LM3886パワーアンプ


 ナショナルセミコンダクタのモノリシックパワーアンプIC、LM3886のパワーアンプです。
 現在の最新バージョンはこちら

 DCサーボを使いACアンプにしている点を除けば、これまでのバージョンと一番違うのは、入力まわりの抵抗値をできるだけ小さくしたところです。
 LM3886の入力回路はダーリントンで、ダーリントン1段目のベース抵抗は大きくないほうが理論的には安定であること、+−入力間寄生容量とで作る位相回転を高い周波数に飛ばせること、の2点が抵抗値を小さくしてみた理由です。
 主観音質的にはこのほうが、高域が延び低域もたるんだところがなくなり生っぽくなる感じです。ただし、あまり口径の大きくないスピーカーとの組み合わせでは、以前のバージョンのほうが低域の量感があってよいかもしれません。
 帰還抵抗は2kΩのパラですが、1kだと1Wが必要になり入手しにくいのでこうしています。お勧めは出来るだけ低い抵抗値ですが、1/4Wしか入手できなさそうならば、100Ωと4.7kパラ、あるいは220Ωと4.7kでもいいかと思います。
 DCサーボは抵抗値が大きいですが、1Hz以下に下げようとした結果です。サーボアンプの積分器、バイアス抵抗と入力カップリング、と低域時定数は2つあり、低域カットは2次特性になります。2つのカットオフ周波数が1オクターブ以上離れていないと低域特性にピークを持ちます。カットオフ周波数を変更する場合には気をつけてください。


 これまでのバージョンはこちら。


 最大出力は20Hzで8Ω20W,4Ω30W。100Hzで8Ω23W,4Ω35W程度です。
パーツ表らしきもの
エクセルパーツ表(LZH圧縮)

 音質的に重要なポイント
1.+入力端子に直列に抵抗を入れる(R3)
2.+入力の信号源インピーダンスを下げるCを入れる(C2)
3.入力にコモンモードチョークを入れる(L1)
4.大容量積層フィルムのパスコン
5.トランス2次側スナバ(C10,R11,C11,R11)
6.トランス1次側スナバ(C12,R12)


 R1はC1とともにハイカットフィルタを構成します。NFBアンプは高周波 信号に対し動作が危ういので、高い周波数をカットする必要があります。 VRは抵抗値の精度がそれほどよくないので、ゲイン誤差を避けるためには 小さ目の値を選びたいのですが、あまり小さな値にすると前に接続される 機器がC1により動作不安定となる可能性があります。直列抵抗が1kΩ程度 あれば安定度は十分と考えられるので、1kΩと決めます。

 C1はR1とともにRCハイカットフィルタを構成します。ノイズ除去という 観点からはカットオフ周波数は低いほど良いのですが、アンプの直前にも RCハイカットフィルタの構成があるので、カットオフ周波数は気をつけて 選ぶ必要があります。カットオフ周波数の近い2つのハイカットフィルタ が直列になると,カットオフ周波数付近の特性は緩やかになり-3dBとなる 周波数はそれぞれのカットオフ周波数よりだいぶ低くなってしまいます。 -3dBの周波数があまり変わらないようにするには、2つのうちどちらかの カットオフ周波数を10倍程度高くしておく必要があります。今回の場合、 アンプ本体直前のほうが抵抗値が大きくなるので、そちらを周波数の低い ほうにしてみます。計算上は318pFになりますが、厳密なものではないので C2に値をそろえて220pFにします。

 VR1は音量調節用のVRです。普通は左右を同時にコントロールするために 2連タイプを使います。CDプレーヤー等、前に接続される機器からすると、 負荷が軽くなるので抵抗値は大きいほうが良いのですが、VR以後のアンプ 本体からすれば、信号源インピーダンスは低いほうが良いのでできるだけ 抵抗値の小さいほうが良いことになります。今回は、アンプ本体のほうを 優先して、一般な送り出し機器の最小負荷である10kΩを選びます。

 L1はコモンモードチョークです。高周波まで効果のある#43材が使われて いるFB-801を使います。VRとアンプブロックの間の配線にFB-801を3個通す だけです。あまり太い配線材を使っているとFB-801の穴に2本通りません。 細めの配線材(0.32mm〜0.4mmの単線など)を使ってください。原理的には, 1個のコアに2ターン巻けば4個直列に等しいインダクタンスになりますが 音質的に良くありません。必ず複数を直列にして使ってください。

 R2は、VR位置により、アンプ本体からみた信号源インピーダンスが変化 するのを抑えるためのものです。値が大きいほどインピーダンスの変化は 抑えられますが、インピーダンスの絶対値が大きくなります。どの程度の 値が良いという理論的根拠は特に思いつきません。ここの値を変えると、 音質が簡単に変えられるので、いくつか抵抗を買ってきて、好みで決める のが良いのではないかと思います。今回は10kにしてみました。なおVRが 無いときでも、C2と並列共振してしまう配線インダクタンスをダンピング するために最低でも100Ω程度の抵抗は必要になると思います。

 C2は、高い周波数で入力端子をGNDに接地し、寄生発振を防止します。 正しく動作させるには、高い周波数までインピーダンスを低く保つことが 必要です。直列インダクタンスを小さくするため、配線が短くなるように 気を使って実装してください。並列共振によるインピーダンス上昇を防ぐ ため配線インダクタンスをダンピングする抵抗(R2)も必要です。
 R2のインピーダンス(とVRのインピーダンスの合成インピーダンス)とで ハイカットフィルタも構成します。NFBアンプはできるだけ高周波信号を 入れないほうが良いため、カットオフ周波数はできるだけ低くとるべき ですが、あまり低いのも気になるので、妥協して50kHzに決めます。R1と VRによる出力インピーダンスの最大値は11k/4の2.75k、それにR2の10kが 加わりおよそ13kとなるので、250pF、実際の値は220pFにします。

 R3は、IC内部にある初段トランジスタのベース直列抵抗です。R2同様、 ここの値は音質にかなり影響を与えます。この非反転入力の直列抵抗R3と 反転入力の直列抵抗R4との合計値は、アンプの入力容量との間でローパス フィルタをつくり、位相を遅らせて負帰還の安定度を落とします。トラン ジスタ単体の安定度は抵抗値が大きいほうが良いのですが、負帰還全体の 安定度を考えると、あまり大きくはできません。1kくらいが無難ですが、 470から2.2k前後で選んでも良いかと思います。

 R4は、R5とともにアンプのゲインを決定します。また、反転入力端子の 信号源インピーダンスにもなります。厳密には信号源インピーダンスはR4 とR5の並列値ですが、R4に比べR5の値が大きいので並列値はほぼR4の値と なります。R3の項にも書きましたが、この値が大きいと負帰還の安定度を 落とすのであまり大きくはできません。またこの値がR4の値も決めるので 小さすぎても大きすぎてもいけません。R3と同じく1kが無難と思いますが 470から2.2k前後で選んでよいかと思います。

 R5はR4とともにゲインを決定します。データシートには10倍以上で安定 とありますが、実際の安定度を考慮すると、20倍以上ゲインをとることを 強く推奨します。1kΩの約20倍で22kです。

 J1は、ミュート端子にミュート解除用の電流を流すためのものです。 0.5mA以上でミュート解除、とデータシートにありますが、もっと多めに 流したほうが良いようです。抵抗でも構わないのですが、抵抗の品種に より音が変わり、高級な抵抗のほうが音が良かったため、安く上げたいと いうことから定電流回路を採用しています。抵抗よりむしろ音が良いかも しれません。電流を多めに流したいという事から、2SK30ATMにはよくある YランクではなくてGRランクを指定しています。同じGRランクの2SK246でも ほぼ同じです。ただ、BLランクでは電流が多すぎ、消費電力がFETの定格を 超える可能性がありますので使えません。定電流回路は負性抵抗打ち消しや 寄生容量分離用に直列抵抗があったほうが良いのですが、IC内部に抵抗が あるので明示的にはつけていません。

 R6は、C3とともにZobelネットワーク(スナバ)と呼ばれるアンプの安定度 を高めるための回路網を構成しています。スピーカーの高域でのインピー ダンス上昇すなわちL分への対策です。
 また、このスナバは出力段エミッタフォロワの安定化のためにも働きます。 エミッタフォロワは、トランジスタの持つゲインの全てが帰還されるので 非常に発振しやすい使い方です。発振しないまでも周波数特性にピークが 出ることも少なくありません。対策としてベースやエミッタに直列抵抗を 挿入したり、その上でベース・コレクタ間にCを加えたりするのが一般的 ですが、出力に適切なスナバを加えることでも安定度を高めることができ ます。スナバを使った場合、直列抵抗が無いので、出力インピーダンスを 低く保てるメリットがある代わり、負荷が重くなるので、歪みが増えると いうデメリットがあります。
 エミッタフォロワが不安定になる原因は、寄生容量や実際の負荷により エミッタ・GND間に容量ができると、ベース・エミッタ間寄生容量および ベースからみた配線のLとあわせて発振回路が構成されてしまうからです。 エミッタ・GND間に適切なスナバを付加すると、高い周波数での負荷抵抗は スナバのRになります。ここでエミッタ・GND間の寄生容量とこのRとの間で 作られるポールが十分高い周波数にあれば、トランジスタがゲインを持つ 帯域では位相回転が起こらず、発振回路は構成できなくなり、結果として 安定化されます。低い周波数にポールとゼロを作り、安定性が問題になる 周波数でのゲインを落としているとも考えることができ、これはポール・ ゼロ補償の一種です。
 よって、想定される負荷容量と作るポールが十分低くなるRと、さらに それと作るポールが十分低くなるCとで構成されたスナバにより、エミッタ フォロワの安定度を高めることができます。ただし、Rが小さくCが大きい ほど、エミッタフォロワの負荷が重くなり、帯域は狭く、歪は増えます。 いつでも使える方法ではありませんが、パワーアンプ出力段のようにもと もと負荷が重いために歪が多く、また出力インピーダンスを低く保ちたい という場所には最適ではないかと思います。パワーアンプの出力につける ものは、10Ω+0.1uFor0.047uFが一般的な定数です。エミッタフォロワの 安定度を高める効果が欲しいという場合は、実装もパワートランジスタの 近くに無いと意味がないことも注記しておきます。

 C3はR6とともにZobelネットワーク(スナバ)を構成します。

 L2は、R7とともにアイソレータ(Isolator)と呼ばれるアンプの安定度を 高める回路網を構成しています。スピーカーまでの配線やスピーカーその ものの持つ寄生容量への対策です。  NFBアンプの出力に容量負荷が接続されると、裸の出力インピーダンスと 関係して位相が遅れ、帰還の安定度が落ちますが、それを防ぐものです。 アイソレータ、すなわち“分離器”という名前がついていますが、実際は 単純にCを分離するわけではなく、容量負荷が接続されるとRでダンピング されたLC直列共振回路となり、共振点より高い周波数で位相が戻ってくる ことから回路の安定性を保つことができる、というものです。共振点では インピーダンスが低くなりますが、Rの値が小さくQが低いので、それほど 問題にはなりません。

 R7は、L2とともにアイソレータを構成します。この抵抗がないと、容量 負荷においてQの高い共振回路を構成してしまうので危険です。

 C4,C5はパスコン(バイパスコンデンサ)で高域の電源インピーダンスを 下げます。一番周波数の高い帯域を担当するので、可能な限りICの近くに 配線を短くして実装します。パスコンとして一般的なのは積層セラミックの 0.1uFですが、リードタイプならば積層フィルムでもインダクタンス成分は ほぼ同等なので、積層フィルムをお勧めします。
 値の違うキャパシタを並列にした場合、値が大きいほうのインダクタンス 成分と値が小さいほうのCとで並列共振を起こし、インピーダンスにピーク が出来ます。OSコンやフィルム、セラミックなど損失が少ないキャパシタを 並列にするときには注意が必要です。電解Cでも汎用品の数十uFならば1Ω弱 程度の抵抗分(等価直列抵抗=ESR)があり共振はわりとダンプされますが、 数百uFともなるとESRは0.1〜0.2Ω程度と小さくなるので、0.1uFあたりの フィルムやセラミックと組み合わせると並列共振のピークが出てきます。 これを防ぐため1uFという大容量を使っています。
 この1uFは積層フィルムを使う必要があります。積層フィルムなら容量が 大きくなってもインダクタンス成分はほとんど増加しないので、0.1uF等の 小さな容量を使わなくても、高い周波数まで十分働きます。
 以上のことからわかると思いますが、1uFが大きく感じるからといって、 0.1uFなどの小容量をこれ以上パラにすることほしてはいけません。1uFが フィルムで損失が少ないため、数MHzにインピーダンスのピークが出来て しまいよくありません。必ず1uFに積層フィルムを使い、これを最短距離で 配線し、パスコンの働きをこれに任せることが必要です。
 なお、容量は1uFよりも大きくても良いのですが、実装しにくくなるので サイズが適当な1uFを選択しています。

 C6,C7は、電源配線の寄生インダクタンスとC4,C5とが並列共振を起こし インピーダンスが上昇するのを抑えるダンピング用CR直列回路(スナバ)を 作ります。抵抗分は明示的にはありませんが、ESR成分の0.1〜0.2Ωです。 よって、ここにはOSコンなどのESRが小さい電解を使用してはいけません。 むしろISRが大きめのものを選ぶくらいのつもりがいいでしょう。

 C8,C9は、電源のフィルタコンデンサです。出力に流れる電流はほとんど この電解から供給されます。片chにつき4700uF以上あれば十分と思います。 少々大きくしたからといって、即、低音が出るようにはなりません。この あたりのコンデンサの容量の違いは、倍程度ではあまり音質的に違いがなく 5倍くらいの変化がないと大きな差は感じないように思っています。また、 容量よりむしろ外形の大きさの違いのほうが音質に違いが出やすいようにも 思っています。コストやサイズが問題にならないなら、ネジ端子の物を使う ことを勧めます。音質的にメリットがありそうに思っていますし保守(交換) が楽です。外形を大きいものにするには耐圧が高いコンデンサを選ぶ方法も ありますが、電解コンデンサはその物性上、耐圧に比べあまり低い電圧で 用いることはあまり勧められないので、26〜28V程度なら100V以下で選ぶべき です。

 D1,D2,D3,D4は整流ダイオードです。音質的な面でショットキーバリア ダイオードをお薦めします。ただし、普通のシリコンダイオードと違い、 熱暴走で事故を起こす可能性があります。今のところトラブルを起こした 事はありませんが、一応、発熱源からは離すよう注意してください。

 C10,C11は、R8,R9とともに、トランス2次側のノイズ吸収用CR直列回路 (スナバ)を構成します。トランスの寄生L分(漏れインダクタンス成分)と ダイオードやトランス巻線の寄生C分とでLC共振回路ができ、ダイオードの スイッチングで励起され共振を起こすのを、このスナバでダンプします。 ショットキーバリアダイオードを使っている場合、共振のダンプだけなら 0.01uF+330Ωで十分なのですが、音質からはCの値が大きいほうが良さそう なので、大きめのCを指定しています。ここに使うCは音質に影響が大きい ので、ポリプロピレンが良いかと思います。純粋にパルス損失大量の点から 考えても、ポリエステル(マイラ)の使用はお勧めできません。

 R8,R9は、C10,C11とともにトランス2次側スナバを構成しています。 このRが無いと、トランスの寄生L分とC10,C11が強く共振してしまいます。 容量が小さいとRは大きくする必要があり、波形を見ると0.47uFでは47Ω、 0.1uFで100Ω、0.01uFで330Ωが必要のようでした。ただ、音質の点でRが 100Ω以上あったほうが良さそうなので、0.47uFでも100Ωを使っています。 このRはトランスが違えば値も違ってくる可能性があります。

 C12は、R10とトランス1次側スナバを構成します。市販のスパークキラー でもほぼ同じなのですが、C+Rで作ったほうが音質的に良さそうです。電源 ラインに直接入れるキャパシタなので、安全性に十分気をつけてください。 入手可能なら各種の安全規格(Xコン用のClassX2)を取得しているフィルムを 使うのが良いです。値は0.1uF〜0.47uF程度で大きいほうが音は静かになり 落ち着きが出てくる感じです。

 R10は、C12とともにトランス1次側のスナバを構成します。この回路では トランスが2つあるので100Ω+0.1uFのスナバが2つ並列になっていますが、 スナバが1組だけの場合には47Ωのほうが音質的に良さそうでした。

 R11は、VR2と基準電源を分圧しています。バイアス電流キャンセル用の 電圧源としては、TL431の2.5Vがそのままでは大きすぎるためです。

 VR2は、バイアス電流を打ち消し用の電流を調整するVRです。最初は0Vに 回しきっておき、出力オフセットが小さくなるよう調整します。ゲインが 20倍程度なら、運が悪くなければ+-10mV以下に収まるはずです。

 R12は、バイアス電流キャンセル用の電流を流し込むバイアス抵抗です。 値が大きいほどゲイン等に影響を与えないのですが、安定度や入手性から 1MΩ以下が無難です。分圧した電圧が抵抗値の都合から2.5Vの1/11なので バイアス電流の最悪値1uAを流すためには220kΩと決まります。ただし、 よほど運が悪くなければ470kΩで調整範囲内に収まるはずなので、自分が 運が悪いと思わない人は470kΩを使ったほうが調整が楽です。

●以下の素子は左右共通です

 J2は、シャントレギュレータU1を動作させる電流を流します。

 R13は、J2による定電流回路のダンピング用抵抗です。

 U1は、バイアス電流のキャンセルに使う基準電圧を作ります。

 L3は、電源のノイズフィルタ用コモンモードチョーク、正確にはコモン モード・ノーマルモード両用の、よくある電源用ノイズフィルタチョーク コイルです。効果はそれほど大きくは無いですが、音のざらざらが少なく なり滑らかになる方向に変化します。

 Z1は、バリスタ、ZNR、サージアブソーバです。雷サージなど、強烈な パルス性ノイズから回路を保護するためのものです。

 スイッチは、2回路のものを使い、電源ラインの両方を切断することを お薦めします。トランスの直前にスナバがあるので、接点に並列で入れる スパークキラーは必要ありません、というより、接点に並列で入れる方法は Cを通して電流が流れてしまい危険です。アマチュアではなぜかこの並列に 入れる方法が一般的ですが、やってはいけません。トランスに並列に入れて ください。

 ヒューズは必ず入れて下さい。火事にならないための、最後の頼みの綱 です。



 抵抗は金属被膜をお薦めしておきますが、個人的に炭素被膜が嫌いな だけです。
 小容量の220pFはディップマイカを推奨しますが、CH特性セラミックも 十分使えます。
 電解はオーディオ用より汎用のほうがお勧めできるかと思います。
 入力周りの配線材には、細め(0.32〜0.6mm)の単線を推奨します。
 配線材にスズメッキより線(古河電工のビーメックス等)を使うのは、 個人的にお勧めしません。僕の音作りとは方向性が違います。

 友人に撮ってもらった内部写真です。現在の回路とは異なる部分も ありますので注意してください
写真1
全体をアンプブロック方向からみています。メイン電解はホットボンドで プラスチック製スペーサーに固定しています。ダイオードはケミコンの 足に取り付けていますが、本来はラグ板などで固定するべきです。ただ 熱源・振動源であるトランスからは離した方が良いでしょう。
 アンプブロックに使われている黒い角型の部品は、金属箔抵抗VISHAY VSRです。0.1%精度、温度係数4ppm/℃と最高級の性能を持ちますが、 値段が尋常ではないです(1本850円@海神無線)。こんな部品使う必要は ありません。回路の不出来が判別しやすいので、回路を決めていくときに 使っています。
 小豆色の部品が、松下のポリプロピレンECQPです。メタライズドでなく 箔巻きで、落ち着いた音がするお勧め品です。
 この写真ではまだフェライトビーズがありません。フェライトビーズは VRからアンプの間、この写真では単線だけになっているところに入れます。 位置はどこでもかまいません。通すだけなので、単線を少し曲げて位置を 固定すればいいかと思います。

写真2
オフセット調整回路は、アルミブロック上面の圧着端子から立ち上げた 2本のスズメッキ線の上にはんだ付けしています。
 アルミブロックの側面には、電源、出力、電解C、の3つの圧着端子が あるのが分かります。圧着端子をとめるネジに、ゆるみ止めのために、 ばね座金(スプリングワッシャー)を忘れず入れてください。

写真3
 ICの足はNCを切っています。−入力、GND、出力の3本は曲げてある足を 水平に伸ばして接続しやすくしています。
 この写真を撮ったときにはR5は抵抗が2本並列だったので,−入力には R4、R5(2本)の計3本の抵抗が接続されています。R5はGNDの端子をまたぐ ことになります。
 GND端子には、アルミブロックの中央方向から、圧着端子から伸ばした スズメッキ線がはんだ付けされています(写真では見えません)。ここには その他、R4、C2、入力配線が接続されているのがわかると思います。
 出力端子には、R5、R6、アイソレータが接続されています。
 +入力端子は短く切って、抵抗R3をはんだ付けします。R3とC2の交点に R2はんだ付けしています。

写真4
 帰還抵抗R5の接続やGND端子の接続が分かると思います。良く見れば 圧着端子からGND端子へのスズメッキ線もちらりと見えています。
 ZobelのCを挟む感じになっている2つのCがパスコン用のCです。その 2つのCの隙間に見えている奥の黒いものが、ミューティング解除用の 定電流回路を作っているJ1です。ミューティング端子と−電源端子は、 足を垂直に伸ばし、適度な長さに切って接続しています。
 オフセット調整回路用の定電流を作るFETとその直列抵抗も見えて います。

写真5
 この写真のときはフィルムのほうに直列抵抗を入れていましたので、 それが見えます。山王電子で入手した小型金属皮膜です。現在は この抵抗はなくスズメッキ線になります
 +電源端子の2本は斜めに延ばし、写真に見える横方向のスズメッキ 線で接続します。斜めにするのは、−電源側も同様にスズメッキ線で 引き出すため、それと接触しないようにするためです。横に引き出した スズメッキ線の先に電解コンデンサ、さらにその先に電源からの配線が 接続されています。
 電解コンデンサのGND側は、電解コンデンサ接続用に、スズメッキ線を 2本挟んだものを側面のネジで取り付けておきます。
 オフセット調節回路のTL431と抵抗、半固定抵抗が見えます。

写真6
 入力端子まわりです。R1,C1のハイカットフィルタがわかります。 GND側は、VRへの配線と、アンプブロックへつながる単線の2本が 接続されています。

写真7
 VRまわりです。東京光音電波の2CP2511Sです。CPタイプの可変抵抗は 直流電流に強く、磨耗耐久性が非常に高いので、超寿命に作れるだろう と思いますが、値段が高すぎるし音に独特の癖があるので、普通ならば アルプスのRK27112をお勧めします。
 入力端子のGND側からの単線は接続無しでそのままアンプブロックの ほうへ向かっているのがわかると思います。わざわざ遠回りしている のは、ノイズを拾わないように、GNDループの作る面積を最小にする ためです。

写真8
 トランスのスナバです。2次側の小豆色が、松下のECQP 100V 0.47uF、 1次側に逆さに取り付けられている小さい灰色のコンデンサが、ニッセイ アルコトロニクスのR46 0.1uFです。

写真9
 スイッチまわりです。灰色のものがバリスタ(200V)、その下にある 白いものが、裏返したコモンモードチョークです。スイッチの端子に 直接半田付けしています。



 ICは、放熱とGNDとシャーシアースとを兼ねた30mm角のアルミブロックに とりつけ、GNDの配線は圧着端子でそのアルミブロックに集めます。アルミ ブロックは、6面すべての中央にφ2.5mmの穴を空けてもらい、M3タップを 立てて圧着端子を固定できるようにします。
 6面のうち、一番綺麗な対向面をICを取り付ける面にします。
 GNDの配線は3箇所に集めており、全部で8個の圧着端子を
1上の穴:左chのGND/パスコン/Zobel、右chのGND/パスコン/Zobel
2横の穴(左):470u、メイン電解コンデンサの中点
3横の穴(右):上に同じ
とふりわけています。圧着端子を一箇所に集めるとネジが緩みやすくなる ので、1本のネジで留める圧着端子の数はできるだけ少ないのが良いです。 圧着端子は経年変化で必ず緩みますので、せめてもの対策としてばね座金 (スプリングワッシャ)を入れておきます。

 作業順序としては次のようになると思います。

1、ICをアルミブロックに取り付ける
 アルミブロックの表面に紙やすりをかけコンパウンドで磨いておくと より良いです。フルモールドでない場合、絶縁用マイカ板が必要ですが、 TO-3P用が使えます。

2.ICの足を整形
 NCは落とす。−電源、ミューティングは垂直に伸ばし、適当な長さで 切ります。+電源の2本は斜めにして、適当な長さに切ります。−入力、 GND、出力の3本は水平に伸ばし、+入力は短く切ります。

3.上面圧着端子の作成
 スズメッキ線を3本、ネジ穴側にも3〜4cmほど伸ばして圧着します。 ねじ穴側に伸ばした3本のうち、1本は垂直に立ち上げオフセット調節回路 の固定、もう1本は横にまげてICのGND端子への接続に使い、1本は必要 ないので切ります。逆側はパスコンとZobelのCを半田付けするだけなので 5mm弱でカットします。

4.上面圧着端子の固定
 3で作った圧着端子をブロック上面に、ばね座金(スプリングワッシャ)を 通したネジで仮固定し、スズメッキ線にパスコンが取り付くことを考慮して 角度を決めます。先につけるものがあるので、まだパスコンはハンダ付け できません。角度が決まったら、横に曲げたスズメッキ線をIDのGND端子と つながるように曲げなおします。ネジを締めて角度を固定し、ICのGNDと スズメッキ線をハンダ付けします。

5.ミューティング解除用定電流を作るFETのとりつけ
 水平になるよう、ブロックの内側に取り付けます。ネジの邪魔にならない ようリードは短めにしておきます。

6.パスコンのとりつけ
 パスコンを、電源端子と上面圧着端子のスズメッキ線の間にハンダ付け します。+電源端子はどちらか片方の足にハンダ付けしておきます。端子が 長いとうまくハンダ付けできないので、次の7で横に伸びるスズメッキ線を 取り付けることを考慮しつつ、できるだけ短めにカットしておくのが良いで しょう。

7.電源引き出し用スズメッキ線の固定
 −電源端子のパスコンをハンダ付けしたところから、水平にスズメッキ線を ハンダ付けします。+電源端子の2本にも同様にスズメッキ線をハンダ付け します。

8.側面圧着端子の作成
 電解コンデンサ固定用に、2cmほどのスズメッキ線を2本圧着します。

9.側面圧着端子の仮固定
 7で作った圧着端子と、何もつけてない圧着端子をネジで仮にとめます。 何もつけてない圧着端子を挟むのは、ネジ穴の深さが足りない場合があるから です。

10.電解コンデンサのとりつけ
 電解コンデンサの片方の足を短く切り、リードが短くなりかつブロックに 接触しないような位置にはんだ付けします。7.や9.のスズメッキ線は そこそこ短くなるように曲げて、不必要な分はカットします。

11.帰還抵抗(R4,R5)・R3のとりつけ
 帰還抵抗をハンダ付けします。R4の固定には、−入力、GNDとも短めにカット したほうが楽でしょう。
 +端子につけるR3は、次のC2が固定しやすいように縦に固定します。

12.入力C(C2)のとりつけ
 +端子に取り付けた抵抗とGND端子の間にCを固定します。

13.R2のとりつけ
 R3とC2の交点にR2をつなぎます。

14.Zobelのとりつけ
 上面圧着端子にCを固定し、その足と+端子が繋がるように抵抗の足を適当に 曲げて長さを決めて固定します。

15.オフセット調節回路の組み立て
 TL431の足を、RefとK(両端)、A(中央)とで反対方向に曲げます。Aに半固定 抵抗の固定側をハンダ付けします。このAがGNDに繋がります。RefとKはまとめ 抵抗2本はここと半固定抵抗との間につなぎます。定電流用FETのG,Sもこの Ref&Kにつなぎます。定電流用FETのDに直列抵抗をハンダ付けします。

16。オフセット調節回路のとりつけ
 垂直に立てたスズメッキ線(端子が2個あるので2本)を適当な高さでクロス させてハンダ付けし、その上にオフセット調節回路をハンダ付けします。
 ICの+入力端子に220k(または470k)の抵抗をハンダ付けします。反対側から 半固定抵抗の摺動子へ配線をつなぎます。

 これでブロック自体はできあがりです。+−電源の配線はスズメッキ線に、 0Vは側面圧着端子に接続します。
 VRからの配線は、フェライトビーズを通した後に、GND側をICのGND端子に、 信号側をR2に接続します。
 オフセット調節回路の電源(抵抗の先)は、左右chのどちらかの+電源に つなぎます。

 なお、この組み立て方がベストというわけではありません。ただ、以下の いくつかのポイントをおさえようとした結果です。もっと簡単で良い方法を 発見しましたら、ぜひ教えてください。

1.パスコンのループは小さく
2.ストレー容量もパスコンに利用できるようパスコンGNDは放熱器に
3.容量負荷となるZobelネットワークのGNDはパスコンGNDと同じポイントに
4.電解は熱の影響を受けないようある程度離し、かつインピーダンスを低く
5.ハイカット用CのGNDは、増幅基準点となる帰還抵抗のGNDと同じポイントに
6.左右chのGNDで電流の流れるループを作らない
7.各GNDポイント間はできるだけ低インピーダンス

 頭痛くなります…


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