国産ミサイルよもやま話(対艦ミサイル編)

 

ハムスター学校の生徒、ハム・エッグ、ハム・サンド、ハム・カツに先生のハム・ヨンキュウが語りかけています。なお、構成は某ページの完全なパクリです。(笑

 


 

では前回の続きで、対艦ミサイルの話から行こうかのぉ。

 

 

 

はぁーい、ハム・ヨンキュウ先生。

 

 

 

うむ、良い返事じゃ。国産初の対艦ミサイルは80式空対艦誘導弾(ASM-1)じゃな。これは我が国の兵器開発史上、大変なエポックとなったものじゃ。

 

 

なぜですか?

 

 

 

性能そのものも評価されるが、何よりも兵器のファミリー化を成し遂げた点で評価が高い。

 

 

ASM-1には色んな逸話がありますね。

 

 

 

技術・実用試験の際、あんまり当たり過ぎて標的の手持ちが無くなってしまったとか、残骸はちゃんと回収しろという異例の指示が米軍からなされたとかな。

 

 

ミサイルの特徴は何ですか?

 

 

 

誘導方式は初期・中期が慣性誘導、終末誘導はアクティブ・レーダーじゃな。推進方式は固体ロケットモーター、電波高度計はFM/CW方式。フランスのエクゾセ何かと同じ方式じゃな。最大射程は27NMと言われている。

 

 

FM/CW方式ってなんですか?

 

 

 

周波数変調/連続波方式のことだな。パルス式に比べると送信出力が小さくて済み、ESMで探知され難い。所謂LPI(低探知性)化だな。スウェーデンの対艦ミサイルRbs15の最新型はシーカーにもこの方式を用いているものがある。電波高度計は目標直前まで電波を出さないシーカーと違って飛行中に電波を出し続けなければならないからな。この点は重要じゃ。

 

なぜ、ファミリー化ができたのでしょう?

 

 

 

シーカー部、弾等部、推進部といったようにモジュール化構造になっていたためじゃ。

 

 

 

搭載機種は何ですか? 

 

 

現在はF-1とF-4改の2機種だな。制式化当初はF-1支援戦闘機のみじゃった。

 

 

 

F-1とF-4はどのようにして目標艦船を探すのですか?

 

 

 

F-1の搭載FCレーダーはKuバンドのJ/AWG-12じゃな。ASMモードという専用モードがあって、ペンシル・ビームで海上目標を捜索する。捜索距離は大体40NM以内と言われているが、このレーダーはクラッターの影響を受け易いという指摘があり、目標を失探しやすいと言われているな。

 

F-4改の搭載FCレーダーはF-16A/Bに搭載されていたAPG-66を日本独自で改良したAPG-66Jじゃな。SEA1、SEA2という専用モードを持っている。SEA1では周波数アジャリティによるクラッターの抑制処理を行う。捜索距離は大体80NM以内と言われている。SEA2は高クラッター時に用いられるモードでMTI(移動目標探知)により目標を探知する。捜索距離は大体20NM以内と言われているな。

 

ASM-1は何か改良等はされたのですか?。

 

 

 

ECP(技術変更要求)等に基づいた細かな改良はされたようじゃ。シーカーを後述するSSM-1のものに換装したASM-1改も構想されたようじゃが、実現しなかったな。

 

 

次はSSM-1(88式地対艦誘導弾)です。

 

 

 

これはASM-1の推進部を固体ロケット・モーターからターボ・ジェット推進へと変更して射程距離を大幅に伸ばして地上発射用としたものじゃが、かなり特徴の多いミサイルじゃな。

 

 

どんな特徴ですか?

 

 

 

対艦ミサイルを陸上発射用に改修したものはエクゾセやハープーンでも例があるが、SSM-1の場合はそれらとは全く異なる。なぜなら海岸線に配置されるのではなくもっと内陸部に配置されるからじゃ、ミサイルはその航程の大部分で陸地の上を飛ぶ。その意味でこれは巡航ミサイルだとの批判も出たくらいじゃからな。

 

なぜそんな内陸部から発射するのでしょうか?

 

 

 

敵の上陸部隊からの砲爆撃を避けるためじゃ。そのために色んな工夫が施されている。山あり谷ありの我が国の複雑な地形に合わせて廻り込みや地形回避機能を持たせ、陸上を飛翔する際はあらかじめ指定された経路を飛ぶようになっている。またこれらは発射位置及び目標位置が入力されれば最適経路を自動的に計算してくれるのじゃ。また同時発射された際には特定の目標に集中しないように特別な目標選択アルゴリズムが組み込まれている。これは確率論を応用したものと言われているな。

 

誘導方式は?

 

 

 

ASM-1と同じく、初期・中期が慣性誘導、終末誘導はアクティブ・モノパルス・レーダーじゃな。推進方式はターボジェット推進、電波高度計はFM/CW方式。このミサイルのシーカーの特徴はECCM性能が極めて高いところじゃな。米国で行われた実用試験でも高度のECM下で小さな標的に全弾命中させている。

 

どんなECMを掛けるのでしょう?

 

 

 

強力な電波でシーカーに目潰しを掛けるパワー・ジャミング、シーカーに欺瞞信号を送り込むディセプション・ジャミング、あとはチャフを撒いたりデコイを使ったりする場合もあるな。

 

 

それらをどうやって排除するのですか?

 

 

 

うむ、良い質問じゃ。パワー・ジャミングの場合はジャミング源を追跡するHOJ(Home on Jamming)を使う。ディセプション・ジャミングの場合は偽目標と真目標の位置関係とその動きから真目標を見つけ出す。

 

ステルス塗料が使われているという話がありますね。

 

 

 

うむ。真偽の程は定かでないが、磁性体を使った電波吸収特性のある塗料が塗布されているという話があるな。

 

 

SSM-1は改良型があるのですか?

 

 

 

海自が運用しているハープーン対艦ミサイルの後継として、艦載型の90式艦対艦誘導弾(SSM-1B)が、航空機搭載型の91式空対艦誘導弾(ASM-1C)へと発展したな。また高角度発射、同時着弾、ライフサイクル・コストの低減などを目指してSSM-1改として発展型が計画されているな。

 

お次はASM-2です。

 

 

 

ASM-2は初期・中期が慣性誘導、終末誘導は赤外線画像じゃな。推進方式はターボジェット推進、電波高度計はFM/CW方式。弾頭にはLOVA性能向上型が採用されているな。

 

 

LOVA性能とは何ですか? 

 

 

Low Vulnerability Ammunition 低脆弱性弾薬のことじゃな。具体的にはPBX系炸薬を使った弾頭のことだ。

 

 

ASM-2にはどんな特徴があるのでしょう?

 

 

 

ASM-1に比べて射程が大幅に延伸し、敵の防空網の外から攻撃できるようになったこと。誘導方式を赤外線画像誘導方式にしたのが一番大きいな。これによりECMが無効となり、個艦識別能力と命中点選択機能を獲得している。戦闘艦と補助艦というように目標の種類を見分けて、艦の任意の場所を狙うことが可能になった。それとステルス主翼を装備して残存性の向上を図ったことも大きい。この翼は金属材を電波吸収特性を持つ複合材料で挟み込んだものだな。

 

どうやって個艦を識別するのでしょう? 

 

 

詳細は不明だが、空自は海自なんかの協力を得て艦船の赤外線シグネチャー・データのデータベースを作っているのではないか。ミサイルのシーカーが捕らえた目標画像とミサイルに記憶されたデータを比較して個艦を識別しているのではないかと思うな。

 

射程距離はどの位なんでしょう?

 

 

 

うむ、実射試験では80NM先の目標への実射も計画されていたようだから少なくてもそれ以上はあるのだろう。

 

 

発展型の計画はあるのでしょうか?

 

 

 

慣性航法装置を従来の機械式ジャイロからリングレーザー・ジャイロ(FOG)に置き換える計画があるようだ。またデータリンク機能を追加してパイロットが遠隔誘導できるようにする計画も始まるとのことじゃ。

 

ASM-2の部隊での評価はどうですか?

 

 

 

空自はASM-2に相当惚れ込んでいるらしい。だからASM-2専用の自走標的を技本開発した位じゃ。XASM-3がこけた以上、益々ASM-2への期待が高まるだろう。ただ赤外線画像誘導は気象条件の影響を受け易い側面もある。ホットスポットが小さな高速艇のような目標が相手だとちと苦しいかもしれんな。まぁ失探した場合の再捜索機能は持っているがな。

 

それでも目標を捕らえられない場合はどうなるのですか?

 

 

 

旋回捜索を行って一定時間目標を捕らえられなかった場合は、自爆するようになっておる。

 

 

 

次期空対艦誘導弾(XASM-3)はどうなったんでしょう?

 

 

XASM-3は従来のASM-1ファミリーから離れた新しいタイプの空対艦ミサイルとして構想された。ステルス外形、超音速飛翔、赤外線画像とレーダーによる複合シーカー、ダクテッドロケット・エンジンなど新機軸満載のミサイルだったが開発に予算が付かず、ダクテッドロケット・エンジンの継続開発だけが継続することとなった。ダクテッドロケット・エンジンについてはAAM-4などの長距離AAMに使われる可能性もあるな。開発中止は今のご時世では仕方の無いことかもしれんなぁ。現代の日本が抱える脅威からするともっと他にリソースを使うべきところがあるしな。

 

ただこれで困ったのはXASM-3がASM-1のリプレースという役割も担っているので、退役するASM-1の穴埋めをどうするかが問題になってくる。誘導方式の性格から言って全数をASM-2で置き換えるわけにもいかないだろうから新たな施策が必要になってくる。ASM-1のシーカー部を近代化してASM-1改を作るとか、海さんが使っているASM-1Cを採用するとかが考えられる。それから空自はSEAD(Suppression of Enemy Air Defence )任務にXASM-3を使うことを構想していたようだ。そうするとHARMやALARMのようなARM(対レーダーミサイル)を新たに導入する必要が出てくる。

 

お次はGCS-1です。

 

 

 

GCS-1は91式爆弾用誘導装置というのが、正式名称だな。既存のMk82及びJM117爆弾に取り付ける誘導爆弾化キットという感じだな。

 

 

誘導方式は何でしょうか?

 

 

 

赤外線放射状レティクル・スキャンだな。放射面積×放射温度の値が一定値を超えたらロックオンする。太陽の輻射熱程度でも面積が大きければ充分だそうじゃ。逆に面積の割りに放射温度が高いものはフレア判定を行う。

 

実際にどのように運用されるのですか?

 

 

 

通常の爆弾投下手段と変わらない。ただF-1にはFCレーダーによる自動投下モードがあるが、F-4改にはそのようなモードがOFPの関係上、追加できなかった。だからHUD又はレーダーにより目標情報を手動で取り込まなければならない、レーダーの場合はスコープ上でX・Yカーサーを手動で合わせる。従って目標取り込み誤差が大きくなる傾向がある。

 

するとどのような影響が考えられるのですか?

 

 

 

GCS-1のロックオン・レンジとシーカー視野から算出される幾何学ロックオン確率は取り込み誤差が大きければ大きいほど小さくなる。実際には母機の慣性航法装置の誤差が加わるからさらに小さくなるな。だからF-4改で運用する場合はパイロットの技量に左右される場合もある。

 

何かエピソードはありますか?

 

 

 

通常爆弾に取り付ける場合、Mk82やJM117は色んなタイプがあって規格が一定では無かったのでマッチングが大変だったそうじゃな。また空力試験の予算が充分に取れなかったため、開発会社が大損したという話もあるな。

 

GCS-1の後継装備が開発中とか。

 

 

新型普通爆弾として技本開発中だ。GCS-1では既存の弾体を利用したが、新型普通爆弾は弾体と誘導装置、信管も全て込みで新規開発する。電動で展開する大型の滑空翼を持つことが外観上の特徴で重量は2,000ポンド級と言われている。特筆すべきはINS/GPS誘導装置を使った地上攻撃型が存在することだ。対艦攻撃型は赤外線画像誘導だな。まぁAGM-154(JSOW)の単一弾頭型に近いと思ってもらってよい。量産価格はJSOW以下にすることが至上命題だそうだ。搭載機種はF-2と思われるが、技本の開発担当部署の室長は海さんだからな、P-3CやP-Xも考えているかもしれない。

 

それから対艦ミサイルと言えば海自のP-3CにAGM-65マーべリックを搭載しようという計画がある。米海軍のP-3Cは既に運用しているしな。

 

 

   米海軍のAGM-65の運用

 

 

Photo by U.S.Navy

 

 

海自はSH-60Kにも米海軍のMH-60RのようにAGM-114Mを搭載しましたしね。 

 

 

 

対不審船対策なのかもしれないな。小船相手にハープーンやASM-1Cをぶっ放すわけにはいかんだろう。しかし海さんはほんとに輸入品に抵抗が無いな。これは伝統かな。

 

 

キンコン、カンコーン、キンコン、カンコーン。

 

 

もう終わりか、次の授業は対戦車ミサイル編じゃ。しっかり予習をしておくように。

 

 

 

ハァーイ。

 

 

 

こりゃ、こりゃ、ひまわりの種を食うなっちゅーの。何度も言っておろーに。。。。