車雑誌のレビュー記事にだまされるな!


 ポチのご主人様はクルマずきでござる。いつもおいらを自慢の愛車に乗せてドライブに連れて行ってくれるんだけど、その愛車ときたら、羽がついていたりなんだかあやしげな装置がついていたりと、ちょっとヘンなのだ。そういうご主人のような人種を、世間では「マニア」って呼ぶらしい。おいらにはそんなのどっちでもいいんだけどね。クルマなんて走ればいいんだからさ。

 さて、そんなご主人がいつも読んでいるのがクルマ雑誌。食後にテレビを見ながら、ご主人様はペラペラとページをめくり、それをおいらは横目で見ているのがお決まりだ。そしてそんなとき、ご主人様は必ず言うのだ。「ポチ、だまされるんじゃないぞ」と。なんでも、クルマ雑誌の記事、とくに製品を紹介するレビュー記事というのは、嘘ばっかりらしい。

 「たとえばこれを見てみろ」と、ご主人。見ると「ワンワンタイヤから新製品が発売!」と書いてある。そして、記事を読んでみると、なかなかよさそうなタイヤなのだワン。「それならこんどはこのタイヤにすれば?」とおいらが言うと、ご主人は顔をしかめる。「隣のページをよく見てみろよ」

 さっそく、おいらが隣のページを見てみると、そこにはワンワンタイヤの新製品の広告だ。「お、タイムリーだね。でもそれがどうしたの?」とご主人に尋ねると、ご主人はまたしても言った。「ポチのバカっ!」

 「よく聞け、ポチよ」とご主人様は語り出した。「この記事はワンワンタイヤを持ち上げる提灯記事なんだよ。悪いことなんて書きゃしないよ」と主人。「その証拠が隣のページの広告さ。クルマ雑誌の編集部は、広告が欲しいからそんな記事を書いているのさ」

 ご主人いわく、そもそも雑誌というのは、広告を入れてもらわないとやっていけないのだという。おいらも、雑誌というのは、雑誌を買った人の代金で作られているのかと思っていたが、じつはそうではないんだワン。今どき、雑誌の売り上げ金なんて、流通費や印刷費もまかなえないぐらい微々たるもの。では、その他の「雑誌を作る経費」は、どうやってまかなうのか? それは、雑誌に入る広告料がほとんどを占めるわけだ。だから、雑誌を作る人たちとしても、その雑誌にいかに広告がたくさんはいるかが、死活問題なわけ。

 もちろん本来は、みんなの役に立つステキな記事をたくさん作れば、雑誌を買ってくれる人も増えるから、結果として広告を入れようと言う広告主さんも増えるはずだった。ところが、雑誌の数が増えるにつれて、いつの頃からかその思想が逆転しちゃったんだ。「広告主さんを喜ばせる記事を書けば、広告がたくさん入るんだ」って。

「それって本末転倒だワン!」と、怒りでしっぽが震えるおいら。「ってことは、雑誌を買うってことは、広告を買わされてることになるわけじゃない?」

 「そのとおりさ」とご主人。バブルの頃はよく言われていたよ、「雑誌が一冊も売れなくても、広告費で元が取れる」ってね。

 さすがに今はそんなことはないらしいけどさ。でも、基本的には編集君はいつも考えている。「どうやったらたくさん広告が入るだろう?」「どうやったら広告主さんが喜んでくれるだろう」ってね。そんな編集君たちの頭の中には、広告主さんを喜ばせることしか頭にないから、色々なずるい手を使うらしい。記事で広告主をほめたり、記事に見せかけた広告を作ったり……。さっきのクルマ雑誌であった「その商品を紹介する記事の隣に、その商品の広告が入る」ってのは、その典型らしい。「それは最近流行している手法だよ。どんな雑誌でもよく見かけるね」とご主人。結局、いかに読者をだますか?ってことが、彼らの腕の見せ所なのだワン。

 「時期によって雑誌が厚くなったり薄くなったりする就職情報誌、記事よりも広告の方が多いパソコン雑誌。みんなそうさ。とくに自動車雑誌はひどいと思うけどね」とご主人は言う。なんでも、雑誌の巻頭の数ページだけが通常の取材記事で、あとの残りの大半が、広告と、広告主を持ち上げる記事だけでできている自動車雑誌もあるという(それでいて一冊1000円以上もするらしい)。そして、みんなはそれを知らずに自動車雑誌を読まされて、商品を買わされているらしいのだワン。

 「さらにひどいのがこれだ。これを見てみろよ」と、ご主人が見せてくれたクルマ雑誌を見てみる。すると「貼るだけでエンジンは快調!」「これをつければ馬力アップ!」と、なにやらすごい製品がたくさん載っている。「すごいワン。これなんか『飲むだけで馬力アップ』って書いてあるワン!」と、おいら。「これを飲めば、ご主人さまのクルマだってスーパーカーになるんじゃ??」

 すると「アホ。それはファイト一発トレビアンドリンクの広告だろ!」とご主人。「ま、それは別として、ここに書いてあるどの部品を買ったって、クルマにはなにひとついいことなんてないんだよ」とご主人は説明してくれた。なんでもご主人の知り合いには有名なクルマの専門家がいて、こんな製品ちーとも効かないゾ!って、いつも言ってるらしい。でも、その人も、車雑誌に記事を書くときは、そんなことひとことも書かないのだ。「クルマ雑誌は、こういう広告を出してくれるメーカーさんのおかげで成り立ってるからな。そんなことは口が裂けても言えないんだよ」とご主人。だから、こんな広告を見てその気になっちゃうかわいそうな人が、たくさんいるらしいのだワン。おまけに大きな声では言えない内緒の話らしいけど、なかにはつけると逆にエンジンの性能が落ちてしまう部品さえ少なくないらしい。でも人間くんたちの中には、車雑誌の広告にだまされて、そんな部品を高いお金を出して、喜んでいい気になってる人が、たーくさんいるらしいんだワン。人間ってかわいそう……。

 なんだか腹が立つけど、それがマスコミ業界ってもんなんだね。おいらもこれから、おいしそうなドッグフードが載っている本を読むときは、気をつけるようにするワンワン!!
でもさ、ご主人ったら、そんなウソばっかりのクルマ雑誌なら、読まなきゃいいんじゃないかなぁ?




マスコミの嘘と裏