SFセミナー2002 出張報告書


■■■ SFセミナー2002 ■■■

日程: 2002.5.3 - 4
場所: 本会:全電通労働会館ホール(お茶の水)/合宿:ふたき旅館(本郷)

【 本会企画 】

◆「SF入門というジャンル」出演/巽孝之、川又千秋、牧眞司、小谷真理 司会/野田令子
SF作家クラブ編『SF入門』、これまで出版されたSF入門書についてなどなど。
牧さんによるSF入門書のスライドによる紹介はとても面白かったのですけれど、他のゲスト
の方々のお話(とくに川又先生)があまり聞けなかったのはとても残念。外国編の紹介と
ともにぜひぜひ続編企画が聞きたいのです。

◆「かめ、くらげ、たぬき、北野勇作」出演/北野勇作 聞き手/尾山ノルマ
”日本SF界のチョコエッグ(笑)”北野勇作氏のトーク。
セミナー前に、あわてて「かめくん」を読んでおいてつくづくよかったと思いました。
ノスタルジックでせつなくて、SFっぽくなく見えて、でもちゃんとSF、という不思議な作風と
つかみどころのない北野さんご本人が、ちゃんとリンクしました。なるほどー。
面白そうなお話が、みんな ”続きは合宿企画で”になってしまったのは、残念。

◆「立ち上がれSF新レーベル! 編集者パネル」
 出演/大野修一(徳間書店)、塩澤快浩(早川書房)、中津宗一郎(角川春樹事務所)
    保坂智宏(祥伝社) 司会:小浜徹也(東京創元社)
なんとなく、SF春の時代が来たってのは本当なんだなー、と思わせるパネルディスカッション。
出版業界の落ち込みが激しいのは事実ですが、SFというジャンルについては、イキのいい作家
と市場が新たに生まれ出てきたかな?と感じました。新レーベルが、一過性ブーム(?)
ではなく、ちゃんと根付いて育っていくのを期待するのです。さ、買い支えなくちゃ・・・

◆「小説の可能性を求めて――奥泉光インタビュー」出演/奥泉光 聞き手/鈴木力
ご、、ごめんなさい。『鳥類学者のファンタジア』って、蓼科鳥類研究所の話だとばっかり
思っておりました(^^; チャーリーパーカーの曲名からとったのですか。む、むずかしい・・
奥泉作品は残念ながら未読だったのですが、奥泉氏の語りを聞いてとても興味を持ちました。
(でも、あの厚さにめげそうなんですが。)ご本人は、SFもミステリもお好きだとのことで
”SFファンとしての好感”も持てたのですが、作品の文体に対するこだわりについてなどを
お聞きすると、やはりエンタテイメント作家とは違う視点で「小説」を見ているのだなと
感じさせられました。3人称のうそ臭さ、ですかー。


【 合宿企画 】 ◇「SF十段」出演/大野万紀、大森望、日下三蔵、水鏡子、牧眞司、山岸真、三村美衣 トーナメント制で、各自2分間で作品紹介のプレゼンを行い、勝敗は観客が決める、という SF十段決定戦。めでたく十段になられたのは、日下三蔵氏。個人的には、山岸さんの 熱の入ったプレゼンに大拍手。世界中で一人になり5冊しか残せない、という状況になったら 『ハイペリオンの没落』をセレクトしなくちゃいけない、という気にさせられました(^^; ♪「テルミンと戯れよう」出演/大野典宏 企画の間に、噂のテルミンを演奏させてもらってきました。不思議な音です。これが楽器、 というのが、とても不思議。 ◇「ジェンダー研の部屋〜Sense of Gender賞始動!〜」  出演/柏崎玲央奈&工藤央奈@ジェンダー研 小谷真理 Sense of Gender賞候補作リストを見ながら、みんなでいろいろ。 悔しいことに、読んだ本がほとんどないので、話についていけませんでした。天禁も 好きだけど、ラストまで読んでないし・・・。 でも、私が思っているようなジェンダーに関する本はあんまりなさそう。来年は楽しみ! ◇「オタク第3世代は、本当に動物化しているのか?」  出演/東浩紀、大森望 これも、東氏の著書『動物化するポストモダン』を読んでないのが、悔やまれた企画。 ”第三世代”のオタクのサンプルを知らないのでなんとも言えないのですが、ネットという 媒体によって、オタクの質が変容していったのは確実だと思われ。 しかし、エキサイトな議論に継ぐ議論で、結局オールナイト。浅暮三文氏と東浩紀氏の 噛み合ってるんだかいないんだか・・の議論に、会場沸きまくり。ポリティカルSFの登場を 切に待ち望みます!! ★ 大広間 以前から話題になっていた個人製作のフルデジタルアニメ『ほしのこえ』の製作工程を 新海監督ご自身にデモしてもらって、かなり感動。完成作品の質の高さに、うっとり。 結局、朝までだらだらとおしゃべり。なつかしの児童文学話に、わくわく。
■ 所感 今年も充実した内容で、じっくりと堪能。なんとなく、SF春の時代が本当に来たんだなー と感じました。 お祭り騒ぎのSF大会も楽しいけれど、畳の上でお酒を飲みながら、マジメなギロンをするのは セミナーの醍醐味だと思うのです。でも、聞くばっかりで自分の意見を言えないのが、とても 悔しいナァ・・・ −以上−

TOP