ラジオ展示室「戦後GT管スーパー」

 

戦後、ST管スーパー全盛の時代は昭和20年代後半まで続きましたが、昭和28年頃からぽつぽつとmT管へ移行し、昭和30年以降はほとんどがmT管ラジオになってしまいます。本当はST管の次はGT管なのですが、アメリカでは戦前からGT管スーパーが使われており、昭和30年頃は既にmT管の時代でした。日本では終戦後、戦前と同じで技術的にも作りやすいST管でラジオを作りましたが、復興とともに生産技術も上がると次のステップとしてGT管を使う必要は無く、より進歩したmT管を使用したと考えられます。こんなわけで国産のメーカー品でオールGT管を使用したラジオは大変希少です。アメリカ製のGT管ラジオは珍しい物ではなく、ゴロゴロしているのですが・・・。ここでは国産のGT管スーパーヘテロダイン受信機をご紹介します。

 


 
【301】松下電器産業(National) PS-54型 1953年(昭和28年)
 
使用真空管:12SA7GT/M,12SK7GT/M,12SQ7GT/M,35L6GT,35Z5GT
 
受信周波数:525-1605KC
 
定価:11950円(発売当時)
 
 

 

松下電器産業のオールGT管トランスレス5球スーパー。松下製のGT管ラジオはこのPS-54とPS-53の2機種を良く見かける。発売当時の資料によると「アメリカではラジオは一家に2台の時代、ぜひ2台目のラジオを」ということで発売された機種らしい。外観はアメリカの製品を思わせるベークライトキャビネットで、比較的質素であり、当時良く使われたマジックアイも無い。左が電源兼音量、右は選局つまみで、トーンコントロールは無い。ダイヤルライトは1個で暗い。必要最低限の機能しかないラジオ。

回路は普通の5球スーパーであるが、単巻きトランスを用いて電源電圧を昇圧している。当時は電源電圧が不安定で、80V近くまで落ちることもあったらしく、そのまま整流した場合は性能が出なかったのかも知れない。単巻きトランスを用いて電源をAC120Vにしてから35Z5GTで整流している。パイロットランプの電源はトランスの2次側から取っている。よって厳密にはトランスレスでは無いが、回路が商用電源と絶縁されていないという点ではトランスレスの一種である。アンテナは珍しいフェライトバーアンテナで、外部にビニール線を接続しなくても十分な感度で鳴る。この点は大変良い。

真空管は左から12SA7GT/M,12SK7GT,12SQ7GT/M,35L6GT,35Z5GT。最初は全て/M付きの球が付いていた可能性が高いが、12SK7GT/Mは東芝製、35L6GT/M,35Z5GT/Mは松下製の普通の物と交換されていた。/M付きの球は松下電器が真空管を作り始めた頃の球で、何故/Mが付いているかは不明であるが、通常品より性能が悪かったのかも知れない。なお、回路図には普通の球を使うように書かれており、ピン配置は互換性があるようだ。

その後・・・三重のTさんから35Z5GT/Mはヒーター電圧27Vであるという情報を頂いた。PS-54ではヒーターを全て直列接続にして、トランスの120V巻線から供給しているため、35Z5GT/Mではヒーター電圧が合わない。という事は普通の35Z5GTが使用されていた可能性が高い。ヒーター電圧の違いにより35Z5GTと35Z5GT/Mは互換性が無いようである。また、12SK7GT/Mは茶色メタルスプレーでシールドがして有るとの事。

貴重な情報をありがとうございます。引き続き松下の/M付きの球について情報をお持ちの方はぜひお寄せ下さい。

 
 

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