真空管(mT管 トランスレスラジオ用)

 

トランスレスラジオに使われるmT管を紹介します。トランスレスラジオに使う真空管はヒーター電流が150mAのものです。これらの球は真空管の時代が終わるまで生産された真空管で、昭和55年頃まで使われていました。一般に入手も容易で、品質も安定しています。

 

 

 

 

12BE6/HK90

周波数変換用7極管 Ef=12.6V If=0.15A

スーパーに使用されている周波数変換用の7極管で7ピン。6BE6のヒーターを12.6V0.15Aに変更した球。局部発振と混合を1本で出来、短波帯でも十分使用できる大変優れた球で、使い方によっては100MHz付近まで発振できる。トランスレスmT管ラジオにはほぼ100%入っている。世界中で生産され、市場在庫も多い。

写真は左から東芝、日立、三菱、神戸工業、松下製。


 

 

12BD6

リモートカットオフ5極管 Ef=12.6V If=0.15A

スーパーに使用されている中間周波数増幅用の5極管で7ピン、6BD6のヒーターを12.6V0.15Aに変更した球。相互コンダクタンスは約2000でST管の6D6同等。もちろん、IFだけでなく高周波増幅にも使用できる。6D6等とは異なりプレートの外側にシールドを内蔵しているため、普通はシールドケース不要。ただし、ソケットのセンターピンは必ずアースに落とす必要があり、忘れると動作が不安定になる場合もある。トランス付きのmT管ラジオには普通6BD6が使われているが、トランスレスでは何故か12BD6が入っていることは少ない。トランスレスには次の12BA6が一般的。入手は難しくないが、あまり売っていない。1000円有れば買えると思う。写真は東芝製。


 

 

12BA6/HF93

リモートカットオフ5極管 Ef=12.6V If=0.15A

スーパーに使用されている中間周波数増幅用の5極管で7ピン、6BA6のヒーターを12.6V0.15Aに変更した球。相互コンダクタンスは約4400で12BD6よりもゲインを大きく取れる。またグリット−プレート間容量も極めて小さく、高周波特性も良好。FMラジオのIF(10.7MHz)でも余裕で使用できる。この球もプレートの外側にシールドを内蔵しているため、普通はシールドケース不要。トランス付きのmT管ラジオは6BD6が普通であるが、トランスレスでは12BA6が主流。真空管ラジオが無くなるまで使われた球。世界中で生産され、市場在庫も多い。1本500円程度、現在は生産されていない。12BD6と差替え可能。写真は左から日立、三菱、松下、東芝、八欧無線(ゼネラル)製。八欧無線は多分NECからのOEM。


 

 

12AU6/HF94

シャープカットオフ5極管 Ef=12.6V If=0.15A

高周波増幅用の5極管で7ピン、6AU6のヒーターを12.6V0.15Aに変更した球。まれにラジオの高周波増幅等に使用されている場合がある。特にFMラジオには良く使われている。この球もプレートの外側にシールドを内蔵しているため、普通はシールドケース不要。ピン配置が12BD6等と同一であるから中間周波数増幅に無理矢理使って使えないことも無いが、シャープカットオフのためAGCが効かない。よって電波の強い大都市やアンテナの状態によっては音が歪んだり、発振したりしてダメ。球のテスト程度にしたい。

写真は左からTELEFUNKEN(西ドイツ)、日本電気、早川電気(シャープ)、東芝、神戸工業製。早川はかなり使い込んだ球で黒ずんでいるが、まだ生きている。おそらくNECのOEMと思われる。

 


 

 

12AT6/HBC90

検波増幅用双2極3極管 Ef=12.6V If=0.15A

検波と出力管のドライブを1本でこなす球で7ピン、6AT6のヒーターを12.6V0.15Aに変更した球。2極管部が2個入っておりこれを使用して検波、3極管部で増幅して出力管をドライブする。ラジオでは普通2つの2極管を並列に接続して使用することが多い。また3極管部は増幅率が大きく雑音を嫌うためシールドケースをかぶせるのが普通。もちろん、シールドしなくても動作に問題はないが・・・。この球は大変珍しい球で使用例は殆どない。同一目的の12AV6が主流。12AT6と12AV6は互いに差替可能であるが、3極部の増幅率が12AV7の方が大きくて使いやすい。出力電圧は12AT6の方が高く取れるが、トランスレスの出力管は改善が進み、高いドライブ電圧を必要としない。よって、無理して買う球ではない。現在は生産されていないようだ。

写真は左からGE、日本電気製。日本電気の球はゲッターを側面に飛ばしている物が多く、写真の裏側に当たる部分にゲッターがある。不良でゲッターが消えたわけではない。

 


 

 

12AV6/HBC91

検波増幅用双2極3極管 Ef=12.6V If=0.15A

検波と出力管のドライブを1本でこなす球で7ピン、6AV6のヒーターを12.6V0.15Aに変更した球。12AT6の改善版。5球スーパーの定番で普通に入っているが、まれに12AX7などが入っていることもある。普通1本2000円以下、これも現在は生産されていないようだ。

写真は左から松下、東芝、日本電気製。

 


 

 

17EW8/HCC85

高周波増幅用双3極管 Ef=17.5V If=0.15A

FMラジオの高周波増幅と周波数変換に用いられる球で、9ピン。6AQ8のトランスレス用。テレビのチューナーに使用されていることもあるが、主な用途はFMラジオで初期のFMラジオに良く入っている。両ユニットの間にはシールド板が入っているため、相互干渉が少なくて使いやすい。高周波増幅に使用する場合はシールドケースを使用する。比較的振動に弱く、取り付け方が悪いとハウリングの原因になる。現在は生産されていないが、オーディオ用として使われていないため比較的安い。秋葉原で1本1000円程度。写真は左から松下、日本電気、神戸工業製。

 


 

 

17AB9

高周波増幅用双4極管 Ef=17.5V If=0.15A

FMラジオの高周波増幅と周波数変換に用いられる球で、10ピン。9ピンのmT管のピンサークルにもう1本足を押し込んだ格好。6AB9のトランスレス用。フレームグリットを用いた球でgmが大きい。またCpgも小さく利得を高くすることが出来る。昔の書籍によると17EW8等の双3極管を用いる場合より10dBも感度が良くなるらしい。

この球は昭和40年頃の開発で使用例が少ない。その為か市場に出てくる機会も少ない。ただ、出てきた場合は非常に安く買えると思われる。なお、このような4極管は低周波では全く使い物にならず、高周波専用と考えた方がよい。写真は左から東芝、松下製。

 


 

 

35C5

ビーム出力管 Ef=35.0V If=0.15A

トランスレス用のmT出力管としてはおそらく最初の物。7ピンであるが少し背が高い。ビーム出力管で高パービアンス、B電源が100V程度でも1W以上の出力が得られる。日本では比較的古いトランスレスラジオに使われている。この球を入れて5球スーパーを作ろうとすると、真空管は12BE6−12BA6−12AV6−35C5−35W4となり、ヒーター電圧の合計は107.8Vであるから、日本の100V電源では都合が悪い。10%近くヒーター電圧が低いと、球が悪くなった時には著しく不利になる。そのため、この後に開発された30A5が主流になり、この球は殆ど使われずに終わった。30A5等と差し替え可能、動作中は相当熱くなるから触らないこと。また、中古球を汚いからと言って強く拭くと、熱で浮いた捺印が消える。

アメリカでは主流だった球なので、入手は容易。1本1500円程度と安い。写真は左から日本電気、神戸工業、東芝、松下製。

 


 

 

30A5/HL94

電力増幅用5極管 Ef=30.0V If=0.15A

トランスレスmT管ラジオの出力管といえばこの球、35C5と同一外形。欧州生まれの球で、日本名は30A5。この球を使うと、ヒーター電圧の合計が35C5の時より5V下がり、日本の電源電圧にほぼ合う形になる。国産化されて大ヒットした球でテレビ、ラジオに広く使われた。電源電圧約130Vのシングル動作で出力約2Wが得られ、効率もなかなか良い。

この種の球は動作中非常に熱くなるためか、比較的短命。また捺印が消えると35C5なのか30A5なのか、30MP27なのか・・・なかなか分からない。予備を沢山持ちたいところだが、35C5に比べて市場在庫は極端に少ない。新品で1本3000円程度はすると思われる。手に入らなければ35C5と差し替え可能。写真は左から東芝、神戸工業、エレバム製。

 


 

 

30MP23(30M−P23)

ビーム出力管 Ef=30.0V If=0.15A

上記30A5の後に出てきた日本独自の出力管。特性はほとんど30A5と変わらないと思う。ラジオへの使用例は少なく、テレビの音声出力に多く使用された球であるが、最後期のラジオでもこの球を搭載しているものがある。この球は国産のみのため入手困難だが、差し替えがきくため無理して揃える球ではない。30A5,35C5と互いに差し替え可能。写真は松下製。

 


 

 

30MP27(30M−P27)

ビーム出力管 Ef=30.0V If=0.15A

上記30A5の後に出てきた日本独自の出力管。mT管としては最高の効率を誇る球かも知れない。130Vの電源電圧で4Wの出力が得られる。ラジオへの使用例は少なく、テレビの音声出力に多く使用された球であるが、最後期のラジオでもこの球を搭載しているものがある。この球は国産のみのため入手困難だが、差し替えがきくため無理して揃える球ではない。30A5,35C5と互いに差し替え可能。写真は左から三菱、松下製。

 


 

 

30MP32(30M−P32)

ビーム出力管 Ef=30.0V If=0.15A

上記30M−P27の後に出てきた日本独自の出力管。30M−P27を若干小型にしたような球。使用例は少なく、入手も難しい。これも差し替えがきくため無理して揃える球ではない。30A5,35C5と互いに差し替え可能。写真は日本電気製。

 


 

 

50C5

ビーム出力管 Ef=50.0V If=0.15A

上記35C5のヒーター電圧50V管のような印象であるが、ヒーター電力が大きくなった分、出力も大きくなり特性も若干異なる。この球を2本使うとヒーター電圧が100Vになるため、トランスレスのステレオ受信機や電蓄に多く使われている。差し替えできる球は無いが、入手も容易な球で1本1000円あれば買うことができる。写真は左から松下、東芝、神戸工業製。

 


 

 

50EH5

ビーム出力管 Ef=50.0V If=0.15A

ラジオよりはチューナー無しの電蓄に多く使われている球かもしれない。入力電圧が2Vで済む非常に高感度な球。クリスタルピックアップで直接ドライブできるため、この球とダイオードを使用すると1球で電蓄が完成する。実際、安物の電蓄はそういう回路構成の製品も多かった。50C5の代わりに差し替えて使えるが、ボリウムを上げると入力電圧が大きくなりすぎて歪むから、球のテスト程度にしたい。市場ではあまり見かけない球、買おうと思ったことがないので値段は分からない。写真は左から日本電気、松下製。

 


 

 

35W4

整流用2極管 Ef=35.0V If=0.15A

整流用の2極管で7ピン。1本で全波整流でき、出力も60mAと手頃。トランスレス用でヒーターは他の真空管と直列接続するため、ヒーターとカソードは絶縁されている。またヒーターにはパイロットランプを点灯するためのタップがあり、6.3V0.15Aの電球をつけることができる。これがクセモノで、パイロットランプを使用するヒーター接続で電球が切れると、ヒーターに無理がかかり、35W4も遅かれ早かれ切れてしまう。これがこの球が弱い原因。結構切れていることが多い。世界中で生産されたようだが、最近は生産されていないと思われる。外国製は1本1500円程度で手に入るが、これからは高くなるかもしれない。

写真は左からGE、松下、東芝、日本電気製。GE製は米軍用1987年製造の新しい物で、非常に作りがよくて堅牢である。

 


 

 

25MK15(25M−K15)

整流用2極管 Ef=25.0V If=0.15A

整流用の2極管で7ピン。出力60mAでプレート特性は35W4と同一、パイロットランプ用のタップはない。日本独自の球で、これを使うと35W4よりヒーター電圧の合計が低くなり、35C5を出力管に使う場合ヒーター電圧がほぼ100Vになる。日本独自の球で入手は難しいが、使用例も少ない。使いやすそうだが、なぜ使われなかったのだろうか。

写真は左から日立、日本電気、東芝製。松下製は作られていないのか見かけない。

 


 

 

19A3

整流用双2極管 Ef=19.0V If=0.15A

整流用の2極管で7ピン。35W4のヒーター電圧を低くしたような球で、パイロットランプ用のタップもある。直流出力電圧は60mAであるが、35W4と比べるとやや馬力がない。この球はヒーター電圧が低く、トランスレスで高周波増幅をつける場合や、マジックアイをつける場合によく使われる。型番からは分からないが日本独自の球で外国には無いようだ。使用例は少ないが、入手も難しい。しかし、この球に合う3.2V160mAのパイロットランプの入手はもっと難しい。

写真は左から東芝、松下製。


 

        この他にも色々な球がありますが、手持ちがありませんので入手でき次第掲載します。

        間違い等随時修正していますが、お気づきの点が有りましたらメールでお知らせ下さい。

        価格等は参考です。現在もこの価格で買えるとは限りません。また真空管は非売品です。

 

 

 

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