第1回 Silverberry's Library 公開読書会 「楽しいムーミン一家」篇


■◆◆■◆◆■◆◆■◆◆■ 《ムーミン祭》参加企画 ■◆◆■◆◆■◆◆■◆◆■

本ページは、本年のSFセミナー突発企画「児童文学を語る部屋@大広間(仮)」に参加なさった
とりこさま、タカアキラさまによる「ムーミン祭」への参加ページです!

	
というわけで、当館の司書室長・silverberry と 司書補見習い・肩乗り竜のクンによる 公開読書会、記念すべき第1回は 「楽しいムーミン一家」トーベヤンソン 山室静訳 講談社文庫 です。 sil:当館の司書室長 silverberry です。 KUN:えと、見習いのクンです。よろしくです。 sil:公開読書会って形式ははじめてなんだけど、どう? KUN:うーん、難しそうな気もするけど。 sil:相手が、クンっていうのも、ねえ。 KUN:それって、ぼくじゃ役不足ってことー? sil:いや、そういってるわけではあるけど(ごにょごにょ) KUN:だって、他のみんなは忙しいからって、ぼくにおしつけるんだもん。 sil:まあ、しかたないんで、とりあえず、このコンビで進めましょう。 KUN:というわけで、はじまりはじまり~~ ◆ ムーミンってこんな話だったの? sil:で、今回の読書会は「楽しいムーミン一家」です。 KUN:読んだのは、はじめてなの? sil:うん。小さい頃、アニメは好きで見ていたはずなんだけどね。 KUN:イメージはちがった? sil:うーん、かなりね。 KUN:とくに、どういうとこが? sil:あらためて読むと、実は、かなり不思議な生き物たちだよね。 KUN:ぼく、人間関係、じゃなくて、生き物関係?がよくわかんなかったよ。 sil:そうそう、ムーミンってのは、個人名じゃないんだね。知らなかった。 KUN:スノークのお嬢さん、っていう意味が、最初わかんなくって。 sil:あの二人はスノークの兄妹なのよね。 KUN:あと、いろんなひとや生き物がムーミン屋敷に住んでて。 sil:そういう生活形態とか生物としての謎がむくむくと。 KUN:そういえば、ニョロニョロもふしぎだよね。 sil:ニョロニョロについては、語りたいことがいっぱいあるの。後でまとめて話していい? KUN:どうぞどうぞ、お好きなだけ(笑) ◆ 勝手なキャラの思い込み sil:実は、結構キャラについての思い込みが激しかったので、え?こんなキャラなの?    というのも多かったかも。 KUN:それはアニメに較べて? sil:うーん。あんまり覚えてないのよね。ムーミンパパは、あの声のイメージなのか    ものすごく落ち着いた”理想のパパ”だった気がするんだけど、どうも原作だと    結構お茶目な気がして。 KUN:それって、東京電力のアナグマのCMとイメージだぶってるって言ってた話? sil:そうそう。自分の中で、ごっちゃになってる気が、すごーくした(笑)    あと、スナフキンももっと哲学的で渋いのかと思ったら、わりと子供なのかなーと。 KUN:でも、自由を求める風来坊、ってのは? sil:うん。そこについては、スナフキンのイメージそのままだったけど。あと、ギターね。 KUN:そうそう、原作ではハーモニカなのね。 sil:どちらも風来坊的なアイテムではあるのだけど。 KUN:微妙に違うよねー ◆ わくわくとぴかぴかとごちそう KUN:で、肝心の作品としての感想は? sil:大人になって読んでも、ちゃんと面白い! KUN:ぱちぱちぱち。 sil:「楽しいムーミン一家」だけに関して言えば、わくわく感の塊。子供心をぐっっと掴む    要素が詰め込まれている気がした。 KUN:たとえば、どんな? sil:ひとつめの要素が「冒険」。島で嵐にあってテントを作って避難する、とか    家がいきなりジャングルになってる、とか、ほらあなに泊まりに行く、とか    マメルクを釣る、とか・・・ KUN:たしかに、わくわくしたなー、ぼくも。 sil:でしょでしょ? なんか、いかにも冒険ゴコロを刺激するストーリーでしょ? KUN:ニョロニョロが襲ってきたりね。 sil:ひとつめのキーワードは「冒険=わくわく」。これは、決まりでしょう。 KUN:じゃ、ふたつめは? sil:「宝物」 KUN:そいや、宝物を拾ったり、隠したりする話が多いよね。 sil:そもそも、この話のキーとなるのが、拾ったぼうし、だからね。 KUN:それと、トフスランとビフスランの宝物、ね。 sil:こどものときって、自分だけの宝物を作るのが好きよね。大人にとっては無価値でも    本人にとっては、すごい宝物なの。 KUN:ちなみに、司書室長のはどんなんだった? sil:いろいろあったけど、緑色の黒曜石が一番かな。たぶん、いまだにとってある筈。 KUN:いまだに?すごーい! sil:子供にとっては、自分がお気に入りなら、それが宝物なんだよね。それが、いつのまにか    購入金額や、ブランドの価値に頼るようになる、と・・・ KUN:まあ、社会批判はおいといて(笑) sil:うん、で、宝物の中で、一番びっくりしたのは、「金」だったのよね。 KUN:かね、じゃなくて、きん、のほうね。 sil:そうそう、スノークがみつけた金の鉱脈、ね。これが出てきたとき、スノークは   「りっぱな砂金堀りでした」って、書かれているの。ってことは、砂金堀りって職業が    あるってことよね。砂金には価値があるのか・・・って思うじゃない? KUN:ところが、その使い道は・・ sil:ムーミンママは、「わたし、花壇のふちかざりに使ったらいいと思うの」って言うの。   もう、目が点。 KUN:くすくすくす。 sil:いかに、自分が金本位制の紙幣経済(?)に慣らされているか、愕然としちゃった。 KUN:かれらにとっては、ぴかぴか光るきれいなもの、だから、価値があるってことだよね。 sil:そうなのよ。かれらの社会が経済的にどういうシステムで成り立っているか、この一冊    だけではぜんぜんわからないんだけど、少なくとも金本位制ではない、と(笑) KUN:というわけで、ふたつめのキーワードは「宝物=ぴかぴか」。 sil:みっつめの要素は「ごちそう」、かなー? KUN:子供の本には、食べ物の話って多い気がするね。 sil:直感的に、子供にインパクトを与えるよね。「ぐりとぐら」とか、虎バター、とか。 KUN:虎バター問題は、微妙だから、またこんどにしようよ。 sil:うん、今回はムーミンの回だからね。で、ムーミンのご馳走、というか食性の謎。 KUN:最初、冬眠するときには松葉を食べるんだよね。 sil:そうそう、あ、そういうものを食べる生き物なのかと思いきや・・・ KUN:ほしぶどういりのプディング(笑) sil:メアリーポピンズで育った私にとっては、召喚呪文を唱えられた気がしましたね。 KUN:三つ子の魂、百まで、だね sil:パンケーキに、木いちごのジュース、かぼちゃのジャムに、赤いポンス! KUN:ポンスっておいしそうだよね。 sil:ごちそうを持ってピクニック、とか、次から次へとごちそうが出てくるパーティ、とか    子供ゴコロをそそるじゃない? KUN:でも、最近の子供は、贅沢をしすぎてて、あんまりわくわくしなかったりしてー sil:それは、わたしが甘いものに飢えた子供だったから、そういう描写に弱いってこと?    否定はできないけど。 KUN:というわけで、みっつめのキーワードは「ごちそう」ってことで。 ◆ 大人が読んでも面白い KUN:さっき、おとなが読んでもおもしろい、っていってたよね。 sil:うん。作品には読むタイミングがあって、それを間違えると、本人にも作品にも不幸だ、    てのが、持論だからね。そういう意味では、今読んでも、ムーミンは大丈夫。 KUN:だめなのって? sil:作者の裏の意図が透けて見えちゃうのは、大人が読むとつらいよね。    たとえば、ナルニアは、中学一年のときに読んだのだけど、かろうじてセーフで    楽しく読めた。たぶん、中学三年で平井和正なんかを読んだあとに出会っていたら、    素直に読めなかったと思う。 KUN:裏読みしちゃうってことね。 sil:そうそう。ムーミンはそれはあんまり感じなかった。素直に、ストーリーとガジェットを    楽しめる。 KUN:でも、ニョロニョロに関するとこは、ちがう読み方してたんでしょ? sil:ああ、そこは、ねー。ちょっと邪道かも。 ◆ 「ニョロニョロのひみつ」のひみつ   KUN:「ニョロニョロのひみつ」(「ムーミン谷の仲間たち」収録 講談社文庫)も読んだんだよね。 sil:そう。ニョロニョロのイメージがあまりにも違ったんで、あわてて買ってきたのだけど。 KUN:不思議な生き物だよねー。 sil:「ニョロニョロのひみつ」によると、雷を激しく待ち望んでいるが故に、気圧計を崇めてる    みたいだね。で、雷を求めて旅をする。 KUN:読めば読むほど、謎が増してくの。 sil:で、ファーストコンタクトしてる気分になってくるのよん。 KUN:あはは。FCS(ファーストコンタクトシミュレーション)だね。 sil:冷静に分析してるのよね。ニョロニョロに関する描写が出てくるたびに、プロファイリング。 KUN:もともと、ニョロニョロには「愛がある」んでしょ? sil:昔から、キャラとして好きだったのよ。サークルのマスコットキャラだった関係もあって。    でも、今回、原作を読んで、私の知らないこの生き物は誰?みたいな・・・ KUN:で、「ニョロニョロのひみつ」で、謎は解けたの? sil:全然(泣) 帯電した白樺の皮を小島に残す、なんてするってことは、電気を媒介に    コミュニケーションするのかー、とか考え始めると、誰か説明してくれー、という感じ。 KUN:ひみつはひみつのままのほうがよいのかもよ? sil:正体はプラズマでした、なんて言われても困るけど(笑) ◆ 山室静さんの訳 KUN:訳は、どう?実は、ぼくにはわかんないとこがあったりしたんだけど。    玉乗りをしながら「とうざい、とうざい」って叫ぶとことか。 sil:実は、私も知らなくて調べたのよ。軽業師が「とざい、とーざい」と掛け声をかけるらしいよ。    東西東西=あちこちからお越しの皆様、みたいな意味みたい。 KUN:あやー、知らなかった。 sil:自分の知識不足もあるけど、たぶん現在ではあまりつかわれない言葉よね。    おセンチなんて単語も、時代を感じたな。 KUN:意味はわかるけど、ね。 sil:山室さんは1906年生まれだそうだし、初訳がいつかわからない(文庫版1刷が78年)    ので、そこはしょうがないのでしょうけどね。 KUN:山室静さんって、「ギリシャ神話」のひとだよね。 sil:個人的にはそのイメージが強かったけど、「付 北欧神話」のほうのつながりなのよね。    北欧文学がご専門。だから、ムーミンなのね。 KUN:講談社文庫8冊のうち、山室さんが訳したのは3冊みたい。 ◆ 「スナフキンの手紙」の続きの続き sil:話は変わるけど、第三舞台が解散しちゃったじゃない。 KUN:ずいぶん、飛ぶね。正確には、解散じゃなくて、休止、だけど。 sil:はじめて観た第三舞台が、最後の公演だったのね。「ファントムペイン」。    これが「スナフキンの手紙」の続きの話だったのよね。 KUN:それは観たの? sil:観てないのよ。だから、「ファントムペイン」もよくわからなかった。 KUN:もったいなーい。 sil:ま、簡単な概説映像はあったのだけどね。で、話のキーとなるのが ”スナフキンの手紙”    なんだけど・・ KUN:それってなに? sil:ネタバレになるので、ナイショ。ま、自分探しの旅の話なわけ。ものすごーく、意訳すると。    そこに、スナフキンっていうキーワードが来るのはなんとなく納得したのね。 KUN:風来坊? sil:自由であり、自分の価値観を持っている。 KUN:フムン。 sil:スナフキンに対する憧れ。そういう意味では、やっぱり、単なる児童文学に存在しない    強烈なキャラだと思うのよ。そこが、大人が読んでも面白い、につながるんじゃないかと。 KUN:なるほどー ◆ まとめ sil:なんだか、ざっくばらんに感想を言うだけだったんだけど。けっこう長くなっちゃったね。 KUN:キーワードは「わくわくとぴかぴかとごちそう」 sil:で、キーとなるキャラは、ニョロニョロとスナフキン。 KUN:でも、一冊だけ読んでムーミンを語るな、っておしかりを受けそうじゃない? sil:うーん、それを言われるとつらいなー KUN:ま、今回は、しかたないか。 sil:ひさしぶりに児童文学を読みました。面白かったです。いじょ! KUN:ほんとにそれを締めの言葉にするの?ぼくは、べつにいいけど。 sil:竜頭蛇尾? KUN:さいしょからへびだから、だいじょぶ。 sil:というわけで、第一回 Silverberry's Library公開読書会「楽しいムーミン一家」篇    でした。長々とお読みくださった皆様、どうもありがとうございました。    第二回があるかどうかわかりませんが、またの機会がありましたらよろしくお願いします。 KUN:また、よろしくですー

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