タイタン上空

Above the horizon of Titan


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Story
 タイタン・ポリマー・インダストリー社は、火星に本社を置く、有機化合物原料を扱う会社だ。タイタンの資源開発を目的として、地球の企業と火星の地方政府が共同出資して設立した会社で、数年後の生産拠点稼動を目指して土星系で活発な探査活動を繰り広げている。今回は、エアロゾル層上空からの探査により、施設の建設適地探しが行われた。数週間にわたる調査を終えた同社の探査船団は赤道上空でランデブーし、周回軌道を離脱するための噴射を開始した。

Background
 土星の衛星タイタンの赤道上空約200キロから見たパノラマです。地平線上には112万2000キロ彼方の土星が浮かんでいるのが見えます。
 タイタンは土星系最大の衛星で、赤道半径は2575キロもあります。惑星である冥王星(1137キロ)や水星(2440キロ)よりも大きく、木星の衛星ガニメデ(2631キロ)についで太陽系で2番目に大きな衛星です。大きさもさることながら、タイタンを独特な天体たらしめているのは何といっても濃密なオレンジ色の大気層です。窒素を主成分とする大気は、地表で摂氏マイナス180度という低温のせいもあって地球を上回る1.5気圧もあります。
 地上100〜200キロ付近には不透明なオレンジ色のエアロゾル層があり、地表を完全に覆い隠しています。このパノラマでカメラを置いたのは、まさにこのエアロゾル層の上端付近で、眼下には単調な雲の層が広がっています。カメラ位置よりさらに100キロ上空(地上300キロ)程度までは、可視光を散乱するかすみの層があり、青い輝きを放っています。アメリカの惑星探査機ボイジャーの観測では、大気表面の明るさが南北半球で顕著に異なっていることがわかっており、季節変化に伴う温度の差によってエアロゾルの生成の度合いが異なっているのではないかと考えられています。
 タイタンを描いたイラストというと、地表から大気をすかして土星が空に浮かんでいるものをよく見かけるのですが、これらは絵作りの都合で大気の透明度をかなり誇張しており、なんとなく不満を感じていました。ボイジャーが撮影した画像でもエアロゾルはタイタンの表面を切れ目なく覆い尽くしており、地表の様子を見ることはできません。ハッブル宇宙望遠鏡による赤外線観測など地道な調査によって、地表に模様があることはわかっていますが、まだ「月のウサギ」以下の解像度でしかなく、仮にも地図と呼べるものができるのは、2004年に土星系到達を予定しているカッシーニ探査機によるレーダー探査を待つしかないでしょう。

Production Note
 エアロゾル層はBryce3Dの無限平面と大気設定の「霧」、可視光でのかすみ層は大気設定の「かすみ」により描いています。このため、地平線の丸みは再現されていません。念のため実際に球体によるスケールモデルをつくって地平線の見え方を比較してみましたが、この近さだと仕上がりは大差が無いようです。ただし、固体地表はここからさらに200キロ下で、半径が2575キロしかないため、もしエアロゾルを透かして見えたとしたら、はっきり球体とわかります。
 土星は大きさを誇張せず、実際の比率にあわせて描いています。画像ではかなり小さく見えますが、これでも地球から見た月の11倍もの大きさです。
 宇宙船は当初Bryceプリミティブオブジェクトで作りましたが、今回DoGA-L1で作り直してみました。パーツを組み合わせるだけなので、作業が楽なのに驚かされました。いわゆるSFっぽい宇宙船をつくるのには非常に重宝しそうです。

2000/12/15 公開
2001/04/23 宇宙船をDoGA-L1で最モデリングして再公開

DATA
[Titan]
Not Scale
[Satrurn]
1B = 135.8km

関連リンク:カッシーニ計画ホームページ
アメリカやヨーロッパ各国の協力により打ち上げられた探査機で、土星の人工衛星となって土星本体およびリング、衛星群の長期にわたる探査を目的としています。20世紀の終わりにあたる2000年大晦日には木星から1億キロを通過し、木星を周回しながら観測を行っているガリレオ探査機と共同観測ミッションを行います。土星系には2004年に到着予定で、このパノラマでとりあげている衛星タイタンの地表に、子機「ホイヘンス」を投下して史上初のタイタン地表の観測も行います。
 カッシーニ計画に関して児童生徒向けに解説する「スライドセット」は、筆者のホームページでも邦訳・公開しています。


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