国産ミサイルよもやま話番外編(試験に出るミサイルの防ぎ方編)

 

ハムスター学校の生徒、ハム・エッグ、ハム・サンド、ハム・カツに先生のハム・ヨンキュウが語りかけています。なお、構成は某ページの完全なパクリです。(笑

 


 

えー、 しばらく間が空きましたが、再び授業を開始します。

 

 

 

なんでまた。

 

 

 

このコーナー、意外と好評でな。ファンが多いそうじゃ。

 

 

 

そんなぁ。

 

 

 

今まではミサイルについて解説してきたが今回は視点を変えて、撃たれた側の話をしてみよう。題して試験に出るミサイルの防ぎ方だ。

 

 

 

まず思い浮かべるのはチャフとフレアですね。

 

 

航空機、艦船共に搭載されているね。ただフレアは兎も角、チャフは現在のパルスドップラーレーダーのような速度追尾を行うものには余り有効性は高くない。フレアについてはイラク派遣のC-130でも話題になっていたが、近年は高温化、広帯域化、大面積化という方向に進みつつある。

 

C-130Hから射出されるフレア(写真はairforce-technologyからのリンクです。)

 

チャフに加えて最近はECM機器を装備することも多くなった。というか現代の戦闘機では必須の装備だ。搭載方法としてはF-15JやF-2のような機内搭載式、F-4改のようなポッド搭載式(AN/ALQ-131)がある。

 

 

機内搭載式とポッド搭載式のメリットとデメリットは何ですか?

 

 

 

機内搭載式では機外に余分なものを吊り下げる必要がないので、機体抵抗も増えないし、機外搭載物に対する影響も無い。ただハード的なモデファイが難しくなるきらいがある。例えば送信出力を上げるとかね。ポッド搭載式の場合、機体抵抗も増えるし、搭載物も減ってしまうが、任務にあったものを自由に選択できるメリットがある。空自でも使っているAN/ALQ-131の場合、モジュールを追加することで、送信出力を上げたり、周波数帯の追加が自由にできるようになっている。

 

ECMからはどのような電波妨害が行われるのですか?

 

 

 

強力な電波を発信して目潰しを掛けるバレージ(弾幕)妨害、実機と同様なドップラーシフトを打ち返しての速度欺瞞(Doppler Gate Stealer)、反射波の位相を変化させる角度欺瞞(Angle Gate Stealer)、反射波を時間差をもって打ち返す距離欺瞞(Range Gate Stealer)等を行う。レーダーホーミングミサイルを欺瞞するには角度、速度欺瞞が有効と言われているな。

 

最近は ジャミング源を追跡するHOJ(Home On Jamming)モードを持ったミサイルもありますね。

 

 

 

なかなか厄介だね。最近はそれに備えて射出式や曳航式のECMを備えるケースも出てきている。技本でも富士通プライムでF-15J用の射出式ECM(J/ALQ-9?)が開発されている。F-15JのチャフフレアディスペンサであるAN/ALE-45に適応したもので、前方用と後方用がある。RWR(Radar Warning Receiver)からの情報を元に最適の妨害成分を設定して打ち出すものだ。 打ち出されると熱電池で駆動し、ばね仕掛けで折りたたんだ翼を展開して水平に飛翔し、パルスドップラー及びCW誘導のミサイルに対して速度欺瞞と角度欺瞞を行う。大きさは大人の人差し指 大程度の小さなものだ。

 

実用試験ではJ/AQM-1ターゲットドローンに搭載され、見事にAIM-7Mを外したと言う実績を持っている。ただF-15近代化に対応できず、余り調達されていないという話があるね。

 

 

曳航式はどうでしょう。

 

 

 

代表的なものとして米国レイセオン社のAN/ALE-50を挙げておこう。パッケージ化された使い捨ての曳航式ECMで、母機から曳航されてリピーター妨害を行う。曳航式のメリットとして母機と同じ速度で飛んでいるため、速度欺瞞の必要性が無いこと。射出式に比べて妨害持続時間が長いこと、妨害出力を大きくできること、またFOTD(Fiber Optic Towed Decoy)AN/ALE-55のように曳航中に送信波の変更もできるものもある。逆にデメリットとしてはシステムが大きく高価になること、曳航中は機動を制限すること等が挙げられる。

 

AN/ALE-50曳航ジャマー(写真はF.A.Sからのリンクです)

 

どちらの方が優れているのでしょう。

 

 

 

最近のトレンドとしては射出式より曳航式のようだね。近い将来には赤外線妨害機能も付加されるようだ。今後は特に爆撃機、輸送機や哨戒機のような大型機で低空を飛ぶ必要のあるものには必須の装備になるだろう。戦闘機や攻撃機にも搭載されるケースも増えてくるだろう。既に米軍ではかなり装備化が進んでいる。

 

日本ではどうですか?

 

 

 

研究はしているらしいし、海外からも売り込まれている。米軍の動向を見てというところだろう。またP-3CやP-X用として三菱電機を中心に赤外線妨害機能も備えた曳航式ジャマーの開発が検討されたことがあるようだ。

 

 

ヘリコプターには変わった赤外線妨害装置が装備されていますね。

 

 

 

代表的なのはAN/ALQ-144だね。赤外線ランプを高速回転し、周りのミラー型反射装置で赤外線を乱反射させてIRシーカーを撹乱させるものだ

 

 

さらに面白いものとして空中で投下するデコイがある。元々はイスラエルが開発したADM-141A Tactical Air-Launched Decoy (TALD)は空中で投下されるとリピーター妨害を行いながら飛翔する。相手は実機と区別がつかず、ミサイルを発射してしまう。ジェットエンジンを搭載した発展型も存在する。

 

自分に向かってくるミサイルはどのように探知するのでしょうか?

 

 

 

いい質問だね。光学及び電波のパッシブによるものと電波を使ったアクティブ、すなわちミサイル警戒レーダーがある。

 

 

 

レーダー式はチャフやフレアは放出するタイミングが重要と言うことで、必要性が宣伝されたが実際には余り普及していないな。F-15J用の後方警戒レーダーJ/APQ-1も余り搭載する機体も多くないし、運用側からの評判も余り良くないそうだ。

 

 

どうしてなんでしょう?

 

 

 

電波管理上問題があるかもしれないし、探知性能も満足したものが得られないのではないだろうか。というわけで現在はパッシブ式が主流だ。前述したRWRとパッシブ光学式ミサイル警報装置を備える例が増えてきている。SH-60KにはEADS社製のAN/AAR-60が搭載されている。AN/AAR-60は紫外線による光学パッシブ型のミサイル警報装置で、高い角度精度、完全パッシブ、早期探知、低誤報確率、CMD(Counter Measures Dispenser)との連動が可能と言った特徴を持っている。

 

なぜ紫外線を探知するのでしょう?

 

 

 

地対空ミサイルが発射時に大量の紫外線を放出するからだ。これはロケットモーター点火時に発生する現象だ。

 

 

 

パイロットはどのような警報を受けるのでしょう?

 

 

 

F-15JでのRWRであるJ/APR-4Aの運用方法を例として挙げてみよう。

 

 

 

ワクワク。

 

 

 

F-15J/DJの機体に取り付けられた4個のアンテナが電波を受信すると信号処理器へ入る。そこで周波数帯、到来方位、到来時刻、パルス幅、パルス振幅に分類しデジタル信号に変換してミッションコンピューターへ送る。コンピューターはこれらを分析し、ライブラリに記憶してある信号情報と照合し、照合が取れたものは脅威と判定し、方位及び距離を計算し、脅威表示の優先度判定を行ってJ/TEWSのディスプレイに表示すると共に、オーラルトーンで警報を発する。脅威が判定できなかった情報はアンノウンとして表示される。そして必要がある場合はJ/ALQ-8に妨害電波発信の指示を出す。

 

脅威優先度はどのような基準で決めるのでしょう?

 

 

 

それに関しては想像するしかないが、相手の機種(種類)、距離と方位、こちらに接近しているかどうか、それがどのような武装を搭載し、その武装の射程距離に入るのはあとどの位か若しくは入っているか等のパラメーターを勘案して決めるのだろうね。AAA(対空砲)もデータがあれば表示するが、高空を飛んでいる時は脅威度が高くないので判定から外すことも選択可能だ。その場合、ディスプレイの外縁部にAAという文字が表示される。

 

なお警報音は新しい目標の場合、4秒間の連続信号。目標の優先度が高くなった場合は長めの連続信号の断続。発射されたものは短めの連続信号の断続で警告する。またこのRWRはDATA RECモードを持っており、パイロットの操作によって信号をメモリーに記録して持ち帰る事も可能だ。

 

チャフやフレアの発射はどうやって行うのですか?

 

 

 

これはプログラムとエスケイプという2つのモードがあり、スロットルレバーに取り付けられたスイッチで作動する。プログラムモードではプログラムセレクタスイッチで設定した投下プログラムにより投下する。エスケイプモードでは全ての脅威に対して最も効果があるプログラムで投下する。

 

F-2はどうなっているのでしょうか?

 

 

 

その辺は想像するしかないが、F-15Jのシステムを拡大、発展させたものではないかな。統合電子戦装置と呼ばれている位だからな。広帯域瞬時受信分析能力を有し、脅威情報の収集及び脅威対象の分析と優先度の判定、搭乗員への表示とその回避方法の指示と自機防御手段の提示、及びその実行を統合し自動的に行うものと思われる。  

        

エスコートECMと呼ばれるものを開発中と聞きましたが。

 

 

 

これはF-15DJ型機への搭載を想定しているもので、支援戦闘機の援護に使われる。支援戦闘機への相手の捜索レーダーの捜索段階から強力な電波妨害を行い、また捜索域に入ってから支援戦闘機の自己防御ECM装置を運用できるまでの距離に近づくまでの間をカバーするものだ。また機動時は自己防御ECM装置の効力が薄れるため、編隊全体にジャミングの傘を被せることも目標とされている。主として艦船のレーダーの妨害を想定しているから高出力の機器をどのように機体に搭載できるかが開発の鍵だな。

 

他に開発アイテムはありますか?

 

 

 

技本では赤外線誘導ミサイルのシーカーに赤外線レーザー光線を照射してこれを無力化する光波ECMの研究を完了し、開発へ移行するようだ。輸送機のような大型航空機と艦船への搭載が想定されている。米国では既にATIRCM (Advanced Threat Infrared Countermeasures)としてAN/ALQ-212が開発されている。しかし、これはもうハードキルの領域だな。

 

 

AIM-120クラスのミサイルが向かってきたら逃げられないのでしょうか?

 

 

 

知る限り実戦において米国製空対空ミサイルを妨害して回避したという例は聞いたことがないね。ただ例えスラマー(必殺野郎)というあだ名を戴くAIM-120でも百発百中ではない。イラクでAIM-120から逃れた目標があったことは知られているね。

 

 

なぜ外れたのでしょう?

 

 

 

ミサイルはロケットモーターの燃焼中は航空機を遥かに凌ぐ加速(数十G)ができるのだが、燃焼が終わってしまうと残された運動エネルギーを消費するだけになってしまう。遠距離だったり高機動を強いられたりすると残された運動エネルギーを大きく消費するため、航空機でも機動により回避できる可能性が出てくる。そのためミサイルには相手がどんな機動をしても確実に命中する範囲というものが存在する。その範囲外では逃げれる可能性もあるのだ。

 

艦船の場合、対艦ミサイルはどうやって防ぐのでしょう?

 

 

 

おおよそ航空機と似たり寄ったりだな。チャフやフレアという手段も同様に使われている。ただ航空機と決定的に異なるのは艦船というものは航空機と違って目標の面積が格段に大きく、しかも低速だということだな。

 

 

アクティブレーダーホーミングの対艦ミサイルに対してはチャフの他にレーダーデコイも用いられる。艦船は航空機のように高速で移動しないから、ミサイル側からはドップラーでの目標識別が付け難い。そのためRCS(レーダー反射面積)が大きなものを展開させられればそちらに向かう可能性がある。また航空機と同様に艦に搭載されるECM機材もあり、内蔵式とHOJから逃れるための射出式ECMがある。日本でも既に射出式ECMが開発されて装備されているな。これはMK 36 Super Rapid Bloom Offboard Countermeasures (SRBOC)より発射され、空中でパラシュートを開いて浮遊するものだ。 

 

SRBOC(写真は米海軍hpからのリンクです。)

 

 

赤外線誘導や可視光画像誘導の対艦ミサイルに対しては?

 

 

 

フレアや赤外線を発するデコイを用いる。可視光については煙幕も有効な手段だな。赤外線シグネチャーを覆い隠すために放射線降下物を洗い流すスプリンクラーを用いる話もあるが、実戦ではそんなことしてはいられないだろう。

 

機関からの赤外線シグネチャーについては?

 

 

 

日本の護衛艦は概ね装備しているが、外気と混ぜて赤外線シグネチャーを低下させる装置が煙突部分に取り付けられている。昨今のガスタービン艦は排熱が高いためこの手の装備が必須だ。余談だがフランスの艦艇がディーゼル機関に拘るのは赤外線誘導ミサイルに対するシグネチャー対策という話がある。

 

面白いものとして技本が特許をとった代物だが、錨が付いたバルーンを海面上に浮揚させるデコイがある。バルーン内部には最大限のレーダー反射特性を持つ多面体が構成されている。実際に装備されているかどうかは分からないが。興味深い代物だね。

 

 

陸上ではどうでしょうか、例えば戦車とか?

 

 

 

戦車の場合は煙幕弾の発射がポピュラーだな。最近のものは可視光だけでなく赤外線領域にも効果があるとされる。ただ特に有線誘導方式の対戦車ミサイルは速度も遅く、発射が探知できれば何らかの対応が取れる場合も多い。またロシアが開発して装備しているものだが、ミサイルに対して強力な赤外線を照射し、有線誘導式対戦車ミサイルの尾部に付いている赤外線ビーコンを欺瞞するものもある。ただ赤外線ビーコンはパルスコード化されているため効果は無いという見方もあり、少なくても旧西側陣営では装備している例は無い。

 

AGM-114Lやブリムストーンなどのミリ波誘導の対戦車ミサイルもありますね。

 

 

 

そうだね。今後は戦車にもECMとかステルスが必要になってくるかもしれない。

 

 

 

結局、ミサイルを防ぐ最高の手段というのは何でしょうか?

 

 

 

まぁ狸と狐の化かし合いのような世界だから、有効な妨害手段が確立されればさらにその上を行くだろうし。ただはっきりしていることはミサイルが発射される前に相手を潰してしまうことが最高の防御方法だ。First look First shot First killだね。

 

 

今まではソフトキルに関してのみ解説して頂きましたけど。

 

 

 

勿論、ミサイルそのものを破壊するハードキルも重要な防御手段なのだが今回は割愛させて頂いた。

 

 

 

キンコン、カンコーン、キンコン、カンコーン。

 

 

 

もう終わりか、要望があればまだまだやるぞ。

 

 

 

もう結構です。でも大変面白かったです。

 

 

 

こりゃ、こりゃ、ひまわりの種を食うなっちゅーの。何度も言っておろーに。。。。