石川誠壱
エキサイティング・バーゲン
焼跡闇市派











今週の課題図書(1998.04.24)

郷ひろみ・著『ダディ』
(1998年5月刊、幻冬舎/税別¥1555)



昔から、郷ひろみの本というのは面白かったのである。

唯一、ジャニーズ時代に出していた『20歳の微熱』(レオ企画)は
いわゆる平凡なアイドル本で、ポエム集ともいえるが、
アメリカ修行やアフロ時代、ヒゲ時代を経て出した、
オレが何度も引き合いに出す『たったひとり』(小学館)が面白い。
何度も引き合いに出しているので、ここでは詳しく触れないが、
今回の離婚騒動で「郷ひろみの妹」という人物がいよいよメディアに登場し、
オレは思わず「キャーッ、ヒデキー! ゴロー!」と声をかけてしまった。

面白いというのは、ギャグを狙ってやっている、という意味で面白いのである。
郷ひろみ本人のユーモア感覚については、かつてのTV視聴者なら先刻ご承知だろう。
郷ひろみは、ギャグがわかる人である。
そのセンスは「とりあえずダジャレ」の五郎よりは高度かも知れない。
(その高さは、本人の「俺ってギャグマンだよな」という自意識よりも
むしろ意図しない「天然」の部分が多く支えているのだが。 ある程度、意図している、という構造が重要だ。
おっと。「天然」。イヤな言葉だ。郷ひろみを表現するなら「無意識過剰」と呼ぶべきだった)

その無駄なギャグの炸裂は、もちろん近著の『紐育日記』(朝日新聞社)や『不惑』(工作舎)にも見られている。
ただ、それが「無意識過剰」によって支えられている笑いなので、
ギャグだと気づかずに通り過ぎられる場合も多い。
そこが郷ひろみの郷ひろみたる所以か。

誰にでもわかる、「笑わせようとしている」ことが明白な郷ひろみの本には、
〈ムー一族〉時代に出た雑誌形式の単行本『BOMB 特集・郷ひろみ』(ペップ出版)がある。
アイドル歌手、素敵な王子様ではなく、お笑いタレント(と言って語弊があるならバラエティタレント)
としての郷ひろみの可能性を追及した作品で、
『気分は歌謡曲』に収録されている近田春夫の郷ひろみ全シングルレビューはコレが初出だ。 (註*1)
(ペップ出版的には、同じ仕様のバラエティムックが原田真二『オデッセィ』
サザンオールスターズ『勝手にシンドブック』と続けて出る。
と、なれば、そのシリーズの仕掛人が誰かはおわかりだろう。クルーザー、ゲットだぜ)

べつに大里洋吉だけに限ったことではないだろうが、
郷ひろみの本が面白いのは、本人も好きなんだろうが
スタッフに、そういうことに執念を燃やす人がいるのだろう、と思っていた。
各出版社の編集に、というんじゃなくて、郷ひろみ側にね。

そこで出てくるのが幻冬舎である。

見城徹が「二枚目にギャグを言わす」作業に執念を燃やしていることについては
往年の月刊カドカワを参照されたい。
単行本で検証するなら角川時代の高木美保、幻冬舎からの黒木瞳エッセイ集がいいサンプルになる。
女優だからギャグは必要ないのに、無駄なダジャレが満載されている。

そんな郷ひろみ・見城徹が手を結んだのだから、
『ダディ』がギャグ満載になるのは当然だろう。

まさか「超人ハルクが」だの「頭の中にお嫁サンバが」だのを
あれをギャグで言っているのだ、と気づいていない読者はいないだろうが、
それでもまだ「二谷友里恵って怖ぇえな〜。本当にそんな武闘派なのか!?」と
信じている読者もワイドショー視聴者方面にいるかも知れない。
そんなユルい客にも「これはねー、全部が全部ウソじゃないけど、
いわゆる【ネタ話】だ、と思って読んだほうがいいですよ」とわからせるために

くだらなさのためのくだらないギャグ「勝新太郎さんの気持ちがわかった」や
「若人あきらです、などとは言わなかった」を入れているんだろう。
いくら何でもこれなら気がつくだろう、というね。

『ダディ』は、
日本で2番目にたくさん売れた「スラップステイックお笑いパニック小説」となるだろう。
(1番は『日本沈没』。)

先週の課題図書

そして、郷ひろみといえば!
お待たせしました。次週は『考えるヒット』の巻です。



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(註*1)これは間違い。



『気分は歌謡曲』には、その郷ひろみ全シングル評は収録されていない。
入っているのは同じペップ出版からの1979年3月刊『雨あがり・ミーとケイ』初出、
ピンクレディーの全シングル(『ペッペー警部』〜『ミラクル伝説・ジパング』まで)レビュー。

    

   (そして、1978年12月刊『BOMB 特集・郷ひろみ』に収録されているのが
    近田の"郷ひろみ全シングル評"である…というのも、これも間違い。
    実際には、郷ひろみの全楽曲の中から近田が独自にセレクトしたベスト20曲のレビュー、
    その名も「近田春夫のヒロミ20選」が収録されている。
    また、郷ひろみ論「想像を絶する精巧なつくりものだ!」と題された、近田の小文も掲載。
    他にも〈ムー一族〉撮影現場レポートや、スチール写真も豊富に載っていて、
    【ヘホ】としての近田も誌面に登場しているわけであり、さらに豪華版だ。)
      ↑1978年11月・レオ企画刊の『写真集 ムー一族』は、
       近田がレギュラー入りする前の、エジプトロケの写真が中心だからね。




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