『スピリチュアルワールド見聞記』で未収録の話を
 収めた続編です。080701更新



   
    徒然の随筆です。更新停滞中。旧デザインページに飛びます。


   
    植木不等式の履歴です。





                「最近の植木不等式」
             

         町を歩く。荷風のように歩く。しかし
         荷風の散歩力がないので、妙な物に
         ばかり足を取られる。写真はさるお寺
         の境内にあった代物。堅固な石組台
         と、その上に乗るロフト感覚あふれた
         打ち放しのコンクリ塊、そして鉄柵。
         かつて満ソ国境に威容を誇った東亜
         のマジノ線、虎頭要塞の残骸か!?
         見た目はぞうさんのようですが。
          滑り台、である。わらしたちが、ぞろ
         ぞろと群れ遊んでいる。
          石組の部分は元々、寺の鐘突堂の
         土台だったらしい。鐘楼が撤去された
         理由は知らぬが、残った土台をこのよ
         うに、地域の遊び場として再活用した
         のである。
          もしもこの滑り台を、レヴィ=ストロ
         ース氏が見たならば、のっぺりした
         工業国化のモダニズムの中に息づく
         ブリコラージュとして、『野生の思考』
         に注記を書き加えたかもしれない。
 



                 
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2010年2月9日
 療養中のおばさん@アラエイ(傘寿のあたりの意)に書類届ける。「東京都後期高齢者医療広域連合」からの郵便物。
 後期高齢者医療制度は制度そのものだけでなく名称にも批判が集まり、取りあえず「長寿医療制度」と呼び換えることが福田内閣時代に決まったのかと思っていた。実際は、そういう「通称」を使おうというススメであり、かつ実務の場では正式名称が今も優先みたい。「長寿」の呼びかけ、短命なりき。

2010年2月8日
 岩波『科学』のウェブサイト特設ページ用に投稿した原稿が載っかってるのに気付く。1月26日付けだったようだ。事業仕分けによる科学・技術予算削減を受けた議論がテーマだが、私はいつもの調子で「一杯の科研費そば」なんて駄洒落文章。真面目な投稿の中で、異彩というか異臭というか。よく載せてくれたものだ、さすが岩波、度量が違うぜ。

2010年2月7日
 近所のドラッグストアで、中性洗剤の詰め替えパックが大特売。香料入りとかいう謳い文句につられて買う。早速るんるんと洗い物にいそしむ、が……失敗だった。香料が、臭い消しを主目的とするトイレ用香水と同系統の匂いなのである。お皿やフライパンの油汚れを落とすたびに、トイレ掃除をしている錯覚にとらわれる。大安売りだったのは、こういう背景があったのだなあ、ひとつ賢くなったぜ。

2010年2月6日
 横綱朝青龍が、不祥事の責任を取る形で引退表明、しかし同氏の声望高い母国のモンゴルでは一連の流れに反発が出ている。報道によると、モンゴルのウェブ掲示板では「日本人力士より優れた記録を残させないためだ」「国交断絶」などという意見が飛び交っているらしい。同国外務省が5日、「国民間の関係に影響しないよう望む」とする声明を出すまでの騒ぎになっている。
 さる友人曰く「いよいよ第三次元寇か!」
 だとすると、この事態を収められるのは「神風親方」をおいて他におるまい。だが相撲界きっての名解説者つまりコミュニケーターだった氏は、残念ながら平成の御代になってまもなく亡くなっている。

2010年2月5日
 チャールズ・ダーウィンはクロマニヨン人の子孫というニュース。シドニー在住の子孫クリス・ダーウィン氏のY染色体のハプログループが R1b(西ヨーロッパに多いタイプ。今回の話はたぶんさらにそのサブタイプに基づく)でしたという話。ナショナル・ジオグラフィック・ソサエティがIBMなどの協力を得て進めている、人類の伝播経路を探る Genographic Project の一環(*)だが、それによるとダーウィンの種(タネ)のオリジンは4万5千年ほど前にアフリカを出発して、4万年前あたりにはイラン界隈をうろうろしていたが、その後西に向かって欧州に住まいを定め、ネアンデルタール人との生存競争に勝ったらしい。
*"DNA tests reveal origins of Charles Darwin", NatGeo News Watch, Posted on February 4, 2010

2010年2月4日
 『ムダヅモ無き改革』に出てくるワグナーを眺めつつ、「バイロイト・メタル・シティ」という駄洒落を考える。理解者が少ない。同市はインダストリアルな過去がない。ロケンロールの聖地でもない。でもバイロイト市民でDMCを知る人もきっと少ない。クラウザーという名もドイツっぽいから、現地でライブ敢行はどうか。

2010年2月3日
 快晴。早起きして、さわやかな朝日を浴びながら郵便受けに新聞を取りに行く。ガレージの前の敷地にさわやかな朝日を浴びてカオスったゲロが広がっている。ケミカル・アリの処刑を悼むテロか。洗車用のホースで洗い流す。人体の物理力と化学力で標本のように白く繊維化したニラの葉(たぶん)が、白線流しのように、さわやかな朝日を浴びて流れていく。そのかたわらを、未消化のブナシメジの傘が、さわやかな朝日を浴びながらコロコロと転がっていく。
 排水溝に流し終えて、歌を口ずさむ。♪遥かなノゼー、遠い空。口ずさむうちに自分もゲロりそうになって、とっとと家に引っ込む。ところでサルトルの命日を「嘔吐忌」とするのはどうかと学生の頃から言っているのだが、未だ賛同者がいない。

2010年2月2日
 昨夜雪が降り積もり、寒いので灯油ストーブ焚く。年を取ると寒がりになっていけない。夏場は夏場で暑がりになっていけないとか言う。それが老人力。しかし「年を取ると宇宙放射線に弱くなっていけない」とか、「酸素分圧の変動に弱くなっていけない」とか、「マイクロRNAのゲノムレギュレーション機能が弱くなっていけない」とかグチる年寄りが乏しいのは国民的老人力の今後の課題である。
 「言いたくはないけどね、今日のおみおつけ、セレンが少なかったわよ」
 「何てことおっしゃるのかしら、マグネシウムをこんだけ入れたのに」(*)
 そんな家庭内争議だったら、ちょっと楽しかったり余計面倒だったり。
*Inna Slutsky, et.al., "Enhancement of Learning and Memory by Elevating Brain Magnesium", Neuron, Volume 65, Issue 2, 165-177, 28 January 2010

2010年2月1日
 マルク・ソーテ『ソクラテスのカフェ』(堀内ゆかり訳、紀伊國屋書店、1996)にあった話だが、「エウアンゲリオン」とは元々、メッセンジャーへの報酬を指すのだそうだ。ほんまかいな。新世紀小遣い戦士。エヴァンゲリッシュはお駄賃派? それ自体は無料でメッセージが読めることになっているウェブ世界は、福音から歩み去る人々の世界なのかもしれない。

 

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