O.V.A 3
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O.V.A


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攻殻機動隊 SOLID STATES SOCIETY / 超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか

秘密結社鷹の爪 The Movie 〜総統は二度死ぬ〜 / 鉄人28号 白昼の残月

名探偵ホームズ 青い紅玉 / 名探偵ホームズ 海底の財宝 / ゲド戦記

河童のクゥと夏休み / 安達が原 / 鉄コン筋クリート

茄子 アンダルシアの夏 / 茄子 スーツケースの渡り鳥

FREEDOM 12007/6/24 視聴メディア*アニマックス

義務教育が終わったもののまだ進路の決まらないタケル・カズマ・ビスの3人が
今最も夢中になっているのは自ら組んだビークルでチューブレースに勝つ事。
優勝候補のムーンシャインのタイラに勝つため、日々チューンナップを続けるも
残念ながらエンジンの性能差は火を見るより明らかで…

月のドーム・エデンでは人々は腕輪風のIDタグで管理され、夜が来れば
ドーム内に退去しなければならないし、違反行為は運営局の呼び出しに
応じなければならない。文明が滅び、地球に住むことが出来なくなった今、
300万人しかいない人類は管理統制された社会で平和かつ安全に暮らしている。
違反さえしなければ安全だし、ある程度の自由も許されてるんだから、
こういうのも一見理想的ではあるけどね。犯罪の多い無秩序の方がいやだよ。

ある日タケルはタイラたちとガリレオタワーまでの公道レースをやろうと
息巻いたもののちょうど夜の時間が来て時間切れ。ところが腕輪からの
退去命令の音声をシカトしてレースを強引にスタート、最後に締まる
7番ゲートをゴールに決めて走り始める。そしてゴール目前でエンジンが
オーバーブーストして火災を起こし、大騒ぎに。結局、タケルとカズマは
運営局に呼び出されることになる。

違反するとどうなるかというとボランティアをやらなきゃならないとか。
これもランクがあって、協力しただけのビスはランク1を5時間、カズマは
ランク3を5時間、首謀者とみなされたタケルはレベル3を10時間となる。
ランクは重労働とか危険度のことらしくて、レベルの高いタケルたちは
ドーム外の安全点検作業、ビスは病院でのお散歩や案内ボランティアだった。

カズマの妹のチヨに一目惚れしたタケルはカズマに頼んでチューブレースの
応援に来てもらうことに。しかしさすがスポンサーが日進ということで
あちこちでカップヌードルが出てくるなぁ。カップヌードルって時々やたら
食べたくなる。なんかもういてもたってもいられないくらい食べたいと思う。
いつもってわけじゃないけど、少なくとも一年に一回は食ってるはずだ。
絶対何か麻薬入ってるんじゃないかと思うくらい中毒性があるよあれ。

一方ビスはタケルと同じジャケットを着た老人と出会い、3人はその老人、
アランを尋ねてエデンからは独立した「DOM」区に向かう。エデンでの生活に
嫌気がさしたもの、本当の自由を求めるものが集うここは、別名「FREEDOM」

僕らが生まれてくるずっとずっと前にはもう…のアポロ計画が300年前。
じーさんの記憶にも定かではないアポロ11号は地球からこの月を目指して
やってきた。けれど地球の文明が滅び、住む人がいなくなったあの惑星は
赤い色になり、人間はこうしてわずかな数が月にしがみついて生きている。

なぜかすごいエンジンを持っていたアランからそれを譲り受け、ビークルに
乗せ変えたタケルだけど、ビスの大事な忠告も聞かず、上の空でチヨが来るか
来ないかばかりを気にしてる。あ〜あ、この忠告を聞かないばっかりに…

やがてチヨが来てくれたことに気づいて張り切る冒頭のシーンにつながって
レーススタート。それにしてもこれコースを頭に叩き込んでおかないといきなり
進入禁止マークがくるから怖い。そもそもコクピットも剥き出しで危ないよ。
運営局はむしろこのビークルそのものを規制した方がいいんじゃないのか。

2台のビークルに前を塞がれた時はどうするかと思ったけど、コース取りの時に
マクって抜き去ったのはカッコよかった。これでタイラと並んだものの、
抜き去るにはパワーが足りない…かくなるうえはブーストファイアー!

ところがこれがまたものすごいパワーだった!
タケルの顔がGで歪む。けれど天井までぐるんぐるん回りながらついにタイラを
抜き去ったタケルはそのまま…進入禁止チューブに一直線。そしてドッカン。

真っ直ぐしか走れないようになんかカスタマイズすんな!
だからコース取りに気をつけろって言っただろうが!
優勝したタイラが祝福を受ける中壊れたビークルを押し、兄貴の要請で
応援に来たチヨは彼氏と腕を組んで帰っていった…ああ、大山鳴動鼠1匹出ず。

シェルターの中と外の風景が全く違ってたり、1/6の重力でぽーんぽーんと
飛ぶ姿とか、螺旋の道路がやたら怖かったり、近未来的背景もいいね。
プラネテスで見た月の居住区がもっと進化したみたいな感じ。

最初はちょっとちんちくりんなキャラの動きすぎる表情が気になったけど、
最後にはそれほど気にならなくなった。OPは宇多田。いいよねぇこの曲。
3人が集まってる絵が公園に散らばった遊具の実写だったり、ロケットが
鉄塔だったり。EDは歌はなくて延びていくケーブルが刺さるとキャラの顔が
モニタに映し出されるスタイリッシュなもの。ケーブルの動きがくせになる。
あと主役3人の配役も絶妙だと思ったよ。勝平ちゃんはこういう役なら全然
嫌悪感なく聞けるようになったなぁ。絶対Lのおかげだよ。

けれどさらに増えたボランティアの最中、タケルの心に新しい情熱の炎が灯る。
太陽を眺めていると何かが月面に落ちてきた。それは確かに落ちてきたのだ。
割れた残骸の中に見つけたのは女の子と子供たちの写真。

こちらは大丈夫

裏にかかれたメッセージ。明るい空の下、彼女の笑顔はとても眩しい。
ホント、惚れっぽいやっちゃなぁ…

FREEDOM 22007/6/24 視聴メディア*アニマックス

チヨちゃんの事もチューブレースの敗北の事も綺麗に過去に流し去り、
写真の彼女に夢中になったタケルはエデンの中を彼女を探して走り回る。

途中でタイムトライアル中のタイラが事故ったのを見て真っ先に助けに向かい、
タイラと友情を育んだり。ってかビークルをわずかとはいえ1人で持ち上げる
タケルのバカ力がすごいよ!タイラもよく骨折すらしなかったなぁルナリアンのくせに

タイラもタケルが見てる事に気づいてハッスルした途端にボルトが外れて
事故ったので、タケルの事はもともと気に入ってたのかな性的な意味で
第1話でコース取りを数の理論で邪魔したり、タケルのビークルをバカにして
挑発したりしたからイヤなヤツかと思ってたけど実はいいヤツだった。

タイラも彼女を知らない…エデンだって広いんだから1人じゃ無理。
癇癪を起こして協力しなくていいと突っぱねたカズマとビスが待っていてくれ、
ビスが背景から予測しようと提案したためにネットカフェで情報検索してみる。
けれど地球に関する情報はなぜか運営局に完全シャットアウトされており、
無理に調べようとすると全サーバーがダウンしてしまう。なんでこんなに
厳重な情報ブロックがされてるんだろう?逃げ出した3人はアランの元へ。

写真の背景は確かにロケットの発射台のようだ。
だがいつの時代の写真なのかはわからない…確かに写真に日付はない。
過去の古い写真が何らかの形で月面に置き忘れられたのかもしれない。
けれどタケルはこれが眼の前に「落ちてきた」のだと言う。
どこからか飛んできた…なら地球からかもしれないじゃないか。

地球に人が住んでいる?
さしものアランも呆気に取られる。地球は文明が滅び、もはや人間が
住める世界ではなくなっている…と教え込まれてきたじゃないか…
そう、誰もそれを確かめた事などない。地球を見たものもいない。

地球を見に行こう。
一度はシェルターに阻まれたけれど、この眼で確かめに行けばいい。
アランはタケルたちの突拍子のない考えに賛同し、月面走行車を準備…
って、ホントになんでも持ってるなぁこのじーさんは。

けれど2人が出発してすぐにアランに入った警告は運営局からのもの。
運営局の黄色いパネルが並んだデータベースはすごかったなぁ。
彼らは既に3人に眼をつけ、その行動をずっと監視し続けていた。

燃料だけじゃなく酸素も半分を切ってる。
引き返そうというカズマの言葉を振り切ってタケルは自分の足で走り出す。
俺は確かめたい…地球が本当にそこにあるのかを…
やがて山を駆け上がったタケルはクレーターに転がり落ちる。そこには月には
決してないはずの貝殻や花、そしてさらに多くの彼女の写真が散乱していた。

そして眼の前には、青く輝く惑星。

教え込まれてきた死した赤い惑星ではない、美しい水の星があった。

タケルとカズマが声もなく眺めていると、そこに運営局の飛行艇と何やら
赤い球がズドンズドンと落とされる…やがてそれは分解して足を出し始めた
タチコマ@サンライズ。囲まれた上に拘束すると言われて絶体絶命の2人。

果たして逃げ切る事は出来るのか?そして彼女を探し出す事は出来るのか?

FREEDOM 32007/6/24 視聴メディア*アニマックス

拘束するといわれてはいそうですかと素直に従うタケルじゃない。
月面走行車に飛び乗った2人はタチコマ@サンライズにタックルして退路を逆送、
連中との命を賭けた追いかけっこが始まる。運営局はエデンの住民の安全第一で
動くので殺したりはしないようだけど、一番怖いのは酸素切れだ。意地を張って
逃げ続けるのはいいけど、酸素があるうちに逃げ切らないとテム・レイひとつに
なってしまう。

それにしてもタチコマ多っ!!!多過ぎるよ!わしゃわしゃ出て来過ぎだよ!

このままじゃもう捕まるのは時間の問題…
酸素が切れるのが早いか捕まるのが早いかと思った時、アランから通信が入る。
やっぱりこういう時はオペレーターのナビって必要不可欠だよねぇ。
アランは逃走ルートを割り出して指示し、DOMのゲートを開いて受け入れを
待ってくれていた。けれど酸素はもう限界。自分の意思で息を止めてるのと
違い、いくら吸おうとしても酸素がない状態なんて考えたくもないよ。

地球が確かにそこにあったこと、そして赤くなく青かった事を説明する。
たくさんの写真やメッセージや貝殻や花…これは地球に住む人間からの
メッセージじゃないのか…多分に彼女が生きている事を信じたいタケルの
言う事は怪しいのだけれど、赤い死んだ惑星のはずの地球が青かったのは
引っかかる。運営局がウソをついていた?なぜ?一体何のために?

そんなに知りたいなら行ってみるといい、地球へ…

それにしてもアランはこれまで煮詰まった3人に道を示しすぎじゃないのか。
アランがいなければ3人ともチューブレースに負けただけで悶々と日々を過ごし
希望でもなんでもない仕事が決まって管理された大人になっていったろうに。

エデンは人類が暮らせるように造られた人工建造物だから、いつか突然壊れ、
使い物にならなくなる事も想定されている。そのためエデンの住民を乗せて
避難する事が出来る宇宙船を持っているのだという。それを利用すればいい…

アランが運営局が把握し切れていない下水道施設を通ってオールドベースに
向かうよう説明した時、DOMに運営局が乗り込んでくる。不穏分子3人を煽り、
騒乱を引き起こしたことを理由にDOMの住民たちもエデンに引き上げさせる
体のいい大掃除。タチコマ@サンライズに次々捕まっていくFREEDOMの住民。
でも建物を無駄に破壊したり、住民を傷つけたりしないのは好感が持てた。

3人が走り出した道は見覚えのあるチューブだった。
追いかけてくるタチコマたちを振り切れず、ついには暴走少年グループとして
ニュースにまでなってタイラたちを驚かせる。「何やってんだ、アイツら?」

でもこのタイラたちがいいんだよ。
苦戦する3人の元にチームで駆けつけてくれて、レースで見せた進路妨害で
撹乱したり、ビスが腕輪を見て何かを思いついたようだったのでやる気かなと
思ったけど、全員の腕輪を1人が集めて違う場所にゴールしたり。タイラさん、
俺はここでリタイヤしますからと進入禁止ルートの方に敵を半分おびき寄せて
行ったヤツとかホントにカッコよすぎるよ。皆ホントにいいヤツばっかりで
ビックリした。タイラたちがいなかったらタケルたちは絶対オールドベースに
辿り着く事は出来なかったよね。

タケルたちが使うのは二人乗りの緊急脱出艇。
主電源が完全に落ちているので、タケルのビークルのバッテリーでなんとか
起動させる事に成功する。しかしホントにこんなポンコツで大丈夫なのかな…
大気圏突入って命がけなんだな〜なんて呑気に言ってる場合じゃないだろ!

俺は地球には行きたくないというビスが調整のためにタケルの隣に乗った時、
コントロールルームでテストしていたカズマは運営局がここをかぎつけたと
知ってしまう。このまま行かせよう…驚くタイラにカズマは言う。
このチャンスを逃したらもう地球へ行く事は出来ない。

まさか本番とは思わず、なんか本格的だなとシートベルトをつける2人に笑う。
その間にアランは少しでも連中を食い止めようとシャッターを閉めに行くも、
タチコマ強い!メコメコとシャッターは破られ、こりゃたまらんと撤退。

「俺がまだ乗ってるんだぞ!」「おまえがまだ乗ってない!」

カズマは自ら突進して背中に火傷を負ってまでタケルを守り、今また自らを
犠牲にしてタケルを地球に向かわせようとする。ハッチが開き、深淵の宇宙が
見えたその時、タケルはカズマのこのまま発進するという言葉を聞いて驚く。
でももっと驚いたのはビスだよね。俺は絶対行かないと言ってたのになんで!?

カウントダウンを開始したカズマの後ろで、扉を必死で抑えている
タイラがいい。こういういぶし銀的なキャラに弱いんだよねぇ。
カズマはタケルを地球に行って、自分の眼で確かめて来いと言い、
ビスにはタケルを頼んだぞと伝え、二人で協力すれば大丈夫と励ます。

絶対一緒に行こうと言ったのに…
死に別れるわけじゃないのに別れのシーンはやっぱり哀しい。
このシーンは力づくで止められるタイラやカズマ、窓から振り返りながら叫ぶ
タケルと激しいシーンが連続のCMの方がエキサイティングなんだけど、本編は
ここまでの流れと、爆発と共に月の重力から機体を引き離して打ちあがっていく
シャトルを管制室から静かに見送るカズマもよかったよ。

予想以上に物語がしっかりしてて、かつドラマティックでビックリした。
情報管制されている世界でレースに夢中になっている少年が地球の存在を知り、
やがて行くんだろうなとは思ってたけど、全編通じてハラハラドキドキできて
すごく面白かった。カップヌードルのCMで断片的に見たシーンが、CMとは
ちょっと違う雰囲気で出てくるのも面白かったしね。ここだったかなとCMで
見たシーンを反芻するのも面白い。

それにしても非常食もたくさんあるぞとタイラが探してきたケース入りの
カップヌードル、23世紀にはもう油の劣化問題は解決されてるのかね?

FREEDOM 42007/7/21 視聴メディア*YAHOO動画

地球にたどり着いたタケルとビスの珍道中。
フロリダにセッティングしたはずの脱出ポッドはなぜかラスベガス付近に…
彼女のいるフロリダは遠い。うまくいかない事態に無理やり連れてこられた
ビスは駄々っ子パンチが炸裂。まぁ確かにタケルのあのナンクルナイサー
思考には怒りたくもなるだろうけどね。”ワレワレハウチュージンダ”

そこに聞こえてきたのはDJ「アンナ・マリー」のラジオ放送。
フロリダからお伝えしました…ラジオが流れる=電波を流す場所がある、
そこにはきっと「人間がいる!」
当たり前のこの三段論法に、荒廃しきった地球を見た後だとこっちまで
嬉しくなる。早速ビークルの改造に着手し、2人はフロリダに旅立つ。

ガタガタの道路、崩れかけた街、人間のいない土地…
けれど人がいなくなったそこには、むき出しの大自然があった。
緑萌える草原を走り抜ける野牛の群れ、真っ青な大空を飛び交う猛禽類。
枯れた砂漠の中を走る道、やがて水のない渓谷が拡がるアリゾナのパノラマ。

いや〜、北アメリカ大陸の荒々しさが伝わるこのあたりは素晴らしかった。
アメリカといえばもう文明と消費の権化みたいなイメージが抜けないけれど、
こうして見せられるとまた視点も考え方も変わってくるなぁ。行ってみたい。

やがてビークルはエンコしてしまう…って、これなんで動いてるんだ?!
まさかガソリン?!と思っているところに現れたのは、見るも無残なバス…
ボロボロで山ほど荷物を積んで、汚い事汚い事…しかもサルまで…
じゃなくて、もちろんそこにはちゃんと人間が乗っていた!

こうして始まった男騒ぎの旅。
ファンキーモンキーなヒッピー風のこの連中がどこに行くのかはわからないけど
2人の月から来た「宇宙人」との出会いを心から歓迎してくれた彼らは、陽気で
ばばっちくて楽しい連中ばかり。スタンドでのガソリンの入れ方を教えてくれ、
インチキな宇宙人としての挨拶の仕方だの、彼女のことをからかわれたりしつつ
2人は初めての地球人との出会いによって最高にハッピーで楽しい時間を過ごす。

「サイコーだね。なんたって退屈しない」
唯一マトモ?な運転手との会話の中で、地球人たちには、かつて月に
逃げた連中はとっくに物資不足で全滅したと思われていた事が判明する。
月では地球には人間はもういないと言われていた…今後、両者の
この情報のギャップが物語にどうやって絡んでくるのかも楽しみだ。

「い〜体してんじゃねぇか♥」
やがて彼らとの旅は終わり、また別の道が現れる。
バイバイと手を振ってる間にバスから転げ落ちたり、2人になったら
彼女への甘い愛の言葉を練習するタケルとビスのおバカ加減は爆笑。

タケルといると、退屈しない…どことなく気弱で保守的、汚いのも怖いのも
嫌いなのに、とうとうこんなところまで連れ出され、山あり谷ありの冒険に
巻き込まれたビスが、冒頭のトホホ状態とは違って明るい笑顔を見せるのが
いいね。まだまだ困難は多いだろうし、月で捕らえられたカズマやタイラの
ことを思うと、あの2人はどうなったのかなと心配でもあるけれど…

そしてフロリダに到着した二人は、連中にもらった宇宙人スーツを着て
彼女を探す。って、モッコリがリアルだっつの!そこはボカしとけよ!
オッサンに愛の言葉を囁いちゃったり、ガキにイタズラされたり…
でもそのガキを追っかけてみれば、そこはあの写真の場所だった。

「ボッ、ボクはぁっ!元気でぇすっ!」
直立不動で、写真でしか知らない彼女に遥かな月から会いにきた
第一声がこれだよ。おまえはヨシ江さんを前にしたテツか!
面食らったアオは一瞬息を呑み、戸惑ったような笑顔を見せ、そして一言。
「……………誰?」

いや〜、今回も濃い30分だったなぁ。面白かった。
ついについに、思い焦がれたアオと出会う事ができたタケル。
さて物語は一旦の落着を見たけど、ここからどんなケーブルが延びるのかな。

FREEDOM 52007/10/19 視聴メディア*YAHOO動画

ついにアオと会うことが出来たタケルとビス。
だけどもちろんアオにはヘンな格好をした変態2人が何者なのかわかりはせず…

そんな時、アオと一緒にいたリッキーがタケルが持っていた写真を奪って
アオに見せる。それは月で見つけた、アオが子供たちと一緒に撮った写真。
水飛沫を浴びて見せた自然な笑顔がタケルの心を捉えたあの写真だった。
アオたちが年に一度飛ばすロケットに乗せている願い事やメッセージが
月に届き、タケルの手に届き、そして今またアオの手に届けられたのだった。

最初は銃を向けて追い払おうとした村の人々も、タケルたちが本当に月から
来た事を知って歓迎ムード一杯…ただし、彼らは、避難民が向かった月には
空気も水もないことを知っているらしく、とっくに絶滅したものと思っていた。

「よく帰ってきたな」とねぎらってくれる彼らの生活こそ、何不自由なく
快適で過ごしやすいエデンよりずっとずっと大変そうなのに…
タケルもビスも騙すつもりではないと思いつつ、ついつい本当のことを
言えないままなんとなく釈然としない夜は更けていく…

ジャンク屋のオヤジにそっくりなブルーアースって、えーと…
誰だっけ?最初のレースの時に出てきた人だったっけ?あれ〜?
けれどタケルとビスはここで奇妙な話を聞く。

フリーダムはどこにある?

心の中にある、なんて誤魔化した…ワケじゃなくてタケルはアホなので
多分本気で言ったんだと思うけど、彼らは「フリーダム」なるものを
待っている様子…一体何の事だろう?あのアランの街…の事じゃないよね?

ロケットの発射台があるこの島では親のない子供が多く、アオも
「村の子供」として育てられたのだという。工業製品がないために
農業もままならず、しかもこの島はハリケーンの通り道になっている。
それでもタケルたち異邦人を受け入れてくれる懐の深さがある村での
ゆったりとした日々。怒涛のような日々に比べたらホント、のんびりだ。

月には砂だらけのノノちゃんの海はあるけど、タケル曰く「でっけー貯水池」
みたいな海はない。ドームの中にこんなに水はないよ…ついうっかり話した
エデンの姿に、アオは驚き、そして月では多くの人々が暮らしていると聞いて
とても喜んだようだった。彼女の願いは「月に行った人々が元気でいること」

その頃ビスはビークルのスターターを外し、アンナマリーの放送局に
向かっていた。不本意ながら来た旅の間中励まし続けてくれた憧れの声。
乱れた髪やノーブラのシャツ、プエルトリカン風の丸い鼻や気だるそうな
表情など、最初に見た時はうわぁと思ったんだけど、その声はやっぱり
優しいアンナマリーで、物静かで無口な彼女がカップヌードルを豪快に
食べる姿もなかなかにセクシーだなぁと思ったり。うまそうだなぁ。

ビークルのスターターを持って来たのはビス。
どうやらこれで電波送信を増強するつもりだったのだそうだ。
そんなドギマギしっぱなしのビスに、「泊まっていきなさい」と言う
アンナマリー…ええ〜?まさかこのままビスくん初めての経験!?

というのは冗談で(いや、まぁ何があったのかは当人たちのみ知るんだが)
気圧が下がったのは嵐がやってくるからだった。アンナマリーの放送で
情報を得た村人は避難したものの、なぜかリッキーだけがいない…

リッキーをビークルで探しに行く事になり、アオが触れてると不安定なのに、
タケルがアオの手に触れてコントローラーに触れた途端、ビークルが真っ直ぐ
スピードを上げて走り出すのがカッコよかったよ。

ロケット祭で飛ばすロケットを守ろうと嵐の中岬に向かっていたリッキー。
タケルとアオもロケットが倒れないように支え、切れたロープを持って必死で
ロケットを守ろうとする。このロケットには子供たちの夢が詰まってる。
だから絶対に飛ばしたいというリッキーの心に応えるため、2人は嵐の中
みんなの夢が詰まったロケットが倒れてしまわないように支え続ける。

でも立ててるから危ないんであって、倒しておけばいいんじゃ…ダメなのか?

どうして宇宙を越えて地球にきたの?風と雨の中、アオが聞く。
この写真の女の子を好きになって、会いたくなって、それで宇宙を越えてきた。
誰も考えつかなかったこと…それを夢にして、形にして、ここまでやってきた。

嵐は去り、無事に発射されたロケットには、ロケットを守ってくれた
お礼にとリッキーがタケルからのメッセージを入れてくれた。
月にいる大切な仲間たち…カズマやタイラに届くように。

「俺も、ビスも、地球も元気だ」

攻殻機動隊 SOLID STATES SOCIETY2007/12/03 視聴メディア*DVD

マイクロマシンによるテロ・SOLID STATES SOCIETY・傀儡廻…
難民をはじめ外国人の流入・高齢社会問題・少子化と虐待…

いくつもの要素が絡み合うこの事件が起きたのは、
少佐が公安9課を去って2年が過ぎた頃だった。

次々と自殺という名の変死を遂げていく、手に刺青をしたシアク共和国の
テロリストたち。ある者は空港に立てこもり、ある者は入院先の医療施設で
そしてテロを指揮していたはずのカルマ将軍自身も、自ら生命維持装置を
外して死んでいた。首謀者たちが死ぬ事がテロ開始のサインかと思われたが
どうやらそれも違う様子…将軍の幽閉先で発見された子供たちには虐待の
跡を残してはいたが、テロ用の天然痘ウィルスを改造した凶悪なマイクロ
マシンはまだ植えつけられてはおらず、事件は混迷を深めていくばかり…
そう、バトーが、死ぬ前にマシャバが作業用ロボットに乗りこみ、
バトーより先に侵入してきた「ある人物」を襲っていた事も含めて。

この物語は前半と後半で大きく違っていて、両件は確かに繋がってはいるけど、
それはかなり細い糸という印象だった。終わってみると「あれ?じゃ最初の
シアク国テロ云々はさほどこの件に大きく関わってなくね?」という感じ。

「貴腐老人」というワインのような言葉には苦笑しかない。
資産を残せる相手を欲するんだから、これは金のある老人って事なんだろうな。
そもそもこの全自動介護システム自体が金がかかりそうだしなぁ…

深刻になりつつある後期高齢者が増加する高齢社会(わが国でも既に問題は前段階の
『高齢社会』レベルではない)と少子化問題が取り沙汰されているというのに、
年間千人レベルで子供が虐待を受け最悪の場合は死亡しているという矛盾…

どちらも「その世代に関係ない人間」が目をそむけがちであり、選挙権のない
子供の意見が政治に反映される事はなく、主体が問題が多い上に時と共に機能が
「衰えて」「死に至る」事が決定的な高齢者である事がネックになっている。

また、子供は選挙権がない事が弱者たる所以になっているが、高齢者は逆に
死ぬ瞬間まで選挙権…「清き一票」を持っている事が利用される根源になる。
たとえば「某政党」のように、甘い言葉や様々な方法で票を獲得する標的になり
だからといって彼らの意見が反映されているとは言い難い。あの連中は根本的な
解決をした事がない。やってる事といえば一時的な人気取りのためのくだらない
金品ばら撒き政策ばかり…それならまだ組織内の若いもんを精神修養のための
奉仕活動の一環として派遣し、ハンドサービスを行ってくれる方がマシである。

パーンって音が鳴ったら、走るんだ。運動会の時みたいに…
止まっちゃいけない。振り返ってもいけない。できるね?

「ごめんな」

父親として覚悟を決めたトグサは本当にカッコよくて、そして哀しかった。
なるほど、確かに「子を守る父親」を描いたから、次は「子を守る強い母」
つまりバルサを描こうと思ったというのはこれ見るとわかる気がするわ〜。

トグサが娘を連れて病院に向かうシーンは以前録画し損ねたビデオがちょうど
ここで切れたので見た事があるけど、切れたのがよりによって引き金を引いて
バトーが頭を抱えたシーンだったので「ぎゃあぁ!どうなったんじゃぁ!」と
気が狂いそうだったので、今回見られてよかった…少佐〜、ありがとう!!!
いや〜、本当にとんでもないところで録画が切れたものだと今さらながら思う。

トグサが右腕だけが自由になったのは、隊長就任に伴ってそれ以外は全て
義体化したという事なんだろうか?生身である事がトグサの欠点であり、
最大の強みでもあり、ある意味魅力でもあったのでなんだか淋しいもんだ。

でも少佐を「大先輩」とちょっとバカにしたように言ってたクソ生意気な
新人にマテバへのこだわりは捨てたのかと言われて「捨てたわけじゃない」と
言った通り、セブロを使うようになってもちゃんと持ってるのが彼らしい。

そしてそのトグサが義体化にあたって家族と折り合いをつけたり、隊長の重責に
苦労している事を、口には一切出さないのにバトーがちゃんとわかってる事が
攻殻のよさでもある。トグサもそんな事は口に出さないし…大人だなぁ…
今回少しトグサが遠く感じられたのも彼が責任を負う立場になったからだろう。
(少佐が戻ってきてからはむしろ昔のように生き生きとし出したのは皆と同じ)

本当は実力や経験から言えばバトーが隊長になるべきである事は課長も、
多分バトー自身もわかってる。でもバトーにはナリに似合わず変に繊細で
もろい部分があって、少佐が姿を消したことから未だに立ち直れていない。
どこからどう見てもヘタレに見えるトグサが実は最後まで踏ん張るタイプで、
大木に見えるバトーが実は若木のように細く弱いというのが面白いんだよね。

トグサの次に生身率の高かったサイトウもアフリカに行く前に心肺機能を
義体化したと言ってたので、拡大した9課の仕事は生身にはきついようだ。
このサイトウが同じ狙撃手のラジプートと一騎打ちになるシーンの緊迫感!
少佐によるサイトウの捕獲エピソードで、狙撃手の何たるかが語られたけど、
入念な準備、待機時間、集中力…そもそも狙撃は不測の突発事項に即応しうる
スキルじゃないからこそ、今回のような時間との勝負にはその腕の善し悪しが
モロに出るっぽい。狙撃場所の選択からしてサイトウは勝っていたということ。

「自分の腕を信じろよ」

相手もプロ、サイトウも傷は受けたけど、バトーの言葉は勝利を告げる。

総務省の住基登録と厚労省の電脳手術を受けた子供の数が合わない。
その数はカルマの元に幽閉されていた16人どころではなく、2万人超。
それにしてもボーマのハッキングは結構な率で反撃を蒙ってる気がする。

考えられるのは組織的な誘拐…けれど世間では何の騒ぎにもなっておらず、
「人間爆弾」として天然痘ウィルスを植えつけ、野に放つという卑劣な
バイオテロを企てたテロリストが準備するにはあまりに多すぎる数…

「ソリッド・ステイトには近づくな」

少佐が残した言葉と、トグサが貴腐老人の口を介して聞いた言葉から、
いくつかの事実が繋がり始める。子供たちはトグサが娘を連れて病院に
向かったように、傀儡廻に操られた親の手で電脳手術を受けるために
病院に連れてこられ、記憶を抹消されて貴腐老人の元に送り届けられる。
貴腐老人は死ねば「子」として登録されたその子供に財産を譲り、
財産を受け取った子供は今までの人生をリセットして成長すればいい。

全てがリサイクルされ、リユースされ、リデュースに繋がっていく…

社会の一番外側にある弱者同士を繋げ、両者を救済するシステムの構築。
それを自分勝手な正義感で作り上げる事のできる人間がいた。
たった一人、組織を離れ、自分の価値観と良心と正義感だけで…

行政には1人暮らしの老人が人知れず死んで静かに腐っていく事を止められず、
虐待され、貶められ、助けを求める事すらできずに、それでも親を信じて
痛みに耐え、泣きながら死んでいく子供たちを救い出すことも出来ない。

「手がない・金がない・策がない・力がない」

いや、何よりも

「 や る 気 が な い 」

このままでは財産も遺伝子も残す事ができない老人たちの、自分たちが
生きた証、意義、意味を求める貪欲さが生み出した「集団的無意識」が
1つの意思となったものが「SOLID STATES」だとしたら、活発な活動を続け
発達し続ける、より巨大なネットで起きる個を保ちつつも集団でありたい、
集団の中にありながらも個を保ちたいと願う「STAND ALONE COMPLEX」とは
相対する、「集団という名の個になりたがる無意識」とでも言おうか…

孤独を恐れながらもかつて属していた集団からは既に見捨てられ、
1人孤独に生きるしかない老人だからこそ、もう一度活発な社会と、
そして他人とリンクしたいという意識を持つといえるんじゃないか。

つか、これってめちゃくちゃ恐ろしい事だよね。

機械が看取ってくれるからミイラになって発見されないだけで、むしろ逆に
一人ぼっちでも生きていけるシステムに繋がれたまま貴腐ワインのように
熟成されていくだけなんて…医療の発達によって増える後期高齢者たち、
晩婚化・独身の増加で増える1人暮らしの高齢者…これら「3000万の孤独」が
もしもネットとつながったら?彼らは…いや、私たちは何を願うだろう?

けれどこのシステムそのものを利用して、別の方向に動き出したのが議員の
宗井だった。彼は虐待されていたピックアップされた子供たちをエリートに
育て上げる洗脳施設を作り出して養成を始めた。笑い男が利用されたように、
難民事件が利用されたように、最後には必ずこれを利用するものが現れるなぁ。

とにかく映画級の作画は相変わらずで、最初の空港での人質立てこもり事件の
緊迫感、医療施設での戦いの時の少佐の身のこなし、施設への突入シーンで
復活したタチコマ(泣!)に乗り込んだ9課の面々によるこなれた戦闘など、
何を見ても素晴らしくのめりこんで見てしまう。ホント、恐ろしい作画力だ。

強化サイボーグとタチコマのガチンコバトルはこれまた燃えた。
徐々に迫る追っ手に当然ビビることもなく、システムに入り込んで制圧を
かける少佐。辿り着いたバトーは「バックアップを」と言われて嬉しそう。
「いつだってそうしてきただろう」

初めは都合よく現場に現れたり、課長に犯人は超ウィザード級のハッカーと
言わせたりして、「傀儡廻はもしかして少佐なのだろうか?」とバトーや
トグサに疑念を抱かせ、けれど少佐は初めマイクロマシンについて別口で
動いていた事で疑いを晴れさせる。けれどそれは最後に意外な形で覆される。

システムを構築したのは自分だと名乗った官僚のコシキは自殺を図り、少佐は
その脳にダイブする。彼は優秀な人材だったが、登庁拒否になって義体出勤を
続けた。しかし皮肉にも義体が動いている事が仇となって、既に二年も前に
死んでいたことに誰も気づかなかったという、むしろ怖い孤独死の未来版。

つまり、このシステムを作り上げたのはコシキであるがコシキではない。
コシキはあくまでも義体、ただのゴーストのない容れ物に過ぎないのに、
そこには集団的意思と、「自分勝手で強い意思を持つ正義感」が入っている。

そんなものを持つ人間は世界に何人もいない…

並列化し、様々な意識を共有化するうちに一人歩きができるほどになった。
少佐を自分のフィールドに誘い込んだのは、いつしか生まれたキリストからの、
生んだ覚えのないマリアに敬意を表したはじめましての挨拶だったんだろうか…

2人の会話を中継した同じく「並列化」によって存在を為すタチコマは
会話の提供を拒否し、同じく中継地点だったバトーははぐらかす。
その代償は今回ドサクサに紛れて少佐の肩を抱く事だったのかしら。

孤独に、個人で仕事をしようと組織を離れた少佐は、その限界を悟って再び
9課へと戻ってくる。自分はトグサの成長を妨げないだろうかと心配したり、
皆なんだかんだ言いながらも本当にトグサのことを大切に思ってるんだなぁ…

そのトグサが妻子を愛する1人の普通の男として、救い出された子供たちが
そのまま元の家庭に戻されるという安直な結末に心を痛めているのもいい。
彼らが帰る家庭は、トグサが帰れるような暖かく健やかな家庭ではない。
そこにはまたすぐに繰り返される虐待という地獄が待っている事は明白だ。

そして結局貴腐老人の問題も何も解決しない。何しろ今回の件に関しては、
このシステムそのものは何の落ち度もないのだから改善などするわけがない。
改善するとしたら、せいぜいさらわれた子供の住基登録に寝たきり老人の
住基台帳が正規の手続きで使われてしまったという些細な問題程度だろう。
巨大な組織の前に、俺たちはなんのために…とぼやきたくなるのはいつもの事。

組織にいれば飲み込まれていく自分が息苦しくて自由になりたがり、
孤独になれば無意識下で社会を求め、繋がりを欲して足掻き始める。

社会性を持つ人間の心にともすれば巣食いやすい闇を描かせたら、今は
やっぱり攻殻に勝る作品はない。神山監督の神ぶりは本当にすげーや…
あまりのレベルの高さに、これだけ量産されているアニメのうち、クソは
半分に減らしてその予算とスタッフを優れた監督に委ねるべきだと思うね。

とにかく素晴らしい作品を見させてもらえて大満足。
スタッフ、キャストの皆さん、お疲れ様でした。


FREEDOM 62008/1/19 視聴メディア*YAHOO動画

ロケットは3つの「じょう」で飛ぶ!

「それは!友情と、愛情と、そして…根性だぁー!!!」

タケルたちが地球に辿り着いてから2年の月日が流れ、月へのロケットを
打ち上げるという話、しかも何やら大ピンチというシーンからだったので
「ええ!?展開速いよ!」と一瞬慌てたのだけど、ここに至るまでの
経緯がビスの回想形式で語られる変則構成になっていた。

アオは父の命を奪った焼け爛れたロケットの発射台にタケルを誘い、
かつてここには月へ行こうとした人たちがいた事を告げる。
アオの父はかつてこの村で計画された「アポロ計画」の搭乗者であり、
打ち上げの時の事故で帰らぬ人となった。どうやら母もその騒ぎの中で
死んでしまったらしく、幼いアオは村人に希望を与え、そしてそれ以上の
絶望を与えてしまったその事件を忘れるよう努めて生きてきたのだという。

けれど心のどこかには父が「救いに行った」月の人たちへの想いが燻り、
ロケット祭では月の民へのメッセージを送り続け、いつか自分もあそこへ
行きたいと願っていたところに現れたのはツナギ姿の変態宇宙人…
ならぬエデンの子、タケルとビスだった。彼らとの出会いが再びアオの心を
月へと向かわせる。月へ行きたい、地球が、自分たちが無事だと伝えたいと。

そんなアオの夢を聞き、エデンでは地球人類は既に滅亡したと教えられた事で
エデン当局への不信感が募るタケルもまた、この事実をエデンの人たちに
伝えようと思いつく。もちろん残してきたカズマも気になるし…タイラもね!

というわけで、かつてアオの父と共に月へ行くはずだったものの直前に
ロケットを降りたため命は助かり、その代償に夢を失ったブルーアースに
「科学」を諦めていない技師のブラウンを紹介してもらったビスは2人の
対決に駆けつけてしまったタケルより一足先に彼に会い、ロケット作りの
夢に取り掛かり始める。この時点で、打ち上げるロケットを作るために
二年間という時間が必要だったということがようやく判明。

とはいえ展開が早い事に変わりはないけどね。
第5話が「アオとの出会い」なので仕方がないとはいえあまり動きがなく、
間延びした印象だったのでこのロケットの話はそもそも5話に入れ込んで
ラスト数分でも月のカズマの様子や「地球からのロケット」を捕らえた
エデン当局の緊迫感を描き出してもよかったんじゃないかなぁと思った。

しかしこういう「痒いところに手が届きそうで届かない」のはまさしく
佐藤大クォリティらしい。多分私とはあまり相性がよくないんだろうな。

発射時のアクシデントはアオの父が死んだあの時を思い出させる。
エネルギー漏れによってロケットは爆発し、タケルもアオも死んでしまう。
ビスはパニックに陥りそうになりながらも、かつてのようにただ泣き言を
言うより先に考えろ、どうすればいいか考えろと思考をまとめようとする。

エデンを出たくないと最後まで言い張りながらも地球まで来てしまい、
二年後、再び月に向かうロケットの座席に座る事を断ったビス。
かなり年上で岩顔ながらも低く優しい声を持つアンナマリーという
愛する人を得て、ビスも随分成長したようだ。

それにしてもバルブを上半身裸に素手で回しに行ったブルーアースはどうなの!
熱いのか寒いのかよくわからんけど手の皮ズル剥けじゃないの!?
むしろ一緒に作業しに行ったちっちゃなロボットが爆発で壊れてもなお、
任務を実行しようとする姿がケナゲだったよ。ブルーアースがこれで
死んじゃうよりこのロボットが壊れちゃう方がやだなぁと思ったよ。
(まぁ結果的にはどっちも死んでなかったけどね)

今回はタケルはほとんど目立たず、生意気な口を利いてブルーアースに
抗議するところでアオにピシャリと叱られたのが面白かったくらいで
(カカァ天下?)ビスやブルーアースの見せ場の方がメインだったかな。

相変わらずカップヌードルがうまそうだったので久々に食いたくなった。
シーフードに温めた牛乳を入れるとクラムチャウダー風になると口コミで
話題になって「ミルクシーフード」が出たらしいけど、ホント、そういう
1歩間違えば外道的な試みをやってみようと思う人ってホンマに偉いわ…

それにしてもこの続きは配信なし、見たかったらDVDを買えって…ケチー!

超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか2008/5/4 視聴メディア*GyaO

1984年公開の劇場版。当時の事を思い出しつつ、こんな話だったのかと
改めて知り、ただのTV版の焼き直しと信じていただけに作画のよさや
演出のよさ、何よりも物語のわかりやすい再構成にしばし驚く…

もちろん地球が滅亡したのになんでマクロスが宇宙にいるのかとか、
ゼントラーディや対抗するメルトランディ(これはTV版にはない設定だけど)と
戦っているのかなどは語りきれてないし、マクロスがメルトランディの
ものだとか、そういうのもただ物語を漠然と見ているだけではちょっと
わかりづらいかなと思う。「知っている」という前提がないと理解は
難しいけど、背景はなんとなくわかればよくて、メインとしては輝や
未沙やミンメイの恋愛物語を楽しむには支障がないという感じかな。
まさに「物語」を楽しむか、「キャラ」や「設定」を楽しむかで
ファンの視点や好みが分かれる先駆的な作品なのかもしれない。

むしろ今現在新作の「マクロスF」を見ているせいか、マクロスFは
本編マクロスよりむしろ劇場版マクロスへのオマージュが多いかもと
思ったりする。ミンメイはシェリル同様既に大スターになってるしね。

ミンメイも未沙も当時カルト的な人気を誇っていた美樹本絵そのまんまで、
後にメガゾーンなどでめちゃくちゃ凝った作画をする事で人気が沸騰する
平野俊弘の作画へのこだわりが随所に現れてる。もうくどいくらいにね。
未沙は当時も思ったけど「かたつむり頭」(と言われてた)がなくなって
普通になった劇場版の方がヒロインらしく、モミアゲにコロネがついた
ミンメイは本編の「隣のモー娘」風のアイドルより、聖子ちゃんや明菜の
ようなカリスマ性を持っているスーパーアイドルになっていたせいか
小悪魔的で可愛い。ただだからこそなんで彼女が輝みたいな冴えない
男を愛しちゃったの?とむしろ不思議なんだけどね…

カイフンが地味で普通の兄さんになってたり、個性的で面白いキャラだった
カムジンがフォッカーと刺し違える敵兵の一人になってたり、ラプラミズは
ボドル・ザーの一発で消し飛んだり、マックスとミリアは出会ったはいいが
その後どうやって仲良くなったのかとツッコまざるを得ない状況だったり、
キャラクターも随分変わっていた。輝の後輩から同僚に地位は上がったのに
無駄話をしていて撃墜と死に様が悪くなった柿崎が一番哀れだったけども…

ミンメイのシャワーシーンで乳首が描かれてたり、プロトカルチャーの
遺跡で輝と未沙はキスの後最後までいったことをちゃんと匂わせてたり、
戦闘に巻き込まれた人の首が血まみれでぶった切られたり、パイロットの
頭がつぶされる時に目玉が飛び出したりとするすごいグロシーンも満載。
そうそう、80年代ってのはアニメが文化として成熟し始めた、こういう
「架空リアリズム」の時代だった。今は劇場版でも抑え気味だもんね。

私は本編の最終回を最後まで見られなかったので三角関係清算のシーンは
話に聞いてるだけなんだけど、劇場版の選択はなかなか小気味よかった。
ミンメイは本編ほど憎たらしい子じゃないのでむしろ可哀想なくらいで、
それでも励まされて歌う姿は感動すら感じた。ミンメイが歌ってくれたから
戦闘に勝ち残れたのに、おまえらちゃっかりラブラブコンタクトしてんじゃ
ねぇよとすら思えたね(正史ではなく「マクロス演義」だけの事はあるわ)

ラストシーンのミンメイが歌う「愛・おぼえていますか」を「文化の力」にし、
ブリタイを味方につけ、プロトカルチャーごと破壊しようとするボドル・
ザーを叩くべく進軍していくマクロスはたまらないカタルシスがあったね。
本編の「愛は流れる」も素晴らしかったけど、劇場版は作画も演出もさすがに
その上を行ってる。輝がやけに主人公らしいのもヤック・デ・カルチャー!
(本編ではヒロインは救ったものの思いっきり戦線離脱してたからなぁ…)

コンパクトにまとまっていて、最後にはちょっと感動すらしてしまう、
マクロス本編(27話までだけど)を見た後に見るには最高の締めだった。
こういう古い作品は見終わった後でWikiを見るのも楽しみの1つなんだけど、
マクロス「正史」の中では、劇場版は「リン・ミンメイの伝説性を高める
ために統合政府が作ったプロパガンダ作品」という事になってて大笑い。
うまいなぁ…本編のミンメイに比べて劇場版のミンメイがケナゲながら
カッコいいスターなのもそう言われると超納得。マクロスは「制作陣も
自分たちの作品で遊んでる」ところがファンに愛される要因のひとつかな。
マクロス以上の人気を誇ったがゆえにその人気に翻弄され、後の作品が
バラバラになってしまって混沌化しているガンダムに比べると幸せかも。

自分の記憶もあやふやながら気になったのは、私が覚えている劇場版との
タイアップCMは味の素がスポンサーのもので、クライマックスシーンの
ミンメイが輝に「愛、覚えていますか?」と聞くと、輝が「いや、味、
覚えています」と答えるもので、「味覚えています」はミンメイが
言ったものじゃなかったような…まぁ他にもパターンがあったのかも
しれないし、私の記憶違いもあると思うので定かではないと思うけど。

あと銀河を二分する男性軍と女性軍の戦いに「ヴァンドレッド」を
出してたけど、液状型生命体=男、人間型生命体=女のイメージで
やったガルフォースも似てるよね。つか脚本が同じ富田祐弘だし。

確かに1984年は2月にうる星2、4月にナウシカ、夏休みにマクロス劇場版と
濃いラインナップだったよなぁ…やっぱり1984年はヴィンテージイヤーだ。
当時、私はアンチマクロスだったので本編は意地のように見なかったし、
実際今と違って終わってしまった放映作品を見る術は再放送を見るか
今以上にバカ高かったビデオを買うしかなかったから、いくら見たくても
見られないというものもあったんだけど、でも「当時見ておけば」とも
思わないかな。今だからこそ「レトロな名作」として楽しめるとも思う。

ただマクロスを知らない世代がこれをいきなり見るのは難しいだろうけど、
マクロスが放映されていた時代や熱狂的ブームをナマで知っているがゆえに
ハードルが低く、半年とはいえ再放送があったというのはありがたかった。
実に面白くて楽しくて、そして何よりあの頃を感じる懐かしい作品だった。

(2008/5/5記)
FREEDOM SEVEN(前編)2008/5/14 視聴メディア*YAHOO動画

前回無事に月に到達したものの、出迎えたカズマの表情は硬く、
捕らえられたアオとタケルは下着姿で独房に隔離される事に。
食事がカップヌードルって…いや、でも今物価が跳ね上がって
FREEDOMが始まった頃は安けりゃ68円で買える事もあったカップ
ヌードルも、ナニゲに気軽には食べられない高級食に…とほほ…

でもこんな状況でも明るく前向きなアオと違って、タケルはすっかり
落ち込みムード。迎えに来たカズマは再会を喜ぶどころかエデンの
管制官となっており、あんなに嫌っていた「楽園の退屈」を守る
仕事に就いている…それが何より意外でありショックだったようだ。

一方医療施設に収容されているアランに面会に来たのは我らがタイラ!
タイラ〜、久しぶり!やっぱ私が一番会いたかったのはタイラだな。
どうやら先だって突然現れた宇宙船にはタケルが乗っていたらしい。
となれば地球帰りのアイツに当然会いに行かなければ…

タイラも2年前には当然カズマと一緒に捕らえられたんだろうけど、
再教育施設を逃げ出したのかその前に脱獄したのかはわからないけど、
いまやいっぱしの「反乱分子」として当局に厳重マークされるほどに
なっているそうだ。最初はステレオタイプのただのイヤミなライバル
キャラなのかと思ったのに、実は友情に厚いすごくいいヤツだよなぁ。

だからタケルの独房の見張りもタイラの仲間で(最初矯正されたのかと
思ったけど)、それぞれが結託してせっかくタケルを逃がそうとしたのに、
そんな事とは露知らないタケルはアオに励まされて元気を取り戻し、
彼らをぶっ飛ばして逃げてしまう。せっかくの心づくしも水の泡だ。

このエデンの退屈を守る事が今の自分の仕事…
カズマにとって異端視され、監視され続ける2年間は長すぎたのか、
当局は真面目に働くカズマの事をかなり信頼しているようだった。
でもカズマ自身も妹(ああ、いたなぁ…)の写真を見つめていたので
完全に管理局の仕事が正しいと信じてやっているわけではないのかも。

「誰だ、バカッ!」「よっ!」

再会は多脚メカに追われる途中で突然に…ってアブねーよ!
逃げ切れず捕まったアオを救おうと潜伏していたタケルは、
騒ぎが起きたと知って行動を開始したタイラと合流する。
アオを助けるんだとゴネるタケルだけど、まずは態勢を整える事、
そしてアランが待っていると告げられてしぶしぶアジトへやってくる。
そこに待っていたのは再会の喜びとおやっさんの改造した三輪ビークル。

今回はさすが最終章だけあって、これまで時々出てきては
そのままになっていた「フリーダム」が何なのかが明かされた。
それは元々地球から脱出した人々が、火星に移住するために
持ち出した数々の「遺産」を乗せた船だった。そこには地球上には
今はもういなくなった植動物の種がデータとして保存されている。

人類が居住するには過酷な惑星である火星をテラフォーミングして
移住しようとした人類の叡智が詰まったフリーダムが、見事甦り
環境が整っている地球を甦らせるに足る事は誰の眼にも明らか…

地球は、エデンにとってはもう振り返りたくない過去なのですか…?

残念ながら今回の配信では分断されてしまったアオの言葉が惜しい。
地球の人々が、自分たちは彼らを見捨ててしまったと悔恨の思いを
抱きながら見上げていた月で、あなたたちは生き抜き、こうして
見事な文明社会を築いているのに、地球人を信用せず、エデンの
技術が悪用される事ばかりを心配している。隣人として認めず、
だからこそ真実は隠されて「地球は死の星」であると教えている…

いや、でも、それもわかるよ?

地球を荒れ果てた星にしてしまったのが人類だという事は明白な事実で、
だからこそ大気のない月に逃げ、1歩間違えばすぐに人類が滅亡の危機に
貧する危険性は高くて(こういう閉鎖空間では環境が制御されてる分、
新型ウィルスの発生とか予想だにしない新種の奇病とかが怖いだろうね)
それを紙一重でかわしながらやっとここまできて、それがいまや文明とは
無縁の、荒れ果てた地で這いつくばって生きる地球人に秩序を乱されたり
技術や資源の奪い合いが起きたら…と危惧するのは絶対無理ないよね。

逃げ遂せたタケルとタイラを追う命令を下すカズマ。
そんなカズマの背に向かって名前を呼ぶアランの声が哀しい。

(2008/5/15記)
FREEDOM SEVEN(後編)2008/5/15 視聴メディア*YAHOO動画

「地球は元気です!」

地球へ向かうフリーダムの元へ向かって走り出したものの、
タケルはタイラと別れてアオとアランを助けだす道を選ぶ。
タイラは何言ってんだと怒りつつも再会を約束して送り出した後、
カズマや最高司令官と対峙して真実を明かすよう、地球との関係を
修復し、よき隣人となるよう呼びかけるアオの映像をエデンに流す。
やっぱタイラはいい。タイラの行動が一番面白くてかつわかりやすい。

ここはよく考えればこれまで明かされたことのない真実が大々的に
発表された劇的なシーンのはずなんだけど、さほどエデンの人々の
反応がなくてちょっと拍子抜け。それだけ情報統制がしっかりしてて
何かしらのフィクションとしか思えなかったってのもあるだろうけど…

かつての公団責任者だったアランもまた、既に時代は新しいフェイズに
移行したと訴える。地球は復活し、月の少年は地球の少女に会いに行った。
彼ら若い世代の時代に、古い価値観を押し付けることはよくないのだと。

う〜ん、でも私はエデンの統制された安全で清潔な社会の方がいいと
思うので、どうしてもワイルド万歳、ナチュラル最高!とは思えんのだ。
自分がスタミナやバイタリティのない人間だからこそなんだろうけどさ。

結果的には当局の信頼を勝ち得ていたカズマが、アオを再教育施設に
連行するという名目でタケルの元に届けてくれたんだけど、その前に
次々と飛び立っていくフリーダムのロケットエンジンと宇宙をバックに
男の子同士で意地と意地の殴り合い…ってのはベタ過ぎるっちゅーの!

ただカズマの心情がちょっとわかりづらかったかな。
カズマは本当はタケルの帰還を信じて待っていたらしいけど、
その間、ここで自分が成すべき事をしようと思ったのだとか。
ビス曰く「カズマは真面目だから」ということなので、それは
本気だったのかもしれない。妹を人質にとられていたのかなと
思ったけど、どうなんだろう?そういう表現は別になかったからね。

そうなると同じくタケルの帰還を信じながら、いつかタケルが
帰って来た時に力になれるように(そして実際大きな力になった)
水面下で網を張っていたタイラと仲間たちの方がすごいんじゃないか?
カズマにはやっぱりタケルが帰ってきた時(=恐らくは異端者として
捕らえられる)のため、敢えて泥をかぶりながら真実を探っていたとか、
体制側にいた事へのもうちょっと強い正当な動機が欲しかった気もする。

アランと出会った思い出の場所でもある最後のフリーダムに乗り込もうと
走り出したタイラやカズマ、アオたちの後ろでタケルは再び歩を止める…
それにしても今回このパターンが多すぎないか?最初はタイラと会った時、
二度目はアオを助けると言った時、そして今と3回も同じパターンじゃん!

このまま自分が地球へ行ってしまえば、エデンはまた何事もなかったように
日々を繰り返し、地球に関心を持つ事もない。隣人に気づかず、顧みない。
それじゃいけない気がする…自分がすべき事は今地球へ行く事じゃない。

戸惑うタイラやカズマをよそに、またまたアオはタケルの思いを汲んで
地球で待ってるねと背を押す。私も残ると言われるよりはいいけどさ…

最後のフリーダムを見送って、タケルは捕らえに来た警備兵に最下層へ
連行される。ずっと咳き込みがちだったアランの弱った姿を見、タケルが
司令官に向かって放った言葉は…なぜ真実を隠すのかという、既にアオが
語った内容だったのでちょっと拍子抜け。だってタケルが話すのはもっと
地球の人たちを信じろとかもう全部アオが言った事ばっかりなんだもん。

タケルならではの切り口で語ってくれなくちゃ…アオが村の事を話すなら
タケルはやっぱり長い旅のことでしょう。初めて見た海や地平線、動物の
群れ、助けてもらった人や、受け入れてくれた人の事をもっと語るべきだ。

地球について語るタケルの声を聞きながらアランは旅立っていく。
既に余命いくばくもなかったアランが最期に見たものは、若い希望と
未来への遺産の継承。司令官の心が動いたのかどうかわからないまま、
彼はおまえに未来を託したこの男の名を忘れるなとおごそかに言う。

う〜ん、一体時間もないのにタケルは何をするんだろうと思ったら、
フリーダムお得意のタイムワープがおきてしまったよ!!
しかも前の2年では目をつぶった事が今回も起きたのでもうダメだ。

なんで誰も成長しないの〜!?

2年経ったって事は、タケルたちには4年の月日が流れてるんだぜ!?
村の伝説どおり、叡智を運んできたフリーダムのおかげで豊かに実った
畑で刈入れをするタイラたちも、ビークルを走らせるビスとカズマも
トラックを運転するアオも、何よりガキが全然成長してないじゃないか!

彼らが追っているのは空から急速に落ちてきた飛行物体。
早過ぎる!と焦るカズマとムチャだよ〜と嘆くビス、そして彼らより
先にトラックを止めたアオが見たのは燃え上がる月から来た「それ」
けれど乗っていた人物はフワフワとパラシュートでご帰還。

「また、迎えに来たぜ!」

えええええ?これで終わり?
タケルがエデンで何をしてきてどう変わったのかが全くわからないまま、
どうやら両者を繋ぐ架け橋は渡されたらしいけど…なんとも腑に落ちない。

うーん、かなり長い時間をかけて見てきてこれかぁ…うーん…
3話までは怒涛のスピード感で面白かったし、4話は地球に来てさてこれから
どうなるのかなという期待感もあったけど、5話あたりから「ん?」と思い、
6話になると「んん?」という感じになって、そしてラストは「え〜?」だ。

ホントは、タケルが見つけた地球からの手紙もすごく時間が経ってて、
あの写真の女の子は既におばあちゃんになっていてその孫とタケルが
出会う…なんて展開なのかも、と考えたりもしてたんだけどね。

それにラストはアンナマリーが男らしく成長したビスとの子を抱いてる
くらいでもよかったと思うのに、全員ガキのままだもん、ビックリだよ。
OVA制作だけあって作画は全く崩れなかったけど、4年間成長しないなんて
実は連中はアンドロイドやロボットだったんじゃないのか。だから動きが
カクカクしてたんだろう。アランは死んだんじゃなくてエネルギー切れだ。

配信はしないといわれてた作品を配信してくれたのは嬉しいけど、
結果がこれだとちょっと満足と言うわけにはいかないかなぁ…
1話から3話の疾走感はすごくよかったし面白かっただけに残念。

何はともあれスタッフ、キャストの皆さん、長い間お疲れ様でした!

(2008/5/15記)
秘密結社鷹の爪 The Movie 〜総統は二度死ぬ〜2008/5/23 視聴メディア*テレビ朝日

「そうなんだよね〜、わしらちゃんとやれば敵ナシなんだけどな」

2006年春のダークホース中のダークホース「THE FROGMAN SHOW」劇場版。
特に爆笑ネタ満載だった「秘密結社鷹の爪」はそもそも一本15分なので
劇場版も細かい話を繋げたネタアニメだろうと思っており、しかしそれで
一時間も二時間ももたせる事ができるんだろうかと思っていたのだけど、
フタを開けてみればどうしてどうして、しっかりストーリーを盛り込み、
それ以上にヤバげなネタやギャグを仕込んだエンタメ映画になっていた。

コフィーちゃんはTVの方でも最終回くらいしか見なかったのだけど、
今回の桶狭間の戦いは今川義元の首が偶然飛んじゃったあたりで
爆笑してしまい、なんだかんだで最後まで楽しんで見てしまった。
桶狭間が二箇所あるってのは本当なのかと思ったら本当らしい…

そして吉田くんのアナウンスと共にいよいよ鷹の爪が上映開始。
アンケートボタンは劇場で見てたらきっと私は騙されてたな。
告白タイムってなんだよと爆笑。離婚しそうな夫婦が鷹の爪を
観に来る事は地球がひっくり返ってもないと思うんだけども。

タダほど高いものはないとマックやTSUTAYAや楽天などスポンサーを
タイアップ登場させて自虐的におちょくりまくる中、この幸せを世界中の
子供たちが共有できる日は来るのかと考える総統はやはり悪じゃないよな。

一方、一般人ならデラックスボンバーで一緒に吹き飛ばすところだけど
首脳陣だからそれはできないなーとか、パンツ一丁でヘラヘラしている
デラックスファイターのクソヤローッぷりは健在だった。
そもそも銀行の融資を受けに行った鷹の爪団に旅行代たかってるもんなぁ…

今回、酔っ払いファイターに代わって総統の天敵は大家さん。
人工呼吸と称して舌を入れてくる〜と悶える総統には部屋中転げまわって
笑ってしまった。歯の裏を舐めるなとかマジでキモい!キモ過ぎるんじゃ!
あたしの中の女が目覚めて体の芯が熱くなるとか頼むからやめてぇ!!
あー、ここ劇場で観てたら死んだな。しかも吉田君の言うとおりサブタイは
「二度死ぬ」だからもう一回あると思ってたら案の定だし…そら吐くわ…

最初に約束された告白タイムも差し挟まれ(あんなんで告白できるか!)
しかも総統の生き別れの息子との再会劇も盛り込まれるサービスぶり。
「似てるな岡村と岡本…」のオチにはいかにも気まずい笑いが待っていて
どこまでもツボにはまる。予算減少と共に効果音がフロッグマンの擬音に
なったり背景が手抜きになったり。ピザ食いすぎるとピザになるよ!

店子の所業は大家の責任…このご時世にこんな事を言われるとなんだか
ジェネレイターガウルを思い出す。地球は我々が宇宙から借りている
大切な賃貸物件なんだから、壊したり汚したりしたらいけないなんて
またらしからぬ「いい事言った!」的名台詞なんか織り交ぜやがって…

最後はCGソダイによって6人クローンのおそ松軍団が倒され、結局は
デラックスボンバー寝言バージョンで再生フェンダーミラーを撃破。
感動的な演説を繰り広げた大家さんはともかく、実は何もしなかった
デラックスファイターが地球の英雄扱いなのは…まぁいつもの事だ。

そして冒頭で総統が危惧していたフィリップの命日は本当になってしまい、
老人化光線で墓石になってしまったフィリップにはこれまた衝撃の事実が!
って、えええええええ!?ホントにそうだったの!?

というわけで思った以上にしっかりした作りで、大笑いしながらの1時間半。
普段が賞味10〜11分程度だったのでさすがにちょっと長いかなと思ったけど、
最後のオチまでネタ満載で美味しかった。この笑いがわからない人と私は
笑いのツボがズレてるんだろう。ああ、告白タイムは夢のまた夢…んなモンいらねー

島根県の言われようには苦笑しきり。
でも私は何故か日本で二番目に少ないはずの島根県人とはやけに縁があって、
資格を取るための専門学校でも40人中3人が島根県人だったし、就職先で一番
尊敬できる年配の人も江津の人だったし、今の職場にも松江出身の先輩がいる。
専学で一緒だった3人は松江出身が1人と八束郡出身が2人。うち2人は島根大の
卒業生なので無論知り合い(互いに同じ専学に来るとは思ってなかった)で、
しかもその1人は別のもう1人の友達の妹という島根県人の少なさを象徴するな
狭苦しい関係だったのは笑った。そういえば全員変わった苗字だしなぁ…

あとうちはワイドテレビじゃないせいかネタにもなってた
サイドの予算バーが全然見えなかったのは哀しかったよ…

(2008/5/24 記)
鉄人28号 白昼の残月2008/5/31 視聴メディア*BS2

傷は癒される事はなく、ただ隠される…

2004年4月〜9月まで放映された「今川鉄人」のテーマは、戦争という
狂気の中で作られた鉄人を巡り、「兵器」か「道具」かを問いかけ、
様々な「シキシマでニコポン」な事件を経たのち、鉄人は正太郎が
「大切な仲間」であると認めてくれた事で全てを抱いて溶解される。

情緒溢れるなかなかの佳作に仕上がっていて、当時は今よりもう少し
大人びたレビューサイトが多かったせいか、この作品を扱っていた
ところではかなりよいテキストを読ませてくれたものだった。

今回はスピンアウト的であると同時にTVシリーズの前哨戦ともいうべき
作品で、鉄人と正太郎の前に現れたもう1人の「ショウタロウ」の謎と、
父と息子、「3人のショウタロウ」、戦争の傷跡が絡み物語を編んでいく。

アバンでのまるで弁士が語るような映像から始まり、それがベースとなって
南の島で敗戦を知らずにいた兄「ショウタロウ」の登場に戸惑う正太郎。
彼は鉄人の操縦をするために幼い頃金田博士に引き取られた養子だった。

けれど兄の出現と同時に正太郎は命を狙われるようになる。
2人の息子の財産分与について遺言を公表した弁護士が襲われ、
やがて殺されてしまう。謎の「復員兵」が名乗った名は「残月」
太陽の光に霞み、昼の空にうっすらと浮かぶ白い月の名だった。

この復員兵の正体が意外にもなかなかばれないので、物語はいい感じの
ミステリ仕立てで進んでいく。村雨の兄・竜作とショウタロウが特攻仲間
だったり、兄が生きてるせいか村雨の性格がやけに子供っぽかったりする。

アニメ版では後半、村雨と恋仲になった高見沢さんは村雨一家の仲間に
なっていて、「正太郎コンプレックス、略してショタコンなの!」と
ショタコンの由来エピソードを劇中に入れ込んだりして笑わせてくれた。

物語の軸となるのは金田博士が作った「廃墟弾」
人間や動物の命を奪うことなく、建物を壊して廃墟にしてしまうという
不殺生爆弾だったけれど、ある時事故があり、その大原則が崩れて
多くの傷ついた人を見た博士は自責の念に駆られて廃墟弾を隠した…

って、だからって大東京のあちこちに隠すなよ!
このまま掘り出さずに誤爆でもしたら大被害をこうむるだろー!!!

大体よくよく考えたら大鉄人が廃墟弾を山ほど抱えて日本を守る要塞に
なるって変な話じゃね?だってそこで爆発したら被害はこっちもちだろ。
国境線を接している大陸とか、相手の国土に攻め入って爆発させるなら
ともかく、それこそ国土崩壊・一億総自決になっちゃうじゃないか…

それに命を奪わないからいいってもんでもないしね。
いくら体は元気でも、思い出が詰まった建物が壊されてしまう事で
心が壊れる事はままあること。ものや故郷に未練も固執もない人は
いいけど、世の中にはそういう人ばかりではないわけだからね。

破壊と修復は確かに経済を潤すけれど、これは日本という国が世界に
類を見ないほど勤勉で真面目な民族だったがゆえに、かなり特殊な
復興方法を取ったからであって、普通なら国土が荒廃したらそのまま
復興することすらできずに荒廃にまかせたままという国も少なくない。

鉄人のために親から引き離され、鉄人のために育てられ、鉄人だけが
存在意義の拠り所だったショウタロウにとって、鉄人は人生の全てだった。
でもショウタロウが正太郎を嫉みなかがらも、その気持ちを抑えてなお、
真っ直ぐな気持ちを向けてくる正太郎に弟として愛情を持ち、それゆえに
迷い、思い悩むというのはよかったよ。これがただ「鉄人はもともと
俺のものだ!」と喚くヤツだったら思いいれもできないだろうからね。

それにしても金田博士、管理人さんと隠し部屋で暮らしてたって…
ショウタロウは実は本当の息子だったって…研究バカと思ってたのに、
ロボット以外にちゃっかり息子を2人(しかも腹違い!)も作ってたとはやるなぁ…

まぁ今川の描く博士や学識者はみんな変なヤツばっかだけどな!

手を差し伸べる正太郎に、これは自分のケジメであると静かに言い、
自分のリモコンを壊すショウタロウ。半分がドロドロに融けた鉄人の
最後にショウタロウを見る眼が悲しい。この今川鉄人の鉄人は本当にただの
メカとして(正太郎が初期のようにロボを機械としか扱わないので余計そう
見える)描かれているのに、不思議な事になぜこんなにも人間的なんだろう。

昼の月は、うっすらとしか見えないけれど空にある。

正太郎を見送り、大鉄人と共に虚空へ消えていくショウタロウ。
亡き父と、息子を待ち続け、息子のために命を落とした母「残月」の元へ、

「ただいま帰りました」

と胸を張る姿がなんとも哀しい。

(2008/6/1記)
名探偵ホームズ 青い紅玉2008/7/26 視聴メディア*日本映画専門チャンネル

昭和末期の1984年、風の谷のナウシカと同時上映された「犬ホームズ」

犬のくせにやけに洒脱なホームズ、ワトソン、未亡人のエリソン夫人、
モロアッチ教授がまさに宮崎アニメらしいレトロ・ハイテクなメカで
追いかけっこを繰り広げるアドベンチャーもの。生き生きしたスリの
女の子・ポリィやモロアッチのドジな手下など見てるだけでも楽しい。

後にTVでも放映されたけれど、ホームズが広川太一郎に変わってしまい、
甲高い男性の声が心底苦手な私にはどうにも合わなくて視聴を挫折した。
他にもキーの高い苦手声優としては神谷明、三ツ矢雄二、古川登志夫、
堀川亮、水島裕、古谷徹、千葉繁、石丸博也などがいる。私が70年代から
80年代に主役を張る華だった声優がいかに苦手だったかよくわかる系譜だ。

それ以前にTV版は物語そのものがあまり面白くなかったんだよね。
やはり宮崎監督がほとんど手掛けていなかったからだろうなぁ…

TV版では尺がカットされ、広川版に再アフレコされたこの劇場版は、
コンパクトな物語もキャラクターも実に魅力的に描かれていると思う。

(2008/8/1記)
名探偵ホームズ 海底の財宝2008/7/26 視聴メディア*日本映画専門チャンネル

ナウシカとの同時上映第2作。紅玉が田中真弓、財宝が永井一郎と
ナウシカ後に制作に入るラピュタの出演者が出ているのが楽しい。

魔女宅でも描かれた、空を飛びながら建物の中の人と交流するシーンの
原型ともいえるシーンや、おバカで憎めないモロアッチ教授(大塚周夫の
悪いヤツなんだけどどうにも憎めないおちゃめ声は本当に宝物だと思う)、
双子の強欲な大佐と物騒な提督などキャラ描写も相変わらず。

宮崎アニメはこういうコミカルでクスッと笑ってしまうような
キャラ描写が上手だったよなぁ昔は…

(2008/8/1記)
ゲド戦記2008/7/11 視聴メディア*日本テレビ

あまりよい噂を聞かなかったジブリ制作の宮崎吾朗監督作品だけれど、
確かに非常に評価が難しい…決して悪い作品と斬り捨てる必要はないと
思うんだけど、テーマや結論、そこまでの過程などが何ともわかりづらい。

原作の「ゲド戦記」をしっかり読んで理解していること、「シュナの旅」も
読んでいることが理解するための絶対条件になるのでハードルが高いと思う。
なんでテハヌーが竜になるのかなんてこと、原作知らなきゃわかんないよ!

アレンとゲドが旅をする「さいはての島へ」をベースにしつつ、テナーが
中年女になり、両親に虐待されて焼き殺されかけた幼女テルーが登場する
「帰還」や、テナーの物語である「こわれた腕輪」もミックスされている。
そしてアレンを追う「影」は「影との戦い」で描かれる敵…なのだけど、
アニメでは心が均衡を欠いたため切り離されてしまったアレンの一部、
「光」ということになっている。

岡田准一をはじめ起用した声優陣が落ち着いた声の演技派だったので
なんとか持ちこたえてはいたけれど、物語の進行そのものにも非常に
「?」と思うこともしばしば…アレンがなぜそこまで狂気に駆られて
父を殺すほど自信を失ったのかが全く描かれていないし、ハイタカが
アレンにやけにご執心なのも納得のいく理由が示されない。例えば王と
昔から友人だったとか、魔法で鍛えられた剣を委ねたとか、子供時代の
アレンを知っているとか、何かしら因縁があるのかと思ってたのになぁ。

いきなり出てくるテナーも原作を読んでいないといくら昔からの知り合いと
説明されてもただの知人なのか恋人なのかわからず、2人の関係を知らないと
唐突過ぎて戸惑うだろう(テナーはハイタカが助け出した墓所の巫女で、別の
男性と結婚して幸せな生活を送った後に死に別れ、再びゲドと会って…という
老いらくの恋人キャラ。初老になった童貞のゲドが初体験をした相手でもある)

悪役のクモが男性なのか女性なのかいまひとつわかりづらいのは面白かった。
ドロドロ溶けたり斬られた腕が戻ったりシワシワになったりととにかく1人で
盛り上がってた。というか平坦的でのっぺりした印象の物語の中で、ただ1人
気を吐いていたと言ってもいいかもしれない。壁を後からえっちらおっちら
登ってくるアレンを、たった一つしかない入り口から蹴り落とせばいいのに
それはやらないし、もったいぶってゲドをテナーに突き落とさせようとして
アレンに止められちゃうし…なんだか「やる事なす事お約束のマヌケな悪役」
をやらされてるみたいで可笑しかった。長々とご苦労さんといいたいよ。

原作を切り貼りした雑多な内容のせいで印象が散漫になってしまった上に、
影を生み出した自分との戦いなのか、自分や大切な人の命こそがこの世で
最も尊いのだと言いたいのか、死ぬ事より生きる事の方がずっと難しくて
勇気がいることだと言いたいのか、正直何を一番言いたいのかがわからない。

しかも原作ではアレンはさいはての島への旅から帰還して後、
世界を統治する賢王となるのに、このアレンはどう見ても
「国に帰って責任を取る=父王殺しとして処刑」じゃないか!

さらに世界が均衡を崩したのがなぜなのかも理由が語られることはなく、
ハイタカのこともテナーのこともアレンのこともテルーのことも全部
知り尽くしている人が、相手にこの人はこういう人だと説明する気が
全くないままにダラダラとエピソードだけを語ってるような感じ。
(でもこういう人ってウソみたいだけどいるんだよねぇ現実に…)

偉大な王の下で厳しく育てられ、自信を失って自己をも失ったアレンに、
偉大な父「宮崎駿」を持ってしまった宮崎吾朗が重なって何とも痛々しい。

しかも原作ではアレンに対してまるでオジオンの如く物静かな師としてある
ゲドがやけにアレンに甘く、テナーも得体の知れないアレンをすぐ気に入り、
テルーは攻撃的態度から父殺しの告白で突如信頼を寄せるようになるのも
まるで誰かに丸ごと受け入れてもらいたい、無条件で認められたいという
願望のような気がして、見てる間中なんとも居心地が悪かった。

むしろ普通に素直に「シュナの旅」をアニメ化するか、ゲドの少年期、
「影との戦い」を忠実にアニメ化した方がよかったんじゃないかと思う。

(2008/8/1記)
河童のクゥと夏休み2008/8/17 視聴メディア*キッズステーション

土の中で眠り続けた河童の子供クゥが目覚めると、
そこは河童のいない人間だらけの世界だった…

去年盛んに流れ続けたCMを見るたびに、異形の物であるクゥが
現代に現れたのは一体どうしてなのかと不思議だったけど、
なるほど仮死状態で長い時を超えてきたという事だったのか。

主人公の康一は本当は幼馴染の菊池が好きなのに、仲間に追随して
流され、情けないいじめに加わってしまう。しかもクゥの正体がばれて
事態が深刻になっていくのに、自分の苦しい立場すらもわかっておらず、
全く現実を見ずに鼻歌を歌っている始末。ああ、小学校5〜6年生って
幼稚で単純な男子と大人びて複雑な女子では、もしかしたら人生の中で
男女の実年齢の差が一番開いてるのかもしれないとつくづく思うよ。

そのくせ遠野まで物怖じ一つせず一人旅(康一に聞くときっと
「クゥもいたから」と言うに違いないけど)をしちゃうんだから
男の子の広範な活動領域とバイタリティにはニヤニヤしてしまう。
出発の朝も口やかましくガミガミ言い続けてたお母さんが、実は
息子の著しい成長を一番寂しく思ってるという描写もよかった。

そういう丁寧な描写や「夏休み」と銘打つだけの事はあり、
間をたっぷり取ったひと夏の風景描写は実に秀逸だった。

ただその反面、キャラクターの描写があと1歩という感じで、
感情移入が出来なかった。彼らがあまりにもフツー過ぎて、
例えば父ちゃんの腕を持って逃げ出したクゥを見てもオッサンが
助けてやれよ!といらつくほどポカ〜ンと見てるだけだったり、
オッサンの変わり果てた姿を見ても、康一は泣く母をぼけっと
見てるだけだったりして…いや、まぁ確かに我々のような凡庸で
フツーの人たちならそういう反応するよねきっとと思えば思うほど
イラッときてしまう。もっと早く!もっと感情を表せ!という風に。

夏が過ぎ、クゥの事を隠していた康一を妬んだクラスメイトが康一と
菊池をからかった時、それまでひたすら無抵抗主義を貫いてきた菊池が
反撃に転じる。それにしてもこの時の子供たちの言葉は実に痛烈だ。

菊池の父親が浮気して出て行き、母親も新しい男を連れ込んでいること、
河童なんてエイリアンのようなものだからどんな病原菌を持っているか
知れないこと…子供たちが菊池と康一に浴びせる刃のような言葉は、
彼らの幼稚なおつむで考えられたものじゃない。全て母親の無責任な
噂話であり、康一を自分のコミュニティの一員で「息子の友達」とは
認識していない無情な言葉なのだ。子供はプリミティブな欲望を元に
ケンカをしたり意地悪をする事はあっても、脳味噌のキャパを超える
噂話や悪口はしようがない。だから全て親の言葉だと思っていいのだ。

力の弱い女の子の菊池を突き飛ばすような卑劣な連中を見て、
クゥに教わった相撲の技で挑んだ康一はカッコよかったよ。
一人ぼっちだった事、誰にも言えない親との事などで一杯一杯だった
菊池が泣き出した姿にビビって逃げてしまうのは康一らしかったけど、
まさかその後あんな大人びた行動に出るとは思わなくてちょっと驚いた。

現代の東久留米にクゥが知る土地の面影はなく、遠野にも
河童の姿はない。そこにいた不気味でちょっと可愛い?
座敷童子すら、河童にはもう長い事会っていないという。

河童のいない世界で、クゥは一体どうやって生きていけばいいのか…

このままずっと一緒に暮らせばいいというのは子供の考えで、
大人にもクゥにもそれが無理であることはわかっている。
そんな時、どこからともなく一通のハガキがクゥに届く。

すぐ来い、荷物で送ってもらえ…

それは人からの便りではなかった。それを感じ取ったクゥは別れを告げ、
宅配便のダンボールに詰められて康一の手で隣町へと運ばれていく。
途中、康一は明日引っ越す菊池の家に寄り、クゥを菊池に会わせる。
菊池はとても強い。俺も菊池に酷い事をした…でも、クゥの事を誰より
わかってたのは菊池だった。だから、クゥを菊池に会わせたかったんだ…
3人は明日からは全く別の道を歩んでいくけれど、もしかしたら二度と
会えないかもしれないけれど、きっとこの夏を忘れないだろう。

コンビニで荷物を預けた康一は、クゥが配送車に乗せられるまでじっと
外でしゃがみこんでいた。その間ずっと自分を責め続けている康一の声は
クゥにも聞こえていた。ああ、序盤、のほほんと子供丸出しだった康一も、
クゥとの出会いと別れを通して人の世の温かさと世知辛さを知り、哀しい
オッサンとの別れ、菊池との交流を経ていつの間にか成長していたのか…

ありがとう…父親を眼の前で斬り殺され、右も左もわからない世界で
一人ぼっちを実感しながら、時には落ち込んだり、とてつもなく哀しい
思いをしながらも、常に明るく前向きに振舞っていたクゥは去っていく。

キジムナーの優しいウチナーグチはこの作品最大の救いだろう。
助け出さねばと思ったのよと豪快に優しく笑う彼は、いずれクゥにも人への
化け方を教えてくれるという。そうしたらクゥももっともっと生き易くなる。

明るい太陽が降り注ぐやんばるの美しい川を泳ぎながら、クゥはひと時の
安らぎを得る。もしかしたら人の世に溶け込んで生き残っている河童も
いるかもしれない。いつか探しに行こう…康一たちにも会いに行こう…

それにしてもこの映画、子供が見に行くにしては内容がエグい。
住処を潰さないで欲しいと謙虚に話し合いに来たクゥの父ちゃんは
いきなり斬り殺され、クゥを助けようとしたオッサンは野次馬の車に
撥ねられて死に、そのオッサンは元の飼い主から虐待を受け続けていた
哀しい過去があり、さらに女の子からのいじめが男の子にも派生していた
菊池は無視され、しかも新しい父親とも確執がある事が示唆される。

もちろん主人公の康一も「異端をかくまう者」として無責任な好奇の目に
さらされ続け、それが「違うものを排斥する」心を呼び起こさせてしまい
クラスメイトからいじめにも似た仕打ちを受けるようになってしまう。
(そういうダークな面にひるむのはむしろ大人の方なのかもしれないけど)

それに何といっても長い…
2時間超えはアニメ映画ではちょっと長すぎるよ!
もちろんどのエピソードも削れないという事はわかるし、父ちゃんの腕を
持ってきた武士の子孫の民俗学者さんはアフターエピソードもあったのに
削られてしまったそうなので尻切れっぽく退場してしまったのだけど、
う〜ん、やっぱりもうちょっとコンパクトでもいいかなぁ…

声優さんはココリコの田中(糸井重里や立花隆よりはずっとうまい)を
初めタレントや俳優メイン。お母さんはずっと違和感があったんだけど、
彼らが「普通」である事を思うとそんな素人っぽさがある方がいいのかも。
突然現れたクゥをライバル視し、だけど最後にはクゥとの別れが辛くて
わんわん泣いちゃったひーちゃんはコハナちゃん前の松元環季ちゃん。
とりあえずクゥの冨澤風斗はルルーシュのV.V.よりよかった。

(2008/8/19記)
安達が原2008/10/5 視聴メディア*アニマックス

陸奥(みちのく)の 安達が原の黒塚に 鬼籠もれりと 言ふはまことか

手塚治虫が安達が原を元にこんなSFを描いていた事は知らなかったし、
まさかアニメになってるとは思いもせずちょっとビックリしたけど、
「黒塚」直前放送スペシャル(2008.9.30放映)を見ていたところ、
これもアニマックスで放映すると紹介されたので見てみた。

鬼婆とか人食いなどのモチーフは昔話によく登場する話なのでともかく、
スペシャルを見たおかげで「安達が原」がどんな話なのかよくわかり、
そのおかげでこの話の元ネタを調べるまでもなくわかっている流れに
なってたのはよかった。とはいえ今はネットで調べればすぐわかるので
本当に便利だけどね。昔は図書館に行って調べなきゃダメだったからなぁ…

SF的な肉付けで手塚治虫らしいレトロSFに仕上がっている。
冷凍睡眠で流刑地を往復することになった革命家・ジェスが戻った地球は
60年以上の月日が経っていた。彼は自らが目指しながらも眠っている間に
果たされた革命によって誕生した新大統領の命を受け、各地に分散した
反乱分子を駆逐する任務につき、多くの反逆者を殺してまわっていた。

ある日、彼はある辺鄙な星で1人の老婆に出会う。
彼女のもてなしを受けたジェスは、老婆がここを尋ねる旅人を殺して
喰らう鬼婆であると見抜き、その証拠に多くの白骨死体を見つけ出す。

けれど追い詰めた老婆が聞きたがったのはジェス自身の身の上だった。
逮捕され、結婚の約束をした娘を置いて流刑された彼が、かつての情熱を忘れ、
人々を弾圧する大統領の手先となって人々を苦しめる片棒を担いでいることを
指摘する老婆。そして目の前にいるその老婆こそが、彼が「きみはなぜ人々の
ために戦わないのだ」と非難した愛する彼女、アンニーである事を知る…

人々のために戦っていた愛するジェスの言葉どおり、人々を苦しめる新たな
政権に反抗して立ち上がったアンニーは、長い日々を待ち続けて年老い、
反乱者を狩りに来る暗殺者を殺して喰らう鬼婆と成り果てていた。

そして冷凍睡眠から目覚めたジェスは真実を見ようともせず、盲目的に
信じた偽りの言葉にだまされてその手を血で汚す悪鬼と成り果てた。

彼女の懇願どおりアンニーを撃ち殺したジェスは、彼女が残した食べ物を
今度こそ毒消しをかけずに食べ、その味がかつて好んだ味だったと知る…

姫を思うあまり鬼婆になり、しまいにはそれと知らずに実の娘を殺してしまう
岩手の話を、大胆にも男女の物語にアレンジし、さらには女を哀しい鬼婆に、
男はそれ以上のやるせない悪鬼に仕立てるこの手塚手法は見事と言えると思う。
物語ではただ殺されるだけの実の娘をそこまで変えて膨らませたかと感心する。

長過ぎる年月と失われた若さや情熱、そして折れてしまった心と
曇りきった瞳は、いつしか人を鬼に変えるものなのだろうか。
鳴り響いた銃声は全てを終わらせ、辺境の星にはただ風が吹きすさぶ。

(2008/10/6記)
鉄コン筋クリート2008/10/5 視聴メディア*ムービープラス

「クロのないところのネジ、シロが持ってる…シロが全部持ってる!」

松本大洋の絵柄を受け入れられるか否かで8割方評価が決まりそうな映画。
作画は繊細で細かく、白黒に味のある彼の絵柄に、少しくすんだような
独特の昭和テイストの色合いはなかなか似合っていると言えなくもない。

シロやクロが街を飛び回るシーンは、宮崎アニメのようなふわぁっという
飛翔感よりは、重力に従って加速しながら落下してくるような重量感があり、
だからこそ2人がケガひとつせずにドカッと着地する時の衝撃が伝わってくる。

ごった煮のような宝町を飛び回る浮浪児で、「猫」と呼ばれるシロとクロ、
その町を再開発のために掃除しようとする「鼠」をはじめとするヤクザたち、
シロとクロを温かく見守るホームレスのじっちゃ、そして藤村や沢田たちが
それぞれ繰り広げる事件が何層にもなって物語を紡いでいく。

見終わって一番に思ったのは、これはニノと蒼井優が声をやってなければ
松本大洋のファン以外はまず誰も評価しないだろうなという思いだったね。
そういう意味ではネームバリューのある俳優ばかりを使ったのは大正解だ。
うまいとかヘタではなく(ニノは特によかったし)、作画以外ではそれしか
ないんだもん、松本ファンじゃない一般人が見て褒められるところがさ。

特に後半のあれはヒド過ぎるよ!わけがわからないよ!

シロを失ったクロが心のバランスを欠き、チンピラを粛清するのはともかく、
人形を抱えてさまよい歩いたり、「イタチ」という伝説の鬼ガキ(実際は
クロの心の闇の部分らしいが)が出てきてからの平口くんの内的宇宙ノ図」
みたいなドロドロねちゃねちゃした地獄絵図はサッパリ意味不明すぎるよ。
この部分、あまりにも長いもんだからイラついて早送りしちゃったよ。

前半はまだよその町から宝町を制覇しようとやってきた2人組とクロの
ケンカや、アパッチのチョコラたちのイザコザや、掃除をまかされた
木村とのゴタゴタは結構面白かったんだけど、殺し屋の蛇がやってきて
変な殺人ロボ?みたいなのを投入したあたりから話がどんどん暗く陰湿に
なっちゃってさぁ。ってかシロ死ぬだろあれ!生きてるってのは無理だろ!

後半でよかったところを探すとしたら、木村が鈴木を殺すところとか、
シロを引き取って警察で保護しながら面倒を見るうちに、自称・不感症の
東大卒の刑事沢田が、人間的に成長して優しくなったことくらいかなぁ。

公開当時はあれだけCMがバンバン流れて特番も組まれてたのに、聞こえてくる
評判といえば「絵がきれい」とか「動きがいい」なんてそんなんばっかりで、
物語に触れる人がほとんどいないのは変だなぁと思ってたんだけど、見て納得。
これは松本大洋ファンの人以外にはちょっと受け入れられにくいと思うよ。

三丁目の夕日も、あの独特の(正直言うとデッサンが崩れすぎて気味が悪い)絵柄で
アニメ化するより(以前アニメ化しているのにその話題はほとんど封殺されてたしなぁ)
実写で大胆にアレンジする事で成功したので、もしかしてこれも実写の方が
よかったかも…いや、でも子供が暴力を振るうシーンが多いから無理だな。
そもそも1歩間違えば変に陳腐なB級特撮作品にもなっちゃうだろうしね。
結局アニメ化が無難にしても、それにしてもなぁ…これはちょっとなぁ…

う〜ん、松本大洋が苦手というだけで見ないというのはちょっといかんかなと
思って見たんだけど、それ以前に物語そのものにかなり苦しいものがあったよ。

ホント、低い声の二宮はすごくよかったよ。
蒼井はオーバーアクトではあるけど、やや知能に問題があるシロだからと思えば
耐えられる。木村を演じたモデル出身の伊勢谷友介が意外にも掘り出し物かも。
あとアジカンの主題歌がいい。これがなければ見ようとは思わなかったろう。

(2008/10/6記)
茄子 アンダルシアの夏2008/11/1 視聴メディア*チャンネルNECO

前々から見たいと思っていたけど、なかなかチャンスに恵まれなかった作品。

自転車のロードレースは見たこともないし興味も全然ないのだけれど、
この作品を見てると、体力はもちろんだけど、それ以上に戦略的要素が
モノをいい、しかも距離も日程もやたら長くてひたすら過酷という、
いかにもヨーロッパ人が好きそうなスポーツだなーと思ったよ。

風除けの隊列とか、暗黙のローテーションとか、集団を走る選手たちの様子や、
コーチと戦略を話し合う様子など、アニメならではの見せ方で見せてくれるので
とても面白かった。もちろん自転車の疾走感は気持ちよくて、カーブ前に一瞬
逆方向に膨らんですーっと戻ったり、クッションの置いてある縁石ギリギリに
傾斜して曲がっていく様子などもとても細かく表現されてて感心したよ。

そんなレースを中心に描きながら、ちょうどその日は自分の兄が、
あろうことか自分の元カノと結婚するという人生最悪の日だから
たまったもんじゃない。兄の口から語られるペペと自分の人生は、
大好きな自転車と美女・カルメンを巡る「争奪戦」でもあった。

非常に高い作画力でリアルな自転車レースを描きながら、一方で魅力的な
キャラクターたちの背景や人となりが語られていくという高度に完成された
物語だし、短い時間の中でギルモアやザメンホフ、軍隊のように統一された
Pフォンを率いるベザルなど、個性的な選手たちも見事にキャラ立ちしてる。
しかも時間も45分そこそこという短さなのでとても気楽に楽しんで見られた。

猫の飛び出しでレースのペースがひどく乱れ、ラストスパートは文字通り
団子状態に。しかしこの時の各人の必死な顔のすさまじい表情ときたら!
果たして百年の恋も一秒で冷めそうな顔で、栄光のゴールを掴んだのは誰か…
それにしてもいくら正確を期するとはいえ、検査員がモロチンガン見状態で
あんな風に排泄行為に及ばねばならないとは何たる屈辱だよ…ってかやだよ絶対!

クールダウンを兼ねて少し流すペペの横につける車は、アマではペペ以上の
成績を残した兄アンヘルと、元カノであり、現在はアンヘルの新妻である
カルメン。そこにあるのはまごう事なき勝利の誇らしさと、敗北の苦さ。
かつて恋人を奪われた悔しさに唇を噛んだ場所で、ペペは再び走り出す。

ペペを演じるのは少しトボけた声の大泉洋、脇を固める筧利夫や小池栄子も
抑え目の演技で、うるさくもなくクドくもなく、ほどほどに大人の渋味を
感じさせてよかったよ。うん、そうだ、本当に大人の味がする作品だ。
何しろ似合うのは「ワインと茄子のアサディジョ漬け」らしいから。

それにしてもアンダルシアの、湿気がほとんどない焼けるような暑さ、
抜けるような青空、オリーブの深い緑が土に映える逃げ場のない荒野、
でも砂漠のように人の気配がないわけではない事が感じられてよかった。
ホント、アンダルシアは暑い…肌が「焼ける」どころか「焦げる」わ絶対…

(2008/11/2記)
茄子 スーツケースの渡り鳥2008/11/1 視聴メディア*チャンネルNECO

続けて放映された「茄子 アンダルシアの夏」の続編。

こちらはなんと日本でのレースが舞台となり、ついに解散する事になった
パオパオチームのメンバーにとっては、残り少ない見せ場となった模様。
ちなみに前作で大コケリタイヤしたギルモアは、敵のチームに移籍していた。

前作とは違い、今作は前半部分が日本での練習風景を背景に、チームメイトの
チョッチの友である名選手マルコの自殺、日本でのサポートメンバーひかると
チームのメンバーの交流、チーム・ゴルチンコに籍を置き、ラストでは引退を
考えていた事が判明する名選手のザンコーニについて丁寧に語られていく。

オーラを持つ選手と持たない選手は違う…
少なくとも俺にはない。だからレースはもうやめようと思う。
チョッチは自分の限界を悟って、父の会社を継ぐことを決めていた。

そしてそのオーラは残念ながらペペにもない。
囮になってアタックしても、誰からも警戒されないほど実績を残していない
ペペにも、オーラの力はない。チョッチはやけにズバリと引導を渡しちゃう。

そう、ほとんどがレースシーンだった前作に比べると、
丁寧すぎてちょっと眠くなってしまうほどに…

もちろん飽きたとかつまらないとかいう事ではないんだけど、今回も
ずっとロードレースなのかなと思ってたので意表を突かれたというか。

レースは土砂降りの中で行われ、まるで滝のように道路を流れる水を見て、
俺たちは鮭じゃないんだぜと愚痴をこぼすペペスペインにも鮭はいるのね
ペペはメガネをかけてる分、雨だと視界不良で大変だろうな。

天候の悪さ、しまいにはガスって来た上に道路には川のような水溜りまででき、
ペペは一瞬の油断で転倒してしまう。先頭集団からやや遅れた位置で団子に
なっている集団に、もはや残っているのはスプリンターのチョッチだけ。

ペペはチョッチをサポートするため、コケた時にケツの部分が
破れたサイクルウェアも何のその、花も恥らうお年頃のひかるに、
文字通りケツを叩かれて押されて先頭を目指す!

あれだけの遅れを取り戻したペペもすごいけど、今回のウィナーはチョッチ。
相変わらず鼻水と風圧でものすごい表情でのラストスパートだったなぁ。

それにしてもザンコーニのスパートと残り一周を残してのガッツポーズには
ホント、騙されたわ!直前に「残り2周」と言われてたのに、ザンコーニの
パフォーマンスが派手だったのでうっかり「あれ?最後の一周だったっけ?」
と思っちゃったじゃないか!あれじゃチョッチの勝利がかすんじゃうよなぁ。

作画は相変わらず良好で、レースにはスピード感と疾走感が生きている。
今回は俳優ではなく声優で固めてたけど、こちらもこちらで安定してていい。
ペペとひかるに何かありそうでなかったのもリアルでよかったな。
いい年した大人がお手軽に異国の人と恋愛に落ちてしまっては困るもん。
そうそう、ペペも茄子の「アザディジョ漬け」ならぬ「浅漬け」を食べたし。

「勝利」を噛み締めたチョッチと、「オーラ」の存在を認めたペペ。
身の振り方はまた考えるとして、せっかくの優勝が「ザンコーニ引退」に
かすんじゃったのはお気の毒…話題負けしない選手になるまで道は遠い。

ところでなぜか前作ではアンダルシア地方にいたはずのエルナンデスと
フランキーが、宇都宮の寺の住職と寺小僧をやっている不思議………はて?

(2008/11/2記)
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