20世紀少年少女名作クラブ 

 

忘れられた名作を再発見し  

次世代に継承する会・編

こんな名作もあった!

忘れられていた名作を再発見し、

次世代に継承するための

現在の子ども、未来の子ども、

そして、かつて子どもだった人に贈る

名作文学のガイドブック!

 

 

 SF kidです。1998年の夏の終わり頃から半年間ほど、私は『B級・マイナー版 少年少女 世界の名作文学全集』という本を執筆しておりました。現在の「20世紀少年少女SFクラブ」の前身ともいえるもので、これはSFに限らず、児童向けに翻訳された世界の名作文学を紹介するものです。この本の執筆の意図は、後に再録している「はじめに」で説明しております。当時はまだ私はパソコンを持っていなくて、ワープロに打っていました。この期間中に執筆した多くの原稿は、未だにワープロで作成したフロッピーディスクの中です。もし当時パソコンがあれば、HPで発表できたのに。

今回、『ポンペイ最後の日』を復刊ドットコムで復刊リクエストすることに当たって、この作品を取り上げた項目のワープロ原稿を打ち直し、当HP内に掲載することにしました。

今後も、残りのワープロ原稿の打ち直しや新たな原稿の執筆も行い、いずれは「SFクラブ」の姉妹HPとして、独立したHPとして立ち上げたいと思っております。

 

 

 

1998年版「はじめに」再録)

本書の題名は『B級・マイナー版 少年少女世界の名作文学全集』となっております。「B級・マイナー版」とは一体、どういう意味でしょうか。

一つは、文学史上名高い大家であり、現在でも児童向け文学全集の定番となっている大作家の作品で、日本でも戦後しばらくは児童向けに紹介されていたが最近忘れられている名作のことをいいます。

例えば、現代の児童文学全集で、十中八九、ビクトル=ユーゴーといえば『ああ無常(レ・ミゼラブル)、ディケンズといえば『クリスマス・カロル』でしょう。これら定番ともいえる作品をA級・メジャー版と位置付けることができます。ところがユーゴーには『嵐の九十三年』『少女コゼット』『ノートルダムの鐘』があり、ディケンズには『二都物語』『少女ネルの死(骨董屋)』『オリバーの冒険』『ディビッド=カパーフィールド』があり、以前は児童向けの翻訳も何冊か出ていました。同じように『宝島』『ジキル博士とハイド氏』のスティーブンソンには『新千一夜物語』、『ダルタニアン物語』『岩窟王(モンテ=クリスト伯)』の大デュマには『黒いチューリップ』があります。これら忘れられようとしている作品を再発掘し、次世代に継承しようというのが本書を編集した動機となっております。

年々出版される本は増えているため、古典的な作品は、名前の知られていない作品から順に消えていき、よく名の通った超メジャー作品のみが生き残っているのでしょう。

しかし、例えば、『クリスマス・カロル』を読んで感動した子どもがディケンズのほかの作品を読みたくても読めない、という事態が起こります。私自身、『十五少年漂流記』『海底二万里』のジュール=ベルヌの他の作品を読みたくても読めなかった経験があります。確かに、読書が好きな子どもなら児童書を卒業してどんどん完訳物を読み出すでしょうが、裾野を広げるためには、やはり児童書の充実が必要ではないでしょうか。

このような観点から見ますと、児童向け古典世界文学の本は、ほとんど同じものばっかりで、マンネリ気味になっていると思います。子どもの頃に古典世界文学に触れていないと、成長しても完訳版を読む動機付けが少なくなります。古典文学なんか読まないよ、という食わず嫌いも出てくるわけです。世界文学の読者を縮小再生産しているわけで、これは出版界にとって不幸なことではないでしょうか。

また、子どもたちにとっても、人類の遺産ともいえる古典名作文学を読む機会を失うのは不幸なことであります。古典文学をじっくりと読むことができるのは、せいぜい子ども時代から大学時代にかけてでしょう。成長著しいこの時代にできるだけたくさんの古典文学を読むことは、必ずや人生の糧となるはずです。

そういうわけで本書では、子ども時代に幸せな読書体験を与えてくれる、おもしろくてためになる“B級・マイナー名作文学”を数多く紹介していきます。

 

「B級・マイナー版」のもう一つの定義は、先に挙げたユーゴーや大デュマ、ディケンズ、スティーブンソンなどのように文学史上有名な地位を占めた大家ではなく、むしろ大衆的な作家の娯楽作品で、日本でも戦後ある時期まで盛んに読まれて知名度もあった一群の冒険小説が挙げられます。『怪傑ゾロ』(これは映画で復活しました)、『ゼンダ城の虜』『ポンペイ最後の日』『ターザン物語』(これもディズニー映画で復活しました)『紅はこべ』『ソロモン王の洞窟』などが挙げられます(後の二作品は最近、講談社「痛快世界の冒険文学」シリーズで復活しました)。これらも、戦後日本でもある時期までは広く読まれ、知られていた作品です。波乱万丈のストーリーの連続で、マンガにも負けない面白さで、読書の醍醐味を実感できる物語です。こんなすばらしい物語が忘れられようとしているのは、やはり子どもたちにとっても出版界にとっても不幸な事態といえましょう。ぜひ、時代を超えて読み継ぎたい物語です。

 

「B級・マイナー版」の最後の定義としては、先駆的な全集が児童向けに紹介したこともあるが定着せず、忘れられてしまった物語のことです。『デカメロン』『ガルガンチュワ物語』など、文学史上重要な位置を占める、むしろ大人向けの作品や、『メトロポリス』『海底軍艦』などのように、同時代といってもいいようなSF冒険物語などがあります。

 

ともかく、本書では、

1)  戦後に児童向けに紹介されたことがある

2)  子ども時代の幸せな読書体験を約束する、時代を超えて読み継ぎたい

3)  現在残念ながら忘れられている古典的な名作文学

を「B級・マイナー版」として再発見してみました。もちろん、面白さにおいてはA級ということを保証します。

 

さてこれから紹介する物語の数々は、現在や未来の子どもたちに読んでもらいたいのはもちろんのことですが、実は過去に子どもだった方々、つまり現在大人になっている方々にも読んでいただきたいと思うのです。

児童書は子どもたちに、将来読書好きになるきっかけを作ってくれますが、大人に対しても、同じことがいえます。読書が億劫だ、古典名作なんていまさら読むのは大変だ、という人でも、字が大きく、分かりやすくダイジェストしてさし絵もある児童向けの本なら楽に、しかも楽しく(まるでマンガを読むように)読むことができます。子どもの頃大好きだった物語に再会したり、新しく好きな作品に廻り合ったり、児童書に飽き足らなくなって完訳版に挑戦したくなるかもしれません。

そもそも児童書を読むこと自体、癒し効果が期待できます。小難しい理論や能書きは専門家に任せて、文学のアマチュアは文学を純粋に楽しもうではありませんか。

 

というわけで本書が紹介する作品は、大人が読んでも子どもが読んでも面白く、ためになる名作ばかりです。

それでは、幸せな読書時間を……。

 

19989

忘れられた名作を再発見し、次世代に継承する会

 

 

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