国産ミサイルよもやま話(対戦車ミサイル編)

 

ハムスター学校の生徒、ハム・エッグ、ハム・サンド、ハム・カツに先生のハム・ヨンキュウが語りかけています。なお、構成は某ページの完全なパクリです。(笑

 


 

では最後に、対戦車ミサイルの話をするんだぴょーん。

 

 

 

先生、いい歳ぶっこいてオチャラケは止めて下さい。

 

 

 

ゴホ、ゴホ。えー国産初の対戦車ミサイルは64式対戦車誘導弾(ATM-1)じゃな。これは第一世代の対戦車ミサイルで、中東戦争で勇名を馳せたAT-2サガー何かと同じ世代に当たる。

 

 

誘導方式は何でしょう?

 

 

 

目視でミサイルに付属する発光筒の赤色の発光炎を元にジョイスティックを動かし、有線誘導する方式だな。発射時にブースターにより加速し、サステーナーにより速度を維持する。射程距離は大体1,500m位と言われている。弾頭は成型炸薬(HEAT)だ。現在では完全に旧式の部類だが、使い勝手が良いのかつい最近まで運用されていたな。

 

なぜ有線誘導方式を用いるのでしょう。

 

 

 

陸上の場合、海や空の上と違って障害物やノイズが多いということ、妨害に強いこと、そして何より安いというメリットもある。

 

 

成型炸薬弾頭というのは熱エネルギーで装甲を貫通するのですか?

 

 

HEATという語呂からそう誤解している向きも多いが、HEATとはHigh Explosive Anti-Tank(対戦車榴弾)の略だ。起爆によって円錐のライナーが流体金属(メタルジェット)化して装甲に衝突し、その運動エネルギーによって装甲を貫通する。貫通するとその穴から高温のガスが吹き込まれてその温度と圧力で内部を破壊する。だからHEAT弾頭は化学エネルギー(火薬の爆発)によって運動エネルギーを発生させる仕組みだと考えてもらって良い。

 

次は79式対戦車・対舟艇誘導弾(ATM-2)です。

 

 

 

これはちょっと特徴のあるミサイルだな。世代的にはBGM-71(TOW)なんかと同じ世代に当たる。誘導方式はミサイルに付属する赤外線ビーコンを誘導管制装置が追跡し、射手が指向している照準線とのズレを補正して誘導する光学式半自動有線誘導方式だ。射程は約4,000mと言われているが誘導ワイヤーはそれ以上の長さがあり、条件次第ではもっと長くなると言われている。

 

その特徴ってなんでしょう?

 

 

 

名前からも分かると思うが、このミサイルは敵の上陸用舟艇の撃破も目的とされている。そのため重量級のミサイルとなっていて、ミサイル本体の重さは33kgもある。ちなみにBGM-71は20kg内外だ。対戦車戦闘時には成型炸薬弾頭+着発信管、対舟艇戦闘時には爆風破片効果弾頭+磁気信管を用いる。

 

このミサイルで上陸用舟艇を撃沈できるのですか?

 

 

 

いやさすがにそこまでの威力は無いようだ。相手の大きさにも拠るだろうが、操舵室を破壊したり、船体にダメージを与える程度だろうな。

 

 

89式装甲戦闘車にも積まれてますよね。

 

 

 

あの車両は単なる兵員輸送だけでなく、対戦車駆逐戦闘も頭に入れているからな。砲塔横の装甲ボックスに左右各1発づつを装備し、予備も2発を車内に搭載するがあの重量級ミサイルを車内から引っ張り出して、人力で再装填するのは大変だろうな。また装甲車にこの手の対戦車ミサイルを積むのは別の意味もある。

 

別の意味って、どういう意味ですか?

 

 

 

この手の有線誘導ミサイルはミサイル発射から命中まで、ずっと照準し続けてなければならないのだ。照準中は移動もできないし、身を隠すすべも無い。なぜならこちらから相手が直接見えなければ、照準し続けられないからだ。ミサイルの飛翔速度が200m/secとすると4,000m先の目標の目標に発射した場合は20秒間もその場を動けない、戦場における20秒間というのはものすごく長いぞ。また発射時には閃光と発射煙が出るから発射した場所はすぐに特定されてしまう

 

すると敵戦車はどんな対応をとるかだが、発射された方向に相手の目くらましと耳にダメージを与えるために一発主砲を発射し、煙幕を展開しながらダッシュして発射地点に対して車載機関銃をブチかましてくるのが普通だろう。何しろ相手も必死なのだから。そんな状況下で発射地点にいる生身の人間が生き残れるかね。

 

難しいでしょうね。だから装甲車から撃つことに意味があると仰ったわけですか。

 

 

 

現代の戦場はかつてと違って、生身の人間が生存できる環境ではない。歩兵の持つ対戦車兵器は所詮は肉薄兵器に過ぎんのだ。勿論、中東戦争やチェチェン紛争のように大きな戦果を残す場合もあるが、それは極めて限られた条件の下でのみ生起する。敵戦車にはこちらも戦車を出すのが正道なのだ。対戦車ミサイルが高性能になったから戦車は不要だなんていうのは詭弁にすぎない。

 

対戦車ヘリコプターはどうでしょう?

 

 

 

なるほど対戦車ヘリコプターは戦車の天敵かもしれんが、ヘリは24時間飛べる訳でもなく、天候の制約も受ける。また取得経費も運用経費も戦車とは桁が違う。

 

 

79式重MATでは誘導装置と発射器を離す事ができますね?

 

 

 

日本の対戦車ミサイルは殆どそれができるのだが、それは評価して良いと思うぞ。

 

 

これは余談だが、79式重MATはAH-1Sへの搭載も検討されたらしい。だが結局はインテグレーションできなかった。そのためAH-1SにはBGM-71(TOW)をそのまま使うこととなり、同時期に同じ世代の対戦車ミサイルを2種類運用することになってしまったな。

 

次は87式対戦車誘導弾(中MAT)です。

 

 

 

87式対戦車誘導弾は誘導方式はセミアクティブ・レーザーホーミング、ミサイルの発射重量は12kg、弾頭は成型炸薬の単一弾頭だ。軽いので肩撃ちができる。有線誘導方式ではないのでミサイルの飛翔速度も非常に速い、これは先程来から言っている意味で重要だ。射程は2,000m程度だな。

 

ヘルファイアのようにLOAL(発射後ロックオン)できるのでしょうか。

 

 

 

それは無理と思うが、ヘルファイアと同じくレーザーはパルスコードが別々に設定されており多数発射してもそれぞれの目標に指向できる。

 

肩撃ちできるってのは凄いですね

 

 

 

だが歩兵が担ぐものは携行SAMもそうなのだが、人間が持つ以上、重量的に制限がある。その限られた重量では弾頭重量と射程(推進剤の容量)がトレードオフになってしまう。射程が長ければ弾頭重量が小さくなるし、弾頭重量が大きくなれば、射程が短くなる。

 

次は96式多目的誘導弾システム(ATM-4)です。

 

 

 

96式多目的誘導弾システムはまたの名をMPMS(Multi Purpose Missile System)といって、対戦車、対舟艇など多目的に使われる。誘導方式は初期・中期は慣性誘導で飛翔し、終末誘導は光ファイバー経由で送られてくる先端部の画像赤外線シーカーの目標映像を観ながら操作員がタッチパネルを使ってロックオンさせるか、最後まで誘導するかを選択する。発射重量は60kg以上だからかなり大型のミサイルだ。公表されている射程は10km以上となっている。弾頭は成型炸薬の単一弾頭だな。

 

どのように運用されるのでしょう。

 

 

 

発射手順は観測員(FO)や無人観測機その他の手段によって得られた目標情報は情報処理装置で集中管理され、射撃目標が射撃指揮装置へ伝達されると、地上誘導装置に対して射撃命令を発する。また多目標対処能力があり、1組の地上誘導装置及び発射機により,同一陣地から異なる目標に対して連続発射ができる。また1台の射撃指揮装置が,4台の地上誘導装置に対して同じ発射時刻を指定することにより,4台の発射機による同時発射もできる。最後まで人が介するし、有線誘導なので途中でアーミングを解除することもできるようになっている。これなんかは同士撃ち防止に効果大だ。

 

かなり大掛かりなシステムですね。

 

 

 

うーん、だから全く新しい火力システムと言って良いかも知れないな。ミサイルの重量が大きいため弾頭も大きく、単一弾頭ながら反応装甲(ERA)を吹っ飛ばして複合装甲を貫通可能だそうだ。反応装甲の対処方法は色々あるが大きな弾頭で反応装甲ごと貫通するというのは最も単純明快なやり方だ。また戦車の弱点である車体上面を狙うのも見逃せない。対舟艇に対してもそこそこの大きさのものなら一発で撃沈できるそうだ。舟艇には戦車や車両が複数載っている場合があるから、陸に上がってから攻撃するよりも効率が良いし、揚陸手段が減るというメリットもある。

 

戦車と舟艇では弾頭や信管を換えるのですか? 

 

 

いや同じ弾頭を使う。目標に応じて着発延期時間を可変できるし、成型炸薬弾頭と言っても爆風破片効果もあるからね。

 

 

光ファイバー誘導ミサイルを実用化しているのは現在のところ日本だけなんですね。

 

 

 

ドイツや米国でも開発されているが、日本が先んじたな。光ファイバーを引っ張りながら何キロも進むなんて簡単な技術じゃ無い。MPMSでも開発段階では苦労したそうだ。光ファイバーに限らず有線誘導はワイヤーとリールが大切な訳で、日本のものは高い評価を得ている。

 

発展計画はあるのですか? 

 

 

かつてジェット化による射程延伸も検討され、実際にエンジンも試作したようだがどうだろうな。近々にフォローアップが始まるそうだから注目してよいだろう。

 

お次は01式対戦車誘導弾(ATM-5)軽MATです

 

 

 

01式対戦車誘導弾(ATM-5)は個人が携行する対戦車ミサイルで、カールグスタフ84mm無反動砲の後継装備だ。誘導方式は非冷却式赤外線フォーカルプレーン・アレーによる赤外線画像誘導で撃ちっぱなし(FIRE&FORGET)が可能だ。弾頭はタンデム配置の二重成型炸薬弾頭、ミサイルの発射重量は9kg、射程は1q内外だろう。

 

なぜ弾頭を二重にするのですか?

 

 

 

反応装甲(ERA)に対応するためだ。前方に小さめの弾頭があり、それで反応装甲や増加装甲を貫き、後方の主弾頭により装甲を貫く。

 

 

反応装甲ってどんな仕組みなんでしょう?

 

 

衝突の圧力で起爆して表面の装甲板をメタルジェットを遮る様に吹き飛ばし、メタルジェットの収束を阻害することにより、メタルジェットの威力を減衰させてしまうのだ。だから必ず傾斜して設置される。

 

トップアタックするそうですが?

 

 

 

デフォルトではトップアタック、ダイレクトヒットするモードも選択できる。しかし迫撃砲なら兎も角、ミサイルで地上から発射してトップアタックなんて簡単にできるもんじゃないぞ。多素子による赤外線画像誘導だからこそできる芸当だ。

 

市街戦でも使えると聞きましたが。

 

 

 

発射時に後方へ噴出されるブラストを極力減らして、建物の中のような密閉空間からでも発射できるように工夫されている。これはカールグスタフに比べて優れた点だな。

 

 

現在開発中の対戦車ミサイルはないのですか?

 

 

 

中MATの後継となる新中MAT(XATM-6)が開発されていた。これは誘導方式を慣性+赤外線画像誘導としてLOAL(発射後ロックオン)ができるようにしたものだ。軽装甲機動車やOH-1(改)に搭載する構想もあったようだ。

 

されていたというのは?

 

 

 

新中MAT(XATM-6)に代わって、新中距離多目的誘導弾という名称になった。ゲリラ・コマンドウ対処や離島侵攻対処能力が盛り込まれ、戦車だけでなく、舟艇や建物、バンカーなどの目標に対応することが要求されている。こうなると79式重MATと中MATの双方をリプレースする感じだな。誘導方式は慣性+画像赤外線誘導で標定方法としてFLIR(赤外線撮像器)とミリ波レンジファインダーが用いられる。発射方式は車載及び地上設置方式で、車載のプラットホームは高機動車が構想されているらしい。外観はヘルファイアに似ているようだ、また多目標同時対処能力が求められている。いきなり試作から入るようだから、意外と早くお目に掛かれるだろう。

 

導入が決定したAH-64Dの対戦車ミサイルは何を搭載するのでしょうか?

 

 

 

残念ながら国産ミサイルではなく、AGM-114K/Lヘルファイア・ミサイルだ。発射重量50kg弱、射程は8kmで弾頭はタンデムの成型炸薬弾頭だ。誘導方式はK型がセミアクティブ・レーザーホーミングで、LOAL(発射後ロックオン)が可能。L型がミリ波シーカーによるアクティブ・レーダーホーミングだな。

 

SH-60Kもヘルファイア積んでますね

 

 

 

SH-60Kに積むのはAGM-114M型だな。K型の弾頭を爆風破片効果弾頭にしたものと思ってもらって良いだろう。

 

 

最後に技術研究本部のミサイル開発部署について説明しておこう。

 

  1. GM1室(地対空ミサイルを主管)現在の開発アイテムは短SAM改、携行SAM改

  2. GM2室(空対空ミサイルを主管)現在の開発アイテムはXAAM-5、AAM-4改

  3. GM3室(対戦車ミサイル及び地対艦ミサイルを主管)現在の開発アイテムは新中MAT、SSM-1改

  4. GM4室(空対艦ミサイルを主管)現在の開発アイテムはXASM-3

  5. GM5室(艦載ミサイルを主管)現在の開発アイテムは新アスロック、新艦載短SAM