(最終改訂2004年9月23日)


エア(Ea)
 シュメール神話における4主神の一人。バビロニアの水神。アッカド語ではエンキ。シュメール語では「水の住まい」を意味し、もとシュメール人の神であったがバビロニアに伝えられ天神アヌ及び大地神エンリルとともにあつく崇拝された。信仰の中心地はエリドゥでその神殿はエ=アブスと呼ばれた。後に技術・知識の神として崇拝された。

参考:ジャポニカ1972

エアーズ・ロック(Ayers Rock)
 オーストラリア中央部にある高さ348メートル、周囲約9キロの世界最大の一枚岩でアボリジニの聖地。アボリジニの言葉でウルル(Uluru)と呼ぶ。楕円形をしており、ウルル国立公園内部にある。陽の当たり具合で色を変える。名前は1873年に探検家のウィリアム・ゴスが発見した当時の南オーストラリア州知事にちなんだもので、6億年前に海底で形成された。エアーズ・ロックから石片を持ち帰ることは禁止されているが、それに反して石片を持ち帰ると本人や家族に不幸が相次いだため手紙で返送するという事例がかなりあるという

参考:大津彬裕『オーストラリア辺境物語』(大修館書店)

エイブラムズ(アルバート、Dr.Albert Abrams)
 1863〜1924。ラジオニクスの創始者。1893年、ハイデルベルク大学医学部卒業後アメリカへ移住、スタンフォード大学病理学教授となるが、5年後、脊椎をハンマーで打つ脊椎療法を開発して大学を離れ、200ドルの報酬でこの診断法を教授した。その後すべての物体からは固有の放射線が出されているというラジオニクスの概念に基づき、この放射線を感知して患者の血から病気を診断するダイナマイザー等の器機を開発した。後には患者と健常者とをワイヤーでつなぎ、健常者の腹部の打撃音や、ワイヤーに取り付けた可変抵抗器の抵抗値で病気の診断が可能と主張した。

参考:James Randi『The Supernatural A-Z』Headline

エウペモス(Euphemus)
 ギリシャ神話の登場人物で、ポセイドンとエウロペの子。その敏捷さで知られており、アルゴノウツの1人でもある。アルゴ号が大波でリビアの内陸に打ち上げられ、全員で船をかついでトリトニス湖に来たとき、トリトンがポセイドンの息子の1人であるエウリュピュロスの姿で現れて一行に海への道を教えた。そのときエウペモスは、一塊の土くれを受け取った。エウペモスはその土くれが女に変じ、その女と性交渉を持つ夢を見た。夢の中で女は、自分はトリトンの娘で、自分に海中の家をくれればリビアがエウペモスの子供たちを守り育てるであろうと述べた。エウペモスが目覚めたときイアソンが夢を解釈し、その土くれが海中に落ちればそこから島が生じ、エウペモスの子孫がそこに定住し、やがてその島からリビアに移住して新しい植民地を作ると予言した。エウペモスはクレタ島よりやや北の海に土くれを投じ、カリステ島が生まれた。何世代か後、エウペモスの子孫はテラスに率いられてこの島に移住し、島の名はテラ島と呼ばれるようになった。彼らの子孫の1人バッテスはリビアに移住し、キュレネを建設した。

参考:マイケル・グラント、ジョン・ヘイゼル『ギリシアローマ神話事典』大修館書店)

易(えき、Iching)
 古代中国を起源とする占いで、伝説では4500年前の伏羲(ふっき)により体系化され、周の武王が六四卦とその解釈を定めたものとされる。そのため周易とも称される。陰を象徴する中心のない線--と、陽を示す断続のない−とを3本重ねて求められる乾(けん)離( り)巽(そん)震(しん)坎(かん)艮(こん)兌(だ)坤(こん)の八卦を二つ重ねた六四卦の象及び変爻により問題の現状、将来を占う。通常は50本の筮竹を用いて六四卦を求めるが卦の立て方には他にもいくつかの方法がある。陰陽五行説とともに、ほとんどの中国占術に取り入れられている。スイスの心理学者カール・フスタフ・ユングも易には関心を持っていた。

参考:『易経』集英社

エクトプラズム(ectoplasm)

 テレプラズム、イデオプラズム、サイコプラズムとも言う。ダウマーのアイドロンもほぼ同じものを指す。エクトプラズムという語はギリシャ語で外部を意味する「ecto」と作られた物を意味する「plasma」を組合せた造語で、シャルル・リシェの命名とされる。幽物質、霊物質などと訳されることもある。霊媒の開口部から出る物体で、通常は光を嫌い、暗い場所でのみ現れ、白く輝いて見える。本来透明で、もっともよく見られるのは柔軟なペースト状であるが、蒸気のような発光体となったり、粘液状、細い糸状、紐状、布状など様々な形態をとり、触ると冷たく感じ、エクトプラズムが出現すると温度が下がるという温度低下現象も見られる。リシェによれば白血球、上皮細胞を含み、唾液に似ており、シュレンク・ノッチングはエクトプラズムから食塩と燐酸カルシウムの成分を検出したという。物質化現象の際霊の仮の肉体を形成する媒体として用いられることが多いが、浮揚現象やアポートなど全ての物理的心霊現象を起こす媒体とも言われる。物質化した霊に許可のないまま参会者が手を触れたり、出現中に明かりをつけたりすると霊の身体となっているエクトプラズムは急速に霊媒の体内に戻り、霊媒自身を傷つけるという。エクトプラズムの写真は数多く残されているが、そのほとんどはいんちきとされる。

参考:春川栖仙『心霊研究事典』東京堂出版


エジプトのグライダー(Ancient Glider in Egypt)
  エジプトのサッカラから出土した木製のグライダー様の模型で、紀元前200年頃作られたものとされる。1898年の発見当時は航空機が誕生していなかったため保管されていたが、1969年、考古学者のカリル・メッシア博士が再発見し、1971年12月23日に調査委員会が設立された。全長は約18センチ、機首の長さは約3.3センチ、末端には垂直尾翼。重さは約31グラム。航空力学の原理にかなっている。各地から14機発見。全体としては鳥を象っているが水平尾翼を持つ。実際にグライダーのように滑空させることができる。胴体と主翼との面積、バランスの位置、主翼の反り加減等から計算して、高速で飛ぶよりも大量の荷物を運ぶよう設計されたとし、実際に作られていれば時速90キロ以下で飛行する航空機であるとする説もある。

参考:南山宏『奇跡のオーパーツ』二見書房

エゼキエル宇宙船(Ezekiel's Wheel)

 『旧約聖書』の「エゼキエル書」で預言者エゼキエルが紀元前593年にケバル川のほとりで見た物体のこと。この物体は輝いて絶えず火を吹き出しており、その火の中に青銅のように輝くものがあった。その中からは人の姿を持ち4つの翼を持つ4つの生き物が出てきて、それぞれの傍らに光る貴かんらん石のような、輪の中に輪があるような輪があった。4つの輪には輪縁とやがあり、輪縁は目をもって満たされていた。生き物が行く所には輪もその傍らに行き、生き物が上がる時には輪も上がる等と形容されている。円形の乗り物を思わせる記述でもあり、元NASAの技術者であるジョセフ・ブルームリッヒなどは、古代における宇宙船との遭遇の記録ではないかと主張している。他方この物体はユダヤ思想においてはケルビム(智天使)とその乗り物メルカバ(戦車の意)であり、このメルカバを観想するメルカバ神秘主義はカバラの源流の一つとされている。

蛇足:メルカバは現在イスラエル国産戦車の呼称にもなっている。この戦車はイスラエル陸軍の数々の実戦経験に裏打ちされた、これまでの戦車の常識を覆す秀逸なデザインを誇り、1982年のイスラエルのレバノン侵攻の際には当時世界最強と言われていた(実際はそうでなかったようである)ソ連製T82を撃破して一躍タミヤのミリタリー・ミニチュア・シリーズに加わった。

参考:Ronald Story『the Encyclopedia of UFOs』(Doubleday Dolphin)

 
エチオピア語エノク書(The Book of Enoch,Ethipic Enoch)
 『旧約聖書』「創世記」に登場する族長エノクに帰せられる偽書の一つで、現在ではエチオピア語訳のみがその全体を伝えているためこう呼ばれる。エノク第一書とも呼ばれる。エノクが幻の中で神を見、200人の天使の堕天を見、天上、地上、地下の世界を巡って世界の秘密を知らされる内容を記す。エノクが見た秘密の中には、樹木がなぜ茂るのか、太陽がいかにして地球を回っているか、などといった自然の秘密だけでなく、ノアの洪水や最後の審判などの予言も含まれている。しかし、『エチオピア語エノク書』でもっとも重要な記述は、人間の娘の美しさに惹かれて堕天した200人の天使の名称、事績についてのもので、この200人の天使はセムジャザを頭とし、アラキバ、ラメエル、コカビエルなどが含まれている。こうした堕天使は、後にエノクのデーモンと呼ばれるようになり、『エチオピア語エノク書』はそうしたデーモンについてのハンドブックとして、重要な魔術書の一つに数えられた。

参考:『聖書外典偽典4』教文館

エッセネ派(Essenism)
 紀元前2世紀から1世紀にかけて勢力のあったユダヤ教の一派。『新訳聖書』にはその記述はなく、同時代の歴史家ヨセフスやプリニウスなどの著作で知られる。プリニウスによれば信者数は4000人ほどで、砂漠に独自のコミュニティを作り、モーセの律法を守る独自の生活を行っていた。死海文書を残したクムラン教団もエッセネ派に属するとされ、イエスや洗礼者ヨハネなどもエッセネ派と関係があったとの指摘もある。クリストファー・ナイトとロバート・ロマスは『封印のイエス』(学研)において、イラクのマンダ人もエッセネ派であり、またエッセネ派の思想が密かにテンプル騎士団に引き継がれて、後のフリーメーソンにつながるとの説を展開している。またバーバラ・スィーリングは『イエスのミステリー』において、「福音書」に語られる数々の奇跡は、クムラン教団に属していたイエスの行動を教団内部のみで通じる用語で記したものと主張。

参考:バーバラ・スィーリング『イエスのミステリー』NHK出版

 

エディ(メリー・ベーカー、Mary Baker Eddy)
  1821〜1910。クリスチャン・サイエンスの創設者。ニューハンプシャー州コンコード近くのボウに生まれる。病弱のため充分な教育を受けなかったが、自宅で独習し、1843年にフリーメーソンのジョージ・ワシントン・グローバーと結婚するが夫は6ヶ月語に死亡。その後降霊術やホメオパシーに関心を寄せ、1853年、歯科医で同種療法家の二番目の夫ダニエル・パターソンと再婚(1873年離婚)。しかし1860年にフィニアス・クインビーの治療を受けたことで、イエス・キリストが行った治療法を再発見したと信じる。1866年のクインビーの死後は、『新訳聖書』を読んで奇跡的な治療を経験したと主張し、信仰治療法の普及に努める。1877年には信者の一人で心霊主義者のアーサー・ギルバート・エディと三度目の結婚をするが、アーサーは1882年、心臓病で死亡した。エディの主張する信仰治療がアーサーを救えなかったことについては、夫は悪意の動物磁気の犠牲になったと主張した。最初の教会は1879年に設立された。また晩年は杖と眼鏡が欠かせなかったが、人前では一切使用しなかった。

参考:James Randy著『the Supernatural A-Z』(Headline)
    マーチン・A・ラーソン著『ニューソート』(日本教文社)


エーテル(Ether,Aether,Luminiferous Ether)
 宇宙空間のあらゆる場所に充満し、光の導体と仮定された物質。エーテルという名称はアリストテレスにより第五元素として天上界を構成する物質と仮定され、透明で重量・摩擦がなく、化学的・物理的に検出できないと考えられた。しかしその後の光学の発展、1881年のマイケルソン・モーリーの実験、アインシュタインの相対性理論等を通じ、現在はその存在は否定されている。他方ニュートンはエーテルが凝固して物質となるとの見解を示し、心霊研究家は現在でも霊的物質を表わす場合にこの言葉を用い、エーテル物質によって構成された高次元の世界をエーテル界、肉体と重なったエーテル体などという用語を用いる。

参考:ジャポニカ1972

エドワーズ(フランク、Frank Edwards)
  1908〜1967。アメリカのラジオ・アナウンサー、超常現象研究家。イリノイ州マットーンに生まれる。1924年にラジオのアナウンサーとなり、UFO問題等を取り上げるが、懐疑論に反対したためスポンサーの不興をかって退職。1956年にはNICAPの委員を務める。UFOに関しては地球外起源説をとり、政府がUFO情報を隠匿していると主張。またアダムスキーのコンタクト・ストーリーについては、その内容がアダムスキーの書いたSF小説に類似していることを指摘した。

参考:Ronald Story『the Encyclopedia of UFOs』(Doubleday Dolphin)

エノク語(Enochian language)

 イギリスの魔術師ジョン・ディーがエドワード・ケリーを通じて天使との交信を行なっている際にその存在が明らかにされた言語で、『エノク書』に本来用いられていた言語とされる。ディーはケリーを通じてエノク語の言語システムを入手し、天使との対話をエノク語でつづった。メイザーズはこの言語を体系化し、クロウリーは黄金の夜明けの公用語に採用した。天使の言葉であることから、諸霊を操る際に用いると力を発揮すると信じられ、エノク語で諸霊を操る魔術をエノク魔術と呼ぶ。しかしレイコックの研究によれば英語に酷似した文法を持つ疑似言語である。

参考:『魔術』学研ムーブックス
    荒俣宏編『世界神秘学辞典』(平河出版社)
    コリン・ウィルソン編『超常現象の謎に挑む』(教育社)
    アンドレ・ナタフ著『オカルティズム事典』(三交社)


エホバの証人(Jehovah's Witness
 通称「ものみの塔」。キリスト再臨派から分かれた教団で米ペンシルバニア州アレゲーニーに生まれたチャールズ・テイズ・ラッセルが1872年に創始した。1879年に創刊した「シオンものみの塔およびキリストの臨在の告知者」の信奉者を中心に組織された「シオンものみの塔冊子協会」が法人となったもの。聖書の字義通りの解釈に徹し、信者は怪我や病気の際にも輸血を認めないことから社会問題になったこともある。一方この教団は大ピラミッドによる予言を採用し、ラッセル自身も大ピラミッドの予言から1874年、次いで1914年に世界の終わりが来ると予言したが外れた。ラッセルの死後は大ピラミッドには言及しないものの、1975年、1985年などが世界の終わりであると予言して外している

参考:James Randi『The Supernatural A-Z』Headline

MIB(Men In Blackの略称)
 黒衣の男と訳される。UFO研究家やUFOの目撃者に対し、その研究成果や目撃談を公表しないよう求める黒ずくめの格好をした男達のこと。国際空飛ぶ円盤事務所を主催していたアルバート・ベンダーが3人の謎の男の訪問を受け、研究を中止するよう圧力をかけられたのがMIBに関する最初の報告で、1953年のことである。MIBという略称はジョン・キールが使用しはじめた。必ずと言っていいほど相手が一人でいるときに現れ、通常黒い車に乗り、本人しか知らないはずのことを知っている。他方目撃者が彼らの意向に反してその経験を公表した場合にも、何らかの被害を受けた例はない。その正体についてはCIAなどの情報機関のエージェント、異星人、霊的存在や悪魔など諸説ある。他方、ベンダーの個人的経験については現在は疑念が持たれている。デビッド・タンズレーは闇の世界代表する霊的存在ではないかと述べている。最近はめったにない。

参考:ジョン・スペンサー『UFO百科事典』原書房

エメラルド・タブレット((Emerald Tablet)
  古代アトランティスの伝説の王ヘルメス・トリスメギストスの遺体に握られていたと伝えられるエメラルドの板。『旧約聖書』に登場するユダヤ人の祖アブラハムの妻サラやアレキサンドロス大王が発見したという異説もある。天地創造の寓意や占星術、錬金術など、いわゆるヘルメス学の奥義を記してあるとされ、1200年前後に内容がラテン語に訳され、ヘルメス文書と呼ばれた。

参考:ガレス・ロバーツ『錬金術大全』東洋書林

エリア51(Area 51)
  アメリカのネバダ州グルームレイクの地下、ネリウス空軍基地の近くにある秘密の米軍基地で、マンハッタンと同規模の広さを持つとされる。600人以上の異星人が人間と共同作業を行っているという噂があり、ロバート・ラザーはこの施設には9機の円盤が格納されており、エリア51内のS4と呼ばれる施設でUFOに関する報告書やエイリアンの解剖写真を見せられ、UFOの推進機関の研究に従事したことがあると主張している。この地域ではUFOのような飛行をする様々な飛行物体がしばしば目撃され、1980年にレンドルシャムに着陸したものもその一つと言われる。マッハ6で飛行するステレス戦略偵察機オーロラを制作しているとも言われるが、それを見たのはロバート・ラザーのみ。

参考:と学会『トンデモ超常現象99の真相』(羊泉社)


エリクシル(elixir)
 卑金属を金にし、人を不死にする霊薬で、賢者の石とほぼ同様の存在。語源はアラビア語の「アル・イクシール」で
、アルベルトゥス・マグヌスはエリクシルのラテン語訳として酵母を意味する「フェルメントゥム」をあてた。その製法や色については諸説あるが、通常は賢者の石と同視され赤色と考えられている。

参考:ガレス・ロバーツ『錬金術大全』東洋書林

   桂令夫『イスラム幻想世界』新紀元社

エリコ(Jericho)
 イスラエルの地名。エルサレム東北東約27キロ。古代のエリコは現代のエル・リハの北西2キロのテル・エッスルタンにあった。ローマ時代のエリコはエル・リハの西にあった。紀元前8000年頃に人が定住し始めている。紀元前1550年頃に完全に破壊され、その後数百年大規模な都市建設はなかった。『旧約聖書』では、イスラエル民族が最初に征服した町として語られ、ラッパを吹いてときの声をあげただけで城壁が崩れたとされる。この記述については、古代の音波兵器の使用という主張もある。K.M.ケニヨンは1950年代に考古学上の調査を行い、紀元前1550年頃に城壁が破壊されて以来エリコに城壁が建築されたことは無いと確認し、これはイスラエル民族がカナンを征服する年代としてもっとも早い年代である1400年や出エジプトの時代より前になる。このときにエリコを攻撃したのはエジプト第18王朝軍であう可能性が高い。ローマ時代、エリコの名はアポクリファの「マカバイ書」にバキデスのとりでのある場所として、また紀元前143年にシモンとその息子たちが殺された場所として登場する。ローマ時代にはハスモン朝の王たちがエリコはエルサレムに近く冬温暖であったためエリコ南端に冬宮を建設し増築した。ヘロデ大王も冬宮の建設を続けた。

参考:ジョン・ボウカー『聖書百科全書』三省堂)

エリサベト(シェーナウの、Elisabeth of Schonau)
 1129頃〜1164年。ドイツのベネディクト会修道女で幻視者。12才の時シェーナウにあるベネデイクト会修道院に入り、1157年にその修道院長となる。1152年に重病を患って以来しばしば幻視を体験、それを弟で修道院長でもあるエクベルトが『黙示』『神の道の書』に書き留めた。内容は、教会の腐敗を批判し、来るべき災厄を警告する預言書である。一般に聖人として崇拝され、祝日は6月18日であるが、ローマ・カトリック教会は正式には列聖していない。同時代の女予言者であるビンゲンのヒルデガルトとは友人であった。

Donald Attwater『Dictionary of Saints』Penguin

エリシャ(Elisha)
 古代イスラエルの預言者の1人で、エリヤの後継者。エリシャは常に一群の預言者を引き連れて行動していた。彼はその預言者の一人をラモト・ギレアドでアラム人と戦っていた北イスラエル王国の将軍イェフーの許に派遣し、王に任命して反乱をそそのかしたことから、イェフーはイスラエル王ヨラムとユダ王アハズヤ、ヨラムの母イゼベルを殺し、サマリアでアハブの子孫を全滅させた上バアル礼拝者を殺戮し、これによりエリヤの預言が成就した。

参考:石田友雄『ユダヤ教史』山川出版社

エリヤ(Elijah)
 紀元前9世紀頃のイスラエルの預言者。東ヨルダンのティシュペ出身。当時イスラエルを襲った激しい旱魃はヤハウェの怒りであるとして、カルメル山において450人のバアルの預言者と対決、勝利して彼らを殺戮した。すると3年間続いた旱魃が突然終わって大雨が降ったが、このことで追われる身となった。ユダの荒野に逃げ込んだエリヤは死を願うが、ヤハウェの使者に励まされてホレブ山に行く。ここでエリヤは、強風と地震と火が通りすぎた後で静かな細い声によってヤハウェの告知を受けた。イスラエルのヤハウェ崇拝者は自分しかいないというエリヤに対し、ヤハウェはバアルを崇拝しないもの7000人を残すと告げた。またアハブはエズレル宮殿の隣接地のぶどう園を購入しようとしたが所有者ナボトの承諾を得られなかったためイゼベルは偽称によってナボトを死刑にしてぶどう園を手に入れた、エリヤはオムリ王朝の滅亡とイゼベルの非業の死を預言し、これはエリヤの後継者エリシャの時代に実現した。ユダヤ伝説では死後天使サンダルフォンとなり、困ったユダヤ人がいると姿を現して助けてくれる。

参考:石田友雄『ユダヤ教史』山川出版社

エル(El)
 ヘブライ語、ウガリット語、アラム語、フェニキア語などの西セム語で神を意味する普通名詞。バビロニア語のイルやアラビア語のイラーフも同じ意味である。ウガリット神話においては神々の父で世界の創造主であり、妻はアシュラトであるが、エルはすでに隠居しており、3人の息子のうちバアルが天と地、モトが冥界、ヤムが海を支配した。『旧約聖書』では、エルサレムのエル・エリヨン(至高者なる神)、ベエルラハイロイのエル・ロイ(私を見る者である神)、ベエルシェバのエル・オーラム(永遠者なる神)、ベテルのエル・ベテル(ベテルの神)、シケムのエル・エロヘー・イスラエル(イスラエルの神なる神)、地名が一定しないエル・シャダイなど、一定の場所と結合した種々のエルが登場して族長たちと特別な関係を結んでいる。
複数形のエロヒームとも呼ばれることもある。

参考:ジョン・ボウカー『聖書百科全書』三省堂
    石田友雄『ユダヤ教史』山川出版社)

エルサレム症候群(Jerusalem Syndrome)
 イスラエルの首都でキリスト教の聖地であるエルサレムを訪れた者が自分は神の子あるいは預言者と信じ込んだりモーセやマリアを見たと信じる精神的症状。多い年には年間200人の旅行者がかかるという。
毎年100人以上の巡礼が、エルサレム地区の国立精神医療センターのクファル・シャウル病院で治療をうけるが、自分は救世主だと思い込んだり、マグダラのマリア、洗礼者ヨハネ、聖書に出てくるほかの人物だと妄想するケースも多い。だいたいはアメリカ人で、ほとんどすべてプロテスタント、聖書について豊富な知識を持っている。エルサレムの街角で服を脱ぎ去り、預言を口走るが、2,3日治療をうけるとけと治る。クファル・シャウル病院のバール=エル院長によれば、イメージとしてのエルサレムと現実のエルサレムのギャップによるものであり、このギャップが衝撃的なまでの神秘体験をもたらすのだと主張する。回復後の患者に聞くと、その体験は悪夢のようなものではなく「いい体験だった」という答えがかえってくる

参考:アモス・エロン『エルサレム』法政大学出版会

エレメント(Elements)
  万物の構成要素としての少数の元素のことで、西洋哲学では地水火風の四大(しだい)、東洋では木火土金水の五行。西洋魔術においては、全ての物体はこの4大元素から構成されているので、その構成を変化させることである物質を他の物質に転換できることになり、従って鉛のような卑金属から貴金属を作ることも理論的には可能ということになる。それぞれの元素にはそれを支配する精霊が配置されており、風はシルフ、地はノーム、火はサラマンダー、水はウンディーヌとされる。東洋では全ての事象は木火土金水の五行の相生相克により生成流転するとし、陰陽説と結びついた形でほとんどの魔術や占いの基礎となっている。

エロヒム(Elohim)
 ヘブライ語で神を意味する言葉「エル」の複数形。しかしフランスのコンタクティーである
クロード・ボリロンは1973年12月13日、エロヒムと名乗る異星人とリヨン郊外で遭遇し、ラエルという名を得たと主張する。ラエルによれば人類を25000年前に創ったのはエロヒムで、地球が壊滅状態にあるため、エロヒムが再び地球に降り立つ準備をさせるためにラエルを選んだとされる。過去、モーセ、キリスト、仏陀、マホメットもエロヒムから使わされた者たちである。また、『ゾハール』やマイモニデスによれば、エロヒムは天使の1階級である。

遠隔透視(Remote Viewing)

 テレパシーと千里眼を同時に行うような超能力。アメリカのスタンフォード研究所のパトフとターグが1972年に作った用語で、二人一組で実験を行う。一人はビーコンという役割で相手にまったく行き先を告げずに遠くへ行き、指定された時刻に自分が見ている風景、人物、物体等をテレパシーで送る。もう一人が実験室に残り、自分の心に浮かんだままにその場所を絵に表すというもの。パトフとターグの実験はプロジェクト・スキャネートと呼ばれ、パット・プライスなどの能力者が発掘された。カリフォルニア大学デイビス校の統計学者ジェシカ・アッツも1987年から1988年にかけてスタンフォード研究所の研究に参画、遠隔透視の有効性について統計的に実証を試みた。
参考:ジョン・ベロフ著『超心理学史』(日本教文社)

エンキ(Enki)
 シュメールの水神。深淵を領域とする知恵の神。アッカド語ではエア。エリドゥに主聖域があるがウル、ウルク、ラガシュ、イシン、ラルサ、ニップル、バビロン、マリ、アッシュルなどの主要都市にも神殿がある。天神アンと女神ナンムの子でニンフルサグ、ニントゥ、ニンマフ、ダルガルヌンナ、ダムキナなどの夫とされ、バビロニア時代以降マルドゥクとナンシェの父とされる。象徴は魚、亀、羊頭の杖、舟、水の流出する瓶。異名ヌディンムド。『イナンナ女神のエリドゥ詣で』には、ビールを飲んで酔っ払ったエンキが娘のイナンナに世界秩序の根源である「メ」と呼ぶものをすべて渡してしまう逸話がある。

参考:集英社『古代メソポタミアの神々』

円球石(Stone Ball)

 コスタリカで発見されるほぼ真球の石で、紀元前300年から12世紀くらいまでこの地に栄えたディキス文明の遺品とされる。最小は2.3センチから最大で直径2.5メートル、重量24.5トンのものまで数万個見つかっており、いずれもほぼ真球に近いが表面には何の模様もない。また石が取れない海岸部でも見つかっている。地元のインディオは円球石の中に金が隠されていると信じて発見次第打ち壊したため、完全なものは少ない。元々は直線上や三角に配置されていたとされ、宇宙の星座地図として配置したとの説もある。

参考:『超文明』学研ムーブックス

エンジェルズ・ヘア(Angel's Hair)
 UFOが飛行した後などに空中から降って来る、細い糸状の物質で、天使の髪の意。ほっておくと消えてしまう。最長で2メートルにも達し、通常はUFOとの関連で言及され、UFOによって放出された静電界が原因で微粒子が集まったものとされるが、UFO出現時に降下する場合は少量のことが多い。時にはエンジェルズ・ヘアだけが大量に落下する場合があり、1958年11月11日〜12日にはトリニダードを中心とした北カリフォルニアで大量に降った。実際にはエンジェルズ・ヘアの大部分は蜘蛛の糸である。他方、旧ソ連のキリエンコはエンジェルズ・ヘアを分析し、原子量12で人工物とも自然物ともつかないと結論した。

参考:ジョン・スペンサー『UFO百科事典』原書房

役小角(えんのおづぬ)
  637〜701。修験道の開祖役行者(えんのぎょうじゃ)、役君(えんのきみ)あるいは優婆塞(うばそく)とも呼ばれる。大和国葛城地方に賀茂一族の家系に生まれる。幼少時よりその天才を表し、3才で字を覚え、8才で奈良の官学に入校するが、17才で葛城山に籠もり、山岳修行を行うようになる。修行中朝鮮から来朝した僧慧灌(えかん)と出会って孔雀明王経を授けられ、以来雨を降らせたり空中を飛行したりという秘術を行うようになる。また、前鬼と後鬼などの鬼神を使役したとも言われる。あるとき鬼神を使役して金峰山と葛木山に橋をかけさせようとしたところ、これを不服とした一言主神が天皇に、小角が謀反を起こそうとしていると訴えたため伊豆に流された。しかし昼間は伊豆にありながら夜は富士山で修行し、ついに空を飛ぶようになった。

参考:歴史読本スペシャル『不思議人物日本史架空伝承事典』新人物往来社

エンフィールドのポルターガイスト(Enfield poltergeist)
 1977年8月31日から1年2か月の間にわたり、ロンドン北部のエンフィールドで夫人と4人の子供が住む町営住宅で発生したポルターガイスト。壁や床に叩音が起き、大小の家具が動く、発火現象、物体の貫通、人間の浮揚などが発生した。当時11才のジャネットと13才のマーガレットは、男の太い声で話した。またグラハム・モリスはカメラを仕掛け、人体浮揚の瞬間を捕らえた。またジャネットはロンドン南部のモーズレー病院で検査を受けたが正常であった。ロンドン大学バークベック校物理学部長J.B.ヘイステッド教授と助手デビッド・ロバートソンが主宰する実験で、金属を引き千切ったり体重が増加するなどの現象を示した。

参考:コリン・ウィルソン『ポルターガイスト』青土社

閻魔王(えんまおう、Yama)
 仏教で死後人を裁くとされている存在。本来はインド神話で人類最初の死者ヤマ。ヤマは太陽神スーリヤを父に、雲の神サムジュニヤーを母に生まれ、地上16万由旬(約230万キロ)上空の夜摩天と呼ばれる光明の世界に住み、人間の霊魂に福を授ける光明神であったが、後漢の明帝のとき中国に伝えられ、道教のなどと習合して十王の1人とされ、人の死後35日後に死者を裁くとされた。俗に地獄の支配者とされ、地下500由旬(約7200キロ)にある光明王院に住み、その下から6万由旬までが地獄とされる。死者の行状をすべて記した閻魔帳やら生前の罪悪を写し出す浄玻璃の鏡などを駆使してすべてまるっとお見通しで、閻魔王の前で嘘をつくと舌を抜かれる。一方で地蔵菩薩と同一人物とも言われる。

参考:桜井徳太郎『民間信仰辞典』東京堂出版
    ジャポニカ1972

エンメリヒ(アンナ・カタリーナ、Anna Katharina Emmerich)

  1774〜1824。ドイツのローマ・カトリックの神秘家。ウェストファリアの小さな村フラムシェの貧しい家庭に生まれる。1802年デュルメンにあるアウグスティヌス会の女子修道院に入るが、1811年の修道院閉鎖に伴いデュルメンのフランス人司祭の許に引き取られる。翌年重病になった際聖痕を受け、飲食物をとらなくなり、透視能力や空中浮揚などの能力を示した。当時は見捨てられていたエフェソスの聖母マリア昇天の家の状況を透視したことでも有名。聖痕については1819年8月に隔離され、神学者たちによる調査が行われたが怪しい点はなかった。

参考:『キリスト教人名事典』(日本基督教団出版局)

エンリル(Enlil)
 シュメール古来の神。シュメール語で主人、風の意味で大気の神。アンとキの子でニヌルタの父。メソポタミアの最高神。妻はスドゥ、ニントゥ、アシュナン、ニンリルなどがあてられ、ナンナ、ネルガル、ナムタルの父とされる。ニップルの守護神。別名ヌナムニル。アンとキは大気の神エンリルを産み、エンリルは天を地から分離した、アンは天を運び去ったがエンリルは地であるキを運び去った。『エンリルと鶴嘴の創造』では万能の鶴嘴を創造。シュメールやバビロニアの神話ではニップルのエンリル神殿エクル内のウブシュウキンナでアンの指導下で神々の会議が開かれ、決定をエンリルが実行する。国家の滅亡や異民族の侵入はエンリルの仕業であり、『エンリル神とニンリル女神』ではニンリルをヌンビルドゥ運河の堤で強姦したため他の神々に罰せられ冥界へ追放される。ニンリルは月神ナンナを身ごもっていたがエンリルの後を追ったため、エンリルはさらにニンリルと交わり、メスラムタエア、ニンアズ及びもう1人名前が不明の三柱の神をはらませてナンナの身代わりとしたのでナンナは天に昇れることとなった。力を象徴し荒れ狂う嵐、野生の雄牛と呼ばれる。

参考:集英社『古代メソポタミアの神々』