大砲の種類


●大砲の種類について
大砲は、砲の口径、口径に対する砲身の長さ、用途・運用方法、メカニズムの違い等によって様々な種類があります。
ここでは、その種類と定義または用途について説明します。

砲の種類 用途・定義等の説明
カノン砲
(加農砲)
[gun]
[説明]
 カノン砲は同じ砲口直径の榴弾砲に比較して砲口直径に対する砲身長が長く、高初速、長射程である。弾道は低伸弾道で命中率にも優れるため移動標的や点目標への直接射撃に適している。高初速から砲弾の運動エネルギーも大きく、弾種にもよるが貫徹能力にも優れるため重コンクリート陣地や装甲目標への攻撃にも適している。
一方、高初速を得るため、炸薬に対する装薬の量が大きくなる傾向があり、爆発による有効範囲が小さい。また、射撃時の砲腔内圧が高く、砲身の肉厚を厚くする必要がある。反動も大きいため反動を吸収させるための機構も複雑となる。
これらの理由から、重量が重く技術的にも製造が難しくなり高価である。
[定義]
 一般的にカノン砲とは砲身長が30口径[calibers]※1以上の砲を指している。ただしカノン砲の中でも砲身の短い砲(35口径[calibers]未満)をカノン榴弾砲[gun-howitzer]と称することがある。日本での呼称は、カノン砲または加農砲であるが、海外では、同じものにgunを使うことが一般的である。  アメリカ国防総省の用語辞書には特にcannonの解説はなく、gun、howitzer、mortarなどの砲全体をcannonと呼んでいる。
なお、gunのアメリカ国防総省定義は以下の通りである。
1)A cannon with relatively long barrel, operating with relatively low angle of fire,and having a high muzzle velocity.
2)A cannon with tube length 30 calibers or more.
155mm加農砲M2 
榴弾砲
[howitzer]
[説明]
 榴弾砲は同じ砲口直径のカノン砲に比較して、砲口直径に対する砲身長が短く、低初速、短射程である。弾道は曲射弾道で、命中率は劣る。低初速から砲弾の運動エネルギーは小さく、装薬に対する炸薬の量が多くなり、有効範囲が広いため、間接射撃による面制圧に適している。貫徹能力は低いが、有効範囲が広いので、散開する歩兵や輸送車等のソフトスキンへの攻撃に適している。
 一方、射撃時の砲腔内圧が低く、砲身の肉厚を薄くでき、反動も小さいため、反動を吸収させるための機構も単純ですむ。これらの理由から、重量が軽く、技術的にも製造が容易で、安価である。運用は砲兵部隊が行うのが一般的であるが、歩兵部隊が直接運用する榴弾砲もあり、これを歩兵砲と呼ぶ場合がある。
[定義]
 一般的に榴弾砲とは砲身長が30口径[calibers]※1未満の砲を指している。ただし、榴弾砲の中でも砲身の長い砲を(25口径[calibers]以上)をカノン榴弾砲[gun-howitzer]と称する場合がある。一方、近年では、榴弾砲の長口径[calibers]化が進んでおり、カノン砲との区別が不明瞭となっている。榴弾砲の中でも30口径[calibers]以上のものもあり、事実上、砲兵用の砲を表す言葉と考えた方が良い。日本での呼称は、榴弾砲であるが、海外では、同じものにhowitzerを使うことが一般的である。
なお、[howitzer]のアメリカ国防総省の定義は以下の通りである。
1) A cannon which combines certain characteristics of guns and mortars. The howitzer delivers projectiles with medium velocities, either by low or high trajectories.
2) Normally a cannon with a tube length of 20 to 30 calibers.
155mm榴弾砲M1
迫撃砲
[mortar]
[説明]
 迫撃砲は同じ砲口直径の榴弾砲に比較して、低初速、短射程かつ命中率は低い。弾道はさらに曲射弾道で、目標にはかなりの高角度で命中することになる。このため、山岳地帯や市街地などの起伏に富んだ地形で、有効な兵器である。
 一方、炸薬量は充分に大きく、有効範囲が広いため、榴弾砲と同じく、面制圧に適している。このため、散開する歩兵や輸送車等のソフトスキンへの間接攻撃に使用される。また、射撃時の砲腔内圧はさらに低く、砲身の肉厚を薄くでき、反動も小さいため、反動を吸収させるための機構も非常に単純である。これらの理由から、重量が軽く、技術的にも製造が容易で、さらに安価である。
 軽量の割に破壊力が大きいため、歩兵部隊の直協火力として運用されることが多い。砲腔にライフリングがないものが一般的であるが、ライフリングがあるものもある。ライフリングの無いものは、弾道を安定させるために砲弾に羽根がついている。
砲弾の装填は、砲口から装填するものが一般的だが、通常の砲と同じように後方から装填するタイプもある。また、基本的に直接射撃は行わないものが一般的であるが、近年では直接射撃が可能なタイプも存在する。
[定義]
[mortar]のアメリカ国防総省の定義は以下の通りである。
A muzzle-loading, indirect fire weapon with either a rifled or smooth bore. It usually has a shorter range than a howitzer, employs a higher angle of fire, and has a tube, length of 10 to 20 calibers.
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臼砲
[mortar]
[説明]
 臼砲とは砲口直径に対し砲身長が非常短い上、砲身の肉厚が厚く、外見がまるで臼「うす」のように見えることから呼ばれた旧式の砲である。臼砲は日本独特の呼び方で、海外では、迫撃砲と区別無く、[mortar]と呼ぶのが一般的である。カノン砲や榴弾砲に較べ大口径なものが作られ、破壊力が大きかったが、短射程で命中精度が悪い上、大重量のため、機動戦には対応できず、第2次世界対戦以降、あまり使用されなくなった。
第1次世界大戦では、塹壕戦で、第2次世界大戦では、主に要塞攻撃などの対重陣地戦で使用され、重トーチカや深い塹壕などに大威力の砲弾で攻撃した。
60cm自走臼砲カール
無反動砲 [説明]
 無反動砲とは、砲撃の反動を、後方へ同じ運動量を放出することで、相殺するメカニズムを持った砲である。近年では、運動量の放出方法には、発射薬の燃焼ガスをノズルによって後方に噴射させるものが一般的だが、出現当初のものは、油脂と鉛の散弾で作られた平衡弾を後方に打ち出すことで行っていた。この平衡弾は、後方へ飛出し壁などに衝突するとばらばらに砕け散るため、一定の安全地帯を確保しておけば被害は無かった。
 無反動砲は、同砲口直径の砲と比較して低初速のため砲腔内圧が低く、砲身の肉厚も薄いため非常に軽量である。反動が無いため軽量のものは歩兵が肩に担いで射撃可能である。軽量の割に威力も充分に大きく、歩兵の携帯兵器または、直協火力として運用されることが多い。初速が遅いことから、徹甲弾での貫徹能力には全く期待できないが、成形炸薬弾(HEAT弾)の使用によって対装甲戦闘にも使用可能となっている。
なお、近年では、歩兵携帯型の無反動砲に、ロケットアシストと呼ばれる機構持ったものが存在する。ロケットアシストとは、弾頭が打ち出されたあとに、弾頭自身についたロケットモーターが点火され加速する機構である。射程の増大、命中までの時間の短縮が期待できる。
75mm無反動砲M20
ロケット砲
[rocket launcher]
砲とは定義上、装薬が燃焼する薬室が弾頭側では無く砲側にある。一方、ロケット砲は薬室が弾頭側にあり、弾頭は燃焼ガスを後方に吹きだしてその反動で飛んでいく機構である。このことから定義上は砲ではない。この機構から、砲身は必ず必要なわけではないが、目標への照準や発射時の安定のために砲身をもったものがあり、これがロケット砲と呼ばれる所以である。この砲身は、通常の砲とは異なり発射ガスの高圧に耐える必要が無い(ガスで燃えない必要はある)ため非常に軽くできる。なお、砲身の無いものはロケット弾と呼ばれるのが一般的である。実際のところ、ロケット砲という言葉は、日本だけでしか使われておらず、海外では、[rocket]あるいは[rocket launcher]と呼ばれている。

注釈:
※1 砲口直径に対する砲身長さの比を英語では、[caliber]と言う。使用方法としては、前に数字を入れて「30calibers」などと表現する。一方、日本語では、同じ意味で口径という言葉を使い「30口径」などと表現する。これは、砲口直径を表す口径と同じ漢字で、非常に紛らわしい。砲口直径の場合の使用方法は、「口径30mm」と、口径のあとに数字と単位を書くので、それで区別することができる。しかし、本ホームページでは、初心者への誤解を避けるため、砲口直径を「砲口直径」、砲口直径に対する砲身長さの比を口径[calibers]で表現する。

参考文献:
・「軍事資料データベース 第二次世界大戦・太平洋編」 (株)ジェネラル・サポート
・「WW2[歴史群像]欧州戦史シリーズ VOL..7 クルスク機甲戦」 学研
・「ミリタリー・イラストレイテッド19 世界の重火器」 光文社文庫

参考記事:
・「Re:無反動砲とロケット弾(ロケット砲?)」 著者:Yoshihisa KAWANABE 投稿先:fj.rec.military 投稿日:2000/6/23 Message-ID: <8iunhb$l26$1@xfire.aist.go.jp> 

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作成:2001/05/02 Ichinohe_Takao