E-listBBSSearchRankingTechnopolis-MarsGo to Top

 

91式携行地対空誘導弾(SAM-2,携行SAM)

 

(写真は93式近距離地対空誘導弾、近SAM


91式携行地対空誘導弾(SAM-2)は1991年度に制式化された歩兵携行型の地対空ミサイルシステムで従来のFIM-92stingerを更新するものである。SAM-2は技術研究本部によって研究が開始され、東芝と川崎重工(一部NEC)との競争試作により東芝案が採用されている。

91式携行地対空誘導弾(携SAM,SAM-2)

システムの構成はミサイル本体(発射筒含む)と発射器、外部電池等からなり、システムを輸送するコンテナは空投アダプタに収納して航空機から落下傘を用いて投下することができるようになっている。 大きさは全長1,470mm、射手が肩に担ぎ上げる重量は約17kg程度である。このミサイルの最大の特徴はその誘導方式で、可視光CCD(電荷結合素子)が捉えた目標の可視光イメージを記憶して追尾するもので、これを可視光イメージホーミング方式と呼んでいる。従来の赤外線誘導方式と違ってフレア等を使ったIRCM(赤外線妨害)では妨害できず、また赤外線誘導方式では主としてエンジンの排気熱を捉えるために前方迎撃性に欠けるのに対して、可視光イメージホーミング方式ではそのような制約が無い等の利点がある。ただ可視光を用いるのみでは夜間や悪天候時の交戦性に欠けるため、赤外線誘導を併用したハイブリッド型の誘導方式となっている。可視光イメージホーミング方式で発射する場合はミサイルの発射器本体にハンディVTRカメラのビューファインダーに似た可動式の画像表示機が取り付けられるため、形態の識別は比較的容易である。本ミサイルの開発ではこの誘導方式が従来に無い方式だったために、開発にある程度の期間とリスクが見込まれたので米国よりFIM-92stingerがFMS(有償軍事援助)で導入され、現在でも一部が併用されている。

携SAMの画像表示装置

ミサイル及び発射器本体はFIM-92に類似している。ミサイルの発射は発射制御器の活性化スイッチによって外部電池の熱電池が活性化し、 ミサイルへの電力供給やシーカーへ冷却ガスなどが供給され、ジャイロが可動して発射可能状態になる。射手が発射機を目標に向けてミサイルがロックオンすると電子音(オーラルトーン)が鳴り、射手にロックオンしたことを伝える。射手はミサイルがロックオンしたことを確認したら 発射スイッチによりミサイルを発射する。ミサイルは射出用ロケットモータによって打ち出され、打ち出されると分離して操舵翼が展開し、飛しょう用ロケットモータが射手から離れたところで点火される。このような発射方法を用いるのは射手をロケットモーターのブラストから守るためである。最大飛しょう速度はマッハ1.9で最大射程距離は約5,000m程度と言われている。なお信管は近接信管は装備されておらず着発信管のみだが、起爆点選択による指向性を持つ爆風破片効果弾頭であるため、着弾の方位象限を特定できる信管が装備されているものと推定される。また信管は設定秒時に起爆する自爆機能を有している。

SAM-2は現在、平成17年度完了を目指して技術研究本部にて改良を加えた改型が開発されている。内容はライフサイクルコストの低減、赤外線画像誘導方式(IIR)と夜間照準具の採用による夜間交戦性の向上、信号処理能力の向上による低高度目標対処能力の改善、ロケットモーターのスモークレス化による秘匿性の向上が見込まれている。特にFMS(有償軍事援助)購入したFIM-92がここ数年のうちに大量に耐用年数に達するため、調達価格の低減も重要な課題とされている。

SAM-2の転用型として、箱型の2連装ランチャーに搭載してOH-1観測ヘリコプターの自衛用空対空ミサイルとしても用いられており、また派生型として4連装の箱型ランチャー2器をレーザーレンジファインダー、FLIR(前方赤外線監視装置)、可視光トラッカーと共に高機動車へ搭載した.93式近距離地対空誘導弾(近SAM,SAM-3)も制式化されており、L90高射機関砲のリプレース用として本州以南の部隊へ配備されている。