【例02】東芝 めじろDの修理

 

このラジオは戦後のトランス付受信機です。Hi-Fi仕様の音が良いのが売り物で、トーンコントロールと選択度の切り替えが付いています。混信が無ければ選択度を落として、高域まで伸びた音が楽しめます。キャビネットも大きなスピーカーが入っていて特大です。また一見マジックアイ付き5球スーパーに見えますが、実は3連バリコン使用の高周波増幅付きスーパーです。球のラインナップは6BA6,6BE6,6R-DHV1,6AQ5,5R-K16で、6R-DHV1は5極3極2極管ですから、6BA6+6AV6相当になります。また高出力を狙ってビーム出力管6AQ5を搭載、電源強化のためラジオとしては大型の整流管5R-K16を使用しています。なかなかの高級機種です。
 

これも購入したときは「正常に動作する」と言われて買ったのですが、音が悪くて.Hi-Fiどころではありません。割れたような、こもったような妙な音です。

 
 

 
【故障内容】
 
音質が悪い。感度は良好、選択度切り替え、トーンコントロール切り替えも効いている。
 
【推定原因】
 
カップリングコンデンサの不良、又はトーンコントロール回路のコンデンサの不良。
 
【故障の考え方】

音が割れるのは一般にカップリングコンデンサの不良、ピーピーと発振する場合、又はヒューという雑音が出る場合は出力回路付近のデカップリングコンデンサの不良が多いものです。また、IFTの調整不良でも音質が悪くなる場合がありますが、可能性は前者の方が遙かに大きく、まずはコンデンサを疑います。
この頃のコンデンサは一般にワックス含浸ペーパーコンデンサかPCB入りオイルコンデンサが使われています。これらは劣化すると半断線、又はショートで故障します。電解コンデンサは容量抜けかリーク不良になります。コンデンサの良否の測定は一般には困難です。回路を見ながら予想で対処し交換します。
不具合があるだけなら簡単な修理ですが、本機はキャビネット等にも不具合が多くて、簡単には行きませんでした。

 
 

 
【修理】

【1】まず正面から見ます。プラスチックの覆いが付いていますが色が変です。所々に白い塗料が残っています。とりあえず、つまみとこのアクリルパネルを外します。
 
 

 

【2】外すとなんと下から厚紙が・・・。昔のカタログの写真ではこのパネルは白色です。また残っている塗料も白色ですから、前の持ち主が清掃のために外して洗ったときに塗料が落ちたのでしょう。それで下の汚い部分が見えるのを隠すため、黒いボール紙を切ってマスクを作ったのだと思われます。見事な細工ですが、オリジナルに戻すために白で再塗装することにします。とりあえずこの部分は置いておきます。
 
 

 

【3】次に背面から観察します。すぐに電源コードが途中から継ぎ足され、ビニールテープで絶縁されているのが目に入ります。これは安全のため根本から新品と交換する必要があります。トーンコントロールスイッチの所にオレンジ色のフィルムコンデンサが見えます。これは不良で交換されたのでしょう。すぐ側に黄色い電解コンデンサが付いています。これは膨らんでいてNGの様に見えます。これが音が悪くなった原因かも知れません。後ほど交換する事にします。
 
 

 

【4】底ねじを外してシャーシを取り出します。このセットは指針がシャーシ側に付いているため、指針は気にする必要がありません。シャーシを取り出したらキャビネットの中をじっくり観察します。比較的綺麗に掃除されているように見えますが、一部埃の積もっている所も見えます。またパイロットランプへの配線にひび割れ、変色している部分があります。これは取り替えるしかなさそうです。また、ブロック電解コンデンサのちょうど下の部分が染みになっています。これは電解コンデンサが液漏れした可能性を示しています。
 
 

 

【5】問題のブロック電解コンデンサに着目します。やはり液漏れの痕跡があります。またケースの一部にひび割れが発生して白い汚れが出ています。よってこのコンデンサは使えません。容量は60+20+5uF350Vですが、全て350V耐圧が必要な訳ではないと思います。これは後から回路を確認して使用する部品を選定して、トーンコントロールに使われている黄色のチューブラ電解と一緒に取り替えることにします。
 
 

 

【6】ダイヤル部分を観察します。金属が露出して錆が出ているように見えますが、実は接着剤の痕跡です。この部分にはフェルト状の布が貼って有ったと推測されます。色は不明ですが、前に修理した時に腐っているか、汚れているかが原因で剥がしてしまったのでしょう。これも材料を準備して直します。
 
 

 

【7】シャーシを裏返して観察します。まず目に付くのは真新しい電解コンデンサです。液漏れしたブロック電解コンデンサは修理されていました。しかし、修理の仕方が不適切です。ブロック電解コンデンサに新しい電解コンデンサが並列接続されています。これではブロック電解コンデンサにも電圧が加わることになり、近い将来破裂事故につながります。したがってこの部分はブロック電解コンデンサを回路から切り離す必要があります。また容量も適当な物が使われていませんから、部品交換を行います。ちなみに近くに見えている黄色の電解コンデンサも不良のようです。また、新しい電解コンデンサの下に付いているペーパーコンデンサも中身がはみ出してパンク寸前です。これはACとシャーシ間に入っているため、安全規格に適合したコンデンサと交換しなければなりません。
 
 

 

【8】回路の修理はコンデンサの交換がメインになりそうですが、かなり時間がかかりそうです。またキャビネットのリード線を張り替える必要もあります。このままでは修理しにくいので、下の写真のようにリード線を切ってシャーシとキャビを分離します。後で繋ぐ必要が有りますから、よく覚えておきます。
 
 

 

【9】ここで清掃のためスピーカーを外します。スピーカーとキャビネットの間には大抵埃が積もっていますので、修理の際は外す必要があります。今回も下記写真の様に埃が付いています。当然コーンの方も汚れていました。電球も全て取り払い、キャビを完全清掃します。
 
 






【10】シャーシから真空管を外します。真空管はアルコールで磨き、ピンの曲がりをピンストレートナーで直します。このラジオの出力管は6AQ5ですが、本機には6M-P20が付いていました。これは6AQ5に戻します。また6R-DHV1は超稀少管です。壊さぬように注意します。
 
 


 



 
 

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