GCS-1(91式爆弾用誘導装置)

ドーリーに乗せられたGCS-1付MK-82とJM-117爆弾

GCS-1は(Guidance Control Set)の略で、MK-82(500ポンド)爆弾、JM-117(340kg)爆弾に装着される誘導爆弾用のキットで、対艦攻撃専用である。誘導爆弾の利点は高高度爆撃及び移動目標への命中精度が格段に向上し、且つ打ちっ放しであるため、母機は直ちに回避行動を行うことが出来るため母機の安全性が飛躍的に高まることにある。

この誘導装置の特徴は同様の誘導爆弾装置であるレーザー誘導やテレビ誘導式と違って母機側に何も追加装備がいらないという点で、そのため爆弾の投下手順は通常の爆弾のそれとまったく変わらない。

投下シーケンスは通常の爆弾と同様にCCIP(命中点連続計算)、CCRP(投下点連続計算)モード等が使われるが、F-1には専用モードとしてRCCD(継続データ投下点計算)、RCID(初期データ投下点計算)が新たに追加され、夜間や悪天候でも運用できる。ちなみにF-4改はOFP(Operational Flight Program:飛行管制ソフト)改修の都合上、このモードは追加されないため、運用によりカバーしなければならない。(F-4改の場合、ヘッドアップ・ディスプレイ又はレーダー・スコープ上の目標を手動で取り込まなければならない)

GCS-1には慣性航法装置が搭載されていないため、投弾時のFCS誤差を補正することができない。そのため、赤外線センサーの有効範囲内(エムベロップ)に確実に落とさねばならず、命中させるためには(特に移動目標)母機に対してある程度の爆撃精度が要求される。この辺が最後まで照準し続けるレーザー誘導爆弾などとは異なる点である。(レーザー誘導爆弾の場合は相手から反射されるレーザー・ディスコーン内に落としてやれば良い)

誘導方式は赤外線CCDを使用した赤外線放射状レティクル・スキャンで、投下後は安定翼が展開し、ウインドベーン状態になり非制御状態で落下する。投下後1秒以内に冷却及びジャイロの立ち上げを実施して3秒後には完了し、姿勢安定後にシーカーが目標を捜索する。目標がシーカーの視野内に入ると背景と目標との温度差×面積の値が一定範囲を超える目標をロックオンし、シーカー部に取り付けられた動翼により誘導制御される。制御翼の作動はホットガスによるガスサーボ駆動で信管の作動は着発延期型。

また目標の面積が小さく温度差が異常に高い場合はフレアとして判定するIRCCM(赤外線妨害排除)能力を有する。

運用目的としては対空ミサイルなどを持った戦闘艦をASM(空対艦ミサイル)にて戦闘不能にした後に使われるようだ、そのためASMと連携して運用することが前提とされる。

開発・製造メーカーは三菱電機で、お値段はこの手の物としては安価で15百万円程度だという。

なお91式爆弾用誘導装置は既に生産が終了しており、複合シーカーと滑空翼を持った新型爆弾が技術研究本部により開発中。