貝殻のラセンを調べる


 1.ガラス瓶の貝殻

 螺旋を調べるソフトを作ったけれど、何を調べようかなぁ、と思っていたところ、女房殿がイトーヨーカ堂で貝殻を買ってきてくれました。ガラスのビンに好きなのを入るだけ入れて450円という売り方でした。これは見ているだけでも楽しい。「Spiral」で調べてみたら、いろいろなことが分かって、おもしろい。

貝のかたちは千差万別。特に小さな貝の可憐さ美しさには驚きます。貝の名前を調べていくと浦島(龍宮城)伝説に由来するものもあって、貝にとりつかれると浦島太郎になってしまうかもしれないと思わせるほど魅力的です。でもここでは冷静に、螺旋を調べるソフト「Spiral」を使って調べる対象として、見ていきます。

450円で買ってきた貝殻

2.巻貝と二枚貝のかたち

 「Spiral」を使った調査の第1弾として、「二枚貝と巻貝の同じところと違うところ」を、螺旋をキーポイントにして、調べてみます。

次の表のように種類の違う貝を写真をとる方向を統一して並べてみると、違う形の中にあるある共通した形が見えてきます。


巻貝と二枚貝

No 名称
観察方向 1 観察方向 2 観察方向 3
1 ソマリアデ?

   

参照
2 アクキガイ科?


参照
3  リュウテンサザエ科?

参照
4 アマオブネガイ科?
   

参照
5 イガザル

参照

注:
貝の名称は「微小貝」ページに公開されている「貝類図鑑」の中の膨大な写真から探しました。
しかし素人の悲しさ、よく分かりませんでした。それにしても膨大な貝の種類に圧倒されました。
上の表中の「参照」は「貝類図鑑」で見つけたよく似た貝のページにリンクしています。

3.貝殻の螺旋を調べる

上の貝の中で1〜4までが巻貝で5が二枚貝です。

ここでは、1から5までの貝のかたちには共通したものがあると考えます。共通しているけれど違っているところを螺旋の性質として調べてみます。

それぞれの貝についてその螺旋を「Spiral」を使って調べてみました。

下の表の「貝の螺旋」の欄は、「Spiral」を使って貝の写真に螺旋を描いたものです。

螺旋の性質1〜3はどれか1つだけでも螺旋のかたちを決めるものです。小中学生では1、高校生以上では2,3を調べると良いかもしれません。使い方は、「Spiral」のヘルプを見てください。
No 貝の螺旋 螺旋の性質
1 2 3
三角形の比
(回転角度
30度)
中心からの線と
螺旋の接線とのなす角
極方程式
定数bの値
1 1.027 87.3 1.62
2 1.048 84.9 1.66
3 1.070 82.6 1.70
4 1.22 69.2 1.94
5 1.521 51.7 2.24

4.わかったこと

a) No1からNo5の貝のすべてに等角螺旋(対数螺旋)に一致する曲線があることが分かりました。

b) 三角形の比が1になると、螺旋は円になります。No1の貝は円に近くなっています。No2からNo5になるにつれて円から離れていっています。

c) No3,4,5の間の数値が大きく開いています。

5.考えてみる

 巻貝と二枚貝は近い親戚と考えられます。

 二枚貝になると成長段階で作った殻を成長したあとも無駄なく使うことができます。自分自身を直線的に成長させることができるようになったのでしょう。

 二枚貝の合わせ目は直線になっていますが、この直線は巻貝の巻きの終端にも見ることができます。等角螺旋(対数螺旋)に沿った成長では終端を直線にすることは特別なしくみを作らなくても可能です。

6.不思議なこと

 ここにあげた巻貝はほとんどの貝の螺旋は上から見て時計回りです。「貝類図鑑」を見ても反時計回りのものは数点しかありません。ほとんどの巻貝が時計回りのようです。どうしてなのでしょう。

 4の貝が巻貝と二枚貝の中間のかたちに見えます。4の貝の観察方向3から見ると、穴を塞ぐふたのようなものが見えます。これが発達して二枚貝の二枚目の殻になったと想像できないでしょうか。

 No3,4,5の中間の形をした貝はあまりないような気がします。どうでしょう。No3,4,5の中間の形では生き延びるのになんらかの不都合があったのでしょうか。

 
注:

私は貝についても生物の進化についても素人です。「Spiral」は螺旋を調べることのできるツールです。物差しができて長さを測ることができるようになったことで、いろいろなことが分かるようになって来ました。螺旋をはかることで何が分かってくるのでしょう。
このページは、「Spiral」というツールを使って小中高校生の皆さんがいろいろなことを調べてほしいと思い、1例として手近にあった貝を調べてみたものです。

神奈川県立生命の星・地球博物館 学芸員 佐藤武宏さんからメールをいただきました。
貝の進化として、巻貝から二枚貝へという過程は学問的には考えられないということです。たこやイカや貝の共通の祖先としてHAM(hypothetical ancestral mollusc)と呼ばれる生物が想定されていて、巻貝も二枚貝もそれからの進化だということです。 (HAMの想像図) 

HAMからどのように進化していったのか、かたちを眺めながら、太古のからの時間の流れを想像してみるのも面白そうです。

   

参照
1 上村文隆氏:はまぐりの数学
2 山田まち子氏 :.「貝類図鑑」
3 神奈川県立生命の星・地球博物館 学芸員 佐藤武宏氏:研究ノート ツメタガイの殻とらせん
4 啓林館:“動物の多様性”  (高校の理科指導書のページからリンクされました
5 "磯野家の謎" スキューバーダイビングをされる方が、サザエの螺旋を調べています。(面白い!)
6 東京工科大学 近藤 邦雄氏 :「コンピュータ造形」の講義資料で本サイトの写真が使われています。




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