クルスキーの手形





 1920年、ポーランドの霊能力者フラネク・クルスキーは、心霊の存在を証明する交霊会を開き、パラフィンのロウを用いた手袋状の「幽霊の手形」を作り出した。 『クルスキーの手形』と呼ばれるそのロウの手袋は、生きた人間の手形から作製した偽造物だとは考えられない。 非常に薄く出来ているため、実体を持った人間では、固まったロウの中から手を引き抜く時に、必ず手形が壊れてしまうからだ。
これこそ霊魂存在の決定的証拠か・・・!?



<クルスキーの手形> 

 
  物質化した霊の手をロウの中に浸け作製されたという手袋。
  指紋や掌紋までついている。  
  


 オカルト本では古典的とも言える有名な『クルスキーの手形』の話。
個人的な話になるが、初めてその真相を知った時には、正直言って、ちょっとばかり感動してしまった。  子供の頃、小学校の図書館でこの話を読んで以来、僕の心には、その「作製方法の謎」がずっと引っ掛かったままになっていたのだ。  「トリックに違いない。でも、どんなトリックを使ったのだろう‥?」
当時、僕は、あれやこれやと複雑な方法を考え巡らせたものである。 でも、結局、わからないまま、時が流れてしまった・・・。
それが、まさか、こんな単純な方法であったとは!

『クルスキーの手形』が世に出て以降、その作製方法については、懐疑的な人々によっていくつか仮説が出されていた。 だが、それらの仮説にはいずれも欠陥があり、手順が「複雑」過ぎる上、『クルスキーの手形』とまったく同じものを作るには少々無理があった。 『幽霊の手袋』を主張するビリーバーたちに対する反証としては弱すぎたのだ。
ところが、イタリアの有力な懐疑論者で、心霊現象「複製」のエキスパート、マッシモ・ポリドーロとルイージ・ガラスチェリの二人は、それら、懐疑派とビリーバー、双方の主張を分析した上で、1997年に、ある実験を試みた。
そして、『クルスキーの手形』とまったく同じものを作る事に成功したのである。

いったいどんな方法を使ったのか、その作製方法を簡単に説明すると・・・、

 
<複製されたロウの手袋>
 

→『パラフィン・ロウを溶かした容器に手を入れて、その後、その手を冷水で冷やす。 そしてゆっくりと手袋を脱ぐように、膜を張った「手のロウ」を脱いでいく。』  ・・・これだけである。(汗) 
つまり、何でもない、
ごくごく当たり前の方法で『幽霊の手形』は作れてしまう物だったのだ!
「その方法では不可能」という先入観が、長い間、この馬鹿馬鹿しい『偽造物』をミステリーにしてしまっていた。 あまりにも当たり前過ぎて、それまで誰も試してみようとしなかったというのが、 この話のオチだったのである。
<End>