司書室長の読書日誌

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「依存」 西澤保彦 幻冬社文庫(2003.10.30読了)
うわあん。実は怖くて読めなかったタカチ&タックシリーズ。読了後、半日ほど使いものにならず。
タックの過去はかなり衝撃的。どきどきするセリフが散りばめられた、痛くてせつない物語。
ウサコの一人称のおかげで、せつないけれど、救われているのかなあ。
大好きな大好きなタカチ&タック、ウサコ、ボアン先輩。もう脳天気な作品として
読むことができないのかしら・・・。そう思うと、火村助教授の過去も知るのが怖いのです。

「過ぎ行く風はみどり」 倉知淳 創元推理文庫(2003.10.28読了)
ながらく途中で挫折していた猫丸先輩もの。読み終わると、やられたーーーーー!と
声を大にして叫びたくなるトリックなのですが。なんか悔しいよなあ、違和感は
感じていたのにぃ。でも、日常ぽい占い師はお昼寝系のほうが好きかなあ。

「グロテスク」 桐野夏生
ザマアミロ。 悪意、美貌、自己中。ステータスのある学校の生徒だった彼女たちが
どのように坂を転げ落ちていったのか。一人称で語られる描写は、皆、少しずつ嘘が
混じり、真実は藪の中から見え隠れ。

「東電OL殺人事件」佐野眞一 新潮文庫
「東電OL症候群」佐野眞一 新潮社
「ダブルフェイス」 

「太陽の簒奪者」野尻抱介 ハヤカワJコレクション(2003.8.20読了)
久しぶりのハードSF。こういう作品を描ける日本人作家もいるんですねえ、と
嬉しくなりました。「私と月につきあって」のSFマインドは本物だったのね。
”逃げずに”ファーストコンタクトと向き合ったことは評価したいし、第一部は
すごく好きなのだけど、第二部のラストは正直言って拍子抜け。もっとハードな
展開を希望。雪風のジャムを意識していたのもいけないのですけれど。主人公は
もうちょっと可愛げのある性格なら、感情移入しやすいのにな、とか。ナノテク
は魔法のガジェットと聞いていましたが、なるほどこういう使い方をするのね。

「東京魔界案内」 光文社文庫(2003.8.17読了)
東京・江戸にまつわる古今東西の魔界の紹介本。江戸城=皇居が、いかに呪術的に
護られた位置にあるか、とか、お江戸の吉原のシステムとか、ページをめくるごとに
「へぇ〜」と机を叩いてしまいます。しかし、一番ぞくりとしたのは、お岩さんの
祟りのお話の例として、奥田瑛ニさんが「十六夜の月」の伊右衛門役稽古中に大怪我
をした話。その芝居観ましたよう!めっちゃ怖いシーンがあったんですよう!
でもって、足を引きづりながらそのシーンを演じてるから、凄みがあったんですよう!

**** なんかいろいろ読んでいたはずなのに、メモってません(--;; ****

「グラン・ヴァカンス 廃園の天使機徃 浩隆 ハヤカワJコレクション(2003.5.1読了)
夏の区界。AIだけしかいない仮想現実空間もこれだけリアルに書かれると、くらくらと。
硝視体と書いてグラス・アイと読ませる感覚。静謐で残酷で美しい。リアルに浮かぶ描写。
キャラクターたちの造詣と、世界観の構築のしかたにうっとり。
名前しか知らなかった飛さんの作品に出会えたことに感謝。

「北野勇作どうぶつ図鑑 その3 かえる」北野勇作 ハヤカワ文庫SF(2003.5.4読了)
その3はちょっぴりホラー風味。といっても、怖がらせ、ではなく、しんとするような怖さ、
というか。役者でもある北野さんならではの、舞台にまつわる話は、脳裏に残ります。奈落。
カメリ第二話が嬉しいのです。やっぱり、不思議な北野わーるど。でも、カメリかわいいの。

「傀儡后」牧野修 ハヤカワJコレクション(2003.5.5読了)
いぃぃぃっ!こうきましたか。七胴落としかと思いきや、ブ(ネタバレにつき自粛)ですか。
MOUSEに惚れた私としては期待していた作品だけに、ガジェット詰め込み過ぎで、ちと
散漫な印象。ひとつひとつが興味深いからもったいない。コミュや缶詰工場、ミカちゃん
なんてガジェットだけで一篇書けそう。いっそ連作短編にしたほうが、じわじわとラストに
もっていけそうな気が。異世界を堪能しようとしているのに、クチュールの正体には興ざめ。
とは言いつつ「皮膚」にこだわった作品世界は興味深い。

「北野勇作どうぶつ図鑑 その2 とんぼ」北野勇作 ハヤカワ文庫SF(2003.4.14読了)
かめのほうが好みですが、とんぼもなかなかいい味を出しています。ノスタルジックな
作風、ではあるのですが、昔なつかしい6畳一間のアパートSFやサラリーマンSFの
匂いがするんですよね。昔は、そういう中間雑誌系SF?もいっぱいありましたっけ。

「北野勇作どうぶつ図鑑 その1かめ」北野勇作 ハヤカワ文庫SF(2003.4.13読了)
食玩ならぬ本玩?的装丁がかわいい。西島大介さんのイラストもステキ。折紙もキュート。
そしてなにより、ノスタルジックでほんわかして、かすかにせつない北野作風にうっとり。
カメリ、決して可愛い描写はないはずなのに、ものすごくいとおしく思える。第二話は?
かめさん、たんたんとした描写に、やさしさとせつなさ。好きなひとと一緒にいたくなる。
この「集めたくなる」薄い本たち。ハヤカワのお遊び企画力に大拍手!全6巻楽しみ!!
ちなみに、近所の本屋では雑学系文庫棚に並んでました。ハヤカワ文庫っぽくなさすぎ?

「日本人の神はどこにいるか」島田裕己 ちくま新書(2003.3.5読了)
世界の神の説明が長く、なかなか日本の神の話にならないのが、読んでいて不満。
一神教=多神教モデルはわからなくはないけれど(特に「陰陽師」読了後だと)
日本の宗教を説明するのに、祟り神に言及しないのは、ちと腑に落ちません。

「陰陽師 --安部晴明の末裔たち」荒俣宏 集英社新書(2003.3.5読了)
帯のキャッチコピーは、”怪人アラマタ、生きている陰陽師に会いに行く!”
夢枕陰陽師に出てくるようなダークでかっちょいいヒーロー安部晴明のような陰陽師
ではなく、地方に根付いた泥臭い陰陽師の姿を、荒俣先生が現地取材する、という内容。
陰陽師が地方において果たした役割、影響、システム、なにもかもが興味深い。
神仏、陰陽道などをとりこんだ日本の複雑な信仰というものを改めて考えさせられる。
そして、いざなみ流のように、陰陽師がまだ日本に生き残っているという事実に、
驚愕を禁じえない。

「アールデコの館 [旧朝香宮邸]」写真 増田彰久,文 藤森照信 ちくま文庫(2003.2.16読了)
東京都庭園美術館「旧朝香宮邸とアール・デコ」展観覧記念に購入、てか、なぜにこれを
買っていなかったのか謎。展示内容とまさにリンクしているために、非常に思い入れ深し。

「戦闘妖精・雪風 解析マニュアル」早川書房編集部編 (2003.2.13読了)
どうもGONZO雪風を手に取る気がしない(未見)のと同じ理由で封印していた1冊。
私の自慢の蔵書だった「披書空間」の再録も面白くなかった理由のひとつでしたが。
中身は雪風ミーハー本ではなく、マジメな神林論を語る本であり、ファンは嬉しい。
雪風のみを読んだだけでは、神林ワールド((C)高柳カヨ子氏)は語れないのよ!
評論、特に、冬樹蛉氏「長平を見るには長平の目がいる<改>」(改稿)とか牧野修氏
「やあ、僕が神林長平です」再録は、ファン必見。単行本待ちの「膚の下」楽しみ。
ところで、ジャムの正体?を某トークパネルで明かしていたけれど、公では謎のまま?

「東京100発ガール」小林聡美 幻冬社文庫(2003.2.8読了)
息抜きの一冊。笑いに変える力は、重要です。


「マダム小林の優雅な生活」小林聡美 幻冬社文庫(2003.2.2読了)
息抜きの一冊。もうマダム小林ってば、素敵すぎます。結婚するなら
聡美さんみたいな奥さん、いいなあ。時折(というか、しょっちゅう)
登場する「夫」がまた、とっても素敵。あの聡明なる三谷さんならば
聡美さんを生涯の伴侶に選ぶだろうなあ。妙に納得。

「建売秘密基地 中島家」太田忠司 幻冬社文庫 (2002.1.23 読了)
久しぶりに太田作品を読みたくなってしまいました。山崎家にも笑わせて
もらいましたが、これまた小ネタてんこもりのエンタメ作品。お約束の
しょーもない展開をさらりと描けるのは筆の力?太田先生のサービス精神に
脱帽。でも、安土城ロボ@BELIEVEと戦ったらどちらが勝つのでしょ?!

「黄泉がえり」梶尾真治 新潮文庫 (2002.1.22 読了)
泣けるホラー、というキャッチコピーとわりには、泣けないし恐くない。
泣ける作品をあれだけ書いているカジシンさんにしては物足りず。ホラーと
いうより侵略SF仕立てだし。(作中でもフィニィやハインラインに言及)
同時期?の「屍鬼」の無常観や「月の裏側」の静かな恐さに比べると若干
薄いかも。「OKAGE」ほど評価は辛くないけど、カジシンファンとしては
これが代表作となるのはカナシスギ。映画はほぼオリジナルらしいですが。

「関係性マーケティングと演劇消費」 和田充夫 ダイヤモンド社 (2002.1.22 読了)
演劇のマーケティングを例に出して、消費者との関係について語ってみよう、
という本らしい。四季や宝塚の例については、非常によく調べており、なるほど
と思うことも多い。(団体客=ノイズが増えると、質が低下する、とか!)
しかし、コアな四季ファン・ヅカファンが誰か、というところが見えてこないので
ちょっと肩透かし。だから、洗剤のマーケティングに置き換えてみても、関係性を
結ぶ対象は誰?という謎が多く、イマイチ、マーケティング本としても肩透かし。
アートプロデュースという点では、キャラメルや新感線あたりをサンプルとすれば
もっと面白かったとおもうだけどなあ。

「ガーデン」近藤史恵 創元推理文庫 (2003.1.8 読了)
近藤史恵の描く女性像に、さりげない風景や物事の描写に、くらりとするのです。
近藤作品に出てくる女性は、どうしてこんなに魅力的なのでしょう?
しかし、ワタシの知らない今泉文吾・・・途中でヘンだと思っただけに
ショックな作品でした。

「贈る物語Wonder」瀬名秀明編(2003.1.4読了)
友人に贈らせた「贈る物語」3冊セットの一冊。SFではないところが瀬名さんらしい。
セレクトも瀬名さんならでは。フィニィと炎の繰り言が並ぶところがさすが。
ちゃんと、光瀬・星新一・クラークで終結させるのも、ツボを心得ている。
でも、この本からSFへはつながらない気がするのは、わたしだけ?

「女には向かない職業」創元推理文庫 (2003.1.1 読了)
加納朋子アリスシリーズつながりで読み始めたのですが、主人公のコーデリア
が素敵。ラストの構造的などんでんがえし(解説参照)にもにこにこ。
でも「皮膚の下の頭蓋骨」も同じ作家の作品でしたか。すごくインパクトのある
タイトルにくらっとするものが。


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