大洋底

Ocean Floor


<img src="floor_s.jpg" width=400 height=300><br> パノラマをご覧になるにはプラグインが必要です。<br> トップページに戻り、ダウンロードして下さい。
[
Full Screen | Source Image]
Mouse drag or cursor keys:View Direction/SHIFT,CTRL:ZOOM

Story
 人類が滅んでしまうかもしれないというときになって、こんな絶景を見ることができるとは何と皮肉なことだろう。極軌道を巡る宇宙船から観測を続けながら、主任調査員は思った。
 船は北回帰線を通過し、伊豆・小笠原海溝に沿って北上しながら日本列島の上空にさしかかろうとしている。東から南にかけては無数の海山が午後の日差しを浴びて剥き出しの大洋底に影を落とし、西には遠くチベット高原が地平を不規則に刻んでいる。日本海には、西方から張り出した大和堆を取り巻くように、最後まで海水が残っていたために少し色の違う平原が広がっていた。望遠鏡の倍率を上げれば、日割れが刻まれた深海底や、軟泥に埋もれた夥しい沈船が見えるかもしれない。

 宇宙の彼方から行われる爆撃に人間は成すすべも無く、大気は放射能で汚染され、海は干上がってしまったが、おかげで大洋底の様子をじかに観察できるようになった。彼ら地質学者には願ってもないチャンスだった。音響測深ではわからなかった細かな地形の特徴(爆撃で乱されたものも少なくなかったが)が明らかになったほか、海水の巨大な荷重を失った地殻が新たな平衡に移行するために起こる地震活動の観測から、プレートの物性について新たな知見が集まり始めていた。

 だが汚染は着実に浸透しつつあり、爆撃を生き残った人々が暮らす地下都市も、あと1年足らずの間に居住不能になってしまうと見積もられていた。調査員たちが集めた貴重な成果も、結局は無駄になってしまうのかも知れなかった。観測窓を流れすぎていく南西諸島を眺めながら、彼はふと大昔の沈船を改造して作られた宇宙船が飛び立っていった日のことを思い出していた。人間がこの星で生き残れるかどうかは、異星の驚異的なテクノロジーを用いて建造されたその宇宙船の生還にかかっている。大地に緑が芽吹き、この赤茶けた低地が再び海水で満たされる日はやってくるのだろうか?

 いずれにせよ、こうした観測ができるのもあと1年足らずなのだ。彼はまた仕事に戻った。

Background
 地形描画ソフト「VistaPro2」を用いて作ったパノラマです。地形はVistaPro2付属のデータCD-ROMに収録されている「地球」のデジタル高度地図(DEM)データを使っています。このデータは海底の地形も含まれていたのですが、ただ描くのでは面白くないので、こんなお話しをつけてみました(「宇宙戦艦ヤマト」ですね・・・)。実際のところ、こんな状態になったら二度ともとには戻せないでしょうが、海の底がじかに見えるというのは結構魅力的かもしれません。(^_^;)

Production Note
 VistaPro2は地形描画専門のソフトなのでBryceのように物体を自由に配置することはできませんが、レンダリングは非常に速いのが特長です。今回用いた「広角(16mm)」560×560ピクセルの画像なら、ものの十数秒で描き終わってしまいます。描画が早いので、かなり長いアニメーションにも気軽に取り組めるのがいいところですね。

2000/11/25 公開
2001/06/06 配色等を手直しして再公開

DATA
[East Asia(without sea water]
Not Sacale


Back