スピリティズムの提唱者は、フランス人のアラン・カルデック(1804〜1869)です。1860年代にブラジルにスピリティズムが伝わって以来、カルデックの思想はブラジル人の世界観に強く影響を与え続けています。

現在、スピリティズムの信奉者は230万人と言われ、世界一の数となっています(世界でスピリティストは1500万人います)。また、スピリティズムの思想は、熱心な信奉者のみならず、一般の多くの人々にも影響を与え、ブラジル人の世界観を形づくる重要な要素となっています。ウンバンダや様々なシンクレティズム(混合宗教)にも大きな影響を与えています。

スピリティズムの教典となっているのは、アラン・カルデックが著した次の5册の本です。「霊の書」「霊媒の書」「スピリティズムによる福音」「天国と地獄」「創世記」。

スピリティズムでは、キリストを「最高度に進化した霊的存在」と考えます。スピリットとは、知性を持つ存在で、さまざまな生のプロセスを経て、知性を獲得し、進化していきます。人間は、肉体を持って生まれたスピリットであり、何度も生まれ変わり、進化していくチャンスを与えられています。

ここで特徴的なのは、輪廻転生に関する考え方です。スピリティズムにおいては、死とは霊的進化のプロセスのひとつに過ぎません。死後、肉体から離れたスピリットは、そのまま「神」または「大いなる一」と一体となるわけではありません。スピリット固有の個性は存続し、霊的進化の道を辿り続けます。

ブラジルの心霊治療家が、特定の霊的存在(多くの場合、過去に生きていた人の霊)の指導を受けてヒーリングを行う、というのには、このような思想的背景があります。高度に進化した霊は、死後もさまざまな活動をし、天界の霊的存在たちとともに、宇宙全体の進化を促す仕事に従事すると考えられています。

スピリティズムの考え方は、他の思想とも相性が良いため、多くの層の人々に受け入れられています。ブラジルでは医師の間にも広まっていて、1200人ほどのメンバーを持つ医師だけのスピリティズムの会もあります。



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