はじめに
ブラジルは「音楽大国」であることが、日本でも少しずつ知られるようになってきました。が、その音楽に、いつもインスピレーションとエネルギーを与えている、豊かな宗教的な背景があることは、まだ知られていません。

16世紀にポルトガルから人々がやって来て以来、ヨーロッパ、アフリカ、そしてこの地にもともと住んでいたインディオの信仰がミックスされ、さまざまな新しい宗教が生まれました。

ブラジルには、現代の多くの日本人が持っているような宗教に対する警戒心が、全くありません。人種の違い、世界観の違い、生き方の違いがあるのがあたりまえなので、個人の意志は基本的に尊重されます。皆、好きなように、自分の信じたいことを信じています。

ブラジルは非常に信仰に熱心な国です。日曜日、教会は人でいっぱいになり、街のあちこちにあるスピリティズムの集会所には、平日でも人が集まります。書店には宗教、心理学、思想、魔術の本が並び、それらが書店のスペースの半分くらいを占めています(ごく普通の書店でも)。日本では全く知られていませんが、スピリティズム(心霊主義)の提唱者であるフランス人、アラン・カルデックの本は、どんな書店にも必ず置いてあります。国民的英雄である霊媒、シコ・シャビエールが亡くなったときも、彼に関する特集を組んだ雑誌が、街中のスタンドに並びました。

日本ではアンダーグラウンドなものも、ここではオーバーグラウンドです。アフリカ起源の宗教は過去、禁止されていましたが、今では自由となりました。神を信じるのも自由、そのために人々が集まるのも自由。信仰に関して、とてもおおらかな国です。その熱心さは、サッカー観戦やカーニバルに対する熱意と通じるところがあります。ブラジル人にとっては、どれも人生の重要な要素なのです。