O.V.A 4
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O.V.A


タイムボカン王道復古#1「チキチキ・ウゴウゴ・ホゲホゲマシーン猛レース」
タイムボカン王道復古#2「ヤッターマン タツノッコン王国で同窓会だコロン」

新SOS大東京探検隊

秒速5センチメートル「桜花抄」 / 「コスモナウト」 / 「秒速5センチメートル」

ルパン三世VS名探偵コナン / ルパン三世 ルパンVS複製人間  / 川の光

BLOOD THE LAST VAMPIRE / 怪童丸 / 銀色の髪のアギト

ガンバとカワウソの冒険 / 東京オンリーピック / ジャングル大帝

走れメロス / クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ アッパレ!戦国大合戦

装甲騎兵ボトムズ ペールゼンファイルズ 劇場版 / 装甲騎兵ボトムズ 赫奕たる異端

機動戦士ガンダム MS IGLOO −1年戦争秘録−
第1話「大蛇はルウムに消えた」 / 第2話「遠吠えは落日に染まった」  / 第3話「軌道上に幻影は疾る」

機動戦士ガンダム MS IGLOO −黙示録0079−
第1話「ジャブロー上空に海原を見た」 / 第2話「光芒の峠を越えろ」  / 第3話「雷鳴に魂は還る」

からくりの君 / スプリガン

クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲 / アジール・セッション

ユンカース・カム・ヒア

タイムボカン王道復古
#1「チキチキ・ウゴウゴ・ホゲホゲマシーン猛レース」
2009/3/6 視聴メディア*チャンネルNECO

ヤッターマンの実写映画公開に合わせてなぜか放映されている古いOVA。
相変わらずチャンネルNECOってばやることがマニアックだこと…

各タイムボカンシリーズの悪玉一味がOVA化を賭けてレースをする。
優勝の最右翼はやっぱり人気も視聴率も取りまくったヤッターマンの
ドロンボー一味だろうと思うのだが、なぜか今回ボヤッキーがいない。
ドロンジョとトンズラーが迎えに行っても、今は愛するおハナちゃんと
結婚して蕎麦屋を営むボヤッキーには悪の道は遠い過去のものなのだ…

とはいえ脱落していくのが初めはイタダキマン、続いてヤットデタマンと
イッパツマンとなれば「これ明らかに視聴率順じゃねーか」と笑える。
イタダキマンなんかまさかの打ち切りだったもんなぁ…見なかったけど。
せっかくイッパツマンがシリアス路線で面白かったのに制作陣ってのは
本当にバカじゃねぇかと思ったものだ。子供をバカにするもんじゃない。

続いて女ボスの顔メカで参戦のオジャママンが脱落。
私、実はアターシャは髪形といいちょっと可愛いと思ってたんだよね。
ヒカルと変なミュージカルをやったりしてナナがヤキモチ妬いたりしてたな。

そうなると次はアクダマンかなと思ったらマージョたちが邪魔したために
ドロンボーがコケ、ついでにマージョたちは自滅、その隙にアクダマンが
抜け出すという展開に。ボヤッキーが駆けつけたもののメカは既に大破。

しかしあたしたちにはあれがある!といつもドクロベェ様のお仕置きを
受ける時に使っていた3チャリが大活躍。見事優勝を勝ち取る、というもの。

他愛もないストーリーなんだけど、出てる声優が三悪と富山敬といつまで
経っても棒読みのままだった歌手・山本正之とその他少数ってのがすごい。
タイムボカン・ヤッターマン世代にはさぞや懐かしいんだろうね…というか、
こういうのがテレビで流れると「懐かしいでしょ?好きだったんでしょ?」
とミソもクソも一緒くたに言われそうだけど、大人びたストーリーものが
好きだった私は正直このノリはあんまり好きじゃなかったんだよなぁ…

他に見るものがないから見てただけ。とはいえゼンダマンくらいまでは
全話見て、オタスケマンは再放送で見て、ヤットデタマンは見てなくて
イッパツマンは後半は毎回見てた。イタダキマンは1話を見てやめた。

結構見てるじゃんと言われてもそれは仕様です…じゃなくて世代です。

(2009/3/10記)
タイムボカン王道復古
#2「ヤッターマン タツノッコン王国で同窓会だコロン」
2009/3/6 視聴メディア*チャンネルNECO

めでたく勝利したドロンボー一味が主役のOVA…のはずだけど、
結果的にはガッチャマンと破裏拳ポリマーに持ってかれた感じ。
実は私もタツノコ作品では破裏拳ポリマーだけは見てないんだよねぇ…
キャシャーンもテッカマンも全話とは言わないが一応見てるんだけどねぇ。

ガンちゃんとアイちゃんが新婚ラブラブバカッポーになってるのも見所。
ガンちゃんの声を当てた大田淑子は当時から嫌いだが、やはり男の声は無理。
反対にアイちゃんは年相応になると異常に色っぽいので困ったもんである。
杉山加寿子、小原乃梨子は共にハリウッド美人女優のアテレコで有名だが、
ナニゲにあまり吹替えをしない岡本茉利は今で言うエロボイスだと思う。

めちゃくちゃ格好よく食い逃げしていくガッチャマンたちに笑い、
ジュンとケンの痴話げんかに笑い、破裏拳ポリマーの余計な茶々に
爆笑した。美少女戦士セーラームーンをもじったセーラームンムンとか
やりたい放題だと思うの。ロリコンダーが成長しきるとオバンバーとか
ホント、この時代くらいまでがギリギリじゃねぇかと思うの、ホントに。

「美少女」「パンチラ」「メカ」を出しときゃいいんって大人の事情過ぎ!
でもそう思うと今は視聴層はどんどん高齢化してるのに、見てる人間の質は
低脳化してるので、「ロリ巨乳」とか「ツンデレ」とか「ユリ」のように
オタクのニーズも幅広く変態化してるから、制作陣も大変だろうな。

そして最後は結局ドクロベェならぬトグロベェのおしおきを受けた三悪は
再び解散し元の人生へ戻っていく。ドロンジョ様はいまや5人の子持ちとか。
子供を5人も産んでそのセクシーボディラインはご立派!さすがドロンジョさま!!

(2009/3/10記)
新SOS大東京探検隊2009/3/9 視聴メディア*NHK-BS2

うーん…キャラクターが全っ然可愛くない…

チャットで知り合ったガキどもが、東京の地下に眠るとされる旧日本軍の
軍資金を探して歩く冒険物。徳川埋蔵金ならともかく(それもチラッと出てはきたけど)
旧日本軍ってのが「昭和は遠くなりにけり」だなぁ…
ガキどもには昭和ももう江戸時代くらい遠いのかもね。

とはいえガキの冒険譚は意外と短くて、旧日本軍の生き残りの爺さんに
追いかけられたり、「酸性雨」というHNの女の子と合流したりしつつ、
やがて地上には適応できない怪しげな人々が集う地下都市に辿り着く。

しかし大友克洋はこういう小汚い世界に住む人たちが好きだよねぇ。
というか押井守などの団塊世代って学生運動に傾倒した世代のせいか
ヤーさんとかホームレスとか「社会から逸脱した人間」が好きだよね。
自分が歯車から逃げられなかったからそういうもんに憧れるのかもね。

爺さんが守っていた日本軍の宝というのは戦車だった。
戦車で丸の内線に突っ込んでいく爺さん。誰か止めなさい。

最初から最後までとにかくキャラクターが可愛くないのでゲンナリ。
お話も…キャラクターが可愛くないと楽しめなかったのでゲンナリ。

(2009/3/10記)
秒速5センチメートルa chain of short stories about their distance
「桜花抄」
2009/3/9 視聴メディア*NHK-BS2

秒速5センチメートル。桜の花びらが落ちる速さなんだって…

「桜花抄」「コスモナウト」「秒速5センチメートル」の3篇で構成されている
オムニバス。主人公は遠野貴樹で、彼が中学生、高校生、社会人へと成長する
過程の中で、たった一人の女性を思い続けている純粋さを描いた胸キュンもの。
ただの胸キュンものなら濁りきった眼を持つ私ならけちょんけちょんにけなす
ところだが、この作品のラストは現実という大きな波に飲み込まれて消えた
淡い初恋の残滓を見せつけられるのでなんとも苦くせつない思いが残る。

なんでもかんでもハッピーエンドにしてくれなきゃヤダヤダ!と
駄々る「鬱展開アンチ」のバカものどもにはいい薬だったろう。

小学校の卒業と同時に栃木へ引っ越して行った篠原明里と文通を続ける貴樹。
今はどうなのか知らんけど、小6くらいじゃまだ女の子と2人っきりでまともに
お喋りができるような大人っぽい男の子はそうそう出現しないと思うなぁ…
まぁ貴樹はそのレア中のレアケースだったと思わなくはないけど。

そんな他愛もない手紙のやり取りが続いたものの、やがて貴樹は鹿児島へ
引っ越す事になる。今度は簡単には会えなくなるね…栃木と東京でさえ
子供の距離感では遠すぎるのに、日本の最果てに行ったら会えなくなる。
貴樹は明里に会いに行くための計画を立て、それを実行する。

会いに行くなら土曜日とか日曜日にすればいいのになんで平日を選ぶかね…
運悪く雪模様のその日、列車は遅れに遅れて約束の時間を4時間オーバー。
雪が降ってるのにドアの傍に立つ貴樹がドアを閉めないので、あれじゃ
車内は寒いだろうと思ってたら、座ってたおじさんがボタンを押してた。
首都圏の電車は全自動なので都会っ子ほど手動ドアを知らんのです。

途中で何日もかけて書き上げた手紙を失くしてしまったり、空腹と不安で
泣きそうになったりしながらも、寒い待合室で自分を待っていた明里の姿に
ほっと心がゆるむ…夢物語だからいいけど、駅員さんは連絡くらいしないと。

雪の中で交わす初めてのキス。
想いが重なり、永遠を手に入れたと感じ、2人はこの気持ちがこの先も
ずっとずっと続くと思っていた。果てしない人生が横たわっていても、
いつかこの想いが報われ、一緒にいられる日が来ると思っていた…

その想いは、やがてはかなく散る。

(2009/3/10記)
秒速5センチメートルa chain of short stories about their distance
「コスモナウト」
2009/3/9 視聴メディア*NHK-BS2

高校三年生になった貴樹に憧れる澄田花苗は、最近波に乗れなくなった。
進路を決めようとしても、未来は果てしなさ過ぎて考えも及ばない。
可能性が無限にあるがゆえに、刹那ばかりを気にしてしまう。

貴樹は時折携帯を見つめ、誰かにメールを打っている。
絶対東京に彼女いるよ…意地悪なクラスメイトにからかわれながらも
彼女が望みを捨てられないのは、貴樹のズルさが彼女を絡め取るから。

「一緒に帰らない?」

そう言って誘えば、澄田が断らない事を知っている。
たとえ断られても「別にそう(彼女)いうんじゃないよ」と流せるからだ。
それにしてもバイクで一緒に帰るってなんともマヌケな姿だよな。
田舎ではあれがデートみたいなもんなのかしら。

いつも遠くを見ているような貴樹を好きになって丸5年も告白せずにいるとは
気の長い話だこと。しかもその想いは結局何一つ報われる事はなく、貴樹は
東京の大学を受験するという。自分を見ていない彼の本心を知った彼女は
ただただ彼を想って眠るより他はなかった…というガングロ娘の失恋オチ。

でもホント、貴樹も貴樹なんだよね。
彼女が自分に気がある事を知りながら、めんどくさい事は引き受けないよう
ガードしてるんだ。澄田がもっと積極的だったら落ちたかもしれないけど、
この時の貴樹は東京に戻る事で頭が一杯だったと思うので余裕なかったかも。

そして、既にこの時点で明里との連絡は途絶えていた。

(2009/3/10記)
秒速5センチメートルa chain of short stories about their distance
「秒速5センチメートル」
2009/3/9 視聴メディア*NHK-BS2

ラストは物語というよりはこれまでの総まとめとも言うべき2人の未来の姿。
来週式を挙げると晴れやかな表情の明里と、何かに追われるように仕事に
打ち込み、恋人との仲も進展せず、結局疲れきって会社を辞めた貴樹。

3年間つき合って、1000回もメールのやり取りをしても、あなたとの距離は
1センチも縮まらなかったような気がする…別れた恋人からのメールは心を
抉るけれど、それが相手を思いやってのものではないとわかる分ムカつく。

今振り返ったら、あの人も振り返っているような気がする…

踏み切りを渡り終わった時、貴樹は思わず振り返る。
線路の向こうの女性も振り返ったと思われた瞬間、電車が2人の間を裂く。

山崎まさよしの「One more time, One more chance」をBGMに過去の映像、
今まで見たこともない映像(東京へ旅立つ貴樹とそれを見送る澄田とか)が
ザッピングされたように流れていく。積もった時間が心の奥底に澱となって
沈んでいる。初恋の残滓が彼の気持ちを蝕み、傷つけ、錆びさせてしまった。

ところでこの作品、まさか男連中は「貴樹は純粋。昔好きになった女の子を
一途に思い続け、それが彼の心を1歩も進めない状態にしてしまっている。
なのに女は薄情。さっさと次の男を見つけて昔の事を忘れ去り、目先の
幸せを追い求めている。最低だ!」なんて言ってんじゃないだろうね!?

貴樹は澄田に対しても恋人に対してもズルいんだよ。
大体ホントに純情を貫くなら女とは一切係わらず、それこそ彼女一筋で
いてみろっての。つまみ食いしてみたら味が違ったと言ってるだけだろ!

それはそれ、これはこれって分けてる時点で別に純情でも一途でもねぇよ!
むしろちゃっかりしてんなぁ、おいって感じ。つき合ってみたけど明里ほど
しっくりこない、みたいな感じじゃん。自分からちゃんと相手に合わせたり
比べるのをやめたりしたのかね。澄田はアホの1つ覚えのように「優しい」と
彼の事を評価していたようだけど、「自分に優しい」の間違いだろアイツ。

一方で明里が幸せそうにしてるからってそれを責めるのは理不尽だろう。
むしろこの作品のあざとい点は貴樹が幸せを掴めていない結末にある。
だったら澄田とくっつけよーと澄田ファンは思うだろうけど、この作品では
きっと澄田ももう結婚しているに違いないよ。南国娘は成熟が早いからさ。

電車は行き過ぎたけれど、そこに振り返ったあの人はいない。
彼の孤独は埋まらず、痛みは消えず、再び前に歩き出すだけだ。

この作品はどう転んでも男は孤独なんだよ、きっと。
初恋の人を忘れられず、過去に囚われて1歩も動けずなんて結末は
ちゃんちゃらおかしいぜ。むしろチャンスがあったのに生かさず、
澄田も彼女も結局傷つけたんだから自業自得だ。いい気味だよ。
(スマン、結局けちょんけちょんレビューになってしまった…)

(2009/3/10記)
ルパン三世VS名探偵コナン2009/3/27 視聴メディア*NTV

意外にも最後まで十分楽しめた娯楽コラボレーション。
はじめに聞いた時は作品の毛色が違う、キャラが違う、声優の年齢が違うと
「えー?もうなりふり構わずだな」と眉根をひそめたけど、見てみたらこれが
アラびっくり、思った以上に両方の世界観が溶け合っていい効果をあげていた。

ルパンが国際派なので外国で起きた殺人事件を解決することになること
(ルパンはヴェスパニアの国宝である王冠を盗もうとしてたんだけど)、
王女様が蘭ちゃんのソックリさんなのでお約束の入れ替えモノであること、
王位継承に絡む陰謀というカリ城好きルパンファンにとっての王道物語、
さらにそれぞれの特徴あるアクションなどサービスが盛りだくさんだった。

オープニング・エンディングはルパンサイド、物語はややコナンに比重が
置かれたけどおいしいところはルパンが持っていき、最後にはコナンを救う
粋な演出もなされてて双方のファンもこれなら納得できるんじゃないかな。

ルパンファンがアダルト、コナンファンがキッズ系のせいか「ドロボーは
ダメなんだよ!」と諭すシーンが多くてウザかったけど、最後のコナンの
ピンチを救うシーンでルパンサイドは溜飲を下げたんじゃないだろうか。
色気とは縁がなくなりつつあった不二子ちゃんがまさかのオチをつける
ちょっぴりエロい終わり方にも笑ってしまった。なかなかやるなぁ。

謎は女王様はともかく王子様は間単に殺されすぎだろーと思ったけど、
まぁ王女様が王位を継ぐ決意をするまでが見所なのでそのへんはいいでしょ。
公爵が黒幕と思わせて緑川の伯爵が実は本命の黒幕ではないかと思ってたけど、
そうじゃなかった分最後は王女様とのロマンスを匂わせてもよかったのでは?

次元がヴェスパニアの警備兵から「先生」と呼ばれてたりコナンと組んで
親子探偵だったりと意外な活躍を見せながら、一方で一番の見せ場である
早撃ちがないのはどうなのと思ったけど、最近のルパンはそうなのかしら。
(五右衛門の出番がないのはきっといつものことだろうから仕方がないな)

神谷明がやってみせた「ルパン喋り」など声優の見せ所も多かった反面、
やっぱりレギュラー陣の「老いっぷり」はひどいねぇ…銭形なんかもはや
別人じゃないか。不二子も増山さんはもともと舌足らずがウリだったので
年をとってさらに滑舌が悪くなった感が強くてはらはらしたし、小林清志は
ナレーターでは衰えを見せないと思うけど演技となるとやっぱり老いたねぇ…

前々からのそんな不満はともかく、思った以上に面白くてビックリしたよ。
ホント、見てて楽しかった(でもだからって味を占めてダラダラ続けるのはやめた方がいいと思うよ)

(2009/3/29記)
ルパン三世 ルパンVS複製人間2009/6/19 視聴メディア*NTV

実は大昔のTV放映時にサラッと見たくらいでしっかり見たことはないので視聴。
マンネリ気味と噂の近年のTVシリーズよりは無論よく練りこまれていて面白い。
不二子が唯一無二のお色気抜群のヒロインとして機能してるのも珍しいし、
銭形のとっつぁんもまだまだ滑舌もよく元気に走り回ってて嬉しい限り。

何より1万年前からクローン技術を使ってコピーを作り、生き永らえてきたと
言っているマモーにスマートな理論と泥臭いど根性で挑むルパンが見もの。
ルパンはおちゃらけてるけど天才的頭脳を持っているというツボを抑えてる。

一番の難点はクローンの思考や人格や記憶はどうすんだということなんだが、
それはさすがに明かされず、ただしクローンを作ったところでテロメアが短く、
さらには染色体のすべてが完璧にコピーされるわけでもないため自然粗悪品が
量産されてしまうという事実もチラホラと。試験管ベビーやバイテクで遺伝子
組換植物などが作られ始めた70年代末の最先端テクノロジーを取り入れて、
エンタメとして面白おかしく描いたことは評価に値すると思う。

民放放映なので時間調節もあるし表現がヤバそうな部分はカットしてあり、
なんだかうまく繋がらないところもしばしば。ルパンが見たと言ったけど
われわれはそんなもん見てないよとかね。でも乳首ボタンはまんまだったな。

敵を倒したものの斬鉄剣の先端が折れたと同時に心が折れた五ェ門や、
マモーに挑むのは自殺行為とルパンを止めようとした次元もよかった。
毎度毎度不二子にだまされては窮地に陥るルパンをなんだかんだで
見捨てられない連中はいつ見てもなんとも可愛いじゃないか♪

ちょっと大人っぽいけどさすがはルパン、なかなか面白い内容だったよ。

(2009/6/21記)
川の光2009/6/20 視聴メディア*NHK総合

NHKが組んだエコ特集の中で放映された優等生アニメ。
クマネズミの親子が住処である川を追われて安住の地を見つけるまでの冒険譚。

まぁ冒険譚のキモはピンチに出会う事なので色々なピンチが訪れるんだけど、
そのたびに犬・はぐれドブネズミ・ネコと普通ネズミを助けたりしない動物が
助け手として現れる。図書館に住む哲学的なドブネズミとか、魚しか食べない
猫とか関わるキャラはちょっと変わり者が多く、助けられてばかりいた親子は
一回だけ川に落ちたスズメの子を助けたものの、最後は結局同じクマネズミに
助けてもらった。あのまま死んじゃったらそれはそれですごいと思ったけど
さすがに環境PRものなのでそんな事はなかったのでな〜んだという感じ。

まぁ可愛い動物ものに言ってもしょうがないけど、ホント、どのエピソードも
可もなく不可もなく、安住の地を見つけ出して兄弟が大きくなっても所詮は
兄弟なので、夫婦になって子供ができたとかいう物語的なまとめもなかった。

そもそも厳しい事を言わせてもらうとエコにはほとんど関係なかったと思う。
護岸工事でネズミが住処を追われてもね…やっぱここは希少な野生動物とか
だったらともかくね…エコの啓蒙というより、ネズミを都市に撒き散らす
ことにもなる困った事象の例示という感じがしちゃったよ。それに工事を
しないと昨今流行の?ゲリラ豪雨でとんでもない被害が出るんだろうしさ。

ところでこの作品を見て「グリックの冒険」を思い出した。
普通は「ガンバの冒険」かもしれないけど、そのガンバシリーズの外伝とも
言うべき作品で、人に育てられたシマリスのグリックが自由な鳩ピッポーや
ガンバと出会い、彼らドブネズミとクマネズミの戦いに巻き込まれたりしつつ
足の悪いのんのんと共に北の森を目指すとても面白い愛と勇気の冒険譚である。
私はむしろ先行作品の「ガンバの冒険」より先にこっちを読んでしまったので、
そこで「冒険野郎ガンバが活躍する別の物語もあるらしい」と知ったものだ。

なんというか…うん、ホント、「可もなく不可もなく」だったんだよなぁ…

(2009/6/21記)
BLOOD THE LAST VAMPIRE2009/6/28 視聴メディア*アニマックス

う〜ん…なんだこれは…

今は懐かしい「BLOOD+」の元となった作品ということで、日本刀を持った
小夜という少女が、翼手と呼ばれる吸血鬼をバッサバッサとなぎ倒す話。
血がビチャビチャ飛び散るので凄惨だけど、あまりに飛び散りすぎるので
もはやギャグと化したスプラッタホラーにみたいになっていた。

黒電話が鳴り響くところから、時代は1960年代。
人々の中に紛れ込み、人間を餌として食らう吸血鬼を狩る小夜はデヴィッド曰く
「オリジナル」なのだそう。BLOOD+の小夜と違うのは、翼手は彼女の血によって
死に至るのではなく、大量の血を一度に流すことで死ぬので銃ではダメだとか。

謎や設定ばかりが無駄に積み上がっていき、肝心な人物の描写や掘り下げが
ちっとも行われず、もちろん謎も伏線も投げっぱなしで終わった「BLOOD+」も
相当酷い作品だったが、こちらも相当わけがわからない作品だった。
「BLOOD+」を見たのでおおよその推測ができたり、似たようなシーンを
見つけたりもできたが、結局小夜が一体何者でなぜデヴィッドたちに協力して
翼手を殺して歩いているのかとか、なぜ神に祈るとブチ切れるのかとか、
人間を殺せないのはなぜかとか、相変わらずわからない事だらけ。
そしてわからないまま終わるのも同じ。

大体謎を投げかけながら明かさないというのはそこここに「続編への欲望」が
見え隠れしててイヤらしいよな。それならフツーに土6で冷酷非情で無表情な
殺し屋の小夜を、たとえばバタ臭すぎるキャラを変えたり、性格をもうちょい
TV向けにアレンジして主人公にすればよかったんじゃないか。いや、むしろ
主人公にしないまでも、「陰陽大戦記」のヤクモみたいに、ヘタレダメ女の
「BLOOD+」の小夜を導く凛々しい小夜として出してもよかったんじゃないか。

1時間というのは集中力は途切れなくていいのだが、今度は短すぎて物語が
全くまとまりきっていない。保健室を狩場にしていた女の子たちはともかく、
オカマはいきなりすぎてドン引き。しかもめっちゃあっけないよやられるの。
だってわざわざ飛んだんだから、あそこから空中戦とか地上への急降下とか
もっと派手なバトルが繰り広げられると思うじゃないか!あっけねーよ!!

助けられるのが太った保健室のオバはんというのも全然楽しくない。
そこはビジュアル的に美少女とか美少年とかじゃアカンかったのかね!
つーか何が怖いってオバハンの驚いた顔が意外とリアルで怖いんだもん。
人間カンヌキ(グログロ〜)のドアをジープでぶち破るのはオバハンすげー

ものすごい尻切れトンボで、ああ、あの後小夜たちはベトナムへ飛んだのか…
というのは「BLOOD+」冒頭がベトナムだったので推測できるけど腑に落ちん。
作画は丁寧なんだけど、あの分厚い唇のキャラデザは好みが分かれるところ。
小夜が刃こぼれした日本刀の代わりを補充してもらえなくて、古美術商の店で
物欲しそうに見ていた日本刀を跡で奪った時は「え、それニセモノちゃう?」
と思ったら案の定フェイクだったのが笑えた。日本では銃や日本刀や幅広の
ナイフを許可なく持ち歩いていると銃刀法違反になるのよ小夜ちゃん。

シリーズ化されてればそれなりに謎も解けていったのかもしれないけど…
返す返すもせっかく再起のチャンスを捕まえたのに全く生かせないままだった
「BLOOD+」のろくでもなさはアカンと思うそれでも私はエウレカよりずっとマシと思ってるけどね!

(2009/6/30記)
怪童丸2009/6/28 視聴メディア*アニマックス

しかしIGは頼光四天王好きだなー

まるっきり「お伽草子」じゃねーか!と叫ぶも、こちらの方が先らしい。
キャラデザも田島昭宇。この人の絵はつくづくアニメには向いてないと思う…
しかも「お伽草子」では頼光と卜部が女だったけど、こっちは坂田金時が
女という破天荒ぶり。つか物語的にも女である意味が全然なかったと思う。

「お伽草子」では貞光がストレートロング、綱はむくつけき大男だったので
こっちもそうかと思ったら綱っぽいのが貞光で、隻眼のストレートロングが
綱だった。まぁ荊木の腕を切り落とした綱の身のこなしは格好よかったけど。

敵はその荊木を従える桜丹姫という人らしいんだけど、この人がやってる事が
イマイチよくわからんのだ。死んだ藤原の人間を子供を依り代に蘇らせたり、
女である金時に言い寄ったり…いや、女が言い寄るなら男でいいじゃん!!
むしろ実りもしないし色気のある話も皆無だったんだから頼光との恋愛話は
いらなかったじゃん!それすなわち金時が女である必要がないって事じゃん!

最後は清明含めて全滅だし、一体何が言いたかったのだこの作品は…
(卜部は生き残ってたっけ?でももともと何の活躍もしてなかったけど)
綱の最期も「え、これで終わり?」というあっけなさだったし、貞光も
操られて結果的に頼光と刺し違えたって事でいいんだろうか?つーかもう
また見返して確かめるのもめんどくさいよ。だからこれでいいや、もう。

ホント、お伽草子も「なんじゃこりゃ」だったけど、ヒネくれたオタクが
多そうなIGにヒネくれたものを作らせるとほとんど意味がわからんなー。
何しろあのヒネくれの権化みたいな押井の本拠地だもんな。うん、ムリ。

あと馬の首や足をあんな風に斬るのは人間の手足がふっ飛ぶより不快だ!

(2009/6/30記)
銀色の髪のアギト2009/7/12 視聴メディア*アニマックス

多分「あらしのよるに」を観に行った頃に劇場版CMを見た覚えがある。
内容は先年のGONZO作品青の6号チックだったりナウシカチックだったり
ラピュタチックだったりコナンチックだったり…アギトが戻ってくるのは
後年のGONZO作品ブレイブストーリーチックだったりもする、まさしく

GONZOのGONZOによるGONZOのためのGONZOアニメだった。

一言で言えば「いつも通り腑に落ちないまま終わる」って感じなんだが。

もうこれはGONZOのお家芸なんだろうな。うーんうーん…あ、やっと終わった、
けどなんかよくわからんし物語やキャラクターの動向が腑に落ちないなぁ…
GONZOのアニメを見ているといつもこんな感じ。(感じなかったのは巌窟王くらい)

遺伝子操作されて俄然アグレッシヴになり、人間には不可欠な水を供給する
「持てる者」としてのアドバンテージを持った森に支配された世界で暮らす
アギトは、ある日地下で眠っていたトゥーラという少女を目覚めさせる。
彼女は文明が崩壊する前の世界(300年前)を知る生き残りなんだけど、
どこか冷めた性格なのかなにかが欠如してるのか、世界の惨状(のように
見えるわけよどうしたって我々には)を見てもあまり驚く風でもない。

そもそも「銀色の髪のアギト」というからアギトは銀髪だろうと思ったら
赤毛でビックリ。なんでも銀髪の人間は「強化体」という森の力を操れる
戦士らしく、パワーも体の強度も格段に上がるものの、力を使いすぎると
木になってしまうという諸刃の剣。トゥーラ同様5年前に眠りから目覚めた
シュナックもまた強化体となったが、森と共存しようとする風の谷中立都市
を捨て、森を武力で焼き払おうとするトルメキアラグナへ行ってしまった。

父の研究によって世界を蘇らせようと誘うムスカシュナックの甘言に
乗ったトゥーラを取り戻すためアギトが強化体になるんだけど、別に
試練があるでもなく、あんなにヨルダに対して猜疑心&敵対心を見せた
森の人?が、アギトにはアッサリ力を渡すのがよくわからなかったなぁ。

トゥーラは父がなぜ自分で作った装置のスイッチを押さなかったのかを
確かめたいみたいなことを言ってたのにそれについては結局語られず、
しかもアギトの父も昔の文明を懐かしむなというような事を言ってたが、
結論は推察に頼るのみですっきりとは回収されなかったので消化不良。
あと軍事国家の存在意義もイマイチ。突如中立国家に攻め入ってきたとか、
何か主人公と絡むアクションがないとねぇ…お得意のCG戦だけじゃねぇ…

細かいところが荒くて目に余るのは脚本の練りこみが足りないのかなぁ。
たとえばアギトがトゥーラにあんなに執着する理由もいまひとつだし…
むしろ一目惚れして純粋さゆえに「決めた!トゥーラを嫁さんにする!」
くらいの事を宣言する自由奔放な自然児でもよかったんじゃないか?

まぁそうなるとミンカが気の毒だが…つかミンカとカインを兄妹にしちゃ
ダメじゃないか!見事なまでに「フラレ兄妹」になっちゃったじゃないか!
あとこの二人の父親で強化体のハジャンは町を守るために溶岩の塊をぶん殴り、
その時サングラスだけが落ちてきて割れるという「推定死亡」状態だったのに
ちゃっかり生きててずっこけた。空回りしてて決まらない親子だなぁ…

あのラバンというチョーカーになったり携帯電話になったりモニタや
タッチ操作やGPSみたいな使い方もできる便利メカは面白そうだった。

トゥーラ役の宮崎あおいは「きゃー」がとことん棒読みで笑ってしまい、
勝地涼は全編に渡って「とぅ〜らぁ〜!」と叫んでるのしか印象にない。
シュナックを演じた遠藤憲一がめちゃくちゃ低くてシブシブな声だったけど、
この人、松尾監督の怪作「RED GARDEN」の予告ナレだったのね。あれも超シブかった

物語もキャラもイマイチなので、一番印象に残るのはKOKIAの歌かも。
魂をかき乱すようなフォルクローレ調のOPと、クールダウンを誘うEDと。
物語が面白ければそれを盛り上げるスパイスとなったろう印象的な歌だ。

とにかく良くも悪くもひたすらGONZO的な作品だった。
ただこうして見るとブレイブ・ストーリーは随分一般に向けてアピールされた
作品だったと思う。やっぱGONZOはあれをもう一度丁寧にアニメ化すべきでは?

(2009/7/16記)
ガンバとカワウソの冒険2009/8/13 視聴メディア*チャンネルNECO

絶滅寸前のカワウソと出会ったガンバと仲間たちが、襲い掛かる野犬たちと
戦いながら彼らが住める「最後の清流」を目指して冒険を繰り広げる物語。
キャラクターもキャストもTV版と同じだけどスタッフは一新されているとか。

原作は妹が持っているのだが読みそびれたまま大分経つ。
当時もカワウソは発見されておらず、自然破壊に警鐘を鳴らす作品として
ラストは決してハッピーエンドとはいえないらしいけれど、アニメとの
乖離はどれくらいあるんだろう。あのカワウソの楽園はあるんだろうか。

原作だと個性的な仲間が15匹もいるのでにぎやかなのだが、さすがに
そんなに出せないため合体やリストラがなされたアニメではやはり
イカサマが贔屓されている。まぁ勇気あるガンバと学者とはまた違う
生きた知識を持つ頭脳派のイカサマは名コンビなので無理はないけど。

ウキクサという裏切り者が、彼らが逃げる先逃げる先から野犬たちに
居場所を教えてるんだけど、最後の最後に野犬を裏切ってカワウソを
守って戦い、その傷が元で死んでしまうんだよね。彼は犬たちに家族を
人質にとられていたためにやむなく仲間を売っていたらしいんだけど、
裏切るならもうちょっと早く裏切ろうや!判断が遅いんだよ!

実際は1時間20分ほどで終わる短い映画なんだけど、見てる間中
やたら長く感じたのは内容が濃いからか、それともブラックの
あまりのしつこさにウンザリしたからだろうか。しつこいことしつこいこと!

カワウソ姉弟が三石琴乃と折笠愛、ブラックは大塚明夫が演じてて、
キマグレを演じた井上瑤やガクシャの富山敬もまだ存命していた。
制作は90年代に入っていたのになんとも70年代風の味がするのは、
制作スタッフのアニメ版へのリスペクトなのかもしれない。

(2009/8/13記)
東京オンリーピック2009/8/30 視聴メディア*アニマックス

オリンピックならぬ「世界オンリーワンを決める」おバカ競技大会
「2008東京オンリーピック」の模様を実況するオムニバス映画。
開会式に始まり数々の競技が登場するのだけど、アニメあり実写あり
クリーチャーありで、制作クリエイターの力量による各作品の差が激しい。

「スキージャンプペア」の真島理一郎が元締めなのだが、茂木淳一がナレを
務める開会式や競技はちょっと笑ってしまった。ドバトダンスに始まった
開会式で「テーマは、大気汚染」としみじみ言われて笑い、その後選手入場で
国旗に押し出されて落下する選手には爆笑。「ようこそ!」じゃねーよ!!

まさかのエガちゃん登場にもビックリ(私、江頭結構好きなんだよねー)
文字通り燃えさかるキャンドルリレーでプールに走りこむ選手が涙を誘う。
競歩燃えすぎ。ってか「この炎、熱いけれど安全です」って安全ちゃうわ!

私が面白いと思ったのはもっとおどろどろしさを前面に打ち出し続ければ
よかったのにと思いつつ発想の勝利「ヘルマラソン」、あまりの過激さに
クレームがくるんじゃないかと思った「男子親離れ」、一般家庭を舞台に
チマチマした迷惑競技を繰り広げ、なぜか最後には家族の絆を結んでしまう
「ホームアスロン」、そして閉会式の「男女ペアマラソン」くらいかなぁ。

ちなみに全作品中3作品は外国のアニメーションが混ざっているのだが、
これはちと問題外に面白くなかった…やっぱコンセプトだけじゃダメだよ。
劇場公開版では実写版もあったようだけど、今回はアニマックスだったせいか
アニメ中心。それでもどうだろう…こういう実験的アニメの中では面白いのは
やっぱり一握りだよね…見てて「ショート DE アニメ魂」を思い出したよ。

(2009/9/2記)
ジャングル大帝2009/9/5 視聴メディア*フジテレビ

企画を聞いた時はまず、「一体何をトチ狂った谷口!?」と思ったけど、
ゆったりと始まるスロースタート、中盤のスピード感、そして終盤のちょっと
グダってしまった展開までもが「あー、谷口演出だなぁ…」と思わせた。

とにかく天下の手塚治虫作品なんだから、完璧に「健全なアダルト」と
「優良チルドレン」をターゲットにしてるのがわかる分、いつもの谷口の
猛毒が感じられなくて寂しい。もしこれがコアなアニメファンに向けての
アニメなら、大山健造をもっとキモくて不気味な存在に描くんだろうと思う。

ジャングル大帝はあの苦くて悲しいラストを迎える原作がとても好きな反面、
再放送でかなり見てるとは思うけれど、いい子ちゃん過ぎるレオが鼻につき、
太田淑子のカン高い声が嫌いなのでアニメの方は正直あまり好きではない。

そんなジャングル大帝を鈴木おさむと谷口悟朗の異色タッグでどうアレンジ
するのだろうと思ったけれど、環境汚染により絶滅しかけた動物を閉じ込めて
管理するネオ・ジャングル、クローン技術で生命を創り出して弄ぶ人の驕りと
傲慢さ、少年とライオンの友情、偉大な父を超えて成長していく王道物語と
古さと新しさを融合させて、非常に健全なエンタメ作品に仕上がったと思う。

声を当てた俳優たちもやはりうまいと思う。
私はダメ絶対音感を持ってはいるが決して声オタではなく、声優も俳優も
うまければよし・合っていればよしという考えなので今回も悪くなかった。
母ライオンのエライザを演じた松嶋菜々子が思ったよりよかったし、パンジャの
時任三郎は可もなく不可もなくだったと思うが、何より悲劇の黒豹・トトを
演じた船越栄一郎がすばらしかった。彼の潔いラストは泣けたじゃないか!

主役のレオは、旧作より丸っこくてかわゆい。
負けず嫌いだけど臆病という性格から、旧作アニメでのヒーローっぽさは
やや減ったものの、その分愛らしさは倍増「動物の言葉がわかる」という
超能力はちょっとなぁと思った主役の賢一も、ちゃんと現代風のデザインで
かわいいので、ビジュアル的にはアニメにするとどうしても古臭さが抜けない
手塚キャラでも、こうすればまだまだイケるんじゃないかと思う。(NHKの青い
ブリンクの時点で「手塚アニメの時代はもう終わりだよ」と思ったものだった)

手塚治虫も何度も語っているように、基本ライオンはジャングルにはいないので
ジャングルジャングル言われると違和感があるけど、こればかりは仕方がない。
レオといえばテレビ探偵団にゲストで出た手塚治虫先生ご本人が、ライオンズの
ロゴはレオではなくてパンジャだとバラし、三宅が「じゃあ本当はレオ軍団じゃ
なくてパンジャ軍団なんですね!?」と言って爆笑を誘った事が印象に残る。

動物たちがレオに導かれて向かった新天地に幸せが待っているとは思えない。
「食べ物は十分あるかしら」とくぎゅバードが心配してたけど、環境破壊が
進んだがゆえに彼らを保護したんだから生活は酷いものになるに違いない。
まぁぶっちゃけレオたちには暗澹たる未来しかないんだよね…原作のように
賢一が大人になってくればまた何かが変わるかもしれないけど…どうかねぇ。

あと変態呼ばわりされるかもしれんけどたてがみをなびかせるパンジャに
やけに色気があって出てくるたびにドキドキしたわ。なんだあの色気は!
しかも最期まで格好いいし。ライオンのくせにけしからん!(むしろライオンだからか)

しかし何より一番ニヤニヤしたのは、こうしてガラにもない作品を引き受けて
人脈を育てつつ、成功を収めることで製作側やスポンサーに監督としての力を
認めさせようとする谷口の燃える野心がそこここに見え隠れする事だったね。
ホント、早く夢がかなって自分自身の映画が作れるといいですなぁ監督。

(2009/9/9記)
走れメロス2009/9/12 視聴メディア*日本映画専門チャンネル

公開時は完全にアニメ離れしていおり、知っているアニメといえばメジャーな
「セーラームーン」くらいという「脱オタク期」だったので、こんな映画が
あったことすらも知らなかった。中森明菜が声優って…ある意味貴重だ…

ところが1時間40分程度のこの作品、見終わってみれば確かにメロスは友達の
セリヌンティウスのためにシラクサに帰り、まさに処刑されんとする彼を救う。
そもそもセリヌンティウスがメロスの昔からの親友ではなくシラクサでたまたま
知り合った呑んべぇの石工だったり、オリジナルキャラがバンバン出まくったり
色々と脚色されているのだが、まぁ一応大筋は「メロス」と思える………かな?

そもそも少し足の悪いセリヌンティウスが曲者で、実は養父だった石工の父に
憎まれ殺されかけたという真実を知ってすっかりヘタれまくり、酒びたりで
石にも触れず、そんな想いを吐露した相手もあろうことか自分を殺そうとする
王だったりと、まさしく主役張りの脚光を浴びている。こ、これはまさしく
我らがながいけん閣下がお描きになったスーパーダークパロディストーリーの
「走れセリヌンティウス」も真っ青の「ブライト版走れセリヌンティウス」
(そもそも「セリヌンティウス」などという覚えにくいわ忘れやすいわの
名前をいまだにスラスラ言えるのはまさにながい閣下の作品のおかげである)

だってこの作品のメロスはひどいんだもん。
暴虐を振るう王に怒りを覚えるどころか、ぬぼーっとしてすっとろくてマヌケ。
死刑宣告されるのも儀式用に買った剣が本物だったからというお粗末さだし。
しかも道中ときたらオリジナルキャラや見張り役の人に助けられてばっかりで、
「走れメロス」の醍醐味でもあり、太宰嫌いにはウンザリする太宰お得意の
「もう逃げてしまおうか」「なぜこんな辛い思いをせねばならんのか」という
葛藤に次ぐ葛藤の「内的宇宙ノ図」が飛び交うシーンもほとんどないんだよ。
(そのへんの心理的葛藤は全部セリヌンティウスが持ってったって感じ)

一方では王も少しだけ掘り下げられてて、メロスを殺せと部下に命じた王妃とは
逆に見張りをつけて見守れと命じ、邪魔をする者、逆に助ける者も排除させて
自分の力だけで戻ってくるようにと仕向け、無論戻ってこない方に賭けている。
セリヌンティウスの告白におろおろするのもなんとなく可愛げがあったので、
最後は原作どおり改心してもよかったかも…ちなみに演じたのは小林昭二氏。
一瞬有本欽隆氏っぽいかなと思ったんだけど、ところどころのセリフを声優ほど
器用にはこなしてなかったので恐らく俳優だろうと思ったらおやっさんだった。

あと太宰はきっとそこまで考えてなかったんじゃないかと思うけど、かなり
念入りに時代考証したのではないかと思われるアニメならではの描写が面白い。
活気のある街の様子、職業、結婚式、死刑、宮殿の中の様子などがきめ細かく
描写されている。妹がスッポンポンでベッドから起き出したのはビックリしたが
中世ヨーロッパでは庶民は裸で寝るのが当たり前だったというから、もしかして
ギリシア時代も裸で寝てたのか…いや、まぁ普通に初夜だったからだろうけど。

大体の人が「走れメロス」を読むのは子供の頃や若い頃だと思うのだが
私も無論例外ではなく、太宰治という男が女と心中ばっかりしてたとか
メソメソぐだぐだ自分を卑下しながらも自尊心の塊みたいな野郎だったと
曇った目で見る前のことであるから、こんな時代に遠い遠いギリシアを
舞台にした物語を書くなんてすごいなぁ…くらいしか思わなかった。

が、今見ると田舎から出てきて独りよがりの正義感に燃え、はた迷惑な
行動で周囲を巻き込み、鬱々しながらも信頼と正義だけを武器に勝利を
勝ち取ってヒーローになるというメロスには薄笑いしか浮かばんのよね。
勇者のフルチンマラソンも「わざ、わざ…」と耳元で囁いてやりたいわ。

とにかくオリジナリティ溢れ過ぎて「これ、メロスか?」という雰囲気が
なきにしもあらずと言えなくないが、作画や動きは非常に丁寧でさすがは
映画と思わせる。山ちゃんも仕事が軌道に乗ってきた頃で、まさか10年間
アニメを離れてる間にこんなに有名な人になってるとは思わんかったよ。
私の記憶はリョウマやクラマや良牙で止まってたからな(コイツら名前が似てるな)

あ、あとこの映画で一番走ってたのはメロスではなく馬だと思う。走れ馬。

(2009/9/15記)
クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ アッパレ!戦国大合戦2009/9/19 視聴メディア*テレビ朝日

実写版の公開に合わせた放映だったらしいクレしん映画10作目。
たまたまこの前作の「オトナ帝国」をテレビで見てうならされた(ぶっちゃけ
号泣した)記憶があるが、この作品も「隠れた名作」と聞き及び、どれどれと
見てみたところまたしても「う〜む、やるなぁ…」と唸らされたものである。

というわけで特に初めて見たわけではないのだが、今回久々に見て
改めて唸らされたのはなんといっても時代考証をよほどしっかり
やったんだろうと思える背景描写や合戦のリアルさであった。

火縄銃が連射が利かないのは周知の事実だけど、中学の歴史の授業で
先生が鉄砲隊はこうして戦ったんだと教えてくれたまさにそのとおりの
戦法がそこにはあった。また銃撃に対して藁苞を盾にして突進する部隊や
長刀は突くというよりはどちらかというと「絡めとる」「行く手を阻む」
ことが目的だったというのもとてもわかりやすく描かれていて感心した。

相手の大将の元にいた天下無双と又兵衛の一騎打ちも実に見事だった。
いやホント、そんじょそこらの大河ドラマよりすごいんじゃないか!?

女たちが立てこもる奥、しょっぱいおにぎり、戦には終わりと始まりが
あること(むしろ奇襲は卑怯な戦法ですらある)などもさらりと描かれる。
しんちゃんが活躍するというよりは何よりこの合戦シーンこそがこの作品の
主役と思うと、又兵衛が戦に勝ち、廉姫の人生を守りきったことこそが彼の
生きた証だったということも、悲しくはない、それもまたよしと思えてくる。

アニメ離れしていた脱オタク期にちょっと警戒しながら見た作品だったけど、
それでも「ああ、今のアニメはこんなに大人の鑑賞に耐えるのか」と感心し、
それから数年経ってアニメどっぷり(最近はまた明らかに離れ気味だが)の
今見てもなお、やはり圧倒的にレベルの高い作品だったと改めて感心した。

なお、急逝された臼井儀人先生のご冥福を心よりお祈りいたします。

(2009/9/23記)
装甲騎兵ボトムズ ペールゼンファイルズ 劇場版2009/9/26 視聴メディア*BS-hi

新たなTVシリーズが続々作られるガンダムやマクロスとは異なり、タイトルを
背負ったTVシリーズはその後一作も作られていないのに、OVAシリーズの数は
二作に負けることなく、しかもアムロや輝が主役を張る作品となるとさらに
少なくなるのに、あくまでも主人公は「キリコ・キュービィ」という作品が
ほとんどである「ボトムズ」。「メロウリンク」とか外伝的なものもあるけども

私は本放映時は3クールから、最終回直後の1984年4月からは再放送で本編を
全話視聴した。実は私以上に妹がボトムズに入れ込んでいたため、BGM集全て、
設定がてんこ盛りのムックなども全て読んだが、OVAは一本も見たことがない。

だから本当に何の事前情報もなく、あるのは25年前に一回見たきりの本編のみ。
ただしその本編に対する思い入れや知識はそれなりに深い自信がある事だけだ。
ちなみに私が歴代のサンライズメカの中で最も好きなのはガンダムでもザクでも
グフでもなくバイクのように乗り捨てられるこのアーマードトルーパーである。

まず驚いたのがその泥臭く荒っぽい動きをするATがCGであること!
そして当たり前だがいまやベテラン声優であり、多くの作品では音響監督を
務めるほどの郷田ほづみ演じるキリコの声が聞き取りやすく玄人っぽいこと!
あの最後まで素人くさく、硬さが抜けなかったのがキリコらしかったのに、
なめらかでスラスラ流れるように喋るキリコがそこにいた。悪くはないけど。

一切の情報を得ずに見たため、まずこの作品の時系列はいつかと考えた。
最初の作戦はまるでノルマンディー上陸作戦のように正攻法での揚陸作戦で
被害甚大。スコープドッグ数体が何を運んでるんだろうと思ったらレールで、
それによって崖を乗り越えたものの狙い撃ちされて滑落するなど、まさしく
ボトムズらしい泥臭く血生臭い戦闘シーンにニヤニヤしてしまう。

結果、全滅した部隊の中で唯一生き残ったのはキリコのみ。
大怪我を追いながらも次の任務地に向かわされ、組んだ仲間たちは80年代臭が
ぷんぷんする声優陣で苦笑。人間味のある分隊長バーコフ、自分勝手なゴダン、
キリコを意味もなく殺したがる新兵ザキ、操縦より技術に長けたコチャックが
キリコの新たな仲間であり、彼らは共にいくつものミッションをこなしていく。

ボトムズの面白さは、バララントとギルガメスの戦いが繰り広げられながらも、
その戦闘そのものはあくまでもスパイス程度でしかなく、多くは疲弊した戦場で
戦いしか知らない底辺の軍人や逞しく生きる人々と、人など戦争のための電池
くらいにしか思っていない軍とのイザコザがメインという点。キリコは戦争を
やっている上層部と接触する事はほとんどなく、戦争において英雄的な働きを
する事もない。たとえ結果を出したとしてもさしたる褒賞もないまま次の戦場へ
送り出される。そんな残酷で乾いた戦場の中で、彼がかすかに繋いだ人間関係や
バトル・ミッション、大体が苦い結末で終わる物語などが何よりの魅力なのだ。

そういったミッションが繰り広げられていくにはOVA程度の短さは
うってつけで、さらにそれを短く編集した劇場版は見易さ抜群だ。
一年間やっちゃうと必ずだれる時がくるもんね、絶対TV版もダレたなぁ

一方軍部ではレッド・ショルダー創始者であるペールゼンの非人道的
行為の是非を問う裁判が行われていた。そんなペールゼンを奪還した
ウォッカムは彼がキリコ・キュービィを特別監視してきた事に着目し、
「異能生存体」であることを実証しようとしている事を突き止めていた。
そして彼が記した「ペールゼン・ファイル」に、異能生存体の近似値である
4人の兵士たちの名が記されている事を解読し、小隊を組織させたのだ…

二転三転するこれら異能生存体を巡る思惑、そんなことはあずかり知らぬ
戦場で死地を駆け抜けるキリコたちが次々ミッションを突破していく。
「死の谷」でのバララント捨て身の逆転劇や極北基地でのダウンバースト、
ゴダンを捕らえようとする浄化委員会なる組織との戦闘、そしてバララントの
要塞惑星モナドでの最終決戦など、サクサク進むのは劇場版ならではだろう。

時系列については本編しか知らない私にとって、「異能生存体」というワードが
出てくる事自体が混乱を招く。なぜならキリコは本編ラストでワイズマンから
自分が「異能者」であると聞かされ、特別な存在であることを知ったからだ。

これは本編の中でも非常に辻褄あわせ的で、当時も「何じゃそりゃ」と失笑を
誘ったものだが、今作においてこの事をキリコが既にしっかり知っていたなら、
52話もかけて彼が自分の存在価値を知った本編って「一体なんだったんだ」と
なってしまうではないか。ウドのキリコは既に自分を知ってたんじゃないか!

しかしどうやらやっぱりこの物語は本編前のものらしい。
何より名前も違うし顔もちょっと違う…でも下膨れのとことか髪型とか、
何より声があの男と同じそっくりなヤツがいる…そう、あのロッチナに。
ラスト、ペールゼンの全てを握っていると思われたウォッカムが行った
モナド侵攻作戦が大失敗に終わった事で失脚し、立場をとり戻した
ペールゼンは悠々と軍に復帰するという皮肉なシーンで、異能生存体に
魅せられたルスケはペールゼンに寝返り、上官だったウォッカムを射殺する。

唯一それはねーよと思ったのはザキの自殺だったけど、自らも異能生存体と
思い込んだコチャックがハイになって敵に身を晒し爆死、それを見て錯乱した
ゴダンもまた死に、分隊長は逃げてばかりの人生に向き合って死んでいく。
結局また最後に生き残ったのはキリコただ一人。キリコは決して死にたがりでは
ないけど、性格的にもさほど生への執着が強いとも思えないので、毎回生き残る
理由としては「異能生存体だから」としちゃうと反則過ぎる気もするんだよね。

ただ私が今回面白いと思ったのは、キリコは異能生存体として強靭な生命力の
肉体を持ちながら、精神は普通の人間のそれと何ら変わりがなく、だからこそ
痛みや苦しみなどの精神的ダメージがその都度精神に刻み付けられ、傷として
いつまでも残っているというもの。キリコのアウトローでありながらも決して
冷たく非情な人間ではない(むしろ彼は無口なだけで人との繋がりを彼なりに
とても大切にする)というどんな作品とも異なる魅力的な孤高のヒーロー像が
浮き彫りになった。記憶はなくとも傷が残るってのはすげーキリコらしいよ。

EDに「炎のさだめ」が流れた時はもうニヤニヤがとまらなかったね。
曲や映像共にボトムズのOP・EDのセンスは心に残っていて、エヴァやビバップを
見てすごいなー、カッコいいなーと感心した時も真っ先に思い浮かべたものだ。

いや〜、面白かった。バトルもミッションもキャラ描写も皆面白かった。
相変わらず無駄な女キャラが全く出ないハードさもお気に入りだよ。
オタとしてはこういう風雲児的な作品こそが見たいと思うのに、今の時代に
「新たな作品」としてこんな型破りなものはもうできないんだろうね。残念。

(2009/9/23記)
装甲騎兵ボトムズ 赫奕たる異端2009/9/27 視聴メディア*アニマックス

全5話からなるOVA。作画を見てなじみのある塩山キリコというより下膨れの
「0083」っぽいと思ったら、川元を初め0083スタッフが作画に関わっていた。
エヴァが始まる前、サンライズ一人勝ち時代が完全に終わりを告げる94年作で、
相変わらず読めないような難しいタイトルをつけるのもまさにボトムズらしい。
(「遡行」なんてこの作品で読み方や言葉の意味を知ったもんなー、当時)

全体に流れる荒涼たる雰囲気も、利権にからむ人の欲望の醜さも、キリコが
相変わらず微かな糸を繋ぐ人間関係も、そのくせサンライズアニメには珍しい
純愛を貫くフィアナとの愛も、それがついに終わりを迎える殺伐としたラストも
ボトムズらしい。らしいけれど、これはボトムズが好きでキリコが好きな人には
納得できないかもしれん。私はこんな苦いラストもまたアリかなと思うけどね。

第1話ではTVシリーズラスト、フィナと共にコールドスリープに入った2人が
業者によって回収され、蘇生術を施される。すぐに目覚めたキリコと違って
フィアナの状態は悪く、動けないキリコの目の前から運び去られてしまう。

一方で今作のヒロインであるテイタニアはキリコを追っていた。
ネクスタントと呼ばれる彼女は脳幹に直接処置を施されたPSとは違い、新たな
補助脳によって戦闘に長けた戦士となったが、それは少女期の事故が原因。
後にこの事故そのものが教団で力を得るための父の野望に基づく仕組まれた
ものだったと知って、父とは永遠に袂を分かつこととなる。

彼女と戦ったキリコは傷ついたテイタニアをカプセルで脱出させ、自身は
墜落するコンプラントと共に落ち、第2話で救助された後驚異的な回復力を
見せる事になる。キリコって手足や感覚器官を失っても再生するんじゃろか…

物語にはマーティアル教団の後継者指名という利権争いが背景になっており、
私も見ていて初め「ボトムズってこんなに宗教色が濃かったっけ?」と曖昧な
記憶を一生懸命たぐったが、途中でボローの姿を見て「あ、そうか!」と苦笑。
(そもそもキリコは「神は死んだ」とワイズマンを殺した宗教否定ヒーローだったっけね)

PSを製作した秘密結社には既に宗教の影が見えており、本編終了の頃には
キリコの存在も軍のみならず色々な勢力が注目していたということらしい。
高橋監督もそのへんがあるなら本編でやりたかったろうけど、あの頃のアニメは
今以上に手作業が多いから殺人的スケジュールでやっており、結果物語も設定も
見切りで始まって途中であれこれ手直しされていくのが当たり前だったよな。
もちろんそれはほとんどいい結果を残さない。スポンサーとの関係も今以上に
力関係が顕著だったので、トミノアニメなどはそれに翻弄されまくったものだ。

でもボトムズはそんな中でもギリギリの線で作品カラーを保ち続けたタイプ。
その原動力が「キリコ・キュービィ」という特異な主人公のおかげだったから、
これだけ長い間「主人公が主役を張り続ける」ことができているのだろう。
そりゃ谷口(私にとって谷口といえば近年は「悟朗」だが、かつては「守泰」だった)も
キリコが大好きで大好きで大好き過ぎたゆえにエイジを生み出しちゃうよなぁ…

ゴディバという相棒を得たキリコは、行方不明のフィアナを追い始める。
キリコは医師である彼に頼みたい事があるという。当然、半蘇生状態の
フィアナを蘇らせて欲しいというものだろうと思ったら、なんと彼女を
再び眠りに就かせて欲しいというものだった。その理由は肉体に改造を
施されたPSの寿命がわずか2年間しかもたないから。そんなん初耳だよ!

しかしイプシロンもそれを知ってたんだろうか…知っててあれだけしつこく
挑んできてたのなら、それでも負けた事はさぞ悔しかったことだろうよ。

二度と目覚める事のないコールドスリープをキリコが選択した理由は何か。
テイタニアが出会った老人はキリコのことをよく知るがゆえに、その理由を
見落としていた。それにしても誰が撮ったかもわからないようなキリコの
写真を手に入れて何してるんだロッチナ…しかも手書きってアナログ過ぎる。
キチガイ笑いをしながら死んだとばっかり思ってたが、生きてたんだなぁ…

その理由を直接聞くためにテイタニアによって目覚めさせられたフィアナは、
彼女に「彼を愛して…私の代わりに」と言う。しかしこれはさぞファンの心を
逆撫でしたことだろう。キリコにはフィアナと思ってる人にとってはキツい。
(ちなみに私はこのカップリングには25年間可もなく不可もない中立派である)

マーティアル教団に乗り込んできたキリコを迎え撃つ部隊が次々と全滅し、
ネクスタントであり教団の「盾」たるテイタニアを投入させるためには
自分を後継者に指名しろと迫るモンテウェルズ。父との訣別を決意して
戦士としての誇りを胸にキリコに挑んだテイタニアは、しかし補助脳を
強制始動させられてキリコを追い詰める。目覚めも偶然なら墜落時に
ゴディバに出会ったのも偶然、そしてよろけたキリコが撃った兆弾が
ATの隙間から入り込み、彼女の補助脳だけを的確に撃ち抜いたのも…

偶然過ぎるだろー!

このへん、80年代サンライズ作品っぽく、力技で無理やり過ぎる。
その時代に数々の洗礼を受けている私はあははと笑えるが、今時のリアルさを
求める世代や人間の内面的ドラマや萌えを求める人にはついていけないだろう。
ボトムズにはそういうものがてんこ盛りになっていそうでないんだよね、実は。

フィアナとの再会を果たしたキリコは彼女を抱きしめ、その最期を看取る。
今回はコールドスリープの中で裸で語り合う2人の会話シーンが多くて、
洋画の吹替えをメインにやってた弥永さんと渋く低い郷田ほづみの声が
なかなかのエロスで、やっぱりボトムズって昔も今も何を狙ってたのか
よくわからんなーとまたあははと笑うのであった。いいよねボトムズ。

「二度と俺に近づくな!」

教団の連中に対し、珍しく声を荒げて怒りを露にしたキリコは、
フィアナを失い、目的を見出せないまま再びあてのない旅に出る。
32年後という中途半端な年数も不幸の元だったかもしれない。
目覚めたのがもはや誰も彼らを知らない時代、せめてビバップの
フェイのように70年くらい後だったら、運命はまた違ったかもね。

(2009/10/3記)
機動戦士ガンダム MS IGLOO −1年戦争秘録−
第1話「大蛇はルウムに消えた」
2009/10/11
視聴メディア*アニマックス

いつだったか一言投票所か更新日記へのメッセージで「名もなき戦士に興味が
あるなら「MSイグルー」がお奨めです」と言ってくださった方がおられたので
ずっと心に残っていた。今回ようやく視聴機会がきたので楽しみに見てみたが、
その方に申し上げたい。あなたは私の作品嗜好傾向を理解しすぎですぞと…

舞台となるのはジオン軍の戦艦ヨーツンヘイム。
大した武器もMSも搭載されておらず、それ即ち本部から重要視される事もない
元民間船は、搭乗する「第603技術試験隊」の技術支援を主な目的としている。

主人公はこの試験隊の一員であるオリヴァー・マイ。彼はMSに乗って華々しく
活躍する事はなく、データを集め、ジオン軍の戦力補強の礎とする事が任務だ。
同じく女性のエリート仕官キャディラック特務大尉、艦長のブロホノウらが
脇を固め、各話ごとに一癖も二癖もあるゲストが登場し、そして散っていく。

第1話目は地球連邦とジオンの関係が緊迫する0079年1月、ヨーツンヘイムが
回収した新型対艦砲「ヨルムンガンド」をサイド5、即ちルウム宙域に運ぶ事。
途中、彼らは運ばれていくコロニーを見て、開戦を示唆するそのあまりにも
残虐な軍事行動を目の当たりにする。このへんはガンダムを知るものならば
ああ、あのナレーションで語られる部分がこの時なのだとニヤリとせずには
いられない。おっさんおばはんホイホイにもホドがあるだろ〜、これは。

ルウムでの技術試験隊の任務は、投入されるヨルムンガンドの戦果報告。
ろくな武器を積んでもいないヨーツンヘイムに乗っていた「大砲屋」こと
アレクサンドロ・ヘンメ大尉は、連邦のマゼラン級を一撃で撃破できると
マイたちが鼻高々に説明する、この核融合をエネルギーとするプラズマ
収束砲「ヨルムンガンド」を使いこなす事に意欲を燃やしている。

まずは戦闘前にヨルムンガンドが配置され、艦隊からも「貴官の働きに
期待する」なんて直々の信号までもらい、戦場の兵士たちは意気揚々だ。
ジオンが卑劣なコロニー落としの戦果に不満があるため、さらにコロニーを
運搬しているというデマを信じてルナツーを出てきた連邦の大艦隊を相手に、
いよいよ人類史上初の宇宙での艦隊戦が開始される。宙域を埋めるムサイや
マゼラン級、サラミス級、そして無数の僚艦は今後激化する戦争を象徴する。
長く苦しい一年戦争の始まりを告げるこの戦いは「ルウム戦役」と呼ばれる。
そしてこの名はガンダムを見た人なら間違いなく聞き覚えがあるはずである。

凄絶な艦隊戦が開始されても、ヨルムンガンドは艦隊からの情報がなければ
発射する事ができない。戦いはさらに加熱していくのに何もできないまま
じりじりと時間ばかりが過ぎていく。それでもまだ発射命令は下りない。

そんな中、しびれを切らしたヘンメ大尉は敵艦に向けてヨルムンガンドを
発射する。遠く遥かな連邦軍の一艦をかすめたその一撃は威力のほどを
感じさせるものだったが、正確な位置を知らなければ命中させることは
できず、艦砲が熱を持つため連射する事もできない事を改めて実感させた。
敵味方が入り乱れる戦場において、巨大砲は威力はあっても使い勝手が悪い…
誰もがそう思った瞬間、突然後方から現れた一団が、戦艦と戦艦の狭い隙間を
するりと抜けて飛び回り始めた。それは赤いザクが率いる多数のザク隊だった。

そう、ルウム戦役とは「赤い彗星」の名を高めたあの戦いのこと。
ヨーツンヘイムの前に立った赤いザクが出す信号は「現状況も作戦の
一部である」即ち、この戦いの切り札はヨルムンガンドなどではなく、
機動性に優れたモビルスーツの実戦投入だったのだ…ってヤバいだろ〜、
ここはガンダムオタクでなくてもしびれまくるだろ〜、どう考えても!

手負いのマゼラン級に突っ込まれ、ヨルムンガンド共々傷ついたヘンメは
時代の趨勢を悟り、最期の一撃に自身の「大砲屋」としての矜持をかける。
誰もが作戦とはいえ味方に「だまされた」ことを知った時の痛みが伝わり、
まさに戦争の末端にいる兵士の哀愁が感じられた瞬間。ガンダムが戦争を
格好良く描いている事は決して否定しないけれど、同時に戦争を知るトミノが
戦争を美化するだけじゃないと思うのは作品内にこんな理不尽さを感じるとき。

誰の指示を受ける事もなく、視認と勘による射撃はマゼラン級を一撃で沈め、
ヨルムンガンドの威力は遺憾なく発揮された。けれどそれはこの大砲の唯一
最後の輝きであり、その後戦場でヨルムンガンドを見る事は二度となかった…

(2009/10/12記)
機動戦士ガンダム MS IGLOO −1年戦争秘録−
第2話「遠吠えは落日に染まった」
2009/10/11
視聴メディア*アニマックス

0079年4月末、アリゾナの物資集積所が何者かに襲われる事件が発生する。

そんな中でヨーツンヘイムの第603技術試験隊に入った新たな作戦指令は
かつて試験結果が思わしくなかったため不採用となった試作モビルタンク
「ヒルドルブ」の地球降下。威力はあるもののモビルスーツが戦場の主流と
なりつつあった時代には、コストや機動性からも使えないと判断されたのから
だろうけど、連邦でもガンタンクを試作してるし、強くて頑丈な「戦車」への
憧れってのは実は戦争屋の中には密かに根付いているものなのかもしれない。

ヒルドルブに乗り込むのは特務大尉から嫌われる「負け犬」デメジエール・
ソンネン少佐。自身が手塩にかけて教えた多くのパイロットがさっさと
MS乗りに転向していく姿を見てすっかり腐ってしまったというのだが…

降下作戦なので今回はコムサイが活躍する。マイと特務大尉が乗船し、
ヒルドルブにはソンネンが搭乗。目指す襲撃を受けた物資集積所がある
アリゾナだが、彼らも案の定何者からか地上からの攻撃を受けてしまう。

降下途中に切り離されて単独着陸したヒルドルブを囲むのはザクだった。
しかしこのザク、実は搭乗者は地球連邦軍の荒くれ者たち。彼らは鹵獲した
ザクでジオンの物資集積所に到達し、味方を装って襲撃しては物資をせしめる
いわゆる「海賊部隊」なのだった。卑劣なその手腕に怒りを露にし、ソンネンは
ヒルドルブ一騎で援護一つない砂漠での「対モビルスーツ戦」を開始する。

ヒルドルブに搭載された主砲は10km射程を物ともせずザクを撃破する。
しかしこちらも正確な連射にはデータによる誤差の補正が必要であり、
それはこの戦いの最中に整えられものではない。頼りになるのは結局
ソンネンの兵士としての勘とセンス。こうして見ると、もしかしたら
正確すぎるデータさえなければ戦争なんかやらなくて済むのかもね…

しかし地球連邦軍の荒くれ部隊の隊長ももちろん百戦錬磨の海千山千。
憎たらしい事にザクを一撃で倒されても冷静に戦力分析をし、10kmの距離から
撃てる威力はすごいけれど、それだけ遠距離でも攻撃ができるということは
逆に言えば機動力に劣るはず。だからずっと動き続けろと部下たちに命じ、
ザクの射程距離まで近づき接近戦を挑む選択をする。しかもヒルドルブが
安全に敵を射程に収めるためには狙い易い場所に陣を取ると踏んで岩陰や
窪地などおおよその場所の見当でつけちゃうんだから、も〜、憎たらしい!

憎たらしいけど、やっぱりこういう手練手管を使うのが戦場じゃない?
経験と勘がしのぎを削り、一瞬の判断が生死を分けるからこそ、戦場は乾き、
虚しいものだと感じさせるものじゃない?コンピューターでマルチロック、
ドッカン終了ゲームオーバーなんてただのゲームでしかないんじゃない?

動き出したザク部隊には確かにヒルドルブでは不利。
ブースターで飛び上がったザクと猛スピードで地を駆けるヒルドルブの姿は
あたかも闘争本能をむき出しにしたオオスズメバチと勇猛果敢なカブトムシ。

古強者のソンネンはナパームでひるませて足を止め、その瞬間を狙い撃つ。
経験不足のパイロットたちが次々と倒れ、やがて近づいたザクを驚かせたのは
ヒルドルブがただのタンクではなく主砲を背負ったモビルタンクであったこと。
思った以上に素早く動くヒルドルブに翻弄され、ザクは次々と撃破されていく。

善戦するソンネンだったけれど、連邦の隊長もモビルスーツ戦においては
さすがに一枚上手で、大胆にも懐に入ってくる。そりゃ確かに砲身より中に
入られちゃ主砲は撃てないもんなぁ…互いにゼロ距離での撃ち合いを続ける
ものの、ボロボロになったザクがコクピットに向けて一撃を加え勝負がつく。

右足部分が壊れて部品が丸見えになり、人間のように足を引きずって歩く
ザクがリアル。ザクの狙いはマイたちが乗るヒルドルブを運んだコムサイ。
武器を持たないコムサイを潰すなどザクにとっては赤子の手を捻るより
たやすい。その割にマイも特務大尉も落ち着き過ぎのような気がしたけど…

後ろを見せたモビルスーツをヒルドルブの主砲が捉え、ザクはゆっくりと沈む。
同時に致命傷を負ったソンネンも力尽き、乗り手と共にその命を終えたように
ヒルドルブの主砲が下がる。試作品として軍に認められる事のなかった狼は、
最後にその強力な牙を剥き、長く哀しい遠吠えを残して砂漠に散っていった。

(2009/10/12記)
機動戦士ガンダム MS IGLOO −1年戦争秘録−
第3話「軌道上に幻影は疾る」
2009/10/11
視聴メディア*アニマックス

「MS」イグルーと言われながらなかなか登場しないモビルスーツだったが、
三作目にしてついに登場したのがスピードと機動性を誇りながらもかつて
ザクにその地位を奪われた「ヅダ」。性能を改良し、ザクの後継機として
ジオンの主力機となるべく大々的に宣伝されるヅダに乗るのは、製造元の
ズィーマット社のテストパイロット出身ジャン・リュック・デュバル少佐。

10月末ともなると1年戦争もそろそろ泥沼化してきており、総力戦の兆候を
見せ始めるころ。オデッサで大々的な作戦が行われると噂され、もしそれに
敗れればジオンが再び地球で覇権を取り戻すことは難しいとも言われている。

2作目でも言われていたように、ジオンにとって地球本土への侵攻は開けては
ならないパンドラの箱だったのかもしれない。いくら宇宙から大量の物資を
落とそうとも飲み込んでしまう青い地獄。果てしない戦いはマイを脅えさせる。

ヅダはメーカーが違うという設定のせいか、ザクよりもややホッソリした
フレームで、とにかく速い。攻撃力が高いというよりは恐らくスピードで
翻弄する遊撃手タイプで、ビビったボールがあっという間に撤退していく。

けれどある日事件は起きる。
パイロットが制御を誤り、出すぎたスピードがヅダの耐久性の限度を超えて
空中分解を起こしてしまったのだ。しかもこのヅダ、ザクに敗れた理由も
実は同じ「空中分解」だったのだ。改良も改善もされていないゴースト・
ファイターは、ジオン万歳のプロパガンダに使われただけのできそこない。

しかもジオンがそこまでやらざるを得なかったのは、オデッサの敗北を
予見させ、軍を震撼させた連邦軍の白いモビルスーツ…すなわちRX-78の
存在だったというから心憎いじゃないか。ってかこえーよガンダム!!

さらに戦争にスパイはつきもの、ヅダの空中分解事件は連邦に筒抜け。
(この時の放映で使われたザクやヅダのアニメはちょっと可愛いかった)
悪い事にオデッサ作戦の失敗もまた真実のようで、司令部からは今すぐ
駆けつけられる戦艦は軌道上に集結するよう命令が下る。艦長いわく、
この命令の真意はオデッサからの脱出兵を救助するためだろうという…

この時ボールごときに次々やられていくランチポッドやコムサイが悲惨。
格納されていたザクたちが次々飛び出してくるものの、なぜか姿勢を
制御できなかったり、動きのいいボールに標的のように撃墜されたり。
これは一体どういう事かと思えば、このザク兇漏地上用(J型)なので
宇宙では文字通り「溺れている」というのが哀しい。

この惨状を見兼ね、救出に出たのはヅダ。
冒頭もそうだったけど、ヅダが出撃する時のBGMが超格好いい。
危険とわかっているモビルスーツに他人を乗せるなど…と眼で
非難したマイに、予備のヅダに自分も登場すると答える特務大尉。
ヨーツンヘイムを守って撃沈されたムサイを「筆箱」と称して艦長を
不快にさせたり、ソンネンを「負け犬」と吐き捨てたり、気が強いだけで
あまり魅力を感じさせない彼女だけど、こういうところは男前でいい。

3人で出撃して順調にボール退治を続けてると、そこに今度は「首と
足があるヤツ」即ちジムが現れる。ヅザをバカにしたジムを引き連れ
その場を去るデュバル。彼らにスピード対決を挑んだデュバルは、
ゴーストファイターの汚名を返上すべく限界速度を超えて逃げる。

脱落したジムを撃ち、やめるようデュバルを止める特務大尉。
スピードに負けたジムが愚かな勝負に乗ったと気づく頃には機体が分解し、
次々宇宙の藻屑となっていく。しかしそれは同時にヅダの最後をも意味する。
欠陥を持ち、日の目を見る事がなかったゴースト・ファイターのヅダと運命を
共にしたデュバルが、正規の軍人に格上げされたとはいえ、出自は民間会社の
テストパイロットだったことも何か深い意味がこもっているのかもしれない。

だがヅダはそのままヨーツンヘイムに配備されることとなり、まがりなりにも
モビルスーツを持つ事になった艦が、今後さらに厳しくなる戦局にどのように
絡んでいくのかが気になる。戦争の波に飲み込まれ、散っていった名もなき
兵士たちへの追悼をこめたこの作品、なかなか私の心にヒットしてくれる。

(2009/10/12記)
機動戦士ガンダム MS IGLOO −黙示録0079−
第1話「ジャブロー上空に海原を見た」
2009/10/18
視聴メディア*アニマックス

海原に大物を追う漁師のように、空という名の海を駆けた最後の海兵の物語。

今回の主役は私の大好きなラブリーなモビルスーツ・ズゴッグがくっついた
モビルダイバーのゼーゴック。大気圏に突入し、換装を外して身軽になると
地上から出撃する大型艦や輸送船を迎撃するというものなのだけど、何しろ
大気圏に突入→姿勢を立て直し→迎撃するという、パイロットにとっては
めちゃくちゃ大変という効率の悪い兵器。ガンダム側の連邦目線から見ると
技術力に優れ、効率と軍の命令体系と国を想う軍人の資質で保っていたように
見えたジオンも、内部では色々笑ってしまうようなムチャをやってたんだな。

時はオデッサが落ち、ジャブロー降下作戦も失敗に終わってジオンの旗色が
ますます悪くなっていた12月初め。ジャブローからは連邦の艦が次々宇宙に
上がり、戦場がいよいよ本格的に宇宙に移ろうとする頃。今更ながら戦局を
ジオン側から見ると、何よりサイド3を守らねばならないジオンとしては
数で勝る連邦をなんとかこのまま地球に閉じ込めておきたいと思うはずで、
それ故の無茶は承知のジャブロー降下作戦だったわけだ。なるほどねぇ…

さてひと昔もふた昔も前の時代の産物のようなヴェルナー・ホルバイン少尉は
モビルダイバー・ゼーゴックに乗ると、落下時の凄まじいGのせいかやたら
ハイになって叫びまくるが、腕は確かでこの難しい荒くれものを制御する。

けれどいかんせん急造品の悲しさ。
少尉がどれだけひきつけて撃っても一発も連邦の艦には当たらず、
放たれたミサイルは虚しくジャブロー上空、遥かかなたで自爆する。

粗野な男が嫌いなのか特務大尉は少尉に対しても相変わらず嫌味バリバリだが、
少尉のキチガイじみた笑い声&雄叫びには心底ウンザリしたらしく、2度目の
ダイブにはお目付け役に、「怪しい東洋人」にしか見えないヒデト・ワシヤが
つけられる。まぁ実際にはマイ曰く「…うるさくなっただけです…」だったが。

時にはレーダーすら捉えていない死角からの敵の攻撃も読みきるホルバイン。
「さすが熟練のパイロット」と思ったけど、そういえばこれもガンダムだから
もしかして彼は「ニュータイプなのかもしれない」と疑うべきなんだろうか?

3度目のダイブはより高度な技術が要求される上に、主砲をモビルスーツの
拡散レーザー砲に急遽変えたため、5秒以上の照射は爆発を引き起こすという
危険なリミットまでつけられた。リミット→リミット・ブレイクが定石だが、
果たしてどうなるゼーゴック…というかこれ、作戦そのものがめっちゃ難しい。

飛び込んで落ちる前に上を向き、飛び立つ艦隊の下から狙い撃つって無理過ぎ。
ジャブローがアマゾンに守られた巨大な自然要塞と化しているので、地上から
砲撃することができないジオンの苦肉の策なんだろうけど…やっぱりどう見ても
非効率的でムチャが過ぎる。無防備に落下してるわけだからね、狙ってる間。

マイもこのモビルダイバーの非効率性と成功率の低さには疑念を抱いており、
少尉に次の作戦を最後に実験をやめることを進言する。降下時に敵の攻撃を
受けてバタバタ出撃した最終実験は、相変わらず機体の制御が難しそうな
悪条件の中、ついに敵艦隊を視界に捕らえ、拡散レーザーを空一杯に発射。

数艦のサラミス、マゼランがレーザーに切り刻まれ、地上へと落ちていく。
思ったようなリビット・ブレイクによるアクシデントはなく、ゼーゴックで
仕留めた大漁の獲物に満足げなホルバインだったが、次の瞬間、雲の切れ目から
コア・ブースターが現れて追撃される。一つの性能だけに特化したゼーゴックが
高速戦闘機から逃げ切れるはずもなく、機体は悲鳴を上げ、窓が血に染まる。
海に憧れ続けた彼を最後に迎え入れたのは、青く美しい本物の海だった。

海で消息を絶ったという彼の祖父は、実は病院のベッドで既に亡くなっていた。
けれど深い森に守られたジャブローの空には、少尉が夢見た海が確かにあった。

(2009/10/19記)
機動戦士ガンダム MS IGLOO −黙示録0079−
第2話「光芒の峠を越えろ」
2009/10/18
視聴メディア*アニマックス

もはや日付は12月末…ソロモンが落ち、連邦軍による星一号作戦が着々と
進められている頃。連邦が最終決戦の地として選んだのはア・バオア・クー
だった事は周知の事実だが、この時点でジオンはまだ連邦軍の総攻撃目標が
ア・バオア・クーなのか月面基地グラナダなのかを測りかねていたようだ。
(実際には連邦軍はそのどちらでもなくサイド3への直接侵攻を狙っていたらしい)

相変わらず「MS」が出ない「MSイグルー」、しかし今回しょっぱなから
ヨーツンヘイムに着艦したのは見覚えのあるモビルスーツ・ゲルググだった。
量産化されていれば…と嘆かれたゲルググだが、私は実は本編で見た時はあまり
好きなタイプではなかった。しかしΖで朽ち果てて骨董品となったゲルググを
見た時、その格好よさに驚き、いいMSじゃないか!と見直したものである。

パーソナルカラーに塗られたゲルググに乗ってきたのは歴戦の勇者であり、
数々の勲章を受けた厳格な将校ヘルベルト・フォン・カスペン大佐だった。
その左手を失ってなお高い操縦技術を誇る大佐は、試験艦ヨーツンヘイムを
防衛の任務につかせるために「第3の司令塔」としてやってきたのだった。
この時、特務大尉が「お客様の揉め事には慣れております」と最初に彼女に
言った艦長の言葉を真似をする。両者にイヤミをぶつけるのが彼女らしい。

しかも今回、ゲルググに続くMSが出るのかと思ったら大間違い。
MSどころかジオンのボールとでも言うべきモビルポッド・オッゴだ。
もはや評価試験などとは思えないほどの量が運び込まれ、ヨーツンヘイムも
否が応でも前線へと出なければならない。総動員…悲惨な現実はカスペンが
期待していた「精鋭部隊」たちに如実に現れていた。そのすべてが志願した
10代の少年たち…ホワイトベースもビックリの若者たちだったからだ。

その中にいたのが故国への愛国心に燃えたエルヴィン・キャディラック曹長。
キャディラックという姓からもしやと思ったら特務大尉の実の弟なのだった。

年上で男勝りな姉の影に隠れがちだった弟は自分の存在価値を認めさせようと
戦場に駆け出してきてしまい、弟が家を守っているからと前線にでていられた
姉としては戸惑いを隠せない…しかも技術者であればあるほど、モビルスーツの
時代を切り拓いたジオンが、先祖がえりしてモビルポッドなどを作っているのは
情況があまりにも悪化しているからに他ならない。ジオングも途中のわけだよ…

そのキャディラック曹長をリーダーとした小隊が月周回域での防衛任務に
つくと同時に、ジオン軍の虎の子のソーラ・レイが放たれて戦局が大きく動く。
混乱する司令本部と連絡が取れなくなり、作戦の中止を求める特務大尉に対し
カスペンは非情にも作戦は進行中であると告げる。時同じく月面を周回していた
サラミス艦二隻と遭遇した曹長たちは、放たれたボールとの戦闘に突入する。

「ドラム缶」などと揶揄されたけど、連邦軍のボールよりは高性能に見えたな。
実際ボールが母艦に戻れなくなってもポッドは自力での航行が可能だったし。
マイがそんな機体でごめんなと言った時、キャディラックが「自分の命を預ける
機体ですから、どんな機体より大切です」と答えたのがなんだか物悲しい…

ボールに乗っているのはどうやらこちらと同じくモビルスーツに乗るには
訓練時間が足りないヒヨッコばかりのようで、オープン・チャンネルから
聞こえてくる声はあどけなく、そして恐怖や混乱に満ちていた。

戦闘能力は数で勝るボールを圧倒したのでオッゴ&ジオン兵の方がややリード。
しかし途中で一機のバズーカが動かなくなるという不具合が起き、そのまま
暴発して爆散するという悲劇が起きる。整備不良か、もともとハンパ品を
集めて作った急造故の事故なのかはわからないが、乗ってる本人たちには
たまったもんじゃない。あまりにも冷たいその鉄の棺桶っぷりを見て、
キャディラックは一時軽い錯乱でブツブツと独り言をつぶやく始末。

そんな彼を目覚めさせたのは姉のきっつーーーい一言。

「あなたはいつも口ばっかり…!!!」

これが彼女が年若い弟に言った最後の言葉ってなぁ…

それにしてもキャディラックが突然ボールを説得し始めたのはウザかったー
何せ年若い少年のすることなので仕方がないとはいえ、戦場でおまえは何を
しとるんじゃとイライラした。まぁ相手のボールもしばらく抵抗したものの
実際もはや自力で母艦に帰る事はできないので降参し、ポッドとボールが
仲良く手をつないでヨーツンヘイムに向かい始めたその時…

再び月を周回してきたサラミスが味方のボールごとオッゴを貫く。
技術バカだと聞いてます…マイにそう挨拶をした少年は光の中に消え、
特務大尉は泣きながら崩れ落ち、ブリッジの誰もが言葉なくうなだれる。

明るく微笑んだ少年に、痛みも苦しみも恐怖も訪れなかった事を祈るばかりだ。

(2009/10/19記)
機動戦士ガンダム MS IGLOO −黙示録0079−
第3話「雷鳴に魂は還る」
2009/10/18
視聴メディア*アニマックス

「敢えて言おう!カスであると!!」

ギレン・ザビの決戦に向けての演説から始まった第3話。
この10数時間の後にア・バオア・クーは落ち、ホワイトベースは沈み、
RX-78は撃破され、シャアは復讐を成し遂げて、独立戦争は終わるのだ。

オッゴは既に試験運用などではなく、実戦投入ではないかとマイが抗議した時、
間に合ったらオッゴを補助する機体を送ると言われていたのだが、その助っ人が
MSイグルーの最後を飾った。モビルタンク、モビルスーツ、モビルダイバー、
モビルポッド…おや、この中には我々がよく知る何かが足りないではないか。

そう、それは「モビルアーマー」である。
赤いドレスを着た貴婦人のような姿の「ビグ・ラング」は、レーザー拡散砲や
ミサイルポッドなどを換装した巨大モビルアーマーであり、同時にオッゴを
格納して補給や修理をすることもできる。無論パイロットが必要になるが、
弟を失った特務大尉が茫然自失となって役に立たない今、カスペン大佐が
指名したのは最後の最後にパイロットになったオリヴァー・マイだった。

ソーラ・レイの使用で甚大な被害をこうむり、レビル将軍を失った
連邦軍は星一号作戦の開始を早めてア・バオア・クーに総攻撃を開始。
主な攻撃目標はNフィールドであり、さらにSフィールドへと続く。
(ちなみにホワイトベースとRX-78が突入したのはSフィールド)

ヨーツンヘイムは戦艦とはいえ元は商船、1年戦争秘録第1話でも
ろくな武器を持っていないとダメ出しされたような艦であるから、
持ち場も主戦場ではないEフィールド。ただしたどり着くまでが
大変で、激戦の中をかいくぐってそこまで行かねばならないのだ。

戦いに慣れていない者たちを率いての、自らの慣れない戦闘。
艦長は断腸の思いで、ランデブーポイントでは必ず拾ってやるから
必ず帰って来いと若者たちを送り出す。本当にこれが最終決戦なのだ。

赤=赤い彗星と刷り込まれている連邦兵士は真っ赤なビグ・ラングを見て
ギョッとするけど、無論こんなところにエースのシャアがいるはずがない。
ビグ・ラングのビーム拡散はかなり有効で、まるで稚魚のように巨体の
周りをウロチョロするオッゴを守る事ができる。こうした有効性を見て、
戦いながらもいつものようにレポートしてしまうマイが可笑しい。

ジオン劣勢は火を見るより明らかであり、司令部の混乱(ギレンがキシリアに
殺されている)が指揮系統の乱れを呼んでいる中、艦長は防衛線死守か撤退かを
判断せざるを得ない時機を迎える。しかしカスペン大佐は彼に銃を突きつける。

ただの戦争屋かと思われた彼に、さらに銃を突きつけたのは特務大尉。
そんな方法でしか自分を戦場へ出す手立てがなかった不器用な大佐は、
ゲルググを駆ってマイをはじめヒヨッコたちの救出に向かう。

いや〜、しかしマイは最後まで乗らないかと思ってたのでビックリした。
それもビグ・ラングの防衛力の強い性能に助けられたとはいえ、停戦命令を
無視して攻撃を仕掛けてきたジムやボール、後ろに陣取った彼らの母艦を
次々迎撃するんだからすごい。ホント、サラミスなんか何隻落とした事か!

オッゴたちをかばってゲルググが爆散し、特務大尉が乗るヅダも破損する。
そしてマイは艦長にデータを送り、最後の特攻をかけたビグ・ラングは
撃破される。彼らが死守したEフィールドは決して無意味などではなく、
多くの友軍がここから粗暴な連邦の追撃を受けることなくサイド3へと
安全に帰還することができた。最後の艦を見送った艦長を副長が促す。
その時、左舷から突如機影が現れた…

ってかマイも特務大尉も生きてたんかーーーーい!

なんだよ、完全にもう死んじゃったモードだったじゃんかよー!
詐欺だ。泣けるBGMと恐怖の叫び声と爆発音とサンドストームは詐欺だ!

時代遅れとか、効率が悪いとか、傍から見るとこんなものに乗るのかと
思われるような機体であっても、男たちが命を賭けて乗った機体のことを
後世に伝えていかなければならない…それは理不尽さと怒りと悲しみしかない
戦場で、必死に命の炎を燃やした人間がいた事を証明するだろう。ずっと冷めた
目の傍観者でしかなかったマイは、自らの命を預け、戦場で運命を共にしながら
戦ったことで、その機体がかけがえのないものになるという事を悟ったようだ。

前線で敵に怯えながら必死で戦っていた彼らに、戦争の終局がどうなったのか
わかるはずがない。知らない間に始まり、知らない間に進み、知らない間に
終わる…末端の戦士への無頓着さが浮き彫りになればなるほど、戦争の醜さが
じわりと利いてくる。多くの人が未だガンダムに惹かれるのは、このなんとも
いえない後味の悪さをアニメーションで描いた作品だったからだろうと思う。

一作一作が個性的な機体やゲストキャラを中心にまとまっていながら、一つの
物語としてもまとめられていて大変面白かった。全編CGなので私はどうしても
キャラクターには思い入れがもてなかったけれど、特に問題はないと思う。

ほかにもおなじみのリック・ドムやグワジンなども出るし、決戦の地
ア・バオア・クーは、Ζでは「ゼダンの門」と名を変え、アクシズとの
衝突で破壊されデブリ・ストームを起こしたなぁと思い出して懐かしい。
そして何よりガンダムの醍醐味は両軍の様々な作戦行動や化かし合いだ。
やっぱこういう事ができないとガンダムじゃないよなと思ってしまうよ。

(2009/10/19記)
からくりの君2009/11/8 視聴メディア*アニマックス

絵柄も物語もご本人もヒジョーにアクが強い藤田和日郎原作のOVA。

人形を操るのが女子であり、その人形を使って戦闘を行うという「からくり
サーカス」の前身となる作品だが、短編らしく起承転結がしっかりしており、
どんでん返しが待つクライマックスの盛り上げ方もなかなかのものだった。

バカでかい行李を背負った蘭菊は、仇討ちのため腕の立つ忍の元を訪れた。
しかしそこにいたのは「死なずの忍」と呼ばれる人形集団から命からがら
逃げ出してきた一人の白髪頭の下人。姫がアテにしていた「加当」という
男はもうこの世にはいないのだと告げた彼の名は睚弥三郎(まなじり やさぶろう)。

睚を追ってきた死なずの忍に対し、蘭菊は行李の中から次郎丸という巨大な
からくり人形を呼び出すと糸を構え戦闘開始。成り行きで(というか狙われて)
戦いに参加した睚は自然姫を守ることとなり、両者のコンビネーションによって
連中を撃破することができたのだった。鉄人かジャイロボのようにゴゴゴゴと
飛び出すからくり人形が、戦闘終了と共にぱたぱたとしまわれるのは可愛い。

姫は自分の国を滅ぼし、最強のからくり人形を奪っていった狩又への復讐の為、
共に戦ってほしいと睚に頼む。人形を使って戦うことはできても、姫は非力な
普通の女の子なので、もし操者を狙われればひとたまりもないのだそうだ。
そこで腕の立つ睚に護衛をしてもらいたいと言うのだ。

正直藤田の絵ですっぽんぽんを見せられても全然色気を感じないのだが、
不純な動機で沐浴を襲った睚が見たのは、彼女の背中に残る生々しい
巨大な傷痕だった。それは実の父に生皮を剥ぎ取られた痕だという…

復讐ものだというから、単純に狩又という当主が乱暴で残虐なヤツで、一族郎党
皆殺しにされたからというのが理由かと思ったら、人形マニアだった姫の父も
とんでもないキチガイだった。自力で駆動する人形の動力源に子供の生皮を
利用するってあんた…でもこの父はまだ自分の子供を使っただけマシなのかも。

人形を手に入れた狩又は、人形の動力源を知ると子供をさらい、
城の中で凄惨な生皮剥がしの残虐パーリーが行われることに…
冒頭の睚ショックはこのシーンを見てしまったがゆえのもので、
死なずの忍に狙われていたのもこの秘密を見たからなのだとか。

さらわれようとする子供たちを助けて気勢を上げ、城に討ち入る二人。
待ち伏せていた敵に次郎丸が粉砕され、からくりの門を支えた弁慶丸が
扉に潰されて圧壊。そして太郎丸を自爆させることで場内の死なずの忍を
道連れにしたものの、姫自らも傷ついてしまう。彼女の目的は、本当は
狩叉への復讐ではなく、父が家族より愛した人形を壊すことで果たされた。

人形のために自分の生皮を剥いだ父親の遺言が、あろうことか
「人形を燃やすな」じゃ、そりゃもう泣きたくもなりますわな。

姫の長く押し隠していた怒りや嫉妬、深い悲しみや絶望を知った睚は、
自身の本当の力を見せて忍び頭を撃破する。そして同時に自身が殿を
得たことを告げる。比類なき幻術の使い手であるその名は加当段蔵。

「加当は死んだ」という言葉に、冒頭の頭がそうだったのかなくらいに
思ってたら、実は睚こそが加当で、その立ちすぎる腕のために誰にも
雇ってもらえずにいたという。けれど姫の、一人で全てを背負っていた
芯の強さにほだされてついに主君を得、共に狩叉を討つことになる。

正直、城の中を無双のごとく切り結びながら狩叉のもとに向かう二人が
見たかった気もするけど、からくりが既に3体なくなっているのでそれを
見せるわけにはいかなかったんだろうな。なぜならこの4体目が肝なのだ。

からくりと同化し、おぞましい姿となった狩叉との戦いは面白かったなー。
藤田らしいけれんみたっぷりで、しかも週間漫画で読むとこの人の場合は
必ず何週間もかかるのでスピード感や全体像が見えづらくなるのだけれど、
アニメだとスピード感のある映像が一瞬のトリックを一瞬で描くのでその分
「やられた!」感も強かった。フツーに「なんでよみがえってるんだろう…
自己修正機能でもあるのかにゃー」とノンキに思ってたらとんでもない。

それに最後の最後、「見たものしか幻術では作れない」という睚の言葉にも
ダブルどんでん返しが待っている。白拍子は回想シーンでしか出なかったので
出てくるだろうと思ってたけど、まさかそれが人形じゃないとは!あっちかよ!

いや〜、この二転三転が面白かったので最後にはほくほくだったよ。
主君への礼儀をもって敬語で話し始めた睚に、どうも落ちつかなげな姫。
今後も無防備なおぼこ姫に手を焼きそうな睚の苦労が思いやられるよ。

姫は矢島晶子なのでスーパー安定株。
そして肝心の睚は若本規夫だったけど、最近のデフォルトとなっている
大げさすぎる喋りではなく、8割くらいはノーマル&シリアスだったので
貴重かも。戦闘シーンもスピード感があってよかったけど、やっぱ物語が
よかったね。短編ならではの見事な起承転結どんでん返し、いやアッパレ!

(2009/11/12記)
スプリガン2009/11/22 視聴メディア*アニマックス

原作は2巻くらい読んだだけで何だか鼻についてやめてしまった。
この人の絵柄も性に合わないのか、セリフ回しなども鼻につき(それだと
原作が合わないともいえるのかもしれんが)、あまり好きな作家ではない。
(一応「ARMS」は読み通したけど、あちらもまさにビミョーな作品だった)

まず絵柄や演出がまさに「90年代末」だなぁと思わせる。
80年代ほどムチムチではないが、「スレイヤーズ」や「エヴァ」みたいな
「ホッペのかどっこふくらみ&目の形が菱形っぽくカクカク」の絵柄が一世を
風靡した名残が見える。声優も、今ならわかるけど2003年にアニメに復帰した
ばかりの私が見たら「森久保祥太郎?誰ソレ?」と思うほど90年代臭が強い。

物語は原作を読んでない人にはチンプンカンプンだと思う。
私も初めの方しか読んでいないが「御見苗優」や「ジャン・ジャックモンド」
がどんなキャラクターなのかさわりくらいはわかるので何とかだったが、彼らが
所属しているアーカムが何なのか、遺跡を調べて一体何をしているのかなどが
よくわからない。頑張って説明はしてるけど、説明って入んないんだよねぇ…

アララト山で見つかった「ノアの方舟」を巡るアーカムとアメリカとの攻防を
御見苗優を中心に描く…つもりなんだろうけど、なんとなく御見苗がずーっと
カヤの外っぽくて、大佐とのコアな会話は博士が引き受けてたからねぇ…
御見苗の担当はバトル系といえばそれはそうなんだろうけどさ。

物語の方は…詰め込みすぎとも思わないけど、ぶっちゃけ面白くない。
盛り上がらない。ノアの正体がわかってもゾッとさせるシーンもないし、
大佐との対決も敵の能力が衝撃波のせいかなんとも盛り上がらない。
(イメージ戦という演出のせいか、背景もずーっと同じだし…)
まぁちょっと最初の同級生ボムはさすがに容赦ないと思ったけど。

しかも最後の方舟消滅の原理がイマイチわかりづらい。内部からの爆破?
ムダにペラペラ喋ってたかと思うと肝心なところではだんまりなのかよー

う〜ん…テーマは面白そうなんだけど、どうも好きになれない。
同じように「古代遺跡」「考古学」「知的戦術」「肉体的戦闘」を組み合わせた
作品だったら、私の好みはやっぱり圧倒的に「MASTERキートン」なんだよねぇ。

でも人気があったから、こういうトンデモ戦闘モノが好きな人は好きなのかな。

(2009/11/23記)
クレヨンしんちゃん
嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲
2009/12/18 視聴メディア*日テレ

「ズルいぞ〜!」

これは以前うっかり見た時に不覚にもボロ泣きしてしまった映画である。
正直「戦国」では特に泣くことはなかったのだが(無論評価そのものは高いよ)
こちらは最後の未来を返して欲しいと追いすがるしんちゃんの姿にボロボロと…

「ALWAYS」がヒットしたように、昭和30年代を知っている人も知らない人も皆、
日本が戦後復興を成し遂げて明日へ向かって力強く歩いていた高度成長期を
非常に懐かしむ。それを逆手に取った「20世紀博」によって大人が洗脳され、
やがては昭和を知らない子供だけを残して街から姿を消すという空恐ろしさは
まさに「逆ブレーメン」であり、ゾクリとさせられる。子供にとってもっとも
本能的に恐怖を感じるのは「親が死ぬこと」「親に見捨てられること」だから、
この映画はギャグに隠しながらも子供の深層心理をつかみ取っているはずだ。

しかし平成生まれも負けてはいない。しんちゃんたちのたくましさは昭和の
オトナたちを圧倒し、笑いをエネルギーに変えて父ちゃん母ちゃん奪取のため
奮闘する。背の届かないバスを共同作業で運転し、小回りのよさを生かして
オトナたちを翻弄する。最後には昭和に浸り、子供時代に戻ってしまった
父ちゃんを現実に連れ戻し、目覚めさせる。(父ちゃんのくさい足の臭いで…)

大人たちを洗脳したものが「匂い」であるというのも憎たらしすぎる。
そうだ、昭和には雑多でよくわからない匂いが町中にあふれていた。
夕方になれば各戸からご飯の匂いがしてきていたし、トンカツ屋や
中華料理屋やうなぎ屋、焼き鳥屋からは匂いがあふれ、街を歩けば
焼き芋屋さんや冬ともなれば道端で焚き火をしている人もいたのだ。
(父の信条は「外で嗅いだ匂いがうまそうな中華料理屋はうまい」だった)
清潔・除菌・脱臭がアタリマエの21世紀の今日は、そういえば匂いが減った。

その匂いをばらまき、すべてのオトナたちを昭和に返すという「イエスタディ・
ワンスモア」のケンとチャコを阻止すべく、目覚めた父ちゃんと母ちゃん、
しんちゃんとひまわりとシロは高いタワーの頂上を目指して登り始める。
もちろんヒヤヒヤしたりギャグも満載で、母ちゃんのキョーレツなヒップ
アタックが利いたり、父ちゃんの捨て身の攻撃が家族を守ったりと、
しんちゃんらしいファミリーバトルが繰り広げられる。

ボロボロになったしんちゃんがケンの足に追いすがる。
それを振り払い、歩み始めるケンにしんちゃんは再び追いすがる。

家族一緒に、未来を生きていきたい。そしていつか大人になりたい…

しんちゃんの子供らしい願いが胸を打つ。
まぁ綺麗なおねーさんとおつきあいしたいというのも願いとしてはいいだろう。

野望が潰えた二人は身を投げようとするも、しんちゃんの叫びと子育てを
しているハトに阻まれる。以前見た時はなんとなく血も涙もない二人のように
思っていたけど、実際はそんな事なかったなぁ…ただ彼らがこの計画に至った
動機がはっきりとは明かされなかったのでそれだけがちょっと残念だった。
大体チャコは超ミニスカだし非常に若く見えるので「オメーは昭和なんか
せいぜい末期くらいしか知らねーだろうがよー」と抗議したいわ!若僧がっ!

かなり久々に見たけど、やっぱり面白いなぁ。
「戦国」もいいけど私はこっちの方が若干上かなぁ…テーマも面白いし、
しんちゃんだけでなく、家族や仲間も大活躍するからかもしれないよ。

(2009/12/20記)
アジール・セッション2009/11/22 視聴メディア*アニマックス

アオキタクトという元音楽家が監督・脚本・演出などを務めるCG作品。
何でも独学でCGを学んだ人とかで、昨今の日進月歩に比べるとCGの荒さは
目を覆うものがあるけれど、なんというか、「表現したい!」という熱意は
伝わってきた。それゆえに?物語は「なんじゃこりゃ」と思わざるを得ない。

芸大進学志望のひよこは、5年前に芸術家だった母を亡くし、警察官の父と
二人暮らし。母の絵が画廊に売られたことを知って家を飛び出したひよこは
立ち退き命令を受けている「アジール・スタジアム」に迷い込んでしまう。
そこで出会ったのは先の大戦で「兵器」として作られた義体の「アキラ」

行き場のないワケありの住人たちは、強制排除を受けるスタジアムを守るため、
「ロック・フェス」ならぬ「アジール・セッション」を行い、スタジアム存続の
アピールをすることにする。ダンス、歌、演劇、映像、絵…準備をしていく中で
粗暴なアキラと友達づきあいのヘタなヒヨコは徐々に接近…というお約束も。

まぁ…正直どうということもない物語。
結局強制立ち退きは実行されて皆がバラバラになった後、アキラが警察署に
殴り込みをかけて街中がとんでもないお祭り騒ぎになってしまう…という
オチだったんだけど、胸が躍るか面白いかと言われても「う〜ん、別に…」
と言わざるを得ない。とにかくアニメーションとしては絵が未熟すぎるし、
動きもひどいものだし、物語も陳腐だし、キャラも魅力があるわけじゃない。

くだらない痴話げんかみたいなセリフもどうかと思うし…
素人が作ったインディーズならまだしも、よくまぁこういう作品を
商業ベースに乗せて劇場公開しようと思えたなぁ。感心するわ〜
1時間程度なのでギリギリ耐えられたけど、莫大な金と労力を使って
アニメーションを作るなら、もうちょっと良作を作ってもらいたい。

アオキタクトという人のサイトを見に行ってみたら、「ハルヲ」という作品が
処女作らしいが、あれは多分軍が見ていたファイルにいた「春」なんだろう。
(ちなみにアキラは「秋」であった。となれば冬や夏もいるのであろう)

(2009/12/20記)
ユンカース・カム・ヒア2009/12/25 視聴メディア*BS2

トイレでオシッコをし、毎日学校にひろみを迎えに来る
賢いミニチュア・シュナウツァーの名前は「ユンカース」
けれど彼の本当にすごいところは、人の言葉を喋ること…

忙しいパパとママの一人娘ひろみは、いつでも聞き分けがよく、パパや
ママの仕事にも理解があり、家政婦の文江さんと居候の大学生・圭介さん、
そして愛犬ユンカースと、代わり映えのしない毎日を過ごしている。

もちろんユンカースとのお喋りは皆には内緒。
もし他の誰かに知られたらテレビ局や新聞社や雑誌社に追い回されて今のように
一緒にいたり、のんびり暮らせなくなっちゃうから、なんてことも理解してる。
早熟なひろみの憧れは圭介さんで、なのに圭介さんに子ども扱いされることが
ちょっと不満だったりもする。そんなある日、友達と約束があると出かけた
圭介さんの後をつけたひろみとユンカースは、彼が女性と会っているのを見る…

TMNのいつもグラサンかけてる人が作った物語なんだけど、「CAROL」とは
違って音楽が全面的に「TMNでござい」じゃないことはまず好感が持てた。
監督は「ARIA」のサトジュンなので、細やかな日常動作や女の子の感情の
機微などはやたら丁寧に描かれている。ことにひろみは聞き分けがよくて
とても「いい子」なので、その積み重ねが生きてくるクライマックスでは
思わずうるっとさせられるくらいだ。悔しいけどうるっとしてしまうのだ。

CM制作の仕事をしているパパは撮影のために世界中を飛び回り、ホテル業界に
勤めているママはサンフランシスコで副支配人を任されることになって日々
忙しい。すれ違う両親は離婚を考えており、ひろみはそれを聞いて理解し、
受け止めようとする。けれど彼女の小さな心はこうしたたくさんの悲しみや
苦しみを受け止められない。そんな彼女にユンカースは「僕は3つだけだけど
奇跡を起こせるんだ」とささやく。ヤキモチから圭介と婚約者の仲を裂き、
その後悔から彼らを仲直りさせ、そして離婚してしまうパパとママと最後に
もう一度楽しいお出かけがしたい…ひろみの願いは一つ一つ叶えられていく。

いい子になり過ぎて、離婚して欲しくない、離れ離れでもいいからずっと
家族一緒にいたいという本音を言えなかったひろみが、とても子供らしく、
涙ながらに気持ちを訴える。離婚の原因って、DVとか経済的問題とか、
性格や価値観の不一致などはわかるけど、この「すれ違い」ってのは
いまいち理解できないんだよなぁ…浮気とか責任を放棄したいとか、
そんな適当な理由をオブラードに包んでるだけのような気もするし。

そんなわけでひろみの本音を聞いたパパとママは、もともと憎み合って
別れるパターンじゃなかったせいか、関係の修復に入る事にしたらしく、
離婚は回避される。中学生になったひろみは9月の新学期に合わせて
ママとアメリカに向かい、パパも後に合流することになるそうだ。

一方ユンカースはというと、奇跡を起こした後、人間の言葉を喋れなくなり、
ただの犬になってしまっていた。ただしオシッコは相変わらずトイレで…

不思議な犬、ユンカースの奇跡で絆を取り戻した家族は再生し、癒される。
圭介たちも結婚が決まり、圭介さんラブだった文江さんにも新たなイケメンが
登場してばら色の人生が開けた(でも文江さん秋からは仕事がなくなるぞー)

ちょっと不思議なほのぼの系優等生アニメ。
興行的には全く振るわなかったらしいけど、口コミや有志が上映会を開いたり
作品を世に知らしめる活動を行ったらしく、現在はもうDVDも出ているようだ。
確かに女の子やノスタルジーに弱い大人が簡単に転んでしまいそうな作品だな。

(2009/12/30記)
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