【例08】松下電器産業 BL-280の修理


今回はトランス付きmT管5球スーパーを修理することにします。このラジオは昭和30年に発売されたMW専用mT管ラジオで、製造時期、機能とも先日修理したCF-610とほぼ同等です。Hi-Fiとは書いて有りませんが、音質切り替えもありますし、マジックアイも付いていますから、安物では無いでしょう。頑丈な木箱入りで、全面パネルの黒と金のアクセントは、現在でも通用しそうな格好の良いデザインです。




【故障内容】

電源を入れて使える状態ではない。動作未確認。

【推定原因】

故障内容等一切不明。

【故障の考え方】

約半数程度のmT管ラジオは、手入れをしなくても何とか鳴る程度の機能を保っているようです。ただし、このラジオの様に木箱に入ったmT管ラジオでも初期の製品は、いきなり電源を入れてはいけません。mT管ラジオと云えども製造から50年経過していますし、内部の埃と痛み具合を見れば、動作しないことは明らかです。これも一度解体してじっくりと観察し、危険な部分を検査、修理した後、動作確認と再修理という順序でなおしてきます。




【修理】

【1】正面はアクリルパネルですが、かなり煤けて黒くなっています。また、写真では見えませんが、木箱の塗装はしっかりしており、ニスが曇って白っぽく汚れています。つまみの真鍮部分は錆びているようです。





【2】裏蓋を外して、セットの後ろを観察します。このラジオも電源コードの交換が必要です。固くなって癖が付いていますし、先端のプラグも交換されています。毎度の事ですが、パイロットランプの配線はボロボロにひび割れて所々裸線が露出しています。これは全て交換しなければなりません。とりあえずシャーシを取り出してみることにします。




【3】シャーシを取り出すには底ねじとつまみを外すのですが、つまみにねじが付いていない場合はローレットですから引っ張って外します。時々固くなっていることがありますから、つまみを壊さないように慎重に抜きます。またダイアル指針を外さなければシャーシは抜けません。下の写真のように糸をネジ止めしてありますから、ゆるめて糸を指針から外します。なお、これを忘れるとダイヤル糸が切れるか、指針が折れます。




【4】シャーシを取り出しますと、酷く汚れています。真空管とヒューズを外し、パイロットランプとスピーカーの配線、ACコードを切断します。配線は交換しないといけませんから付けて置いても作業のじゃまになるだけです。マジックアイは蝶ねじを回せば外れます。外したら綺麗に掃除をします。




【5】こちらは木箱の写真、見たところ汚れているだけで、鑞が垂れている所はありません。こちらも歯ブラシと筆で綺麗に掃除します。




【6】真空管です。使われているのは6BE6,6BA6,6AV6,6AR5,6X4,6E5です。特に変わったところはありませんが、6BD6ではなく6BA6が使われているところが珍しいでしょうか。この年代の中間周波数増幅は6BD6が主流なのです。真空管は汚いのでアルコールで綺麗に磨きます。




【7】シャーシと木箱、真空管の清掃が終わりました。シャーシは綺麗になりましたが、とんでもないことに真空管が2本壊れてしまいました。6AV6は磨いている最中に割れました。そんなに力は入れていないのですが・・・こんな失敗は初めてです。ひびでも入っていたのか、ガラスが歪んでいたのか分かりませんが、割れては仕方有りませんから、在庫球から補充します。幸い、6AV6は多数手持ちがあります。また6E5もダメです。これはルーズベースだったのですが、簡単にベースから外れてしまいました。もちろん、これは修理可能です。ただし、修理してもターゲットが真っ黒なので全く光らないでしょう。他の真空管も相当使い込まれていますし、6E5も交換された形跡はありませんから、光らない球を修理しても仕方がありません。ベースは後日使えそうなので保管しておきます。




【8】木箱の外装を清掃します。全面のアクリルパネルを外します。布はしみになって汚れていますが、いい感じに隠れそうです。パネルを付けるとまず見えないのでこのまま使います。指針はアルコールで拭きます。




【9】天板の様子です。曇っており拭いても綺麗にならないのですが、いつもの様にコンパウンドでニスを少し削れば大丈夫です。こういう状態の木箱は割と綺麗になります。




【10】これが磨き終わった後です。艶が出て昔の輝きが戻ってきました。コンパウンドで磨いた後は綺麗に水拭きをします。コンパウンドで磨くときや水拭きするときに使用するのはティシュペーパーです。1台直すのにほぼ2/3〜1箱いりますから、再生紙を使用した一番やすい物が良いでしょう。ティシュは固くてごわごわしている方が、使いやすいのです。









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