薬物相互作用

 いわゆる飲み合わせによる作用のことである。他の薬と一緒に飲むことで血中濃度が上がったり、下がったりすること。薬の効果と副作用は薬の血中濃度によって決まる。血中濃度が上がりすぎると降圧剤では、血圧が下がりすぎたり、向精神では朦朧としたりする。下がりすぎると、全く効果がなくなったりする。

 

酵素阻害

ある薬物の代謝が併用薬により、阻害される現象。阻害形式としては競合阻害、非競合阻害、不競合阻害がある。血漿中濃度の増加は阻害定数(Ki)と阻害剤の非結合型薬物濃度(Iu)より予測できる。

代謝酵素の基質

    1A2:Caffeine, Phenacetin

    2C9:Phenytoin, Tolbutamide, S-Warfarin

   2C19:Omeprazole, S-Mephenytoin, Hexobarbital, Imipramine

    2D6:Codeine, Dextromethorphan, Ethylmorphine, Nicotine

    3A4:Midazolam, Erythromycin, Cyclosporin, Saquinavir, Nifedipine, Triazolam, Terfenadine, Verapamil, Warfarin

代謝酵素の阻害剤

    1A2:Furafylline, alpha-Naphthoflavone, Ellipticine, Methoxsalen, Fluvoxamine

    2C9:Sulfaphenazole, Dicoumarol

   2C19:Omeprazole, S-Mephenytoin

    2D6: Fluoxetine, Paroxetine, Quinidine, Ritonavir

    3A4:Ketoconazole, Troleandomycin, Clarithromycin, Glibenclamide, Itraconazole, グレープフルーツジュース

Mechanism based inhibition

阻害剤がCYPにより代謝され、代謝中間体がCYPに結合することにより、CYPを不活化する阻害形式。マクロライド系抗生物質で報告されるが、verapamil, diltiazemといった他の化合物でも観られている。

以下、5/28のゲストブックにありますマトリックスさんのご質問についての答えです。

記号はItoらの総説(Pharmacological Reviews 50, 387-411, 1998)を参照してください。

この式を定常状態で解くと不活化速度は

kinact=k4 k2/(k2+k3+k4), Ki,app=(k3+k4)(k-1 + k2)/(k2+k3+k4)/k+1とすると

Chibaさんの論文(JPET,275, 1527 (1995))はこのように計算していると思います。阻害剤濃度とCYP濃度は予めわかっているでしょうから計算できると思います。

 

酵素誘導

薬物を投与すると代謝酵素が誘導され増えてくる現象であり、代謝が亢進することにより、効果がなくなることがある。小腸代謝も誘導されることが示唆されており、この場合大きな血中濃度の低下が見られる。

代謝酵素の誘導剤

    1A2:Omeprazole, Griseofulvin

    2C9:Rifampicin, Barbiturates

   2C19:Rifampicin, Phenobarbital

    2E:Ethanol, Isoniazid

    3A:Dexamethasone, Phenytoin, Rifampicin, Troleandomycin, Carbamazepine, Phenobarbital

臨床における酵素誘導測定法

1A2

Caffeine breathテスト

カフェインの3位はCYP1A2で代謝されることを利用する方法。カフェインの3位を13Cで標識し、13C-カフェイン投与後の呼気を集め、13CO2の排泄量を質量分析計で測定する。(Rost KL et al.  Clin Pharmacol Ther, 52, 170-180, 1992) 

Caffeineテスト

カフェインの尿中代謝物を測定することにより、誘導を評価する方法。カフェインのクリアランス、Caffeine breathテストと良い相関がみられた。(Rost KL et al.  Clin Pharmacol Ther, 55, 402-411, 1994) 

3A

尿中6β-hydroxycortisol/cortisolの測定

6β-hydroxycortisolはCYP3Aにより代謝されるため、6β-hydroxycortisolとcortisolの比から評価する方法。エリスロマイシンのbreathテストと相関が低いことが報告されているが2001年の薬物動態学会年会においてクリアランスの個体差の補正により相関が良くなる報告があった。