●地震雲の性質

 

 私は地震雲は何かしらの電磁波に関連しているものと見ている。ただ「電磁波で地震雲が発生する」という表現は敢えてしていない。
 私の基本見解は、雲は極自然な状態でも滞在している筈の帯電エアロゾル(帯電粒子)で満ちた大気中で育成されるのであり、その電荷を帯びた雲の粒子が、地殻から放射される前駆活動としての電磁波(の磁力線)によって整列状態となることで、「地震雲」と呼ばれる独特の(一部は気象学分類そのままの)形態を生じているものと考えている。これはいわば、下敷き上の砂鉄が磁力線に沿って模様を描くのに似ている。
 であるから、この点については若干、PISCO教授とも池谷教授とも考えが少し違う。つまり、通常の気象雲が電磁波で地震雲としての形態を取るし、前兆電磁波が放射され強く満ちている最中に発生する雲は、当然、地震雲の形態をとって出現することとなる。
 私は電磁波が原因していると考えるので、地球の表面を伝わる強い電磁波(規模の大きな地震)ならば数千qだろうと届くのだろうと考えている。だから長遠方へも届く前駆的現象を認めるわけであり、地熱説も取る考えはない。沖縄本島近海の地震雲が北海道上空に出現したのは、たまたま何かの条件が重なったからであり、その条件とはたぶんに気象的(地理的)条件は当然、含まれるものと思われる。しかしだからといって再び、北海道に出現するということでもない。どこに出現するかは予測不能だから、この点は在る意味ではオカス理論的だといえる。  

 誤解している者も多いのでいっておきたい。地震雲観測は、自分が見た雲の状態から地震を判断するということであり、自分から見える範囲の空に出現していないからといって、地震が発生しないことを意味するものでもない。他の地域で自分の地元周辺域を示す地震雲が出現しているかも知れないからだ。だから、地震無し宣言などはできない。また、夜間や睡眠中の出現ということも当然ある筈であり、見逃し無しなどということも有り得ないのである。見逃しなしなどといっている者は虚言(過大発言)に過ぎない。

 地震雲がどうして風に逆らい、その形態を形成し維持できるのかという懐疑的な意見がある。しかし私には、そんなに難しく考える必要はないものと思えるのだが、それは単なる私の科学的知識の欠如でしかないのだろうか?
 日常、見られる極普通の雲、例えば積雲でも何でもいいが空を見ていると、どの雲もかなり相当の時間を一定の形状を保って浮かんでいるのがすぐ判る。風のために数十秒や1分、2分で掻き崩れるわけじゃないことは一目瞭然だ。池谷教授は地震雲の雲粒は風下に流れて消えるが、同時に電磁波による発生を繰り返してもいるので地震雲がそのまま留まっているように見えていると解説した。なるほどそうかも知れないし、或いは私にいわせれば通常の雲だって、相当の時間に渡って一定形状を保ち、同位置にも留まっているのは当たり前のことだ。
 私は、震源からの電磁波を理由にしているので、当然、震源地と観測地の間の風の影響などは受けないし、数千q遠方震源の地震雲に対しても然るべきものと考えている。観測される地震雲の正体は、気象雲の雲粒が電磁波の電場の磁力によって引きつけられ整列現象を起こしているものだと見ている。磁力線によって雲粒は引きつけられており、風の力などは普段の雲を見てる限りは問題ではない。  

 それから時折り、地震雲の長大な帯雲については、シーラスストリークトランスバースラインと呼ばれる気象現象で生じたジェット巻雲の見間違いではないかという指摘がある。つまりジェット気流に沿って発生する長大な筋状雲や波状を伴う巻雲などを地震雲として誤認しているという意味だ。しかし、これは衛星画像からは明瞭でも地上からは確認が困難なものが多いという。
 私もこれまで幾度となくその指摘を受け、時には罵声を浴びせられた。中にはこれが科学だといわんばかりの時もあった。例としては昨年、9月22日観測時の長大な断層状白帯雲。この時の私の観測報告に対して、気象現象に詳しいと思われるある者からは、2CH掲示板にてこう指摘があった。「午前6時から12時の雲解析情報図では、トランスバースラインとシーラスストリークが観測されております。ちょうど札幌上空付近を西北西から東南東に亜寒帯ジェットが観測されておりますので、それに伴う雲だと思われます。」
 なるほど確かに私が観測した帯雲には、その上部にまるでジェット気流にでも吸い上げられたかのような異様な鳥の羽のような冠状の形態が見られた。しかしその結果は、22日観測の根室方面M6の判断に対し、27日に根室半島南東沖でM4.7が発生(雲の全長が見えなかったため精度誤差は割愛)。その他「かもしれない掲示板」においても、「あなたはトランスバースラインの見間違いをしている。方位ならばこちらほうが正解の筈です」などと書かれたこともあったし、別の時には確度が90度も違うという指摘を受けたこともあった。この時の場合には、6月14日夕方の観測、南西−北東ラインの超遠方震源、M6超級の直前型72H以内という私の見解に対し、翌朝15日に北東方面の超遠方、アリューシャン列島にてM6.3が発生したのだった。これまでのいずれも全て、私の測定方位上に私が目撃した地震雲に相当する明瞭な地震が発生しているのが事実で、やはりシーラスストリークだったか、などという反省は未だにない。  

 それと前線の通過に伴う断層状が地震雲として誤認されるということは確かにあるかも知れない。しかし一定時間、見事に留まっている形態の場合にはやはり注意が必要だろう。私の考えは、地震雲出現にとっての気象・地象条件が整った地域上空で放射された地震前駆活動の電磁波が地震雲を生じさせているというもの。であるから、このような前線通過に伴う気象状態は、或いはもしかすると前駆現象としての電磁波に反応しやすいのではないかなどと私は疑っている。
 
 私はこれからも、ただの気象現象という決めつけや固定概念を排除し、あくまでも自己の観測による発生地震との相関性によって、その事実を確認していく頑固な姿勢を通したいものと思っている。  

 尚、これらはあくまでも私のシロウト仮説であり、一つの参考意見となればそれで幸いである。        


2001 08/20 09/05  筆

 

 中国の呂 大炯(たいけい)という地球物理学者の著した本、『雲と地震予知の話――雲が地震を教える』の内容には驚かされた。これほどのものが1984年に書かれ、日本でも90年に出版されていたとは驚いた。この人は真に地震雲を理解している稀有な科学者だといえる。
 地震雲の優れた特性は、近地地震にも遠地地震にも対応し、全地球性(空間特性)を持っていること。地震と地震雲の発生には時間的な相関関係がある。震央を判別できる重要な特性。突発的直前前兆の一環であり、発震までの時間が判別可能などと述べている。また、震源地上空には異常気象、つまり気圧や温度変化が生じ、震源付近には反射状地震雲が観測されること。前兆は同心円状に、波紋状に拡がっていることなどが述べられている。
 ひまわり画像からは、震源地上空の雲が掻き消えるような同心円状の“吹き飛ばし”現象が生じるが、これがこの気象的変化の目に見える変化なのだろう。基本的には電磁波説を支持する私ではあるが、割りと震源地近郊に出現するタイプである放射状雲は、この気象現象である吹き飛ばしが関係している可能性については否定できない。

 ただ、地震雲を地熱で説明できるとする説には、私はどうも納得できない。
 森田 武著『あなたにもできる地震予知』の中では、地震雲発現についての有力な説として、地殻変動によるマグマの影響で地熱が上昇し、岩盤内の水分が蒸発して地震雲になっているというのがある。地熱説についてはこの本に拠らなくてもすでに想像はついていたが、これでは地震雲の中核を成している、肝心の遠方震源を示す前兆であるところの帯状地震雲を説明できない。本文中には中国からのアリューシャン列島やアラスカ方面震源の地震雲のことが述べられているが、当地から観測している関東や沖縄はおろか、台湾、カムチャツカ半島、アリューシャン列島などの遙か遠方地の前兆帯雲がどうして北海道上空に出現するのかは、とても震源地の地熱理論などでは説明はつかない。更に海域震源の場合はどうか?地殻中の岩盤の熱が海洋をも暖め、その熱で地震雲が数百・数千q遠方地上空に出現する?或いはマグマは一つだから?うーん、これもどうも苦しい。ただ、震源地上空の気象的変化、気圧、地熱、気温の変化については、今後、重要な前兆観測の条件となっていくと思う。
 
 それにしても呂 大炯氏の、実際の観察によって地震雲の真偽を自ら確認しようとする姿勢は立派だ。本文中の「地震予知に関する対話」の中にこういう言葉もある。「地震雲の存在を検証をするため、地震雲と地震との法則的関係を研究したのさ。また、当然のように疑う人たちに見てもらうために、観察すると共に連続写真も撮っている。・・・地震雲と聞くだけで反対する人がある。事物に対し賛成するには科学的根拠が必要だし、反対するにも科学的根拠を必要とする。でないと、疑うだけになる。」
 地震雲を観測しながらネットに参加していると、これまで随分と反対派・否定派の人を見た。しかし悲しいかな、自分でやってみよう、という者は皆無に近い。

 

2001 09/29  筆

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