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おやしお級潜水艦

 

(写真は海上自衛隊HPからのリンクです。)

 


おやしお級潜水艦は平成5年度計画艦(05SS)をネームシップとする海上自衛隊の最新型潜水艦で、水上排水量(2,750d)の通常型潜水艦では世界で最も大きい部類に入る潜水艦である。実は05SSという言葉は来るべき次世代型潜水艦として計画時から関係者の間では知られていた存在であった。おやしおは米国のバーベル級をベースとしたうずしお級以来の涙滴型複殻構造から決別し、葉巻型の単殻式船体構造を採用した。この構造変更は後述する搭載ソナーのフランクアレイソナー(側面型ソナー)の搭載のためになされたとも言える。また単殻式には複殻式に比べて内部スペースを広く取れるという利点もあり、静粛化や搭載機器、乗組員のスペースを確保するにも有利である。しかし複殻式にも静粛性、抗湛性等で利点もあり、その辺が割り切れるのかどうか疑問もあるようである。

搭載するソナーシステムは沖電気が製造するZQQ-6で曳航型ソナー、側面アレイ、艦首ソナー、逆探用ソナー、戦術支援用アレイ、戦術用アレイ、雑音監視ソナーからなり、捜索から攻撃に至るまで優れた探知、類識別、測的、追尾能力を持つ。信号処理、制御及び表示系等の一元化が為された統合型ソナースゥートシステムであり、複数目標に対する優れた分離能力及び自動追尾、妨害音排除能力を持つとされる。艦首ソナーのソナードームはフローノイズの低減と音響性能の向上を図るためゴム製のソナードームが採用されており、これは水圧によって変形しないように深度に応じて加圧されている。

艦首ソナーは従来の王冠型から、配列利得の向上と音響開口部の増大を配慮してコンフォーマル方式に改められ、信号処理は将来の発展性と小型化を意図して多目的汎用アレイプロセッサを採用し、データバスは電磁干渉の影響排除と伝送量の向上のため光データバスを使用している。また操作用コンソールは多目的表示方式を採用し、信号表示の統合化と標準化を図っている。なお冷却はクローズドサイクル方式による水冷方式である。システムの信頼性は平均故障間隔(MTBF)が1,000時間以上、平均故障復旧時間(MTTR)は15分以内が求められている。また船体が葉巻型の単殻式船体構造となったのも側面アレイの装備により船体側面にそれを支えるだけの強度が必要となったからで、この艦はZQQ-6を搭載するために作られた艦と言って良い。

射撃指揮装置は新型のZYQ-3が搭載され、発射された6本の魚雷を同時に管制する能力を有し、ZQQ-6とデータバスにより統合化が為されている。武装は89式(改)魚雷とサブハープーン(UGM-84)対艦ミサイルで、搭載可能数は双方合わせて22本と言われている。89式(改)魚雷は米国のMk48に相当する斜盤エンジン駆動の有線誘導アクティブ・パッシブ方式の熱航走魚雷であるが、詳細は不明。Mk48ADCAPや英国のスピアフィッシュに匹敵するとの話もある。発射管は水圧式のHU-605で、排水タービンを装備して素早い次弾発射が可能であり、従来の船体中央から艦首に上下2段で装備されている。また機雷を発射する能力もあり、新型の自走式機雷も装備できると言われており、当然ながらデコイ発射装置も装備されている。

最近の傾向として、対艦攻撃の主兵装として対艦ミサイルが持てはやされたが、発射により自艦の位置を明らかにしてしまうことや相手に対応の隙を与えない複数目標への同時着弾が難しいことから、再び対艦攻撃の手段として魚雷の役割が見直されており、潜水艦の主兵装は今も昔も魚雷であるとの意見も聞かれる。

船体にはアクティブソナー対策と自艦騒音軽減のため吸音タイルが張られている。固定方法は他国のように接着剤ではなくボルト止めされており、タイルが剥がれる心配はないと思われるが、雑音、磁気対策上のデメリットは避けられないように思われ、それに対してどのような対策を採っているか興味が持たれる。また船体部分の上構部はタイルは貼られていない。これはこの部分が傾斜部であるため音響ステルス性があるからということらしい。船体の構造材には一部にNS110が用いられ、最大可潜深度は550mと言った話があるが、これは可潜深度ではなく圧壊深度だという見方もあり、安全係数を1.5とすると可潜深度は350から400m程度となる。こちらの方が妥当な数字のように思える。乗組員は約69名で他国の同クラスの潜水艦に比べて多いとの批判もあるが、ダメージコントロールの決め手は結局はマンパワーであり、ダメコンに関する各国の考え方によると思われる。(米国の潜水艦も他国の同クラスに比べて乗組員の数が多い。)

おやしお級は静粛性には最大限の配慮が為されており、乗っている人間は艦が増速しても気付かないとの話もある。これは前作のはるしお級で施された徹底的な静音対策が継承されているものと思われる。スクリューは7枚羽根のスキュードプロペラタイプで、推進効率の向上と静音化が図られている。また省力化にも配慮され、各部の操作は遠隔化操作化や自動化が為されており、操舵はワンマンコントロールとなっている。

おやしお級は戦後の我国潜水艦建造技術の集大成と言え、潜水艦乗りの理想を体現したものと言える。なお調達価格は470億円程度、毎年1隻ずつ交互に神戸の川崎重工と三菱重工で建造されている。

16年度計画艦(16SS)より、AIP(無吸気動力)としてスウェーデンのコックムス社製スターリングエンジンを川崎重工にてライセンス生産して搭載される。さらにソナーシステムを新型のZQQ-7に改め、非貫通式潜望鏡1型として英国Thales UK 社製の非貫通式潜望鏡Optronic Masts CMO10を三菱電機によりライセンス国産されたものを装備する(参照)。そして船舵をX字型配置として排水量を増大した後期タイプが発注されている。また、搭載兵器が従来のハープーンからハープーン級となっているが、これはJDAMのGPS誘導装置を装備して、限定的な地上攻撃も可能なハープーンblockUを指すものと思われる。

(参照)Defense Industry Dailyの記事

Japan Orders Thales Optronic Submarine Masts(2005.7.1)