最後のハッピー・フェイス

The Last Happy Face


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Story
 大勢の観光客を乗せた宇宙船は南極冠を後にし、アルギュレ大盆地の東端にさしかかった。200キロ下の地表を、直径230キロほどのガレ・クレーターが通り過ぎてゆく。午後の低い日差しに照らされたガレ・クレーターは、外輪山と中央丘が織り成す影の具合がちょうどにっこり笑った顔のように見える。まるでジョーク好きな巨人が大地に描きつけた落書きのようだ。
 この「顔」が火星の緑化事業の進捗にともなって海の底に沈むのは、まだ十数年先のことだ。だがたとえ海没しなくとも、急激な降雨や地盤の変動によって形が崩れてしまうだろうし、温暖化に伴う大気の擾乱によって、最初の降雨よりずっと以前に、このような低空を飛ぶ観光船は運航できなくなってしまうだろう。何年か後、観光船の運航が再開されるころには、もうこの「顔」をみることは出来ないのだ。
 一個の世界を丸ごと作り変えてしまう、この野心的な事業の意味を、人々はまだ消化し切れていない。事業の本格的な開始が近づくにつれ、人々の間には漠然とした不安が広がりつつあった。だが、赤茶けた大地から微笑み返すガレ・クレーターは、そんな人々に向かって「心配ないよ」と励ましの声を送っているように見えた。

Background
 火星上空約200km、火星の北極と南極を結ぶ極軌道上から見た「Happy Face Crator(「にこにこクレーター」とでも言ったところでしょうか)ことGalle Crator周辺の様子です。初期状態で右手に見える火星の地表中央付近に、問題のクレーターが見えます。
 火星には、かの有名なシドニア地域の「顔」の他に、もうひとつ「顔」と呼ばれる地形があります。それが南半球のアルギュレ(Argyre)大盆地東縁にあるガレ・クレーターです。位置は南緯51.1°西経31.3°で、直径230キロもある巨大な顔です。1973年にバイキング1号オービター(周回船)ミッションの概観観測で発見され、名前はドイツの天文学者ヨハン・G・ガレ(Johann G Galle : 1812-1910)にちなんでいます。「顔」のように見えることは、写真をもとにした地図作成や地形分類などの作業中に見つけたのでしょうが、よく気がついたものだと感心してしまいます。大きいので、雑誌Newtonの火星特集号などについている火星全図をお持ちの方は探してみるといいでしょう(ちゃんと「顔」に見えます)。

Production Note
 地表の様子は連邦地質調査所(USGS)USGS, Flagstaff Solar System Browser からダウンロードした画像を、スケールをあわせた球体に投影したものです。原画のままでは分解能が低いので、Bryce3Dのテクスチャで細かいスケールの凹凸を加えてあります。この他に、多層球体により雲、地平線付近の霞、高層大気を表現してます。
 宇宙船はBryce3Dのプリミティブで作成しました。

2001/08/28 公開

DATA
[Mars]
1B = 1km


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