F-2支援戦闘機

F-2A

(写真は防衛省からのリンクです。)

 


F-2はF-1支援戦闘機の後継としてF-16ブロック40をベースとして設計された新型支援戦闘機であるが、形はF-16ソックリでも実質的には全面的に新規設計した航空機に等しいものになっている。F-2の最大の特徴は長い航続距離と先進アビオニクス、高度な電子戦システム、自機防御システムとステルス性による生残性の向上であろう。

運用目的としては艦船を対象とした航空阻止、陸海作戦直接支援、防空が主な任務となる。

搭載レーダーであるJ/APG-1はアクティブ・フェイズド・アレイ方式によるパルス・ドップラー・レーダーで以下のような特徴を備えている。

この中では特に高分解能に重きを置いていると思われ、レイド・アセスメント能力やグラウンド・マップの鮮明さは従来のものとは比較にならない程優れていると言われており、電子戦システムからの情報と併せて脅威目標の識別並びに優先度判定が行える。この能力は目標の個艦識別能力を持つASM-2(93式空対艦誘導弾)の運用に当たって威力を発揮すると思われる。 またアクティブ・フェイズド・アレイ方式は発射する電波のビームの生成が自由自在であり、ビームを細く絞ることによる遠距離探知も可能である。(同じくアクティブ・フェイズド・アレイ方式を採用する米空軍のF-22に搭載されるAPG-77はこのモードを用いて400kmという遠距離探知を行った事があると言う)また電子的にビームを振るため高速なスキャンが可能なためオフ・ボアサイト能力も優れていると予想され、格闘戦においても高い能力を発揮する筈である。また電子走査式の先進敵味方識別質問/応答装置(AN/APX-113(V))を備えており、これは味方を探すレーダーと言って良い。(伝聞ではあるが、米軍三沢基地配備のF-16Cとの演習において、F-16Cに探知される遥か以前に敵側のF-16Cをレーダーで探知可能であったと言う)

統合電子戦装置(J/ASQ-2)は広帯域瞬時受信分析能力を有し、脅威情報の収集及び脅威対象の分析と優先度の判定、搭乗員への表示とその回避方法の指示と自機防御手段の提示、及びその実行を統合し自動的に行うもので、F-15Jに搭載されていたRWR(レーダー警戒装置)のJ/APR-4AとICS(機内搭載型電波妨害装置)のJ/ALQ-8の発展型をベースにしているものと思われる。

なおCMD(チャフ・フレア・ディスペンサ)は英国BAE社のAN/ALE-47が採用されている。CMDの搭載場所はF-16と同じく水平尾翼の付け根部分と、新たに増設された垂直尾翼直下部分に搭載されている。またF-2の場合はRWRと言わずにわざわざESM(電子支援手段)と呼んでいることから、収集した電波情報を記録して持ち帰る機能も有していると思われる。(既にF-15JのAPR-4A搭載機は受信した電波情報をDTM(Data Transfer Module)へ記録する機能を持っている)

搭載武装は以下の通りである。

将来兵装としては将来空対艦誘導弾(XASM-3)、また16年度より発注したJDAM(Joint Direct Attack Munition)のGBU-38、外装型FLIR(赤外線前方監視装置J/AAQ-2)等が予定されている。また99式空対空誘導弾(AAM-4)の搭載は塔載改修が必須であるが、優先課題とされている。(既にMHIは空幕に対して、AAM-4塔載のプロポーザルを行っている)新型04式空対空誘導弾(AAM-5)の搭載はAAM-4より問題は少ないと思われるが、搭載されるのはFI(邀撃)部隊が搭載する後になる可能性がある。なお通常爆弾に拠る爆撃精度は実用試験において、地上目標に見立てたバスにMk82通常爆弾(500ポンド)を直撃させており、評判が高かった先代のF-1と同様にかなり高いと予想される。

搭載するMRM(中距離ミサイル)ランチャーは英国FLIGHT REFUELING社製のものをライセンス国産したもので、英国シーハリアーに搭載されているものと同種のものを流用しており、AIM-9やAIM-132(ASRAAM)等の短距離ミサイルやAIM-120やAIM-7等の中距離ミサイルが搭載出来る他に、ランチャー内部にチャフ・ディスペンサやECM装置などを搭載できるスペースがあるCRL(Common Rail Launcher)である。なお翼端のSRM(短距離ミサイル)ランチャーはF-16に搭載されているLAU-129をベースにしたものと思われる。

航法・通信機能については、航法装置としてリング・レーザー・ジャイロをベースとした慣性基準装置(IRS)採用しており、装置を3重に搭載してリダンダシー(冗長性)を高めている。またムービング・マップ・ディスプレイを備え、地形回避機能(Terrain Avoidance)機能を有しており、低高度高速飛行用に自動操縦装置も搭載している。通信機能としてUHF/VHF(J/ARC-701)及びHF帯の音声無線通信機器(J/ARC-26)を備えており、HF帯の無線を使って見通し線外での音声通信が行える。またデータリンク・システム(J/ASW-20)を備えており、バッジ・システムや早期警戒機と連接してデータ受信ができる。将来的にはJTIDS(Joint Tactical Information Distribution  System統合戦術情報分配装置)のターミナルとなるFDL(Fighter Data Link)も搭載されると思われる。

ステルス性については空気取り入れ口や翼の前縁に対して電波吸収材が適用されているとのことであるが、各種のアンテナがあっちこっちへ突き出ている外観を見ると、ステルス性についてあまり配慮されたとは言い難い面もある。キャノピーは任務上、低高度高速飛行を行う機会が多い事から4ポンド(速度500ノット)との鳥衝突に堪えうることを要求されており、スルー・キャノピー(射出座席がキャノピーを突き破って脱出)を損なわない範囲で、最大限の強度が与えられている。

機体性能は+9Gから-3Gまでの運用範囲が要求されており、耐用命数は累計飛行時間6,000時間以上、着陸回数は6,600回以上(複座型は12,000回以上)である。またF-15Jと異機種空戦訓練を実施すると、小さな機体サイズによる低視認性と強力なエンジン(GE社製F110-GE-129)及び高度な飛行性能により、低・中高度での格闘戦においては、F-15Jを圧倒することしばしばだと言う。

F-2は部隊配備が実施され始めるとともにフォローアップが行われているが、搭載レーダーの不具合(機動時にレーダーのロック・オンが外れる、AIM-7Mの管制不能等)及び機体の強度(一部飛行領域での横転や翼下・胴下ドロップタンク搭載時の取り付け部荷重)上の問題に直面している。機体の問題に関しては制御プログラムによって運用制限を課すと共に、当該部分の不具合改修が行われている。レーダーに関してはOFP(Operational Flight Program)の改修によって改善されると思われるが、いずれにしてもその秘めた能力を発揮できるようになるにはしばらく時間が掛ると思われる。

将来の構想として基本性能向上型、FS(支援戦闘)性能向上型等が計画され、F-4改の後継機としてのFI(邀撃)型も構想されていたが、米国ロッキード社は本機の共同生産の早期終了を望み、そのため2007年度予算では多年度一括発注の要求を行っている。ロッキード社製造分の日本への移管が行われない場合、F-2の増産は困難であり、そのためF-2の生産は試作機4機を含めた計98機で終了することになる。