マリネリス海

Sea of Marineris


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Story
 制御された温室効果による海面の上昇に伴い、赤道付近のマリネリス海はクリュセ海をはさんで北のアキダリア海とつながった。北半球の平原地帯には、過去数回にわたる火星温暖化の地質学的証拠が多数存在し、それらの調査は文字通り緑化事業に伴う水没との時間の競争だった。かのアレス渓谷の氾濫地形や火星の「顔」など、人々におしまれながら多くの地形が水没していったが、それらと引き換えにまったく新しい一個の世界が出現しつつあった。
 しかし近年、火星のあちこちで急激な温暖化の弊害も散見され始めている。異常な降水に伴う地滑りの多発や貴重な土壌の流失、旱魃による植生の大量枯死などだ。人間が居住できるようになるには、なお数十年の歳月を要すると見積もられており、火星の緑化事業は、かつてない重要な局面を迎えている。

Background
 火星の赤道付近上空約1,100kmから見たパノラマです。初期状態で正面右寄りに見えるのは人工的な温暖化によって一部が海没した火星(北は画面上方向)で、直径約4,500kmの範囲が見えています。その他、周囲には宇宙ステーションや宇宙船が見えてます。火星そのもののイラストレーションはすでに描き尽くされている感があり、なかなか手をつけられなかったのですが、高精度のbump mapをもとに海の分布を簡単に作れることがわかったため、挑戦してみることにしました。
 現在の火星は、赤道地帯でさえ日中でも氷点付近という低温で、二酸化炭素を主成分とする大気圧は地球の約1/140にすぎません。しかし、多数の洪水地形があることから、過去何度か温暖化して一時的に海が形成された可能性が指摘されています。アメリカの火星探査機マーズ・グローバルサーベイヤー(Mars Global Serveyer:MGS)が撮影した高分解能画像からは、地下の凍土層がごく最近溶けて流出したらしい地形や、湖が徐々に干上がったときに出来たと考えられる地形などが見つかっており、現在も多量の水が地下に眠っているらしいことを示唆しています。このことから、何らかの方法で火星を温暖化させて両極や地下の凍土を溶かすことが出来れば、加速度的な温室効果により海をつくり、人間の居住に適する環境に改造できるのではないかと考えられています。
 火星は標高が低い平原が北半球に集中しているため、一定高度以下を水没させると北半球のほとんどが海になります。このパノラマで見えている海はアキダリア平原(Acidalia Planitia)からクリュセ平原(Chryse)にかけてで、海岸線から乾燥した内陸に向かって植生が広がっています。クリュセ平原は、アメリカの火星探査機バイキング1号(Viking 1)やマーズ・パスファインダー(Mars Pathfinder:MPF)が着陸した場所です。
 マリネリス峡谷(Valles Marineris)は火星でもっとも目立つ地形のひとつで、赤道付近を東西2000kmにわたって横切り、深さは最大8,000mに達します。このパノラマではマリネリス峡谷の東側2/3程度が水没し、細長い海になっています。

Production Note
 海陸の分布および地表の凹凸は、JHT'sPlanetary Pixcel Emporiumで公開されている火星のBumpmap(凹凸を256段階のグレースケールで表現した画像)marsbump6k.jpg に基づいています。このページの作者は地球のイラストを描く仕事を契機に太陽系の各惑星の高品質な画像を収集・作成して公開しており、とくに連邦地質調査所(U.S. Geological Survey:USGS)の数値標高地図(DEM)を独自にレタッチして作成したBumpmapは、フォトリアリスティックな惑星モデルを描きたいときに大変重宝します。
 このパノラマの火星は、内側から火星本体、植生、水面、雲、低層大気(加算)、地平線近くの霞、高層大気(ファジー)の合計7層の球体からなっており、植生と水面は上記Bumpmapをもとに一定高度以上を透明化しています。火星本体の模様は、同じくJHT'sPlanetary Pixcel Emporiummarsmap2k.jpgを使用しています。植生、雲はBryceの手続き型テクスチャです。
 宇宙船は、Newton別冊「宇宙への挑戦」に掲載されている有人探査機のデザインを参考にしています。

mari_sea from high above
mari_sea from high above
地上約6,800kmから見た「改造中の」火星。画像上方向が北で、パノラマよりやや北西寄りの地点を中心とした直径約6,400kmの範囲が写っている。下段は雲を取り除いたもの。中央を横切る海がマリネリス峡谷(Valles Marineris)、右下の円形の海は元のアルギュレ平原(Argyre Planitia)。アスクレウス、パヴォニス、アルシアの「タルシス三山」はオリンポス山と並ぶ太陽系最大の巨大な楯状火山群で、マリネリス峡谷のさらに西側に位置している。
2001/07/28 公開

Map downloaded from JHT'sPlanetary Pixcel Emporium at http://apollo.spaceports.com/~jhasting/
DATA
[Mars]
1B = 10km


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