ATM-5(01式軽対戦車誘導弾)

(写真は陸上自衛隊HPからのリンクです。)


01式軽対戦車誘導弾は84mm無反動砲(カールグスタフ)の後継装備の歩兵携帯型対戦車誘導弾で、対戦車戦闘だけではなく、固定目標等の撃破などにも用いられる。カールグスタフは運用には2名を必要としたが、本システムでは1名で運用できるようになっている。

システムはFLIR(Foward Locking Infra-Red)によって構成される照準管制装置部とキャニスターに入ったミサイル搭載部よりなっていて、システム重量は約17.5kg程度、ミサイルの入ったキャニスター部分の重量は12kg(ミサイル本体は9kg)程度である。なお携行する際はミサイルキャニスターの前後には発泡スチロール製と思われる大型のキャップが付属し、スリングにより肩に掛けられるようになっている。また実際の運用は車載で行われることが想定されているようで、軽装甲機動車等のハッチを開けて射手が直立で構えて車上から発射することが多いようである。誘導方式は非冷却式赤外線フォーカルプレーンアレーによる赤外線画像(IIR)誘導方式で発射前ロックオン(LOBL)により発射される。なお最大射程は2.0km程度と言われている。

従来の光学式有線誘導型の歩兵携行型対戦車ミサイルと違って、赤外線画像(IIR)誘導方式であるため撃ち放し(Fire & Forget)が可能で発射後すぐに退避する事が可能となって生残性が飛躍的に向上し、また夜間や霧などの悪天候下においても運用が可能となっている。また非冷却式シーカーを使用するため、発射前にシーカーを冷却する必要がなく瞬間交戦性にも優れており、また取扱が面倒な冷却用ガスを利用する必要が無いのは補給上好都合でもある。

弾頭は前後に配置された2重のHEAT弾頭で爆発反応装甲に対処可能と言われており、前方に配置された小さめのHEAT弾頭で爆発反応装甲や増加装甲を貫き、後方の主弾頭で主装甲を貫くようになっていると思われるが、一説によると前方に配置された弾頭はSFF(自己鍛造弾:Self Forging Fragments)弾頭で、これにより爆発反応装甲を爆轟させずに貫くと言われている。自己鍛造弾頭はHEAT弾頭の亜種であり、炸薬の爆発によりライナーを銃弾のような侵徹体に生成して高速度で飛ばすもので、HAET弾頭に比べると侵徹威力は落ちるが、侵徹口が大きく浅くなると言われており爆発反応装甲を爆轟させずに貫くには適していると思われる。(爆発反応装甲は機銃弾等には簡単に爆轟しないように起爆感度が鈍く調整されている)

またこのミサイルは84mm無反動砲(カールグスタフ)の後継装備であり、固定目標の撃破にも用いられることから弾頭には榴弾的効果を持たせるため、調整破片による爆風破片効果も付与されている可能性が高い。ただ固定目標をこのミサイルで狙うには如何にも勿体無い話であるので、固定目標には新たに普通科に配備されているパンツァーファースト3こと110mm携帯対戦車弾が主に使用されると思われる。

なお01式軽対戦車誘導弾は対戦車攻撃など通常の場合はノズル部にあるジャットベーンを使用してハイレートクライム機動を行い、トップアタックで飛翔し突入するが、固定目標等を攻撃する場合はダイレクトヒットで飛翔するモードを選択することもできる。また掩蔽や建物内などの閉鎖空間でも射手が発射の際の爆風に巻き込まれずに安全に発射できるようになっており、発射時のバックブラストが極力小さくなるように工夫されている。

全体的な印象は米陸軍及び海兵隊が装備しつつあるジャベリン対戦車ミサイルによく似ているが、細かい点で違いもあり、模倣と言うよりも要求仕様と開発時期がほぼ同じなため、偶々似てしまったのであろう。開発・製造会社は川崎重工業で、調達価格は1セット当たり約2,700万円と言われおり、比較的早いペースで調達が行われている。