真空管(mT管 トランス付のラジオ用)

 

トランス付きのラジオに使われるmT管を紹介します。戦後のST管ラジオの時代が終わり、トランスレスが主流になるまでの間使われた球ですが、多くは真空管の製造が中止されるまで生き残りました。mT管は一般的に入手が容易で品質も良く丈夫です。ラジオに使っていても安心感が有りますが、小さいので鑑賞するには不向きです。コレクションではなくラジオを動かし続けるために持っています。(ST管もラジオの保守用ですが・・・)

 

 

 

 

6BE6/EK90

周波数変換用7極管 Ef=6.3V If=0.30A

スーパーに使用されている周波数変換用の7極管で7ピン。局部発振と混合を1本で出来、短波帯でも十分使用できる大変優れた球。使い方によっては100MHz付近まで発振できる。トランス付きのmT管ラジオにはほぼ100%入っている。世界中で生産され、市場在庫も多い。1本1000円以下、ただし現在は生産されていないようだ。余談であるが、この球は6BA6や6BD6のかわりに挿してもラジオは動作する。手元に6BA6等が無い時、試してみて下さい。ただし、球の寿命などは分かりません。写真は左から東芝、松下、日本電気、日立製。

 


 

 

6BD6

リモートカットオフ5極管 Ef=6.3V If=0.30A

スーパーに使用されている中間周波数増幅用の5極管で7ピン。相互コンダクタンスは約2000でST管の6D6同等。もちろん、IFだけでなく高周波増幅にも使用できる。6D6等とは異なりプレートの外側にシールドを内蔵しているため、普通はシールドケース不要。ただし、ソケットのセンターピンは必ずアースに落とす必要があり、忘れると動作が不安定になる場合もある。トランス付きのmT管ラジオは普通に入っている球で、一部後期の製品は6BA6を使っている事もある。世界中で生産され、市場在庫も多い。1本1000円以下、これも現在は生産されていないようだ。6BA6と差替え可能だが6BA6は相互コンダクタンスが大きいため、ごく希に発振してしまうことがある。写真は左から東芝、松下、神戸工業、日本電気製。

 


 

 

6BA6/EF93

リモートカットオフ5極管 Ef=6.3V If=0.30A

スーパーに使用されている中間周波数増幅用の5極管で7ピン。相互コンダクタンスは約4400で6BD6よりも効率が良い。またグリット−プレート間容量も極めて小さく、高周波特性も良好。この球もプレートの外側にシールドを内蔵しているため、普通はシールドケース不要。トランス付きのmT管ラジオは6BD6が普通であるが、この球も良く入っている。世界中で生産され、市場在庫も多い。1本500円以下、これも現在は生産されていないようだ。6BD6と差替え可能だが、感度が落ちる場合があるから6BA6を使いたい。写真は左から東芝、松下、日立、日本電気製。

 


 

 

6AU6/EF94

シャープカットオフ5極管 Ef=6.3V If=0.30A

高周波増幅用の5極管で7ピン。ラジオの高周波増幅に使用されている場合がある。FMラジオには良く使われている。もちろん、低周波でも使用できる。この球もプレートの外側にシールドを内蔵しているため、普通はシールドケース不要。ピン配置が6BD6等と同一であるから中間周波数増幅に無理矢理使って使えないことも無いが、シャープカットオフのためAGCが効かない。よって電波の強い大都市やアンテナの状態によっては音が歪んだり、発振したりしてダメ。球のテスト程度にしたい。写真は左から東芝(Hi−Fi用、低周波向け)、松下、神戸工業、日立、GE製。GEは6136/6AU6WCで軍事用高信頼管。

 


 

 

6AT6/EBC90

検波増幅用双2極3極管 Ef=6.3V If=0.30A

検波と出力管のドライブを1本でこなす球で7ピン。2極管部が2個入っておりこれを使用して検波、3極管部で増幅して出力管をドライブする。ラジオでは普通2つの2極管を並列に接続して使用することが多い。また3極管部は増幅率が大きく雑音を嫌うためシールドケースをかぶせるのが普通。もちろん、シールドしなくても動作に問題はない。この球は比較的珍しい球で、日本ではあまり使われていない。同一目的の6AV6が主流。6AT6と6AV6は互いに差替可能であるが、6AV6の方が増幅率が大きくて使いやすい。出力電圧は6AT6が高く取れるが、組み合わせる出力管6AR5は6AV6で十分ドライブ出来る。普通1本2000円以下だが、無理して買う球ではない。これも現在は生産されていないようだ。写真は左から日本電気、神戸工業製。

 


 

 

6AV6/EBC91

検波増幅用双2極3極管 Ef=6.3V If=0.30A

検波と出力管のドライブを1本でこなす球で7ピン。6AT6の改善版。5球スーパーには普通に入っているが、まれに6AT6や12AX7などが入っていることもある。普通1本1000円以下、これも現在は生産されていないようだ。写真は左から東芝、松下、神戸工業、日本ビクター、RALIN製。日本ビクターは松下製で犬のマークが付いているだけ。RALINはおそらく東ドイツ製、欧州名表示でEBC91。

 


 

 

6RDHV1(6R−DHV1)

高周波可変増幅、検波増幅用2極3極5極管 Ef=6.3V If=0.48A

これは珍しい球で、日本独自の9ピンmT管。6BD6と6BA6の中間の特性を持つ5極管と、6AV6同等の検波用の2極管、増幅用の3極管が1つのバルブに入っている。つまり中間周波数増幅と検波、低周波増幅を1本でしてしまうという欲張りな球。整流にダイオードを使えば3球でスーパーが出来る。しかし、使用例はあまり見かけない。複合管はどれか1つのユニットが不良でもダメなので、値段が高くて使用中のトラブルも多い。また、ソケットの配線は複雑になる。スペースに余裕があるセットでは6BA6と6AV6を使った方が良かったようだ。昭和35年頃の本によると、特に好んで使う球ではなく、既に保守品種とある。生産量が少なくて、日本独自の球で代替管なし。入手はほぼ絶望的、この球が入っているラジオを記憶しておき、ジャンクで買うしかない。写真は左から東芝、日立製。

 


 

 

6RHV1(6R−HV1)

高周波可変増幅、低周波増幅用3極5極管 Ef=6.3V If=0.50A

これも非常に珍しい球で、日本独自の9ピンmT管。6BD6と6AV6の三極部を1つのバルブに入れた球で、殆ど使用例がない。というのも、中間周波数増幅をこの球の五極部で行い、次に低周波増幅を三極部でやろうにも、検波用の二極管かダイオードが必要。また、高周波増幅を5極部で行い、もう1本6RHV1を用意して五極部で中間周波数増幅を行い、余った三極部2つで検波と増幅をしようとすると、配線がとても複雑。結局とても使いにくい。生産量が少なくて、日本独自の球で代替管なし。ピン配置も6U8等のテレビ用三極五極管と合わない。入手はほぼ絶望的、この球が入っているラジオを記憶しておき、ジャンクで買うしかない。写真は東芝製。

 


 

 

6AQ8/ECC85

高周波増幅用双3極管 Ef=6.3V If=0.45A

FMラジオの高周波増幅と周波数変換に用いられる球で、9ピン。17EW8の6.3V用。テレビのチューナーに使用されていることもあるが、主な用途は低周波増幅とFMラジオで初期のFMラジオに良く入っている。両ユニットの間にはシールド板が入っているため、相互干渉が少なくて使いやすい。高周波増幅に使用する場合はシールドケースを使用する。比較的振動に弱く、取り付け方が悪いとハウリングの原因になる。現在は一部東ヨーロッパで生産中であるが、オーディオ用としても多用されるため、国産品、米国、欧州の昔のストックは異常に高い。秋葉原で1本1000円程度。写真は左から日立、松下、日本電気、RFT製。RFT製は最近の物であるが、オーディオ用を意識して生産されているため、高周波で使った場合でも良い結果が得られる保証はない。

 


 

 

6C9

高周波増幅用双4極管 Ef=6.3V If=0.45A

FMラジオの高周波増幅と周波数変換に用いられる球で、10ピン。9ピンのmT管のピンサークルの中心に1本足を押し込んだ格好。17AB9の米国版とも言える。フレームグリットを用いた球でgmが大きい。またCpgも小さく利得を高くすることが出来る。昔の書籍によると17EW8等の双3極管を用いる場合より10dBも感度が良くなるらしい。

この球は昭和40年頃の開発で使用例が少ない。その為か市場に出てくる機会も少ない。ただ、出てきた場合は非常に安く買えると思われる。なお、このような4極管は低周波では全く使い物にならず、高周波専用と考えた方がよい。写真は日立製。

 


 

 

6AR5

電力増幅用5極管 Ef=6.3V If=0.40A

mT管ラジオの出力管といえばこの球。7ピンで他の球より背が高い。6K6GT/6F6GT/42とほぼ同等であるが、バルブが小さい分だけ最大定格が小さくなっている。電源電圧250Vで出力約2Wと小さめではあるが、普通に使うには十分な出力がある。値段が安かったらしいが、効率が良いと言うわけではなく、次第に使われなくなった。日本では主流の6AR5だが、海外では6AQ5が主流のため、外国製が少なく比較的高価。外国製なら1本3000円程度で入手できる。入手できないときは6AQ5で差替可能。国産品にはHi−Fi用等、低雑音を意識した物もある。写真は左から松下、東芝(Hi−Fi用)、日本電気製。

 


 

 

6AQ5/EL90(6AQ5A,6AQ5W,6005)

ビーム出力管 Ef=6.3V If=0.45A

6V6GT同等のビーム出力管。7ピンで6AR5と同じ大きさ。ビーム形成電極があり、グリットの目合わせがしてある。250Vの電源電圧で4.5Wの出力が取れ、6AR5より効率がよい。音も6AR5より良いという話もある。しかし、国産ラジオでこの球を使っている機種は少ない。松下のmT管ラジオはほぼ全てが6AR5で、東芝がHi−Fiラジオの一部に採用していた。球自体の値段が高かったのが原因らしい。国産品は電電公社やNHK等で使用された物が多いようで、これらのマークや検印が入った物、通信用、通測用と書かれた球を多く見かける。ちなみに通信用や通測用とは、一定時間故障皆無、バラツキの抑制を目指した球で、内部構造も一般用とは異なっている事が多い。厳しい検査を合格した球で、抜群の信頼性と性能を誇る。これらの球の新品は入手困難だが、中古球は時々出てくる。国産は高いが、海外ではたくさん生産されたため安い。1本1000円程度で買える。写真は左から松下製6AQ5、神戸工業製の高信頼管6AQ5W、東芝の通信用(電電公社)、日立の通信用(電電公社)、SYLVANIAの6005W、シャープ(早川電気)の6AQ5A。

 


 

 

6X4/E90Z

整流用双2極管 Ef=6.3V If=0.60A

整流用の双2極管で7ピン。1本で全波整流でき、出力も70mAと手頃なので、5MK9が出るまでは盛んに使用された。この球はヒーターとカソードが絶縁されているため、他の球とヒーター巻線を共用できる。また寿命も長いようで球が真っ黒になって内部が見えなくなってもまだ動いている。5MK9が出た後も松下が好んで使用した。

世界中で生産され市場在庫も多いようだが、現在は生産されていないと思われる。外国製は1本1500円程度で手に入る。高信頼管6X4Wや6X4WAもあり。

写真は左から松下、東芝、日本電気の通信用、東芝6X4W、GE製6X4WA、双葉製。電極構造が全て違っているところがおもしろい。

 


 

 

5MK9(5M−K9)

整流用2極管 Ef=5.0V If=0.60A

整流用の2極管で7ピン。出力60mAでST管の80BKがmT管になったような球。日本独自の球で、整流管としてはこちらが主流かも知れない。半波整流なので、リプルが多くハムが気になるかも知れないが、50/60Hzのハムなのでスピーカーの選び方次第で改善できる。低音のよく出るスピーカーでは全波整流した100/120Hzのハムの方が耳障りだ。この球は比較的弱く、6X4よりは長持ちしないように思われる。日本でのみ生産されたため、数が少なくて異常に高い。数が少なくなれば値上がりするのは仕方ないとしても、今の市場価格は高すぎる。5MK9で1本5000円も取るような業者とはつきあいたくない。写真は左から日本電気、東芝、神戸工業、松下製。

 


 

 

6CA4/EZ81

整流用双2極管 Ef=6.3V If=1.00A

整流用の双2極管で9ピン。6X4を大型にしたような球で、レシーバーや大型のHi−Fiラジオに入っていることがある。ヒーターとカソードは絶縁されている。出力は150mAまで取れる。この球に限らず整流管は動作中200℃以上とは非常に熱くなるから、触らないように注意する。この球は海外でも生産され1本1000円程度で比較的安い。写真は松下製。

 


 

 

5R−K16

整流用双2極管 Ef=6.3V If=1.20A

整流用の双2極管で9ピン。6CA4のヒーターを5Vにして、カソードとヒーターを接続したような球。やはりレシーバーや大型のHi−Fiラジオに入っていることがある。出力は150mAまで取れる。日本独自の球で入手は難しい。写真は東芝製。

 


 

        この他にも色々な球がありますが、手持ちがありませんので入手でき次第掲載します。

        間違い等随時修正していますが、お気づきの点が有りましたらメールでお知らせ下さい。

        価格等は参考です。現在もこの価格で買えるとは限りません。また真空管は非売品です。

 

 

 

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