国産ミサイルよもやま話(地対空ミサイル編)

 

ハムスター学校の生徒、ハム・エッグ、ハム・サンド、ハム・カツに先生のハム・ヨンキュウが語りかけています。なお、構成は某ページの完全なパクリです。(笑

 


 

えー、この前最後と言いましたが、地対空ミサイルというジャンルが残っていたので補講をやります。

 

 

 

お、鬼ーーーーーー。

 

 

 

えー国産初の地対空ミサイルは81式地対空誘導弾(SAM-1)だな。通称の短SAMの方が一般的だろう。国会でドイツ・フランス共同開発によるローランドとの比較で論戦がなされたことは有名だな。

 

 

SAM-1がローランドに勝った要因は何ですか。

 

 

 

多目標同時対応能力とECCM能力に優れていたという理由からだが、こじつけといえばこじつけ臭いな。しかし思うに我が国の防衛装備に関する国会の論戦の中ではまともな議論ではなかったのではないかな。

 

SAM-1はどんなシステムですか?

 

 

 

SAM-1は73式大型トラックに載せられた射撃統制装置1台と発射器2台で1システムを構成する。誘導方式は赤外線誘導、弾頭は調整破片型でドップラー方式のVT信管と着発信管を備える。ミサイルの最大速度はM2.4で発射重量は102s程度だ。また自衛隊では珍しく陸海空の3自衛隊が共通して装備している。

 

このミサイルの特筆すべきは空中ロックオンができることだ、これにより射程距離を発射前ロックオン方式で発射する場合より延伸することができる。射程は10Km内外と言われているな。

 

 

空中ロックオンってなんですか?

 

 

 

ミサイルが発射された後に空中でロックオンすることだ。具体的には射撃統制装置で要撃計算がなされ、ミサイルのシーカーは発射前に指向角の指定を受ける。ミサイルは発射されるとオートパイロットによって飛翔し空中ではその指向角を維持し、その範囲で目標の発する赤外線を探知してロックオンする。

 

 

フェイズドアレーレーダーを使ってますね。

 

 

 

射撃統制装置はパッシブ式のフェイズドアレーレーダーを使っている。ちなみにIFF(敵味方識別装置)もフェイズドアレー方式だ。レーダーは機械的に回転して全周捜索と追随(粗追随)を同時に行うことができ、固定した場合には部分捜索と追随(粗追随及び精追随)を同時に行うことができる。また周波数自動切換えによるECCM機能も持っている。ECM環境下等に備えて可視光トラッカーによってランチャーを目標に指向することもできる。

 

それから射撃統制装置と発射器は有線のケーブルで繋がれ、最大で250m離すことができる。ただ有線式だとケーブルを繋ぐという作業が発生する訳で、アライメントも含めて布陣してから発射可能状態になるまで2,30分掛かるという話を聞いたことがある。これなんかは改良すべき点だな。

 

 

改良型も制式化されましたね。

 

 

 

改良型の目的は射程の延伸、 撃墜率向上、 対妨害性向上、 低空要撃性の向上、 全天候性の向上 ロケットモーターのスモークレス化 、DADS(師団対空情報処理システム)との連接 、光波FCSの搭載 がメインだ。

 

ミサイルが2種類ありますね。

 

 

ミサイルが光波弾と電波弾の2種類となり、それぞれ可視光/赤外線画像誘導+レーザー近接信管、フェイズドアレイ・パルスドップラー・シーカーによるアクティブ・レーダー誘導方式+パルスドップラーによるアクティブ・レーダー信管という組み合わせだ。またUPDC(Up To Date Command)による目標情報の補正が行えるようになったことも大きい。

 

SAM-1は発射時のスモークが不評でしたからね。ところで光波FCSって何ですか?

 

 

光波FCSはレーザー・レンジ・ファインダーとFLIR(赤外線前方監視装置:Foward Looking Infra-Red)と可視光トラッカーとを組み合わせたもので、目標を捜索,捕捉及び追跡することができ、高度の電子戦下においても運用が可能になっている。

 

電波弾と光波弾はどのように使い分けるのですか?

 

 

ECM環境下では光波弾を、EOCM環境下では電波弾を使うことになっているが2発同時に発射することも考えられるだろうな。光波弾と電波弾を2発同時に発射されたらまず逃げられないだろう。

 

 

ミサイルの装填方式が独特ですね。

 

 

 

ミサイルはアルミ製のコンテナに入っていて、コンテナの中で金属スプリングのダンパー上に乗って固定されている。コンテナは上下2分割で上の蓋を外してコンテナの下部から引き出し式の取っ手を出し、人力で発射器のエレベーターに載せると、後は自動的にランチャーに装填される。

 

凝ってますねぇ。

 

 

確かに見てる分には楽しいが、戦場のど真ん中でこんなまどろっこしいことやっていられるかね。エバケンさんも言っているようにランチャー方式だったらローランドのシステムの方が遥かに実戦的だろう。

 

 

改良型も3自衛隊が装備しているのですか?

 

 

SAM-1改は大幅な能力向上を果たしたのだが、今のところ陸自しか採用されていない。これは特に空自がSAM-1改の対巡航ミサイル迎撃能力に不満があるからという話がある。また結構不具合が多いという話も耳にするな。

 

後継装備は開発されているのですか?

 

 

すでに技本で将来短射程地対空誘導弾という名称で開発が行われている。情報は殆ど無いが光波弾と電波弾があり、キャニスタ発射方式になるようだ。

 

 

次はSAM-2及びSAM-3です。

 

 

 

SAM-2は91式携帯地対空誘導弾が正式名称だが、携SAMの方が一般的な呼び名だな。東芝と川崎重工のコンペテションの結果、東芝が開発することになった。SAM-3は同じく93式近距離地対空誘導弾で近SAMという呼び名が一般的だがSAM-2の派生型だな。

 

 

SAM-2はFIM-92スティンガーと良く似た外見で実際に機器の一部には互換性がある。ミサイル本体の重量は11.5Kg、システム全体では17kg程だ。誘導方式は赤外線と可視光画像誘導で発射時に射手がどちらかを選択する。弾頭はなんと指向性弾頭だが、近接信管は備えておらず着発信管のみだ。

 

可視光画像誘導ってなんでしょう。

 

 

 

これは固体撮像素子(CCD)を使った誘導方式で、目標を可視光イメージとして捉える誘導方式だ。赤外線誘導方式と違ってフレア等による電子光学妨害(EOCM)が困難で、赤外線誘導と違って前方迎撃性も備え瞬間交戦性にも優れる。勿論、撃ち放しも可能だ。ただ夜間や悪天候時の交戦性に欠けるため、赤外線誘導も選択できるようになっている。

 

SAM-2は現在、携行SAM改として改良型が開発中だ。可視光画像誘導を赤外線画像誘導に改めて夜間の交戦性を向上させることが主眼となっている。また近々に米国から導入したFIM-92スティンガーの耐用年数が来てしまうために大量の退役が予定されているが、それを補うために大量の調達が予定されるため、コストダウンも重要な課題となっている。

 

OH-1ではAAMとしても使ってますね。

 

 

2連装のボックス型ランチャーを左右のパイロンで1器ずつ吊り下げているな。OH-1の高機動性と相まって侮れないな。ただ残念だが今度導入されるAH-64Dは対空兵装としてATAS(Air To Air Stinger)を装備するようだ。ライセンス上、国産兵器の装備は認められないらしい。  

        

93式近距離地対空誘導弾はどういうシステムですか。

 

 

SAM-3はSAM-2を箱型のコンテナに4発ずつ搭載し、それを旋回式ターレットに2連装したものをFLIRと可視光トラッカー及びレーザーレンジファインダーと組み合わせたものだ。米軍のアベンジャーに類似のシステムだと思ってもらってよい。SAM-3はアベンジャーをもじってジャベンジャーなんて呼ばれているな。

 

 

アベンジャーとの違いは何ですか。

 

 

 

 

アベンジャーはミサイルの最小発射距離内に対する防御手段としてキャリパーM2を1丁装備しているが、SAM-3には無い。またアベンジャーはターレット内で射手が操作するようになっているがSAM-3では高機動車の車内か操作コンソールを有線で車外に持ち出してリモートコントロールする方法で運用する。またSAM-3ではHMDを備えており、射手が指向した方向にターレットを動かすこともできる。

 

 

レーダーを持っているのですか。

 

 

 

いやレーダーは持っていない。だから目標情報についてはDADS(師団対空情報処理システム)から受けることになる。SAM-3では車体のまえに大きなアンテナが取り付けられているのが、あれがDADSとのデータリンク用のものだろう。

 

 

配備の状況はどうでしょう?

 

 

 

 

高射機関砲L-90の代替として主として本州の高射特科部隊に配備されるようだ。

 

 

 

お次は03式中距離地対空誘導弾(SAM-4)です。

 

 

 

正直なところ03式中距離地対空誘導弾こと新中SAMに関しては余り情報は持っていないのだが、陸自の高射特科部隊が長年運用してきたMIM-23HAWKの後継装備として開発されたものだ。本家の米国ではMEADS(Medium Extended Air Defense System)として米国、ドイツ、イタリヤが共同で開発している。実は日本も誘われたのだが諸々の事情から独自開発したものだ。総開発経費や規模からいっても我が国最大のミサイル開発計画であるのは間違いないところだろう。

 

システムは射撃統制装置、射撃用レーダー装置、発射器からなっていて全て車載化されている。射撃統制装置は高機動車、射撃用レーダー装置、発射器は米軍のHEMTに類似した車両で重装輪回収車と同じ車両ではないかな。何れにしろHAWKよりは機動性が格段に向上している。 

 

何となくスモール・パトリオットという感じですね。

 

 

うん、パトリオットの影響は大きいと思うな。

 

 

 

HAWKに比べてどんな点が優れているのでしょう。

 

 

 

うむ将来の経空脅威への対応として全周囲方向への対処及び多目標同時対処能力、対妨害排除能力、低空目標対処能力、ミサイル対処能力等が挙げられている。

 

 

またHAWKと比べて最大射程、撃破率、省人化、機動性、陣地変換容易性、陣地選定融通性に優れるとされている。

 

 

ミサイルはどんな特徴があるのですか?

 

 

 

ミサイルはキャニスターによる垂直発射方式で発射器1両について6連装となっている。垂直発射なので平坦な土地でなくても展開可能だ。誘導方式は初期・中間が指令誘導付プログラム誘導で終末誘導はアクティブレーダーホーミング誘導だな。ミサイルの特徴は見通し線外目標対処能力を持つことだな。これは目標情報の共有化とデジタル・マップ目標経路予測機能及びミサイル自身による目標探索機能により実現した能力だな。これにより超低空から進入する巡航ミサイルなんかの目標にも対応できる。

 

射程距離はどの位なんでしょう?

 

 

 

その辺りは想像するしかないが、常識的に考えればHAWK以上、パトリオット以下だろう。全くの想像にすぎないが50Km程度ではないかな。

 

 

他に特徴はあるのでしょうか?

 

 

 

複合操舵方式を採用していると伝えられているが、内容は分からない。前後の操舵翼が動作するのか、TVC(推力偏向制御)又はサイドスラスターとの組み合わせなのか。

 

 

対弾道弾迎撃能力は持っているのでしょうか?

 

 

 

その辺は不明だが、HAWKの例からいっても限定的な対処能力は持っているんではないかと思うが。。。。

 

 

実はSAM-4に関して言えば面白い話題がある。

 

 

 

何でしょうか?

 

 

 

先程述べたMEADSは米陸軍におけるパトリオットの代替計画でもあるのだ。米国がパトリオットの運用を中止したらどうなる。

 

日本でのパトリオットの運用は不可能になります。補用部品が入って来なくなりますから。

 

 

 

その通りだ、だとすると日本はMEADSを採用するかね。MEADSの共同開発を断ってSAM-4を国産開発したのだぞ。そしてSAM-4は射程を除いてパトリオットの能力を全て上回ってしまったと言われているのだ。

 

 

だとすると同じようなパトリオットの後継はSAM-4もしくは新規国産開発品を導入という線ですね。

 

 

 

SAM-4では射程が足りないから、SAM-4の射程を延長したミサイルシステムを導入するのが手っ取り早いだろうな。中SAMならぬ長SAMだ。

 

 

そうなると陸と空が射程を除いてほぼ同じようなミサイルシステムを運用することになってしまいます。

 

 

 

うん米国は高射砲兵の伝統から陸軍が長距離SAMを運用している。元々日本では長距離SAMの運用は米国と同じく陸自の所管だったのだ。それが陸と空の大論争の上で空自が長距離SAMであるナイキを担当し、陸自が中距離SAMのHAWKを担当する大岡裁きが下ったのだが、これは世界的に見ると非常に変則的な運用方法だ。ある意味無駄とさえ言える。

 

となるとまた論争が再燃する可能性がありますね。

 

 

 

可能性は高いだろうね。どちらにしても長・中距離SAMの運用は陸か空のどちらかに一本化せざるを得なくなると思うな。

 

 

 

キンコン、カンコーン、キンコン、カンコーン。

 

 

 

もう終わりか、これで国産ミサイルの講義は本当に終了だ。

 

 

 

大変面白かったです。

 

 

 

本当は開発中の新アスロックや新艦載短SAMなどについてもやりたかったのだが、それはまたの機会ということにしよう。

 

 

 

 

こりゃ、こりゃ、ひまわりの種を食うなっちゅーの。何度も言っておろーに。。。。