短SAM改(81式短距離地対空誘導弾(改))

(写真は陸上自衛隊ホームページからのリンクです。)

 


短SAMはヨーロッパのローランド地対空ミサイルと争って、1981年度に制式化された短距離赤外線誘導型地対空ミサイルで、制式当時は空中ロックオン方式を採用して、射程の延伸と多目標同時対処を図ると共にパッシブ式のフェイズトアレイ・レーダーを採用するなど、先進的な内容を持っていた。

短SAM改は1986年から研究試作が始まり、以下の点について改良することを目的とした。

短SAM改のミサイルは光波弾と電波弾の2つのタイプがあり、電波妨害(ECM)下においては光波弾、電子光学妨害(EOCM)下においては電波弾を使用することになっているが、同時発射により:撃墜率を高める運用がなされるのであろう。

発射方式は射撃統制装置が予想命中点を指示し、相手が旋回等を行った場合は間欠指令(UPDC:Up-To Data Command)にって補正し、空中でロックオンする空中ロックオン方式(Lock-On After Launch)と地上でロックオンする地上ロックオン方式(Lock-On Before Launch)による。

誘導弾の全長は約3m弱、質量は105kg、ロケット・モーター燃焼時間は約5.5秒である。

光波弾の終末誘導は赤外線/可視光画像誘導方式により行われ、近接信管はレーザー近接信管である。

電波弾の終末誘導はフェイズドアレイ・パルスドップラー・シーカーによるアクティブ・レーダー誘導方式で、近接信管はパルスドップラーによるアクティブ・レーダー信管である。

なお弾頭は指向性弾頭と思われ着発信管も備える。誘導弾は安全対策として設定時間を超えて飛翔した場合、又は射撃統制装置の指令により自爆させることができる。なお近接信管はシーカーが目標を捉えてから電波やレーザーが発信される。

また予想命中点が発射角制限以下だった場合、一旦その発射角制限以上で発射され,あらかじめ設定された円弧状の経路に沿うように飛しょうを行い,目標にロックオンした後,ホーミング飛しょうに移行するプログラム誘導を実施することにより、超低高度の目標にも対応できる。

固体ロケットモーターは末端水酸基ポリブタジエン(HTPB)の採用による高性能化とスモークレス化が図られている。

光波FCSはレーザー・レンジ・ファインダーとFLIR(赤外線前方監視装置:Foward Looking Infra-Red)と可視光トラッカーとを組み合わせたもので、目標を捜索,捕捉及び追跡することができ、高度の電子戦下においても運用が可能になっている。

ランチャーはレール式のランチャーだが、装填はミサイルが入った軽金属製のミサイル・コンテナを人力でエレペーターにセットすると自動的に装填される。しかし光波弾と電波弾ではミサイルの全長が違い(電波弾の方が14センチ長い)、電波弾では専用のミサイルコンテナが必要となる。

主契約会社は東芝で、川崎重工や富士重工がサブコンストラクターになっている。

大幅な能力向上が図られた短SAM改だが、航空自衛隊は短SAM改の対巡航ミサイル能力等に不満を持っているとの話が有り、航空自衛隊へは現在のところ導入の話を聞かない。また技術研究本部では同じく光波弾と電波弾とで構成される将来短SAMを開発中で、これはキャニスター発射方式になると言われている。