地震リモートセンシングフロンティア研究

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やっとIWSE'97のモノグラムができました。

Atmospheric and Ionospheric Electromagnetic Phenomena Associated with Earthquakes

Edited by M. Hayakawa
Terra Scientific Publishing Company
ISBN No. 4-88704-124-1

URSI JOINT SESSIONS
GH1 : ELECTROMAGNETIC COUPLING INCLUDING SEISMIC ACTIVITY
BETWEEN THE GROUND AND THE UPPER IONOSPHERE AND MAGNETOSPHERE
S. Uyeda and M. Hayakama (Japan) August 19, 14:00-16:20


地震総合フロンティア研究

 これまで十分に解明されていない地震発生のメカニズムや地震前兆現象、地殻変動のメカニズム等の理解を得ることは、豊かな人類の未来を継続的に建設していくためには必要不可欠であり、新しい科学的知見を生み出す基礎的な研究が重要である。 本研究はこれまで各機関に蓄積された知見・技術等を最大限に活用しつつ、地震に関して創造的な基礎研究を行うため、従来の固定化した研究組織体制を越えた多分野にまたがる研究者を結集し、集中的に研究を推進します。
 以上の主旨の下、科学技術庁の主導により理化学研究所、動力炉・核燃料開発事業団、日本原子力研究所、海洋科学技術センター及び宇宙開発事業団では、平成8年度より先端的・基礎的な地震防災科学技術の研究を実施しています。

地震リモートセンシングフロンティア研究(プロジェクトリーダー:力武常次博士)

 人工衛星によるリモートセンシングにおける定期的且つ広域に渡り地上を観測できるという特色に着目し、宇宙からの地球観測技術を地殻変動の把握など地震発生機構の解明等へ応用する手法に関する次の研究を実施します。

・SARインターフェロメトリ(チームリーダー:名古屋大学藤井直之教授)
 1978年に打上げられたSEASATは初めてLバンドの合成開口レーダ(SAR)を搭載し、多くの新しい知見をもたらした。80年代になってSEASATの複数のSAR画像を干渉処理(インターフェロメトリ)することによって高度情報の抽出が行われた。
 再びインターフェロメトリが注目を集めるようになったのは、ERS-1搭載SAR(AMI)データを用い、CNESのMassonetらがランダース地震による地殻変動を捉えた画像を処理してからである(Nature,July 1993)。 わが国でもNASDA及び国土地理院がJERS-1/SARデータによる阪神・淡路大震災による地殻変動のインターフェロメトリ画像処理に成功した。 その後、リアルタイムインターフェロメトリに関する衛星システムがJPL及び国内で提案されている。
 本研究では、地表面の変位を高精度・広範囲にわたって観測できるSARインターフェロメトリ技術を、地震及び火山噴火前後の地表面変動の検出への応用化に関する研究を実施する。

・地震電磁気(チームリーダー:電気通信大学早川正士教授)
 平成6年度、宇宙開発事業団地球環境観測委員会固体地球サイエンスチームに地球電磁場観測ミッション調査サブグループが編成された。固体地球に起因して地球に重大な影響をもたらす諸現象のうち、特に地球電磁気現象に注目し調査活動を行い。衛星観測の提案を含む報告書を作成した。
 現在も本グループは地球科学技術推進機構・地球科学技術フォーラム地球電磁気サイエンスチームとして活動を継続中である。

 近年、地震の短期(直前)予知の有力な候補として各種電磁気現象が注目されている。しかも、直流(DC)より高周波(HF)までの広帯域にわたって有望な電磁気現象が報告されている。例えば、ギリシャでは直流の地電流(電界)測定に基づき、地震直前に発生する異常を用いて地震予知を行い、ほぼ実用の域に達している(VAN法)。またULF(<10Hz)自然放射に関する研究は、まだ5年程度の歴史ではあるが、スピタック地震、ロマ・プリエタ地震及びグアム地震という大地震に対して顕著なULF波が前兆として放射されることが明らかになっている。
 これらのDC、ULF波は震央から100km前後の範囲のみで受信され、局所性が高いことから地震予知への利用に有望と考えられる。HF波は小さな地震においても発生し、その局所性からも地震予知への利用に有望と考えられる。VLF波は地震前兆として発生することは明らかであるが、発生機構に未知の点が多いこと、発生場所が特定できない(これは多地点観測で解決が可能)ものの、研究価値は高い。
 また、直接放射波の観測の他、既存電波(オメガVLF局等)の伝搬異常として現れる間接効果も、神戸地震の際にも報告されており今後の研究が期待される。
 以上の地上観測項目に加え、超高層(電離圏〜磁気圏)での衛星観測データにも地震に伴う電磁気現象が報告されている。
 1981年に打上げられた電離層観測衛星Aureol-3は、1989年西ニューギニアで発生したマグニチュード5.1の地震の発生20分前に震源に接近した際、異常なVLF波を観測している。また、1989年に打上げられたIntercosmos-24は地震の前兆としてELF/ULF/VLF放射を観測している。これらの低軌道衛星だけではなく欧州静止衛星GEOSのデータも、電磁波異常と地震との相関を示している。
 ULF/ELF/VLF電磁放射のほか、超高層プラズマの諸量にも地震前兆異常が発見されている。例えば高速プロトンの降下、プラズマイオン組成の異常及びホイスラ波の異常伝搬等が挙げられる。更に大気光の異常も報告されている。
 よって本分野の研究は地震予知への応用のみならず、広範な分野にわたる極めてチャレンジングな学際的研究課題であると言えよう。既にこれらの電磁気擾乱の観測を目的とした衛星がフランスロシア及びウクライナ等で提案されている。

 本研究では大気から電離圏及び磁気圏までの領域における地震に伴う、ULFからHFまでの電磁気現象、プラズマ現象及び光現象、更に関連現象を総合的に解明する。これら大気・超高層現象の研究は地上観測計画とも密接に関連し、地震に伴う地殻から超高層へのエネルギー伝達や相互作用を総合的・包括的に理解することが目標である。
 地震に伴う雷放電が報告されているが、これは大気中の電界生成やその放電と考えられる。近年発見された雲−電離層間放電現象の解明とも関連し、学問的広がりは大きい。また、地震ULF波の解明には磁気圏固有の振動(地磁気脈動)との分離が必要不可欠であり、超高層物理とも関連する。
 以上述べた様に、本研究は極めて学際的な学問分野で電波工学、超高層プラズマ物理、大気電気学、地質学及び地震学等の総合的な協力が不可欠である。学術的解明、ひいては地震予知の可能性に繋がることを期待する。

地震リモートセンシングフロンティア研究(電通大)
理研・地震国際フロンティア研究
これまでの成果

・地震電磁気発生伝搬理論モデルの構築
 従来の地震電磁気、プラズマ及び発光現象の研究論文に関する総合的レビューを行った。これは本研究の将来方向の指針となるものである。

・地震電磁気観測システムの整備
 観測装置はロシア製の微分型トーション磁力計である。従来のULF放射観測に使用されるインダクション磁力計では、日本のようにノイズが多い環境では使用できない。
 9年度は富士山嶺をテストサイトとし、観測システムの感度と観測記録より0.005〜10Hzの範囲で最小信号(3〜5pT)を受信。これより低強度の地震に伴うULF波の受信が可能であり、国内のULF観測システム構築のための貴重なデータとなった。

・オメガVLF受信システムの整備
 船舶航行等を目的としたオメガ局のVLF波は、電離層大地導電管を伝搬し受信される。 送信局と受信局を結ぶ大円上において、地震が電離層に及ぼす影響は受信電波の振幅及び位相変化として検出される。


Fig. 1:電離層擾乱観測の原理



Fig. 2:阪神大震災のVLF波伝搬異常


 調布(2月1日運用開始)と名古屋(1月1日運用開始)にオメガVLF受信システムを設置し国内観測ネットワークを構築した。その結果、1997年3月の伊豆群発地震、東京の地震の電離層異常を観測することに成功した。
 

Fig. 3:1997年3月の地震とVLF位相データ


・衛星データ解析
 旧ソ連のIntercosmos-24、25及びCosmos-900のデータを解析した結果、全球地震分布と電離層イオン密度の標準偏差/平均値との間に良い相関(〜0.8)が見られることを発見した)。


Fig. 4:全球地震分布と衛星データの解析例


・各種データ取得
 衛星観測期間の長さと継続性について検討した結果、1977年4月〜1979年8月のCosmos-900の電離層プラズマ及び電磁波動データを購入した。またヤクーツク及びカムチャッカ地震・火山噴火のULF放射データを購入した。
 In-situデータでは多くの大地震に対するULF波データを購入した。初期解析の結果、地震の3日前頃に顕著なULF波の発生が認められることがわかった。

・雷に伴う大気電界形成と電波放射観測
 平成8年11月、日本・オーストラリア・ニュージーランドの国際共同観測キャンペーンに参加した。これは雷による大気電界形成とそれに伴う諸現象(大気中の発光、電波放射、下部電離層への影響等)を総合的に研究することを目的とする。現在観測データの解析を継続中である。

国際地震電磁気ワークショップ(IWSE'97)
 平成9年3月3〜5日に電気通信大学において開催。名誉議長は(財)地震予知研究振興会理事力武常次東大名誉教授(地震リモートセンシングフロンティア研究プロジェクトリーダー)、シンポジウム議長を早川正士電気通信大学教授、Advisory Chairmanを上田誠也東海大学教授(理化学研究所地震国際フロンティア研究リーダー)が務めた。シンポジウムには12カ国の研究機関から164名の出席があった。
 本シンポジウムの目的は、電磁場変動観測技術を中心とした従来の地上観測と大気及び電離層中における地震電磁気及びその関連現象の解明について議論を行うことである。
で、論文集がやっと発行されました。(^^;

 Atmospheric and Ionospheric Electromagnetic Phenomena Associated with Earthquakes
 Edited by M. Hayakawa
 Terra Scientific Publishing Company, Tokyo
 ISBN No. 4-88704-124-1

NASDA's Earthquake Remote Sensing Frontier Research: Seismo-Electromagnetic Phenomena in the Lithosphere, Atmosphre and Ionosphere FINAL REPORT
International Network for Frontier Research on Earthquake Precursors | VLF-DATA
Japanese Activity on Seismo Electromagnetics Publication list (2002-2006) | 地震解析ラボ