射能が怖くて遠くの山まで水を汲みに行ってるっていうんだから大変だよ。

おまけに、テレビやラジオも「安全ですから心配しないで下さい!」って言うばかり。安全だったら、なんで「食べないで下さい!」なんて言うんだワン? もうおいら、わけわかんないよ!

でも、そんなおいらを見て、ご主人は冷たく笑ったんだ。
「ポチみたいなのを放射能ヒステリーって言うんだよ」
おいらはちょっと腹が立った。
「だって、危険なんだから仕方ないワン! それにいつもご主人はマスコミは嘘ばかりって言ってるワン?」
するとご主人は意外なことを言い始めた。
「いやぁ、それが意外と今回は冷静な報道が多いって感心してるんだよな」
そういうと、ご主人は冷蔵庫から何かを取り出した。

ま、大手マスコミのやつらも不用意に不安をあおったりして、あとで責任問題になったら困るからなんだけどな。やつら一度、ダイオキシン問題のときに、風評被害の原因を作っちゃってるんだよ。

「え、それって何?」

だいぶ昔なんだけどさ、ダイオキシンっていう物質が農作物についてるぞ!って大声で報道しちゃって、そのせいで作物が全然売れなくなっちゃったことがあるんだ。結局その事件は全然大したことなかったのに、農家の人たちは農作物が売れなくてすごく困ちゃって、あやうく裁判にまでなりかけたはずさ。それ以来、やつらは風評被害ってものにはえらく神経を使ってるからな。一部の週刊誌なんかをのぞいて、今回もいい加減なことは言わないことにしてるんだ。

「へ〜、でもさ、今度は放射能だワン? 放射能ってば、めちゃ怖いんだからもっと心配していいんじゃないの?」
するとご主人はニヤリと笑った。
「ポチよ、なら聞くがな、その怖〜い放射能を浴びちゃうと、いったいどうなるんだ?」
「えっ、なんかすごいことになるんだワン? 体が溶けたり、メチャクチャになっちゃったりとか」
おいらは今までの放射能の怖〜い話を思い出して言った。

するとご主人はフンっと鼻で笑ったんだ。
「なんだよ、ポチも結局よくわかってないじゃないか」
そういうと、おいらの頭をバシッとはたいた。

みんな「放射能は怖い」なんて言ってるけどな、放射線を実際に浴びるとどうなるかなんて、じつは誰〜もわかっちゃいないんだよ。世界中の偉い学者さんえもそうさ。日本は世界で唯一の核爆弾被爆国だからさ、原爆の恐ろしさをお年寄や先生たちから言い伝えられてきたのは確かさ。おまけに、SFやアニメなんかでは、「放射能に汚染された地球が…」なんてのが、物語を深刻にするための設定として常套手段だ。ポチも覚えてるだろ?アニメ『宇宙戦艦ヤマト』で放射能に汚染された地球を救うために、美人のユキちゃんが旅立つってのを。でも、そのおかげで、放射能の怖さが一人歩きしちゃってるんだよなー。実際のところ、もし放射能に汚染されてしまったらどうなるの?なんてことは誰も知らない。ただなんとなく「放射能って怖そうだよね〜」っていうイメージが蔓延してるってのが現実なんだ。

「えー!、だって、放射能が怖いのは確かなんだワン?」
「いや、そんなことないぞ。実際、適量の放射線を浴びると、逆に体にいいかもしれないっていう研究結果もあるんだ」
「ええ〜、ほんと?」

嘘じゃないさ、放射線ホルミシスっていうらしいんだけどな、どっかの学会でも発表されてるらしいぜ。まあ、その研究が果たして本当なのかどうかは俺にはわからないけどな。少なくともそういうことを研究して学会で発表している人たちもいるってことさ。

それだけじゃないぞ、別に原発の事故がなくたってポチも毎日放射線を浴びているし、飛行機に乗ればその量は何倍にもなる。おまけにブラジルの方にある町に住んでいる人は、さらにその何十倍の強さの放射線を浴びているらしいぜ。この町に1年住めば、よくマスコミが比較対象として使っている「病院のCTスキャンを1回受けた量」よりも、もっと多い放射線を浴びちゃうんだ!

「じゃあ、その町に住んでいる人はみんな死んじゃうの?」
「いやそんなことないさ、みんなピンピン元気らしいよ」
ご主人は笑っている。

実際のところな、放射能が人体に与える影響については、学者さんたちにさえわかっていないことばかりなんだ。原爆のときみたいに大量の放射線を一度に浴びたら危険だってことはわかってるんだけどさ、今回みたいに少ない放射線を長期にわたって浴びたときの影響なんて、ほとんど誰にもわかっちゃいないんだよ。ただわかってるのは、放射線は細胞分裂を邪魔したり、DNAを傷つけたりするから、大量に浴びたり長期にわたって浴びたりすると発がん率が上がるらしいってことだ。でもそれだって、具体的にどれぐらい浴びればどれぐらい発がん率が上昇するかなんてわかっちゃいない。実際に少ない放射線を長年浴びたときにどうなるか?なんて、誰もテストして確かめられないからな。わずかに今まで起こった世界の原発事故やなんかの追跡調査はあるけれど、それだってなんとなくの傾向を表しているだけだ。あの史上最悪と言われるチェルノブイリの事故でさえも、結局その後確認されたのは、すごく汚染された地域で子供の甲状腺ガンが増えたという事実だけ。大人のガンが増えたという事実はないそうだぜ。広島や長崎の被爆の影響を調べてみても、やっぱりはっきりとしたことはわかっていない。ま、広島や長崎の原爆で生き残った人の子孫に、今どういった問題が起こっているのか?それは今後の調査結果次第だろうがな。

「でもさ、わかってないってことは、危険かもしれないんだワン?」
おいらはちょっと納得できなかった。

まあそうだな。誰にもわからないってことは、危険じゃないかもしれないし、危険かもしれないのは確かだ。ただ、今までの研究からわかってきたのは、俺たち大人にとっては、量が少ないなら「『今すぐ、ものすごく危険』ってほどでもないらしい」ということだ。もちろんそれじゃあ、人々がどうすりゃいいかわからないから、世界の学者はそれまでの研究を元にして考えたわけさ。「いくらなんでもここまでなら絶対大丈夫だよね〜」ってほどかなり厳しいレベルをとりあえず安全基準にしておこうぜ!って。そして日本の基準もほぼそれに沿っているんだ。だから、その基準内ならな〜んの心配もいらないし、多少その基準を超えたとしても、まあ、まず問題は起こらないだろうよ。仮に基準をものすごく超えちゃって発がん率が高くなったとしても、そもそも日本人は、今だって35%の人がガンで死んでいるんだ。それが多少高くなったとしても、それほど大騒ぎするほどでもないだろ? ただし、「細胞分裂が盛んな子供は、大人にくらべてリスクが高くなる」ということと、「遺伝的な影響があるかもしれない」ということは注意しなければならないらしいがな。

「でもさ、おいら『万が一ほんのちょっと危険かもしれない』だったとしても、怖いし、イヤなもんはイヤだワン!」

ま、その気持ちはよくわかるさ。でもそれなら聞きたいんだけど、ほんのちょっと危険でもイヤだというんなら、ポチはなんでもっと他のことでも大騒ぎしないんだよ? 微量の放射線より危険なものが、世間にはあふれてるってのにさ。

「えっ、放射能より怖いものがあるの??」

 たとえばタバコだ。タバコを吸うと、タバコを吸っていない人にくらべて肺がんになったり寿命が短くなることは、今までのいろいろな人の研究で確実に証明されている。おまけにだ、たとえタバコを吸っていなくても、喫煙している人と一緒に暮らしているだけで肺がんリスクが20〜30%も上昇することが証明されている。ポチも米国保健福祉省のレポートなんかを見てみるといいよ。それほど科学的に危険だと証明されてて、毎日そのせいでたくさんの人が死んでるものの方をなんでもっと大騒ぎしないんだ?ってことさ。そんな恐ろしいものが身の回りにあるのになぜかタバコの場合は、放射能にくらべて大騒ぎしないだろ?

「そういえばそうだワン…」

他にも放射能より恐ろしいものはいくらでもあるぞ。アスベストやインフルエンザも怖いしな。そうそう、この「こんにゃくゼリー」だって怖いらしいぞ〜。このこんにゃくゼリーのせいで毎年何人も死んでるってんだからさ。おまけに正月に食べる餅は、もっとたくさんの人が死んでるんだぜ。恐ろしい話だよな。今回の原発事故で、放射能のせいで死んだ人は、今のところ一人もいないにもかかわらず、だ。

そういいながら、ご主人は冷蔵庫から出したこんにゃくゼリーをポンと口にほうり込んだ。
「やっぱりこんにゃくゼリーは『蒟蒻畑』がうまいんだよな〜」
ご主人の言うには、これを凍らして食べると死ぬ危険率がすごく増えるらしいんだワン。

「あ〜恐ろしい、恐ろしい。もちろん、ポチはこんな危険なもの食べないよなぁ?」
ご主人ったら、おいらが蒟蒻畑が好きなこと知っててこんなこと聞くんだ。

まあとにかく、だ。俺が言いたいのは、自分の中にある勝手なイメージや他人のウワサやマスコミの騒ぎに乗せられて、必要以上に怖がるなってことだ。大して中身を知らないクセに大騒ぎするっていうのは、愚かなことでしかないんだよ。自分でしっかり正体を調べて、その上で自分にとって本当に怖けりゃ大いに騒げばいいさ。たとえば、赤ちゃんを育てている家庭にとっちゃ、放射線の影響が心配なのはよくわかる。もし今後、もっと状況がひどくなるなら対策を考えた方がいいかもしれないな。でも今のところ(これは2011年3月下旬に書いてるワン!)は、それほど心配することはないレベルだってことだ。まして、これから子供を作るわけでもない、いい年をした大人や年寄りが騒いでるのはほとんど意味がないんだよ。

そしてご主人は声をひそめておいらに耳打ちした。
「まあ内緒の話だけどな、裏に住んでるじいちゃんなんて年寄りだから細胞分裂なんてほとんどしてないんだぜ。だから放射能の影響なんてあまり考えられないよな。仮に放射能のせいでガンになったとしても、年を取ってるからなかなか進行しないと思うぜ。だから放射能を気にして水を汲みに行くより、水を汲みに行って腰を痛める方が寿命を縮めちまうと思うんだよな…」

ご主人ったらまったくひどいことを言うんだワン! それなのにご主人ったら悪びれる様子もなくおいらに話し続けるんだ。

もちろん、だからといって今後ずっと放射能問題が大丈夫ということでもない。状況によってはいろいろな対策を考えなけりゃならん場合も出てくるだろう。それはそのときになってからその道の専門家の指示に従ってしっかりやればいいんだよ。また、それと原発を作った人の責任は別問題だ。簡単に壊れちまうような原発を作った人たちの責任問題はしっかりと追求しなけりゃならんし、原発を「絶対安全だ!」としか言わなかった政府やマスコミの責任もどんどん追求していったらいい。実際、今までのマスコミは原発問題をタブーにしていて、マジメに取り上げなかったやつらばっかりだったんだからな。

「う〜ん、おいらにはまだよくわからないけど、とりあえず裏のじいちゃんには、『年寄りは心配ない』って言っとくワン」
するとご主人はまたまたおいらの頭をバシッと叩いたんだ。

「ポチのバカっ! 余計なこというもんじゃないっ!」





P.S.
ご主人が「放射能のことを知りたかったら、ここを参考にするといいさ」と、おいらに教えてくれたサイトだワン。

http://www.newtonpress.co.jp/newton/radiation/html/radiation.html

http://ichiba-md.com/blog/2011/03/post-421.html


マスコミの嘘と裏