研究結果(卒論の内容)

卒業論文の主な内容です。

はじめに

女性の顔の魅力には、

繁殖可能な年齢である     という意味での魅力と、

よい遺伝子を持っている    という意味での魅力とがあると考えられる。

これらが実際に顔の魅力に関わっているかを検証した。


方法

 子供の「かわいさ」と大人の「かわいさ」は別のものであり、大人には「繁殖可能」な状態をあらわすという子供にはない魅力があるのでは? →これを「大人の魅力」と名づけた。

子供にも魅力的な子供とそうでない子供、大人でも美人とそうでない人がいるといった、年齢に関係なく共通した顔の魅力要因があるのでは? →これを「普遍的魅力」と名づけた。

大人の魅力」は第2次性徴後の女性ホルモンの量によってあらわされる魅力であり、「普遍的魅力」は遺伝子エラーの量によってあらわされる魅力であると考えた。

こうした二つの魅力があるかを検証するために、質問紙調査をおこなった。

調査に用いる顔写真は「平均顔」の技術によって作った。平均顔とは、複数枚の顔写真を合成することでその集団の共通して持つ特徴を浮かび上がらせることができるものである。
(平均顔について詳しくはこちらをご覧ください)

今回の研究では、大人、子供、身体的魅力、非魅力的な顔の性質を持つ平均顔を用いた。
これらの平均顔を作るにあたり、顔写真は卒業アルバムから、魅力は複数の実験協力者によって判定された。


(1)魅力的と判断された大人の平均顔

(2)非魅力的と判断された大人の平均顔

(3)魅力的と判断された子供の平均顔

(4)非魅力的と判断された子供の平均顔

これらの平均顔を用いて実験に使用する顔刺激を作成したものが以下の4つ。


大人の魅力高条件

大人の魅力低条件

普遍的魅力高条件

普遍的魅力低条件

作成した顔刺激の模式図

魅力的な大人の平均顔(1) + 非魅力的な大人の平均顔(2)

 = 大人の魅力 かつ 普遍的魅力は平均的


魅力的な子供の平均顔(3) + 非魅力的な子供の平均顔(4)

 = 大人の魅力 かつ 普遍的魅力は平均的


魅力的な大人の平均顔(1) + 魅力的な子供の平均顔(3)

 = 普遍的魅力 かつ 大人の魅力は平均的


非魅力的な大人の平均顔(2) + 非魅力的な子供の平均顔(4)

 = 普遍的魅力 かつ 大人の魅力は平均的


これは作成法上、「大人の魅力」をあらわす平均顔と「大人の魅力」をあらわさない平均顔とでは「大人の魅力」に差があり、かつ「普遍的魅力」の点では差がなく(仮説1)、「普遍的魅力」をあらわす平均顔と「普遍的魅力」をあらわさない平均顔とでは「普遍的魅力」に差があり、かつ「大人の魅力」の点では差がない(仮説2)という仮説が成り立つ。


これらの顔を被験者に見せ、予備調査で「大人の魅力」をあらわすとみなされた用語や「普遍的魅力」をあらわすとみなされた用語に当てはまるかどうかを答えてもらう質問紙調査をおこなった。



結果

大人の魅力についての結果は図1に示してある。大人の魅力をあらわす質問項目で、大人の魅力高低条件間、普遍的魅力高低条件間ともに高条件の方が低条件よりも有意に高くなった。
このことから、仮説1の後半部(「普遍的魅力」の点では差がない)は支持されなかった。

普遍的魅力についての結果は図2に示してある。普遍的魅力をあらわす項目で、普遍的魅力高低条件間ではすべての項目で高条件の方が魅力的と評定された。
大人の魅力高低条件間ではひとつを除く3つの項目で差はなかった。
このことから、仮説2はおおむね支持されたと思われる。


図1 大人の魅力項目の条件別評定値


図2 普遍的魅力項目の条件別評定値


考察

普遍的魅力高条件で大人の魅力が高く評定された理由としては、普遍的魅力高条件はほぼすべての質問項目で最も得点が高くなっていることから大人の魅力評定に影響を与えるとも考えられるが、使用した顔写真が約12歳と18歳であり、18歳の顔写真では大人の魅力が十分に反映されていなかった可能性、これらを足し合わして作られた普遍的魅力条件の平均顔はある程度大人の要件を満たしていた可能性から、顔刺激が適切ではなかったことが考えられる。

 もともと、大人の顔と子供の顔との魅力の平均値が同じだったかどうかは考慮していなかったため、サンプルの取り方にも問題がある可能性がある。


結論

仮説を支持するには至らなかったが、質問項目や顔刺激にあった問題点を取り除くことによって本研究の仮説を更に検討していくことができると思われる。

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