ブルー・ビーナス(アトラ地域上空)

Blue Venus : Above Atla Regio



*** It's still not PANORAMA! ***
Nomenclature (上の画像に登場する地域の地名)

Background
 テラフォーミングされた、いつかの金星です。カメラは、赤道よりもやや南側、南緯10度、東経200度くらいの地点を中央に捉える位置にあります。多くの惑星で経度は一方向に数えるので、地球のように東西に数えた場合、西経160度ということになります。ちなみに、地球でグリニッジに相当する経度0度は、北極圏にある金星最高峰マックスウェル山地と、南半球にあるアルファ地域(電波観測で明るく光るので地球上から最初に発見された)を通っています。
 画面を右上から左下に横切っている陸地は、アフロディテ大陸(Aphrodite Terra)と呼ばれる高地で、金星の赤道付近を東西にほぼ半周しています。アフロディテ大陸には、他の部分より標高が高い三つの地域(Regio)があり、画面中央に見えるのは、そのひとつで大陸の北西端を占めるアトラ地域です。アトラ地域には火山がいくつもあり、中でも雪をかぶったマアト山周辺は、マックスウェル山地に次いで標高が高い地域になってます。
 画面中央から左下にかけて、うねうねと続く曲線状の水路(峡谷:Chasma)と、それらに囲まれた円形の陸地(コロナ)が連なってます。コロナは金星に特有の地形です。金星の地図を眺めていて気づくのは、アトラ地域のガニス峡谷をはじめ、高地の中央に峡谷が多く見られることです。これは地球の大洋底に見られる中央海嶺に似ているように思えます。中央海嶺は周囲の海底より数千メートル高くなっており、その中軸で生み出された海洋プレートが両側に拡大していくため、「中軸谷」と呼ばれる陥没地形が発達します。金星には地球のようなプレートテクトニクスはありませんが、それに代わる何らかの広域的な地殻の水平運動が関係しているのかも知れません。金星の「大陸」は、地球の大陸とは全くの別物と言えそうです。
 ところで、金星の地名は、基本的に様々な神話に出てくる女神や歴史的に著名な女性の名前がつけられています。アトラ地域北端には、歌人与謝野晶子の名を冠したクレーターがあります。

Production Note
 金星の海陸分布は、NASAで公開されている標高マップをもとにVue4の合成質感機能をつかって作りました。NASAで公開されいている標高マップは標高をカラーコードで表現しているのに対し、Vueで用いるバンプ(凹凸)マップはグレースケールでなければなりません。このため、画像の色相チャンネルをとりだして、標高マップとして使用しています。
 前回「ブルービーナス」を作成したときには、取り出したグレースケールの不連続を直しただけで使用していましたが、あのあとグレースケールの変化がきちんと標高と比例していないことが判明し、今回はその修正を行いました。
 金星の地形データについては、「カシミール」のサイトでマゼラン探査機の観測データをカシミールで表示するための方法が紹介されてますが、マゼランのデータにはわずかながら空白域があるのが玉に瑕です。前述のNASAの標高画像は、手で修正しなければならない部分が多く、観測値そのものを読み出すのに比べて精度も落ちますが、空白域が他の観測成果などで補完されているのが魅力です。
 ためしに前回の「ブルービーナス」のモデルに新しい標高マップを適用したところ、陸地のディティールがかなり変わってしまったので、いずれ描き直したいと思います。

2003/02/10 公開


戻る