(最終改訂:2002年2月11日)

サイ(Psi)

 ギリシャ文字の二十三番目の文字で、ESPサイコキネシスを含めた超心理現象を示す言葉。1948年にイギリスのソーレスとワイスナーが使用し始めた言葉。その後サイオニクス、サイ科学などサイという言葉を用いた造語も提唱され、またサイ現象の原因となるエネルギーとしてサイ・エネルギーという用語が用いられることもある。

参考:Hans J.Eysenck,Carl Sargent著『Explaining the Unexplained』(Prion)
    ジョン・ベロフ著『超心理学史』(日本教文社)


サイコキネシス(Psychokinesis)

 いかなる既知の物理的エネルギーや媒介物を用いずに物質に影響を与える能力のことで、念力、念動作用、精神隔動、心霊隔動などと訳され、PKと略称される。テレキネシス、パラキネシスなどいう用語もほぼ同義である。デューク大学のジョセフ・バンクス・ラインがギャンブル好きの学生から着想を得て、サイコロによる実験を開始したのが研究の始まりとされ、手を触れずに物体を動かすニーナ・クラギーナやユリ・ゲラーのスプーン曲げが代表的な例とされるが、サイコキネシスの効果は単にこうした現象に留まらず、印画紙に影響する念写や空中浮揚、ヒーリング、ポルターガイストなども超心理学の立場からはサイコキネシスの一種として説明される。電子等目に見えないほど微少な物体に及ぼすサイコキネシスをマイクロ・サイコキネシスと呼ぶこともある。サイコキネシスの能力者をサイコキニートと呼ぶこともあるが、あまり一般的ではない。旧ソ連ではバイオ・フィジカル効果と呼び、この研究をバイオ・エナージェティックスと呼んだ。

蛇足:阿佐田哲也の『麻雀放浪記』などを読むと、腕のよいギャンブラーはサイコロの目をある程度思いとおりに出せるようである。また、カジノのルーレットのディーラーは、その気になれば好きな数字を出せるという。

参考:Hans J.Eysenck,Carl Sargent著『Explaining the Unexplained』(Prion)
   ジョン・ベロフ著『超心理学史』(日本教文社)


サイコメトリー

 物体、写真等に触れることで、それに関連する事件、人物、その物体の出所や由来などについて把握する能力のこと。アメリカの骨相学者であったJ.ローズ・ブキャナンが発見した。精神測定、心霊鑑定、心霊測定、探魂術などと訳される。オランダのゲラルト・クロワゼ、ピーター・フルコスなどの能力者がこの能力を犯罪捜査に利用したことで有名になったが、彼らが如何なる方法で情報を読みとっているのかについては諸説ある。人の筆跡を手がかりとしてサイコメトリーを行なうことを特に超筆跡学と呼ぶこともあり、サイコメトリーの能力を有する者はメトリスト、パラグノストと呼ばれる。

参考:Hans J.Eysenck,Carl Sargent著『Explaining the Unexplained』(Prion)


サイ・ババ(サーチャ、Sathya Sai Baba、本名サチャナラヤーナ・ラージュナ、Sathyanararana Ratnakaru Raju)

 1926年〜。インドの聖者。本名サチャナラヤーナ・ラージュナ。インド南部のプッタパルティに生まれる。幼児より特異な能力を発揮していたが、13才のとき、シルディのサイ・ババの生まれ変わりを主張し、病気治療や聖灰ビブーティなどを出現させるアポートで有名になる。プッタパルティにはサイババ教団の本部があり、空港や病院なども完備している。007シリーズのプロデューサー、ハリー・サルツマンなど有名人の信者が多数いる。日本では青山圭秀著『理性のゆらぎ』(三五館)により知られるようになるが、何度かトリックを用いる場面が確認されている。
蛇足:これまで何十人というインド人にサイ・ババを知っているかと尋ね続けた。知らないと言ったのはタクシー運転手一人だけで、他は全員知っていた。その評価はまちまちであるが、外交官などのかなり教育程度の高い人たちの中にも、サイ・ババは本当に奇跡を起こすと信じている者がいた。小生の経験では、超常現象を信じるかどうか(逆にいえば超常現象を頭から否定するかどうか)は教育程度や知能指数とはあまり関係なさそうである。これは欧米やイスラム圏のトップクラスの科学者の中にも原理主義者がいるのと同次元の問題かもしれない。強いて言えば「魂」(つまり人生において何に心を惹かれるかということ)の問題であろう。他方サイ・ババについては何度かトリックを用いたことが確認されているようである。さらに一部ではホモ疑惑まであるようである(そういえばとりまきに女性がいないようだが)。

www.myfreeoffice.com/saibabaexposed

参考:青山圭秀著『理性のゆらぎ』(三五館)

左慈(さじ)
 『三国志演義』に登場する仙人の1人。揚子江北岸の盧江出身で、本来は儒教を学んでいたのだが後漢末の混乱の時代をはかなんで天柱山で修行し、様々な術を身に付けたという。魏の支配者曹操は左慈の噂を聞きつけ、あるとき宴席に招いた。その場で曹操が、「今日の宴席には珍しいご馳走が大体そろっているのだが、松江のスズキだけがない」と述べたところ、左慈は「では手に入れましょう」と述べ、銅の水盤を持ってこさせた。そして竹竿で水盤の中からスズキを何匹も吊り上げたという。他にも、一室に閉じ込め、1年間水以外与えられなかったのにまったく変わらぬ様子で出てきたとか、1升の酒と1斤の干し肉だけで、曹操の100人あまりの従者全員を満腹にしたとかいう伝説が残る。最後は霍山という山で九転丹という仙薬を飲んで天に昇ったという。

参考:『「道教」の大事典』(新人物往来社)


サタン(Satan)

 ユダヤ・キリスト教において神に対立する悪魔王の名前。サタンはヘブライ語で「敵対する者」という意味。本来は熾天使の一人で、通常の熾天使が6枚の翼を持つのに対し12枚の翼を持ち、「光輝なる者」を意味する「ルシファー」と呼ばれていたが、その奢りゆえに天から追放され、地獄に落ちて醜い姿となった。アスモデウス、ベールゼブブ、ベリアルなども本来はサタンに相当する悪霊の王の名であったが、その後これらの名称は別の悪魔の名称に用いられるようになった。イスラム教のイブリースとも同視される。

蛇足:サタンはしばしばサターン(土星)と混同される。確かにカタカナで表記すれば両者は似ているが、本来語源的に異なる。サタンはヘブライ語のハ・サタン(敵対する者)の意味で(ハはヘブライ語の定冠詞。英語ではtheに相当)、つまり神に反抗する特定の者、という意味になる。他方土星はローマ神話のSaturunusに由来し、ジュピター以前の黄金時代を支配した神とされている。ギリシャ神話ではゼウスの父はクロノスなので、その後両者は同視されるようになった。なお、占星術上土星は一般に凶星に分類される。

参考:ジェフィリー・バートン・ラッセル著『サタン』(教文館)


サバト(Sabbat)

 2月2日、4月30日(ワルプルギスの夜)、6月23日、8月1日、10月31日、12月21日といった特定の日の夜、特定の場所にヨーロッパの各地から魔女が集まって行う大規模な魔女の夜宴のこと。この日、ヨーロッパの魔女は山羊や箒などに乗って空を飛び、ブロッケン山、キエフのボールド山、スウェーデンのブロキュラ、フランスのピュイ・ド・ドーム等に集まり、山羊の姿の悪魔の主催の下、宴や踊り、悪魔と魔女の性交を繰り広げるという。語源的にはフランス語のs'ebattreあるいはディオニュソスの名称の一つであるサバディウスに由来すると言われる。1400年頃からこうした概念が作られたが、サバトが行われる日はケルトの祭日にも一致している。17世紀の魔女狩人によればサバトではドイツの魔女は薄切りの蕪、フランスの魔女は幼時の肉、スペインの魔女は死体、スイスの魔女は蝙蝠のシチュー、イギリスではローストビーフとエールを食する。

参考:Amanda Oneill著『Gods & Demons』 


サンジェルマン伯爵(Comte de Saint-Germain)

 1710?〜1784。フランス革命前のパリに現われた謎の人物で、予言や魔術を行なった。2000才であると主張していたが、死亡した際の年齢は188才、あるいは223才であったとも言われる。錬金術の大家で自らを不可視としたり不死の秘密を知っていた。ヨーロッパの言語のほとんどをしゃべり、バイオリニスト、ソロモンやシバの女王を知っていると主張。ダイヤモンドの傷を取ったり金を生成する秘密を知っていたという。その前世はローゼンクロイツであったとも言われている。一説にはポルトガル系ユダヤ人とも言われ、ドイツではフリーメーソンを設立し、カリオストロを勧誘したとも言われる。死後ヨーロッパ各地でその姿が目撃されている。ブラヴァツキーによればマスターの一人であった。

参考:コリン・ウィルソン著『オカルト』(新潮社)
    『魔術』学研ムーブックス
    アンドレ・ナタフ著『オカルティズム事典』(三交社)
    ピーター・ワシントン著『神秘主義への扉』(中央公論社) 

    

サンダー・シン(サドゥー、Sadhu Sunder Singh)

 1889〜1929。インドのキリスト教神秘主義者。パンジャブ地方のシーク教徒の富裕な家庭に生まれる。幼い頃サドゥー(ヒンズー教の行者)と出会ったことで真理を求めて生きることを決意する。キリスト教の小学校に学んだとき、最初はキリスト教を嫌っていたが、1904年12月18日にイエスの姿を見て回心し、翌年イギリス国教会で受洗。以後インド神秘主義とキリスト教を結合し、サドゥーの衣を身にまとい、ヒンドゥー教の形式による伝道を試み、チベット、スリランカ、日本、中国などを訪問した。チベットでは裸で古井戸に投げ込まれたことがある。このとき、井戸の鍵は地方のラマがずっと保管していたにもかかわらず、3日目に何者かが井戸の蓋を開けてサンダー・シンの脱出を助けたという。イエス・キリストにならって33才で死ぬことを望んだが果たせず、1929年4月に再度チベット伝道に赴き、ヒマラヤのどこかで行方不明になる。ミステリアスな最後である。

参考:『Mystics and Prophets』(Paragon)


ェイバー・ミステリー(the Shaver Mystery)

 アメリカのSF作家リチャード・シェイバー(1907〜1975)がアメリカのSF雑誌「アメイジング・ストーリーズ」に連載した一連の創作シリーズ。シェイバーは『レムリアの記憶』において、自分の農場の岩の中に刻まれた太古の地球の記録を通じ、地底世界とそこに住む地底人デロの存在を描き、デロが地上の人間の心を支配して様々な事件を発生させていると述べた。しかしこの作品の掲載後デロの存在を経験したという投書が「アメイジング・ストーリーズ」に押し寄せると、編集者のレイ・パーマーとシェイバーは、この話がシェイバーの種族的記憶に基づく事実であったと主張するようになった。どうみてもフィクションとしか考えられないが、この事件はその後地球空洞説との関連で引用されることがある。

参考:カーティス・ピーブルズ著『人類はなぜUFOと遭遇するのか』(ダイヤモンド社)


ジェームズ(ウィリアム。Prof.William James)

 1842〜1910。アメリカの心理学者、哲学者。パースのプラグマテイズムを発展、普及させた。その一方で心霊現象の研究も行った。ニューヨークに生まれる。18才でハーバード医学校に入り、ルイス・アガシの助手となってアマゾン探検などを行うが健康を害し、医学校に戻る。1869年に医学博士。1872年、ハーバードで生理学講師となるが後に心理学教授を経て哲学教授となる。スウェーデンボルグに傾倒していたが、1884年、パイパー夫人の能力に接し、心霊現象も研究するようになり、アメリカ心霊調査協会設立に尽力し、イギリス心霊調査協会会長を務めたこともある。ジェームズ・ハイスロップに対し、死後メッセージを送ると言い残していたが、死後、イギリスに住む、ジェームズのこともハイスロップのことも知らない霊媒を通じて、二人だけが知っている秘密を伝えられたという。

参考:リン・ピクネット著『超常現象の事典』(青土社)


自動書記(Automatic Writing)

 自動作用の一種で、本人が意図しないのに手がひとりでに動いて、文字や絵などを書き残す現象。心霊主義の立場からは霊が霊媒の手を借りて自己の意思、創作文を書き連ねるものと説明され、完全にトランス状態に陥ってしまう場合と、自己の意思はあるが手だけが勝手に動く場合とがある。時に本人が知らないはずの内容を含んだり、知らないはずの言語で書かれたり、また特定の人や修行を積んだ人にしか読めない文字が現れたり、通常では考えられない早さで文章を書き連ねるなどの現象も生じる。自動書記により絵画や線画が描かれる場合を特に自動絵画・自動線画と呼んだり、故人の生前の文体・書体がそのまま再現される場合を複写現象と呼んだりすることもある。

参考:春川栖仙『心霊研究事典』東京堂出版

支配霊(Control)

  守護霊の統制下で、ある特定の役割を持つ霊のこと。指導霊とほぼ同義に用いられる。また、交霊会の際霊媒と人格的に入れ替わる霊のこともこう呼ぶ。霊媒とは別に霊としてそれ自身の人格を持ち、霊媒が支配霊に支配されているときは声が変わったり、変貌現象という容貌の変化等が見られる。他方精神医学上は第二人格が変成意識状態において表面に表れる現象と解釈できる。

参考:春川栖仙『心霊研究事典』東京堂出版


シビルの書(Sibylline Books)

 シビルとは古代の女予言者のこと。各地にシビルと呼ばれる女予言者が現れたが、最も有名なのはイタリアのナポリの近くにあるキュメのシビルであった。キュメのシビルはその神託を9冊の本にまとめ、紀元前6世紀のローマ最後の君主タルキニウスに法外な値段で売ろうとした。タルキニウスが断ると3冊を焼き捨て、6冊を同じ値段で売ろうとした。再度断ると、さらに3冊を焼き捨てたので、タルキニウスもこれを言い値で買った。これがシビルの書と呼ばれる予言書で、ローマのカピトリーネ寺院に保存されていたが紀元前83年の火災で消失した。しかし欧米では今でも時折、シビルの書から得たという予言が出回ることがある。

参考:James Randy著『the Supernatural A-Z』(Headline)
    山内雅夫他著『予言のすべて』(日本文芸社)


シャンバラ(Shambala)

 中央アジアの地下に存在すると伝えられるアガルタ王国の首都の名前。シャンバラには幾人もの副王と幾千人もの高僧を従えた世界の王ブライトマが住み、地表の人類とは比較にならない高度な科学技術を持つ。地下通路によって世界へとつながり、折に触れシャンバラの使者を世界に派遣される。ダライ・ラマはシャンバラの使者の一人とされ、ポタラ宮の地下にシャンバラへの入り口があるとも言われる。本来はラマ教の伝説であったが、西洋にはニコライ・レーリッヒがラマ僧の話として伝えた。またオッセンドウスキーもアフガンとインドのどこかに地底世界への入り口があると伝えている。一方ダライ・ラマ自身は、シャンバラは通常の意味で存在するものではないと繰り返し述べている。

蛇足:広島県には庄原市という都市があるが、ショウバラという名はシャンバラに似ている。ちなみに庄原市には日本のピラミッドの代表例とされる葦嶽山がある。

参考:『シャンバラ』(ユニバース出版社)
   北川隆一郎著『精神世界がわかる事典』(日本実業出版社)


シュタイナー(ルドルフ、Rudolf Steiner)

 1861〜1925。ドイツの哲学者、人智学の創設者。現ユーゴスラビア領クラリイエヴェック生。幼少時より霊視力を持ち、あらゆる場所に霊を見、現実世界と霊的世界の二重生活を営んでいたという。1899年に神智学に参入、1902年にドイツ支部長となる。1912年に人智学協会を設立し、翌年クリシュナムルティ運動に反対して神智学協会を離脱した。彼はアカシック・レコードにコンタクトできたという神秘家であるが、ゲーテ研究でも名をなし、また子供の人間性を重視するシュタイナー教育や総合舞台芸術としてのオイリュトミーなど様様な影響を後世に残している。生前は発生学者のエルンスト・ヘッケル、作家のフランツ・カフカやシュテファン・ツヴァイクとも接触があり、ミヒャエル・エンデなどもシュタイナーの影響を受けていた。

 参考:荒俣宏編『世界神秘学事典』(平河出版社)
    西平直著『シュタイナー入門』(講談社)


シュマイドラー効果(Schmeidler Effects)

 能力実験においてその存在を信じる者の方が信じない者より好成績を収めるという現象。1942年、アメリカ合衆国ハーバード大学の心理学者ガートルード・シュマイドラーが発見したことからこう呼ばれる。シュマイドラーはハーバード大学でESPカードによるテストを一般の学生に対し行った際、事前の面談によりサイ現象を信じる人間と信じない人間の2グループに分けたところ、信じる者は平均的中率を上回る成績を挙げたのに対し否定者は平均を下回った。シュマイドラーは肯定者をヒツジ、否定者をヤギと命名したため、ヒツジ・ヤギ効果とも呼ばれる。

参考:Hans J.Eysenck,Carl Sargent著『Explaining the Unexplained』(Prion)


シーラカンス(Coelacanth)

 硬骨魚類総鰭類シーラカンス目に属する魚の名称。約4億年前の古生代デボン紀から中生代白亜紀までの海に棲息していたが約7000万年前に絶滅したと考えられていた。しかし1938年12月22日に南アフリカ共和国沖合で底引き網にかかった個体がシーラカンスの新種ラチメリア(Latimeria chalmnae)であると認定され現代も生存していることが確認された。恐竜絶滅とほぼ期を同じくして化石の出土が消えたシーラカンスが現在も棲息している事実は、オオウミヘビや湖底怪獣の正体について恐竜の生き残りを唱える者によってしばしば引用される。つまり、白亜紀以降の化石が未発見ではあっても、どこかでひそかに生き延びていたという実例があるということである。もちろん、魚類で海中に生息するシーラカンスと、爬虫類で、従って定期的に呼吸をする必要のある恐竜とでは生き延びるための条件が異なるし、白亜紀以降のシーラカンスの化石もその後発見されている。

参考:Fortean Times第132号
    ジャポニカ(1973年版)

ジン(Jinn)
イスラム圏でその実在が信じられている超自然的存在のこと。イスラム教の聖典『コーラン』によれば、天使が光から、人間が土から創られたのに対しジンは炎から創られ、普通の人間にはその姿は見えないが、姿を現すときには人間や獣など様々な形となる。預言者ムハンマドの言行録『ハディース』によれば、ジンはその力に応じて5種類に分けられ、一番弱いのがジャンで次がジン、続いてシャイターンとなり、さらに強力なイフリートやマーリドは様々な神通力を持つ。『アラビアンナイト』で有名な瓶の中の巨人やアラジンのランプの精もジンである。ジンには善良な者もいれば邪悪な者もおり、さらにキリスト教徒やユダヤ教徒のジンなどもいるらしい。嘘が嫌いで涙にもろいハクション大魔王などはかなりお人よしのジンと言えよう。
参考:羽仁礼著『新千一夜物語』(三一書房)





ウェーデンボルグ(エマニュエル、Emanuel Swedenborg)

 1688〜1772。スウェーデンの自然科学者、宗教家、神秘家。ストックホルムに生まれる。本来はEmanuel Swedberg。ウプサラ大学で言語学、数学、鉱物学、天文学、生理学、神学を学ぶ。1709年ウプサラ大学卒業後ヨーロッパ各地を旅行。1715年の帰国後スウェーデン最初の科学紙を発行、多くのレポートを掲載。チャールズ7世に注目されスェーデン鉱山局に採用される。その間数学、鉱物学、解剖学、生理学などの分野に関するレポートを残す。1718年のチャールズ7世の死後、1719年に貴族に列せられてスウェーデンボルグを名乗る。その後何度もヨーロッパを旅行し、聖書解釈にも手を染めるが、その解釈はグノーシス派やカバラの影響を受けていた。55才頃より生きたまま霊界に入る生活を語り始め、その体験を霊界著述と称される一連の書物に残す。1736年に瞑想中意識を失う経験をして以来夢を記録。1745年には内なる声に導かれて神学を学ぶ。1745年に昼食中部屋が蛇や蛙で覆われ、一人の男が食べ過ぎるなと警告する幻を見る。その後天国や地獄への門が開かれ、霊と普通に対話するようになる。これにはカントも肯定的評価を下した。1759年7月19日にイェーテボリの友人の家で500キロ離れたストックホルムの火事の模様を霊視した話は有名。事件の2日後、通商局の役人がストックホルムの火事について語ったが、その記述はスウェ0デンボルグが述べたことと一致していた。1761年春には、オランダの元スウェーデン大使夫人が銀細工しから代金を請求され、スウェーデンボルグはしばらくすると連絡があると告げたことがある。すると夫人は夢を見て二回の棚の引き出しが二重底になっており、その中に領収書があることを知った。1757年に天使から伝えられたとして世界の終わりを予言したがこれははずれた。

参考:スウェーデンボルグ著『霊界日記』(静思社)
   マーチン・A・ラーソン著『ニューソート』(日本教文社)

   

聖遺物(Relics)
 イエス・キリストや聖人たちにゆかりの物品で、治癒などの奇跡を起こす力があるとして崇拝される。イエス・キリストについては磔にされた十字架の一部や、磔に使用された釘、最後の晩餐に用いた聖杯、イエスのわき腹を刺したという槍、トリノの聖骸布やベロニカの聖顔布などがあり、聖人についてはブリジットの心臓やヤコブの死体など、身体の一部であることが多い。


痕(せいこん、Stigma)

 イエス・キリストが磔の時に受けたのと同じ傷が体に現れる現象。1224年9月、聖フランシスコがアルベルナ山で熾天使の姿を夢に見、その際両手足と脇腹に傷を受けたことが最初とされ、クレルモンフェランの医学部教授グルベイル博士は321件を確認している。現在までに約400人が聖痕を受けている。聖フランシスコの前にも、オザンヌという女性や、クノッソスのエピメニデスなどが聖痕者ではないかとされる。聖痕者341人中280人が女性という統計もあり、また330人中聖人とされたのは60人のみとの数字もある。実際には磔の際、釘は掌でなく手首に打たれるにも拘わらず、大部分の聖痕者は、絵画などで一般に描かれている掌の真ん中に傷を受けており、また聖痕者の大部分は女性で、金曜日などイエスの受難と関係の深い日に出血が増えたりするなどの現象が広く見られる。医学的には一種のヒステリー性の限局性水ほう形成によるものと説明されることがあり、ドイツの医師アルフレッド・レヒラーは1933年にヒステリー性神経症の患者に暗示をかけ、掌に水疱を生じさせたとされるが、実際に手足から出血させるまでには至っていない。またオードリー・サントは、植物人間となって意識不明の状態にも拘わらず聖痕を受けている。

参考:J.ミッチェル、R.リカード著『フェノメナ』(創林社)


セイラムの魔女裁判(Salem Witch Trials)
 1692年、アメリカのマサチューセッツ州ボストン近郊の町セイラムで発生したアメリカ合衆国最大の魔女裁判。この年の2月、セイラムの教区司祭サミュエル・パリスの娘エリザベスをはじめとする11歳から20歳までの7人の少女がひきつけの発作を起こすようになった。少女たちがパリスの女黒人奴隷ティトバとサラ・グッド、サラ・オズボーンの三人の女性を魔女として告発したことから魔女裁判が本格化し、少女たちは町の女性たちを次々と魔女として告発するようになった。最終的に150人が投獄され、19名が処刑、2名が獄死したという。

蛇足:現在セイラムには魔女博物館や魔女の家があり、観光名所になっている。少女たちがひきつけを起こすようになった原因としては、黒人奴隷ティトバからブードゥーについて聞いたからとか、前年の年末にグラスに卵を落として中を覗き込み、将来の夫の姿を見ようとしてからだとか言われている。なお、19世紀のアメリカの霊媒エディ兄弟の祖先にも、セイラムで処刑された魔女がいたと言われている。

参考:『Ritual and Magic』(Parragon)

セーガン(カール、Carl Edward Sagan)

 1934〜1996。アメリカの天文学者、コーネル大学教授。アメリカ天文学協会惑星科学部長で地球外生物学でも知られる。ニューヨークに生まれる。シカゴ大学で物理学修士、天文学・天体物理学博士号取得。カリフォルニア大学基礎化学研究所、スタンフォード大学、ハーバード大学を経てコーネル大学教授。同大電波物理宇宙研究センター惑星研究所長も務める。専門は惑星科学で、地球外生命体の探査にも強い関心を持ち、パイオニア10号(1972)及び11号(1973年)に宇宙人への手紙を積み込んだ。マリナー、バイキング、ボイジャー計画でも重要な役割を果たす。「コスモス」、「核の冬」などの著書でも知られ、1978年にピューリッツァー章受賞。1997年にはセーガン原作の映画「コンタクト」が封切りされた。SCICOPメンバーでもあり、少なくともUFO地球外起源説については否定的で、宇宙人が既に地球を訪れている証拠は存在しないと主張している。超常現象全般について科学的立場からの批判を行っているが、その可能性を完全に否定しているわけではなく、他方著書『科学と悪霊を語る』の中では、まじめに調べてみるだけの価値のある超常現象として(1)頭の中で考えるだけでコンピューターの乱数発生機構に影響を与える可能性、(2)感覚をいくらか遮断された人が自分に向けられた思考やイメージを受け取る可能性、(3)幼児が前世のことを、生まれ変わりとしか思えないくらい詳しく話す、の3つを挙げている。1977年7月、NASAはその功績を認めて、火星着陸に成功した探査機マースパスファインダーの着陸船をカール・セイガン記念基地と命名した。

参考:カール・セーガン著『カール・セーガン科学と悪霊を語る』(新潮社)
   James Randy著『the Supernatural A-Z』(Headline)


接近遭遇(Close Encounter)

 UFOとの近接での遭遇のことで、ハイネックによる命名。ハイネックは第一種接近遭遇、第二種接近遭遇、第三種接近遭遇の三種に分類したが、その後第四種接近遭遇も提唱されている。

 第一種接近遭遇(Close Encounters of the First Kind:CE-1)は180メートル以内の至近距離でのUFO目撃事件のうち、目撃者及び環境への影響を伴わないものを指し、第二種接近遭遇(Close Encounters of the Second Kind:CE-2)はUFOの目撃に伴い、車のエンジンがストップしたり着陸痕が地面に残るなどの物理的影響が確認される場合で、第三種接近遭遇(Close Encounters of the Third Kind:CE-3)はUFOの搭乗員が目撃されるケースである。搭乗員の目撃としては、UFO内部の搭乗員や乗降が目撃される場合の他、UFOの近くでの目撃、UFO目撃多発地帯でのそれらしき生命体の目撃、声やメッセージなどにより搭乗員の存在が推定される場合も含む。

  その後提唱された第四種接近遭遇(Close Encounter of the Forth Kind:CE-4)はUFO乗員と話をしたり、一緒にUFOに搭乗したりする、いわゆるコンタクト・ケースを指すもので、アブダクション・ケースも含まれる。ジェニー・ランドルズによれば第四種接近遭遇は四つのタイプに分類されるが、それらは、目撃者が事件の一部始終を記憶しているもの、寝室に姿を現わすもの、記憶喪失を伴うケース、テレパシー自動書記によるものである。

参考:Ronald Story『the Encyclopedia of UFOs』(Doubleday Dolphin)


セリオス(テッド,Ted Serios)

 1920頃〜。アメリカの念写能力者。シカゴ・ヒルトン・ホテルのベルボーイをしていたが、10代の頃から念写能力を発揮し、1964年より3年間にわたりコロラド州のデンバー大学神経精神病院長ジュール・アイゼンバッド博士の調査を受ける。アイゼンバッドによれば、セリオスは何のトリックもないポラロイド・カメラとポラロイド・フィルムを使って遠隔地の様々な光景を映し出したが、その後彼の能力は失われた。セリオスがいつもギズモと呼ばれる筒を持っていたこと、ヘビー・スモーカーでアルコール中毒だったことなどもあり、懐疑論もある。彼の能力はその後失われた。

参考:Hans J.Eysenck,Carl Sargent著『Explaining the Unexplained』(Prion)
    ジョン・ベロフ著『超心理学史』(日本教文社)

飛ぶ円盤(flying saucer,flying disc)

 1947年6月24日、ケネス・アーノルドがアメリカのワシントン州レイニエ山上空で9個の飛行物体を目撃した事件から一般化した言葉で、後のUFOとほぼ同義に使用されていた。実際にはアーノルドは、この飛行物体の飛び方について、円盤を水面で水切りさせたような、と形容したのであるが、ジャーナリズムが用いた空飛ぶ円盤という言葉が一人歩きし、その後まさに円盤形の未確認飛行物体が世界各地で目撃されるようになった。また円盤形の宇宙船については、アーノルド事件以前に「アメージング・ストーリーズ」等に掲載されているという。

参考:Ronald Story『the Encyclopedia of UFOs』(Doubleday Dolphin)
    カーティス・ピーブルズ著『人類はなぜUFOと遭遇するのか』(ダイヤモンド社)


ゾンビ(Zombi)
 本来ブードゥーにおいて生きた死人を意味する言葉。一旦死亡しながら魔術によって蘇った死体のことで、蘇らせた魔術師の命令を何でも聞くという。ゾンビは歩き方が機械的で目の焦点が定まらない、声が鼻にくぐもっているなどと言われ、実際に死亡したとして埋葬されながらその後ゾンビとなって現れた人物の例は数多く報告されている。ハーバード大学のウェイド・デイヴィス博士は1982年にゾンビについて調査を行い、フグ毒の作用で一旦仮死状態となった人物が蘇生したのがゾンビだと結論したが、魔術師がゾンビを生み出す際に使うゾンビ・パウダーを分析したところフグ毒は検出されなかったらしい。また、本来精神薄弱の人間を自分の死んだはずの身内として面倒を見るという社会制度の一環として捕らえる見方もあるらしいが、この見解では実際に埋葬された人間がゾンビとして現れるという現象は説明できないであろう。
蛇足:アメリカ映画では集団で襲ってくる死者として定着している。