ラジオ展示室「戦後mT管スーパー」





戦後、スーパーヘテロダイン方式となった日本のラジオは、昭和30年頃mT管を使用した物が出始めます。ST管からmT管へ移行する間にGT管を使用したラジオがあるはずですが、日本ではほとんど生産されなかったようです。よって、オールGT管使用でメーカー製のラジオを持っていれば大珍品です。一部にGT管を使用しているラジオはよくあるようですが・・・。

ST管から一気にmT管に移行した日本のラジオは、mT管になるとすぐにトランスレスになってしまいます。ここではトランスレスを含むmT管使用のラジオを紹介します。ここに紹介するものはすべて修理清掃済みの完動品です。
 
 

 
【401】三洋電機(SANYO) SS-32型 1957年(昭和32年)
 
使用真空管:12BE6,12BD6,12AV6,35C5,35W4
 
受信周波数:525-1605KC
 
定価:不明
 
 

 

三洋電機製の小さなラジオ。プラスチック製のケースからは新しい製品のように見えるが、ST管時代の大きなIFTや12BD6,出力管には35C5を使用しており、比較的古い製品である事が分かる。もっと新しい製品では、中間周波数増幅には12BA6、出力管は30A5か30MP27等、更に効率の良い球を使用している。小さなケースに詰め込んだためか、出力管周辺の天板部分が多少変色している。また輸送中に日本通運に前面ツマミ部分(右側)を壊されてしまった。
 

真空管は左から12BE6,12BD6,12AV6,35C5,35W4。良く考えるとヒーター電圧の合計は107.8Vあり、100V電源で使うには合わない。この程度なら問題ないと考えたか、当時は真空管がこれしかないから仕方がなかったのか。整流管は35W4、この球は切れやすいため注意が必要。パイロットランプが35W4のヒーターから電源を取る構造になっているため、ランプ切れた時はすぐに交換しないと球もダメになってしまう。尚、ランプは必ず元と同じ規格の物を使用する必要がある。
音はあまり良くない。スーパーであるから現在のラジオと同等の音量、音質で鳴る。ただし、プラスチックの小さなケースがビビッてしまい、あまり大きな音を出すと聞き苦しい。
 


【402】松下電器産業(National) UF-605型 1957年(昭和32年)

 
使用真空管:6BE6,6BD6,6AV6,6AR5,6X4,6E5
 
受信周波数:525-1605KC
 
定価:不明
 
 

 

松下電器製のラジオで、Hi-Fi仕様。トーンコントロール3段切替、受信帯域ワイドとナローの切替付。帯域をワイドにするとなかなか良い音がする。
 

このラジオは大学時代友人がごみ捨場で発見、私にくれたもの。発見時はドロドロに汚れて凄まじい状態だったが、木箱の分解掃除とプラスチック部分の水洗いで非常に綺麗になった。友人は「本当に同じ物か」と驚いていたが・・・。今考えると友人の家から国鉄電車で40分、このラジオに紐をかけて持ってきたのが恥ずかしい。
この頃の松下製ラジオはパイロットランプが派手で、5個以上ついている物もあるが、何故か黄色と緑、橙のリード線がボロボロになっている。このラジオもそうで、配線は全部交換した。リードタイプのブロックケミコンも不良で交換。また6X4と6AR5は発熱が大きいため、モールドソケットがガタガタになっていた。このためタイトソケットに交換している。IFTはST管時代の角形で大きい物を使用。木箱も大きくてmT管を使用した意味が無い。
真空管は左から6BE6,6BD6,6AV6,6AR5,6X4。上に付いているのは6E5。6AV6はシールドをかけてあったが、特に支障が無いため今は外してある。
 
 


 
【403】松下電器産業(National) AH-790型 1958年(昭和33年)
 
使用真空管:6BE6,6BD6,6AV6,6AR5,6X4,6ZE1
 
受信周波数:525-1605KC(MW)/3.8-12MC(SW)
 
定価:不明
 
 


これも松下電器製のラジオで、Hi-Fi仕様。トーンコントロール3段切替、受信帯域ワイドとナローの切替付。帯域をワイドにするとなかなか良い音がする。オールウェーブで短波も受信できる。感度も良いようだ。このラジオはジャンク屋で発見、4000円で購入。これもドロドロに汚れて無惨な状態だったが、木箱の分解掃除とプラスチック部分の水洗いで非常に綺麗になった。ただ、残念な事に裏蓋がない。
これも黄色と緑、橙のリード線がボロボロになっているので、配線は全部交換した。ブロックケミコンは生きている。またモールドソケットも特に問題がない。UF-605より1年新しく、材質が良いのだろうか。IFTはあいかわらず角形で大きい物を使用。木箱も大きいが、この機種はスピーカーが2個付いている。しかし、ほとんど同じ口径のスピーカーを2個付けることに意味があるかは疑問。真空管は左から6BE6,6BD6,6AV6,6AR5,6X4。上に付いているのは6ZE1でマジックアイ。6E5の後継管で特性は同一だが陰が上下に出るため見やすくなっている。


(追記)

その後、裏蓋を入手しました。
 


【404】松下電器産業(National) AM-540型 1958年(昭和33年)

 
使用真空管:12BE6,12BA6,12AV6,30A5,19A3,12ZE8
 
受信周波数:525-1605KC(MW)/3.8-12MC(SW)
 
定価:不明
 
 

また松下電器製のラジオで、Hi-Fi仕様。トーンコントロール3段切替、受信帯域ワイドとナローの切替はなくなりトランスレスになった。しかし、トランスレスでは整流管のヒーターを利用しても、パイロットランプを1個しか点灯できないため、パイロットランプ専用にトランスを搭載している。製造年が前のAH-790と同じで、昭和33年頃はトランスレスとトランス付が混在していたと推定される。仕様はほとんどAH-790と同一、写真を見てお気づきと思うが、つまみもAH-790と同じ物。この頃から部品の共用という考えもあったようだ。

これは私が初めて購入した真空管ラジオで、20年程前に2000円で購入。当時、安かったが本当の完動品だった。外観も綺麗だが、木箱にアンテナ用のターミナルが取り付けられている。簡単に外せるが面倒なのでそのままにしている。また、買ってから10年程度実用で使用していたので、木箱の中に紙テープでアンテナを貼ってある。

このラジオ以降の松下製は配線が無事残っており、材質が変わったと思われる。回路的には、珍しい整流管19A3が使われている。19A3はマジックアイ付きトランスレススーパーに使用するのに丁度良いヒーター電圧だが、あまり見かけない。ヒーターにパイロットランプ点灯用の中点が付いた19A3だか、規格のあったパイロットランプは手に入らない。球も電球も手持ちも少ないため、切れると困るのだが・・・。マジックアイは12ZE8を使用。6E5を低電圧用にしたような球であるが、これもあまり使用例を見ない。トランスレスになってからはマジックアイがあまり使われていないようだ。出力管は30A5でトランスレスの定番。真空管は左から12BE6,12BA6,12AV6,30A5,19A3。上に付いているのが12ZE8。
 
 


 
【405】松下電器産業(National/Panasonic) RE-760型 1961年(昭和36年)
 
使用真空管:17EW8,12BE6,12BA6,12BA6,12AV6,30A5,ダイオードSD-1
 
受信周波数:525-1605KC(AM)/76-90MC(FM)
 
定価:不明
 
 

 

松下電器製、FM/AM 2バンドラジオ。つまり現在のラジオと同一の機能になった。パネル表示も中波を示すMWから、現在主流の変調方式を示すAMに、FMの受信帯域も現在と同じ76〜90MHzのもの。最初期のFM付ラジオは周波数帯域が決定されていないため、80〜90MHzのものが多く、現在では役に立たないものが多いのだが、これはうまく出来ている。デザインとしてはトランジスタラジオに近く、骨董的価値観でみると最悪。ブランド名もNationalからNational Panasonicに変わっている。明るすぎるパイロットランプも無く、赤いネオンランプが一つ付いているだけで寂しい。

初期のFMラジオらしく、FM高周波増幅と周波数変換は17EW8、その後12BA6で中間周波数2段、ダイオードで検波、12AV6と30A5でスヒーカー鳴らしている。17EW8は双三極管で、これで高周波増幅で使うとゲインが低いが、この頃はこれしかないため仕方がない。FMラジオ後期の製品では、双四極管17AB9や17C9が使われ感度も十分取れている事が多いのだが、双四極管はほとんど使われずにトランジスタになってしまったため、あまり見かけない。ちなみにこのラジオ、AM受信時は12BE6−12BA6−12AV6−30A5の単純なスーパーになる。整流はダイオード、部品は全てプリント基板に実装。FMラジオに付き物のMPXアダプター端子もあり、RD-761を接続する。
実はこのラジオを2台持っており、これは良い方の写真。入手したとき持ち主は、「これを買って数日でトランジスタラジオも買ったため、箱に入れてしまってあった。」と言っていた。というわけで、新品同様の極上品、今作ったかのように綺麗なラジオ。付属の壁掛け金具もついていた。性能も当時の状態をそのまま保っている。
真空管は左から17EW8,12BA6,12BA6,12AV6,30A5。12BE6は奥に付いているため写真では見えない。

(追記)
その後、RD-761を入手しました。


 
【406】松下電器産業(National/Panasonic) RE-777N型 1963年(昭和38年)
 
使用真空管:17EW8,12BE6,12BA6,12BA6,12BA6,12BA6,12AT7,12AX7,12AX7,30A5,30A5,ダイオードSD-1
 
受信周波数:525-1605KC(AM)/76-90MC(FM)
 
定価:不明
 
 

 

松下電器製、FM/AM 2バンドステレオラジオ。最初からFMステレオ放送に対応した物。MPXアダプターを外付けにする事で、FMステレオになる真空管ラジオはよくあるが、最初からMPX回路を内蔵してあるラジオは非常に珍しい。MPX回路を外付けしなければならないにも関わらず、FMステレオなどというバッジが付いているラジオも多いが、このようなラジオはMPXアダプターが無ければ当然モノラルでしか聞けない。単にアンプがステレオになっているだけ。このRE-777Nは本物のステレオ。

使用真空管も11球式で、ラジオとしては異例の多さ。17EW8でFM高周波増幅と周波数変換、12BE6でAM周波数変換、12BA6を3本使ってIF増幅、12BA6,12AX7,12AT7でステレオ復調とAFC、12AX7と30A5を2本使って音声出力を行っている。この他、FM検波と整流にダイオードを3本使用。FMはレシオ検波。FMステレオはGE-ZENITH方式で現在と同じもの。ステレオ受信時はSTEREO-EYEなるネオン管が光る。NHKなどでニュースの時はモノラルになるが、この時は当然ランプが消える。分離はなかなか良いが、17EW8使用のため感度は今一つ。最近流行のコミュニティ放送のFMステレオ受信は外部アンテナが無いと無理。強制モノラルにすると結構聞ける。

ところで、このラジオには電源が入っている事を示すランプが無い。ダイヤルライトも無い。つまり電源が入っていても無音だったら分からない。いつもはフォノ入力にポータブルCDを接続して実用にしているラジオなのだが、おかげて時々電源を切り忘れている。

正面パネル下のツマミは左から、「電源・音質」、「音量」、「バランス」、「AFC」、「バンド切換・強制モノ」、「選局」。結構面倒である。スピーカーは蝶番で本体と繋がっており、折り畳む事が出来る。真空管は左から17EW8,12BA6,12BA6,12BA6,30A5,30A5。奥にもう1列5本隠れている。

このラジオは購入したときから完動品。譲って頂いた方によると、30年程度押入に眠っていたらしい。
 


 
【407】東京芝浦電気(Toshiba・現:東芝) カナリヤX 5ZL-649型 1963年(昭和38年)
 
使用真空管:12BE6,12BA6,12AV6,30A5,35W4
 
受信周波数:525-1605KC(MW)/3.8-12MC(SW)
 
定価:不明

 

東芝のトランスレス2バンドラジオ。他のラジオを購入した時に部品取り用としてもらった物で、磨いて簡単な修理をしたら以外と綺麗になった。ケースからシャーシを取り出して、ケースは分解して水洗い。シャーシはボリウムと電源コードを交換した。

このセットは前面パネルにデラックスと書いてあるが、当時の安物らしい。スピーカーは左右に2個付いているが、小さな物で音も悪い。ダイヤルライトも無く、前面の赤い部分が点灯するだけ。この電球は35W4を利用して点灯するため、暗くて寂しい。音を良くするため、選択度を甘く設計してあり、感度も比較的悪い。もちろん、札幌でTBSラジオを受信する程度は問題なく出来るが、短波はおまけ程度のもので不満を感じる。当時はトランジスタラジオよりも安いのが売りだったと思われる。名前は東芝のシリーズもの「鳥+アルファベット」でカナリヤX、物に合わぬかっこいい名前だ。

真空管は左から12BE6,12BA6,12AV6,30A5,35W4。整流管使用。
 
 


 
【408】松下電器産業(National) STEREO SOUND SYSTEM SF-965型 1967年(昭和42年)
 
使用真空管:12DT8,12BA6,12BA6,12AX7,30MP27,30MP27,ダイオードSD-1,トランジスタ2SA12
 
受信周波数:525-1605KC(AM)/76-90MC(FM)
 
定価:不明
 
 

 
Nationalのラジオ付き電気蓄音機。スピーカーは外付けするタイプ。出力管は30MP27を使用。この球はテレビ等によく使用された30A5の後継品種で非常に効率が良い。電源電圧130Vでシングル4W以上出すことが出来る。回路は変わっており、AM/FMラジオ付きだが、何故か12BE6を使わずトランジスタ2SA12で周波数変換をしている。FMはあい変わらず双三極管で高周波増幅と周波数変換。これまた何故か17EW8ではなく12DT6を使用。変な設計のセット。プリント基板を使用して部品を実装、信頼性は高い。
このラジオは懐かしい音がするという事で購入したが、懐かしい音ではなく、出力段のコンデンサがパンクしている音がした。当時のオイルコンが何故か左右両チャンネルとも絶縁不良。フィルムコンデンサと交換してOKになった。また、フォノモーターが60Hzになっていたため、50Hzにしようとしたが、モーターコイルにタップが無く、完全に60Hz専用。おかげで私の家では回転が遅くなってしまう。ピックアップはクリスタル型でまだ生きている。スピーカーはイヤホン等に良く使用されている3.5mmのプラグで接続するようになっているが、多分この機種専用の物が有るような気がする。
これまでの真空管ラジオは、ドライバー無しで裏蓋を開けることが出来るのが常識であったが、このセットでは裏蓋がネジで取り付けられ、容易に開閉出来ない。信頼性が向上したのか、ユーザーが内部にふれて感電するのを恐れたのか。ということで内部は非公開。


 
【409】日立製作所(HITACHI) FM/AM STEREO PHONOGRAPH DPF-1900型 1967年(昭和42年)
 
使用真空管:6C9,12BE6,12BA6,12BA6,12AX7,30A5,30A5,ダイオード
 
受信周波数:525-1605KC(AM)/76-90MC(FM)
 
定価:不明


日立の電気蓄音機。FM/AMでFMステレオのバッジが付いているが、MPX回路が付いていないためこのままではモノラル。専用端子があるため、オプションでMPXユニットがあるのだろう。回路構成は標準的な物だが、FM高周波増幅に双4極管を使用している。6C9は12AX7等と外形は同一だか、ピンサークルの真ん中にもう1本ピンが出ている10ピンmT管で、専用ソケットが必要。この真空管のおかげて他のFMラジオよりも感度が良く実用的だ。真空管時代の終わりに、戦前の24Bと同じ4極管が復活してきたのは非常に面白い。他は普通の構成、プリント基板は使用していない。
プレーヤーは50/60Hz共用モーターで33/45回転仕様。78回転は付いていない。入手した時、クリスタルカートリッジが不良で再生出来なかったため、セラミックカートリッジを取り付けて復活した。回転は安定しているので、十分使える。
真空管時代の最後を飾るラジオ。ラジオはほとんどがトランジスタとなり、ICも使われ始めた時代・・・。残る真空管はテレビのみだか、1970年代初めで真空管を使用した機器は発売されなくなる。

 
 

 
【410】東京芝浦電気(Toshiba/マツダ・現:東芝) うぐいすF型 1957年(昭和32年)
 
使用真空管:6BE6,6BA6,6AV6,6AR5,5MK9,6ZE1
 
受信周波数:525-1605KC
 
定価:不明


東芝のトランス付きmT管スーパー。日立の電蓄で締めくくったつもりだが、ついついまた買ってしまった。最近はネットオークションの影響でラジオが高騰しているので、戦後のラジオは買わない事にしているのだが、この機械は雑誌の部品交換で譲って頂いたので、高くはなかった。このラジオの魅力は、球の構成が標準的である事。私の持っているセットで整流管が5MK9の物は無い。また、中間周波数増幅に6BA6を使用しているセットも持っていなかったので、購入を決めた。
このラジオは購入した時から動作していたが、色々と問題が有ったので早速修理することにした。まず、箱が汚い。各パーツを分解して1点ずつ手洗いで清掃してみたが、写真の通り思ったほど綺麗にはならなかった。箱のニスが薄くて、コンパウンドで磨いてもはげてしまう恐れもあるため、適当なところでやめた。前面の茶色い部分はベークライトで出来ていて、ずっしりと重い。これは磨いて綺麗になった。また前面上部の白いグリルは木に塗装鉄板を打ち付けて有る。磨くことは出来ない。目盛板はそこそこの状態。
回路に故障している部分は無いが、コンデンサのワックスが木箱内部に流れているので、これは除去した。アンテナと電源コードはつぎはぎだらけなので、新しいものと交換した。あとは適当に再調整。
整流管に5MK9を使用しているので、ハムが目立つかなとも思ったが、以外と聞こえない。スヒーカーが6.5吋なので、聞こえないのかも知れない。トーン切替はH・M・Lの3段切り替えだが、Hi-Fi仕様ではない。チューニングがシャープであるため、音はナローレンジで高音が綺麗ではない。高周波増幅は付いていないが、6BA6を使用しているため、感度はとても良い。ダイヤルライトは2個点灯、ラジオ受信時は青、フォノ入力時は赤が点灯する。フォノ入力はボリウムを通らないため、あまり実用的ではない。製造年代の割には回路構成が古いとも言える。ST管のラジオがそのままmT化したというイメージ。

真空管は左から6BE6,6BA6,6AV6,6AR5。6AR5の奥に5MK9、6BE6の上に6ZE1が付いている。6AV6はシールドケースが付いている。
 


【411】松下電器産業(National/Panasonic) RE-830型 1961年(昭和36年)

 
使用真空管:17EW8,12BE6,12BA6,12BA6,12AV6,30A5,ダイオードSD-1
 
受信周波数:535-1605KC(AM)/3.9-12MC(SW)/76-90MC(FM)
 
定価:不明

松下製の3バンドラジオ。2バンドラジオがMW/SWからFM/AMへ移行する過渡期の製品で、比較的めずらしい。現在のラジオに短波が付いた形である。外観はご覧の通り大変綺麗で、特に磨いたわけでもないのに新品同様で、衝動買いしてしまった。黒くて厚目のプラスチックケースは変色せずになかなか良い。この黒に前面の透明なアクリルパネルと薄い金色の金具がよく似合う。小型のラジオの割にはこの外装のせいで大変重い。

回路は単純な6球スーパーで整流管の代わりにダイオードが使われている。FMの高周波増幅と周波数変換は17EW8で標準的だが感度は良くない。SWとMWは12BA6の中間周波数増幅が2段でかなり高感度。出力管が30A5で出力がそこそこ取れており、スピーカーが2個付いているためか、プラスチックのケースが重いためか、変なビビリ音もなくて大変良い音である。

このラジオは動作品として購入したが、いつものパターンでやはりダメだった。電源を入れると全ての放送が受信出来るがハムが多い。外観も綺麗だったので油断してしまったが、1分程でFMが受信できなくなった。すぐに電源を切って電解コンデンサを触ってみると、火傷するほど熱い。電解コンデンサが故障して、整流後の電圧が下がり受信出来なくなったようである。古い電解コンデンサは復活出来る場合もあるが、こうなるともうダメである。早速シャーシを開けてみると、かなり前に液漏れしたような跡が残っていた。使われているコンデンサは40uF150V×4なので、47uF160Vを4本使って修理した。整流がダイオードなので、多少容量が大きくなっても大丈夫で、電圧はAC100V+10%で155Vのピーク電圧がかかることを考慮し、160V耐圧を使用した。また修理の際、元のコンデンサの配線は外し、外観を保つためコンデンサは残した。修理後は大変良い音で動作している。

真空管は左から12BE6(アンテナ端子の陰),17EW8(シールド付),12BA6,12BA6,12AV6,30A5。30A5はクリップで押さえされている。
 
 


 
【412】東京芝浦電気(Toshiba/マツダ・現:東芝) めじろD型 1957年(昭和32年)
 
使用真空管:6BA6,6BE6,6R-DHV1,6AQ5,5R-K16,6ZE1
 
受信周波数:535-1605KC
 
定価:21900円(発売当時)
 
 


マツダラジオ「めじろD」、大変大きなラジオ。当時の東芝商事ニュースによると、「8吋3吋2個のスピーカーによる超広帯域再生、新設計のオイルダンプドコーンスピーカーの採用で、原音そのままに溢れ出るような豊かな音量でお部屋に再現する。」とある。確かに音は良いと思うが、幅600mm、高さ393mm、奥行き230mm、重さ9.4Kg。大きすぎるのもどうかと思う。おそらくmT管ラジオでは最大級だろう。
中波放送専用ながら、音質切替4段階、受信帯域Hi-Fi,LOCAL,DXの3段切替が付いており、電球が8個も付いているところはST管時代の面影を残す。割と新しい製品なのだが、修理は変な意味で大変だった。修理の記録をアップしたので、そちらを参照されたい。
回路構成は6BA6、6BE6、6RDHV1、6AQ5、5RK16、6ZE1の6球構成で、高周波増幅・マジックアイ付スーパーである。一般に中間周波数増幅は6BA6か6BD6を、検波・低周波増幅には6AV6を用いるのが普通であるが、このセットでは中間周波数増幅と検波・低周波増幅を6RDHV1で行う。この球は5極3極2極管で、ラジオ専用に開発された日本独自の球である。6BD6と6AV6をむりやり一つのバルブに入れたため、プレートの外側にシールドが無く、シールドケースをかぶせないと使えない、壊れやすくて高い、ソケットの配線が難しい等、欠点がいっぱいである。こんな大きなセットなのに、なぜこの球を使う必要があったのだろうか。出力管はラジオとしては珍しいビーム管の6AQ5が使われている。出力は3W、音量は十分であるが、電源が大きくなってしまった。電源トランスは大きく、整流管も6X4や5MK9では間に合わずに5RK16を使用している。変な球が沢山付いているラジオである。
真空管は左奥に6BA6、前列左から6BE6、6RDHV1、6AQ5、5RK16、上に付いているのは6ZE1。6RDHV1にはシールドケースが付いている。

 
 

 
【413】松下電器産業(National) BL-280型 1955年(昭和30年)
 
使用真空管:6BE6,6BA6,6AV6,6AR5,6X4,6E5
 
受信周波数:525-1605KC
 
定価:14300円(発売当時)
 
 


松下製のMW専用ラジオ。ST管からmT管へ移行する時期の製品で、比較的沢山売れた機種らしく、現在でもよく出てくる。外観はご覧の通り大変美しく、黒と金が映える。当時の広告によると『永遠の新型ラジオ「このラジオはデザイン・音質・性能のフレッシュな魅力をいつまでも失わない、永遠の新型ラジオとして、今、非常な評判をいただいております。」』とある。確かにデザインは魅力的な部類に入る。木箱の前面に透明アクリルのパネルを取り付ける構造は、当時めずらしかったと思われる。ただ、スピーカー部分はスリットが多く、物理的に弱くて割れやすい。また、内部に埃が積もると大変見苦しいなど、それなりの欠点もある。さらに音質と性能に関してはフレッシュな魅力を失なわないどころか、失いすぎて動作しなかった。修理内容は修理のページを参照。
回路は単純な5球スーパーであるが、中間周波数増幅に6BA6が使われているためなかなか感度がよい。この時期の標準は6BD6だと思うが、何故6BA6なのかは分からない。また、一般的に6AV6にはシールドケースが付いているが。この機種にはシールドケースが無い。外観にお金を掛けすぎて、コストダウンの為に外したのだろうか。
前面のつまみは左から電源、音量、選局。電源つまみは音質とフォノの切替も兼ねているが、中央でOFF、右に回すとラジオ、左に回すとフォノで、それぞれ音質が2段階切替になっている。つまり合計5ポジション有り、中央がOFFだから使いにくい。フォノ入力の時はマジックアイの上にある赤ランプが点灯。マジックアイは消灯する。選局も減速比が大きすぎて、選局が大変。使用感はいまひとつ。但し音質は良い。真空管は左から6BE6,6BA6,6AV6,6AR5及び奥に6X4。

 
 

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