酸化還元滴定

7:0.1mol/L チオ硫酸ナトリウムの

調整と標定

8:0.05mol/L ヨウ素液の調整と標定

9:L‐アスコルビン酸の定量

 

 

 

 

 

 

 

 

実験日:2001619日、22

 

 

 

 

Shalon Kreutzer

 

 

 

 

 

 

目的

還元剤の容量分析用標準液の標定を通して、酸化還元滴定を理解する。また、日本薬局方収載の医薬品定量法として多く採用されているヨウ素滴定法を理解し、その応用例として身近な試料(アスコルビン酸)を用い、応用力を深める。

 

手順・結果

[0.1mol/L Na2S2O3液の調整]

Na2S2O35H2O 6.3g(白色結晶)及び無水炭酸ナトリウム0.05g(白色粉末)に新たに煮沸して冷却した水を加えて溶かし、250mLとした。この液は無色透明、無臭であった。

 

[0.1mol/L Na2S2O3液の標定(2回)]

まず、乾燥してあるヨウ素酸カリウムKIO3(標準試薬、分子量:214.00)約0.4gを精密に量ったったところ、その質量は0.4076gであった。これに水を加えて正確に50mLとした。これは無色透明であった。この液10mLを正確に三角フラスコに取り、ヨウ化カリウム2g及び希硫酸10mLを加え、パラフィルムで密栓し、10分間放置した。この時の液は濃赤褐色、透明であった。これに水100mLを加え、遊離したヨウ素を調整した0.1mol/L Na2S2O3液で滴定した。途中でデンプン試液3mLを加えると液が淡青紫色透明になり、さらにNa2S2O3液を滴加するとやがて無色透明となった。この時消費した0.1mol/L Na2S2O3液は、1回目が22.68mL2回目が22.49mLであった。また、空試験を行う際、水にヨウ化カリウム、希硫酸を加えると淡黄色透明となった。これを0.1mol/L Na2S2O3液で滴定し空試験を行うと、消費した0.1mol/L Na2S2O3液は0.12mLであった。

 

[0.05mol/L ヨウ素液の調整]

I2 3.2gKI溶液(2525mLを加えて溶かし、希塩酸0.25mL及び水を加えて250mLとしたところ、液は濃赤褐色透明となった。この液を遮光して保存した。

[0.05mol/L ヨウ素液の標定(2回)]

ファクター既知の0.1mol/L Na2S2O320mLを正確に量り、水50mL、炭酸水素ナトリウム1g(白色粉末)及びデンプン試液3mLを加えた。この液は無色透明、無臭であった。この液に調整した0.05mol/L ヨウ素液を除々に滴加すると、最初は滴加してすぐにヨウ素液の赤褐色は消失したが、やがて消失するまでに少し時間がかかるようになった。そして色が紫色透明になり始め(色はすぐに消失)、やがてある点でこの色が消失しないようになった。ここを終点とし、ここまでに要した0.05mol/L ヨウ素液は1回目が20.03mL2回目が20.10mLであった。なお、色が消失しなくなった液も、しばらく放置すると無色透明となった。

 

[L‐アスコルビン酸の定量(2回)]

まず試料約0.2gを精密に量り取ったところ、1回目が0.2022g2回目が0.2004gとなった。また、メタリン酸溶液(15050mLを調整し、これを試料に加えて溶かし、デンプン試液1mLを加えたが、メタリン酸(白色粉末)は溶けにくく、完全に溶解させるまで数分を要した。こうしてできた液は無色透明無臭であった。この液をファクター既知の0.05mol/L ヨウ素液で滴定し、液の紫色が消失しなくなる点を終点とした。この点までに加えた0.05mol/L ヨウ素液は、1回目が20.02mL2回目が19.82mLであった。

 

結論

まず、0.1mol/Lチオ硫酸ナトリウムの標定であるが、そのファクターfNa2S2O3を計算すると、

fNa2S2O3=(KIO3の質量x6x1000)/{KIO3の分子量x(消費Na2S2O3の体積−空試験での消費Na2S2O3の体積)x5x0.1}

=(0.4076x6x1000)/{214.000x(22.5850.12)x5x0.1}

=1.017

となった。

0.05mol/L ヨウ素液の標定では、そのファクターfI2

fI2= (0.1x f1xNa2S2O3の体積)/(消費I2の体積x2x0.05)

=(0.1x1.017x20)/(20.065x2x0.05)=1.014

である。

また、L‐アスコルビン酸の定量では、まず1回目の純度X1を求めると、

X1=(0.05x fI2x消費ヨウ素液の体積x L‐アスコルビン酸の分子量x100)/(1000x試料の質量)

(0.05x1.014x20.02x176.13x100)/(1000x0.2022)=88.41(%)

2回目の純度X2は、

X2=(0.05x1.014x19.82x176.13x100)/(1000x0.2004)=88.92(%)

よって、これらを平均して、今回使用したL‐アスコルビン酸の純度は、88.67(%)と求められた。

 

考察

まず、チオ硫酸ナトリウムの調整でのKIO3KIの反応は、

KIO3+5KI+3H2SO43K2SO4+3H2O+3I2   (1)

この反応で生成したI2とチオ硫酸ナトリウムの標定の反応は、

2Na2S2O3+ I22NaI+ Na2S4O6  (2)

となる。この2つの式から、1molKIO3と反応するのは6molNa2S2O3であることがわかる。ファクターの計算式中の6はこれに由来する。

また、KIO3の溶液は50mLのものを10mL取って滴定をしているので、実際の含量は求められたものの5倍となる。式中の5はここに由来している。これによって求まったファクターは0.9701.030の範囲内なので、日本薬局方の規定内である。

実験で、まずNa2S2O3の溶液を調整する際、無水炭酸ナトリウムを加えたが、これはイオウバクテリアによって、

Na2S2O3H2SO4+S

となるのを防ぐためである。また、途中で10分放置するのは、(1)の反応を十分に進ませるためと思われる。終点指示薬としてはデンプン試液を用いたが、これは液中のI2により青紫色を呈する。滴定の終点は、I2が著しく減少するため、この色が消失する。なお、これを最初から入れなかったのは、I2と錯体を形成しないようにするためである。

ヨウ素液の調整では、以下の反応が起こっている。

I2+KIKI3

最初にKIを加えたが、これはI2が難溶なので、上の反応で

I2+II3

としてより溶けやすくするためである。このヨウ素液の標定では、

(2)と同じ反応が起きている。Na2S2O32molI21molが反応している。計算式中の2は、この比に由来している。終点の確認は、チオ硫酸ナトリウムの標定と同じくデンプン試液を用いている。終点でI2が多くなると、デンプンとヨウ素が結びついて液の色が青紫色になる。ファクターは1.014であり、日本薬局方の規定内である。

なお、このヨウ素の標準試薬としては、日本薬局方では三酸化二ヒ素(As2O3)を用いる。

アスコルビン酸の定量は以下のような反応で、1:1で反応する。

 

 

 

 

 

今回の各反応は酸化還元反応であり、以下の素反応式を組み合わせて得ることが出来る。

@       IO3+6H++6eI+3H2O

A       I2+2e2 I

B       S4O62+2e2S2O3

IO3I2は酸化剤であり、S4O62、アスコルビン酸は還元剤である。

KIO3KI の反応は、@−3xAで、I2Na2S2O3の反応はA−Bで求められる。

今回得られたアスコルビン酸の純度は、88.67%である。しかし、日本薬局方では、この乾燥したアスコルビン酸は定量する際には99.0%以上含むと規定されている。今回の結果から、用いた試料はこれには合っていないとわかる。このアスコルビン酸は、ビタミンCであり、ビタミンC欠乏による様様な症状、疾患(壊血病、メルレル・バロー病など)に効果がある。また、コラーゲン生成への関与、出血傾向の改善などの効果もある。副作用としては内服で悪心、嘔吐、下痢などが現れることがある。

 

参考文献

・第十三改正 日本薬局方解説書 廣川書店 1996年発行

・薬学生のための分析化学 荒井ら著 高村喜代子編集 廣川書店

平成13年2月25日3刷発行