クラーク

Clarke


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Background
 キム・スタンリー・ロビンスンの「レッド・マーズ(RED MARS:創元SF文庫707 02,707 03)」に登場する火星の軌道エレベーターです。カメラは火星上空34,098km、エレベーター上端部のバラスト兼宇宙船発着基地「クラーク」付近にあります。「クラーク」はエレベーター建設材料の採鉱基地となった小惑星で、現在は一辺2kmの立方体状に整形され、表面を基地施設が埋め尽くしています。エレベーターのケーブルの太さは10mです。
 火星の軌道エレベーターは、地球の「宇宙塔」建設を描いたA.C.クラークの小説「楽園の泉」の中でも検討されています。軌道エレベーターは、重心が静止軌道上にあり、地表に届く長さを有する人工衛星です。火星の場合、静止軌道は火星上空17,049kmにありますが、第一衛星フォボスの公転軌道が地上6,000km弱にあるため、そのままでは衝突してしまいます。これに対し、クラークは「楽園の泉」の中で、エレベーターを周期的に南北に振動させてフォボスをよけるという解決策を提案しています。「レッド・マーズ」の軌道エレベーターでも同じ方法を採用しており、クラークに敬意を表してか、この振動を「クラーク振動」と名づけています。バラスト小惑星を「クラーク」と名づけたのも同じ理由からでしょう。
 ロビンスンの火星エレベーターがクラークの「宇宙塔」と決定的に異なるのは、宇宙側の基地が静止軌道上(つまりエレベーターの重心)ではなく、末端部にあることです。小説にはまったく記述が無いので暗黙の了解事項なのか作者が気付かなかったのかは不明ですが、小惑星「クラーク」は、本来の軌道速度よりもかなり速く火星を周回しているため、「クラーク」では火星と反対向きに遠心力が働き、火星に面した側が「上」になります。エレベーター・ゴンドラ内では、静止軌道高度を境に上下が逆転します。また、地球からやってきた宇宙船は火星上層大気との摩擦で減速して火星周回軌道に乗ったあと「クラーク」にドッキングするわけですが、「クラーク」が軌道運動していないため、「宇宙塔」の「アショーカ宇宙ステーション」にドッキングする場合より難しくなるでしょう。

★ところで、「レッド・マーズ」は100人の火星移住に始まる激動の時代を描いたハードな作品です。ただでさえずっしりと読み応えのある作品なのですが、私がこれを読んだのは例の同時多発テロ事件を挟んでのアメリカ往復旅行の機内だったため、とくに帰りの機内で読んだ後半部、火星社会の怒涛の崩壊劇は、現実社会における一時代の終焉の実感と重ね焼きになり、深く心に残るものとなりました。
outside of Clarke
「クラーク」全景。この画像では、画面下方向が火星側。

Production Note
 オブジェクトはすべてBryce3Dのプリミティブまたはプリセットオブジェクトです。「クラーク」はプリセットの「角が丸いキューブ」を2層重ね、内側に宇宙基地、外側に岩石のマテリアルを与え、岩石をαチャンネルでくりぬいています。
 宇宙船の形状は小説では触れられていませんが、
 1)エアロブレーキ用耐熱バルーンを船首に収納していること
 2)「クラーク」にドッキングしたときは遠心力に対して自重を支える必要があること
 3)多数の乗客を乗せ長期にわたり飛行することから、ある程度の大きさであること
 ・・・などの条件から、船首に傘型のシールド、尾部に着陸脚を備え、折りたたみ式の電力・熱交換パネルを装備した円筒形にしました。画面でクラークに「着陸」している宇宙船と、頭上を飛行している宇宙船は同型のものです。

2001/10/27 公開

DATA
["Clarke",Elevator,Spaceship]
1B = 1.0 m
[Mars]
1B = 1.0 km


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