ヴィナス戦記(3D全図)

Yoshikazu Yasuhiko's "Venus Wars" : 3D Map



*** It's still not PANORAMA! ***
Nomenclature (上の画像に登場する地域の地名)

Background
 「機動戦士ガンダム」等で知られる安彦良和さんのコミック「ヴィナス戦記(学研ノーラコミックス)」に登場する金星の「世界地図」です。
 作中では西暦2003年5月(ちょうど今頃です)、巨大な氷の惑星P-12が金星に衝突し、金星がテラフォーミングされてしまいます。この衝突で金星はアルファ地域を中心とする半球を常に太陽に向けたままになり、2012年、気候がちょうどよい昼夜境界線付近に地球からの入植が行われます(実際の金星は公転周期と自転周期がくみ合わさって地球との会合周期と同期しており、地球を追い越すときは常にアルファ地域を中心とする半球を地球に向けてます)。植民開始から4世代を経た金星暦72年(2083年)、北の自治州イシュタルと、赤道付近の自治州アフロディアの紛争が激化し、物語が始まります。
 一見して分かるとおり、「ヴィナス戦記」の金星世界は、これまで「ブルー・ビーナス」で描いてきた金星に比べ、海水準がかなり低く設定されています。また、アルファ地域を囲む一帯が堤防締切により干拓されており、アフロディテ大陸とアルファ地域、ラダ大陸、テミス地域が地続きとなり、ラビニア海(「ヴィナス」では「ラビナ海」)が内海化しています。
 「ヴィナス戦記」は1987年から1990年にかけて、つまり、NASAのマゼラン探査機(1989年打ち上げ)による精密測量が行われる以前に描かれた作品です。このためコミックに掲載の「地図」は、マゼランに比べ遙かに低分解能の、NASAのパイオニア・ビーナスによる地図を元に描かれていました。上に掲げた「地図」は、「ブルービーナス」シリーズ同様マゼランのデータに基づくものなので、海水準の高さを調節しても、コミック掲載の地図とは同じになりません。やむを得ず、キーポイントとなる地形・・・たとえば、国境地帯がちゃんと海で切れているとか・・・をあわせるにとどめました。
 また、現在の命名と異なる地名が多いのも、同様の理由によるものかも知れません。ヒミコ平原、イザナミ湖などは完全にオリジナルですし、現在のマアト山が「ヘカテー山」、シフ山が「ダル・セダム山」、ウルフルン地域が「タルタロス半島」などとなっています。一方、ベータ地域にある「レア山」「ティア山」、アフロディテ大陸の「アルテミス峡谷」「ダリ峡谷」などは現在の命名と同じです。前者は、マゼランの精密観測によって初めて明らかになった地形ということかも知れません。
 結果的に最新の金星地勢とは差異を生じてしまっていますが、実在かつ未踏の惑星の地図に、当時、非常にロマンを感じさせられたものです。

Production Note
 NASAのマゼラン探査機などが測定した金星の標高地図(カラーコード表示)をグレースケールになおし、これをもとにBryce5の地形で再現したものです。固定化された昼・夜半球を表現するため、地形の中央部に正方形スポットライトを配置してあります。また、ライトを地形に近づけることにより、極地方や昼夜境界線付近の太陽光線の低さもあわせて表現しています。
 主要部の海陸境界が作中の地図とだいたい同じになるように海水準を設定して描画したあと、アフロディテ大陸アトラ地域(作中のサソリの尾エリア)の「イザナギ湖」、アルファ地域周辺の低地を表現するためにそれぞれ水位を調節して描画し、3枚の画像をPhotoshopで合成しました。
 

2003/05/15 公開


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